超乳のガールフレンド

ジグラット 作
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part 1

 いつものようにエヴァのシンクロテストが終わった後、アスカはミサトの許に一目散に駆け寄り、なにやら話し込み始めた。
「ええっ、またぁ!?」
 シンジの位置からでは詳しい内容までは分からなかったが、いきなりミサトが上げた声だけははっきりと聞き取れた。その声の大きさに驚いたアスカがあわてて「静かに!」というしぐさをする。恥ずかしそうにうつむいていたが、とにかく強引に話をつけたらしい。。
「じゃ、お願いねっ」
 最後にそれだけ言うとアスカはシンジ達の所に駆け戻ってきた。

(まったく、あの子たちったら…)
 ミサトは鉄砲玉のように自分から走り去ったアスカの後ろ姿を見ながらふっと肩を落とした。使徒襲来から早や1年、エヴァの力で使徒を次々と打ち倒してきたおかげで、近頃は出撃もなく世界はそれなりに落ち着きを取り戻しつつあった。無論まだ警戒を解いているわけではなく、今日のようなシンクロテストを始めいろいろな訓練は毎日のように続けられていたが、シンジ、レイ、アスカの3人のパイロットにも最初の頃に比べてどこか余裕が感じられるようになっていた。
 どうやら危機は脱せそうだ。作戦の総責任者でもあるミサトもその点ではほっとする事が増えてきた。しかし一方、使徒とは関係のない所で、ミサトはレイとアスカの2人に起こりつつある著しい体の変化が近頃気になってしょうがなかった。それは…。

 ミサトとの話を終えたアスカはシンジを呼んだ。
「シンジ!!」
「なに?アスカ」
「ちょっとおいで」
「な…何か用?」
「いいから!!」
 また、なにかやっちまったんだろうか――。今日の所シンジには特に思いあたるふしはなかったが、あのアスカのことだ。変にへそをまげてなんでもないことにいちゃもんをつけないとも限らない。かと言って従わなければ一層ひどくなるし――しょうがない、つきあうかと仕方なく後についていくことにした。しかしアスカの歩いていった先は、シンジには意外な場所だった。
(え?こっちは…)
 エヴァパイロット専用の男子更衣室だ。現在男の操縦者はシンジひとりしかいないから、実質彼ひとりのスペースとなっている――はずだった。だから本来なら女性は入ってくるはずないのだが、アスカはそんなことお構いなしにシンジに先だって部屋に入っていった。
「ア、アスカ、ここは…」
「いいの。ドア閉めて」
 重いドアが閉じるととともに鍵のかかる音が響く。当然のごとくオートロックになっている。
「鍵、ちゃんとかかった?」
「うん」
 アスカは部屋の奥までたどり着くと振り返ってぐっと胸を張ってみせた。視線はじっとシンジを見つめて離さない。
 シンジはアスカの視線を感じてドギマギするのが自分でも分かった。振り返った時にアスカのとてつもなく大きく突き出した胸がぷるんと揺れ、思わず目を奪われてしまったからだ。
 そう、この1年の間、アスカの胸はすさまじい勢いで膨らみ続けてきた。今では片方だけでもその小さな頭の何倍も大きくなっている。その胸を覆う真紅のプラグスーツは、確かついこないだ新調したばかりのはずなのに、それですら彼女の胸を到底包みきれていなかった。たった今胸をそらしたはずみにそのふくらみは一層強調され、大きく開いたえりぐりからは、胸の肉が今にも飛び出さんばかりにあふれ出ている。
(胸、きつそうだな)
 シンジはついまたそんな事を考えてしまう。アスカがその考えをすべて読み取ってしまうかのようにこちらを見つめているのに、妄想は止めようがなかった。
 アスカがふと目を伏せる。また何か言われる!とシンジは覚悟したが、アスカの口から出たのは意外な一言だった。
「終わるまで、絶対に開けないでね」
 それだけ言うと、アスカは意を決するようにぐっと歯を噛みしめ、いきなりプラグスーツを脱ぎ始めた。
「ア、アスカ…」
 シンジはあわてた。目の前で起こっている事が現実とはとても信じられなかった。あのアスカが――こんな嬉しいこと、いやいやいや、自分の前で服を脱ぎ出すなんて。
 しかしアスカは、まるで1秒たりとも我慢できないかのように何のためらいもなくスーツを脱ぎ続ける。プラグスーツの下には一切何も身につけない。だからスーツを脱ごうものなら…。
 胸を開こうとした時、乳房がスーツにぐっと締めつけられていかにも苦しそうな顔をした。なのに胸がひっかかってなかなか脱げないのにいらついているようで、結局力任せにスーツを引き抜いた。どこかでパキッとイヤな音が響いたが、アスカはそれにもかまうことなく一気にスーツの上半身部分を脱ぎ捨てた。その途端、中からとてつもなく大きく成長した超乳が飛び出してくる。
「ふうっ…」
 今まで締め付けられたものから開放され、アスカは大きく息をついた。
(大きい…この前よりずっと大きくなっている――)
 ひと月ほど前、家で着替え姿を覗いてしまった時の事をシンジは思い出していた。あの時もすごかったが――今はそれとも比べ物にならない。
 大きすぎる乳房が、アスカの細身の体からほとんど飛び出さんばかりの勢いで張り出してきている。大きいだけではない、中身がパンパンに詰まった水風船のように、隅々まで中身がみっちりと詰まっていて、ちょっとつついただけではちきれてしまいそうだ。張りつめた乳房はあたかも重力に逆らうかのごとくつんと前へ突き上がっていて、その先にほんのり色づいただけの小ぶりな乳首が、まっすぐシンジの方を向いている。そんな圧倒的な質量のものが、アスカの呼吸に合わせて静かに、しかし絶えず揺れ動いていた。
「アスカ…」
 見ちゃダメだ見ちゃダメだ見ちゃダメだ――。頭の中で無限にそう繰り返してはみるのだが、シンジはどうにもその胸から目が離せなかった。
(きれいだ…)
 そう、それはシンジにとって無限のあこがれをぎっしりと詰め込んだような2つの魔法の袋だった。
「シンジ…」アスカの目は、何かを言いたそうにじっとシンジを見つめ続けていた。まるでちょっとでも目を離すと、シンジが自分の前からいなくなってしまうのではないかと不安に駆られているかのように。
「逃げないで…。お願いがあるの」
 いつものアスカじゃない。あのはねっかえりな所が影を潜め、本当に真剣なまなざしでこちらを突き刺してくる。シンジもその気持ちを感じとり、おずおずとその胸を見つめ返した。

 気がつくとアスカの息が次第に荒くなってきている。それに伴い、乳房の先がなんだかひくつくように小刻みに動いているように見えた。
「エヴァとシンクロした後はいつもこうなの。おっぱいがどうにもむずむずしちゃって――我慢できなくてつい自分でこう…」アスカは手を伸ばして手のひらを思いっきり広げると自分の胸をもみしだいた。「そうしたらどんどん…こんなにおっきくなっちゃったの」しかしアスカの手は小さすぎて、腕をどんなに伸ばしてもその巨大な乳房の先まで届かず、もどかしげにその近くを行き来するだけだった。「けど…最近は大きくなりすぎて、自分じゃうまく――できないの。だから…ねえシンジ。あんた――ので…してくれない?」
 アスカははにかむような表情を顔に浮かべながら俯く。いや――俯いたんじゃない。視線を落として、シンジの股間を見つめているのだ。
「――――」
 シンジは言葉が出なかった。こんな事になるなんて――。いや、確かに今まで数え切れないほど、アスカの胸を想像しつつ股間に手を伸ばしていた。なにせこんな超乳の持ち主とひとつ屋根の下で暮らしているのだ。もちろんアスカは常に警戒してほとんど隙を見せなかったが、どうしたって一日の大半は顔をつき合わせているんだし、どのような格好をしても、その大きく盛りあがった胸は隠しようがない。ある時は圧倒するように、ある時は誘なうように彼のリビドーを絶えず刺激しまくっていた。シンジは自分の部屋でひとりになるといつも、その衝動を抑えることができなかった。自分のせいじゃない、あんな胸をしたアスカが悪いんだ、と罪悪感を転化させて何度も何度もひとり自慰に耽っていた。
 けど――どんなに妄想していたとしても、現実にこのような場面に遭遇することがあるなんてまったく考えてもみなかった。自分の想像力を超えた状況に頭が追いついていかず、まるで夢うつつの中にいるような感覚に陥り、軽いパニックを起こしかけていた。
「シンジ…?」微動だにしないシンジの様子に不安げな顔でアスカが声をかける。いきなり現実にひき戻され、ビクッとしたシンジは思わず腰が引けた。
「そんな…できないよ…アスカ――。かんべんして…」
 その声を聞いた途端、アスカの顔がかーっと赤くなっていった。恥ずかしさとプライドを傷つけられた怒りとがない交ぜになって、一気に血が昇ってきたのだ。
「そんな――。知ってんだからね。あんただって、わたしを見て、毎日――その…、お、おかずにしてんでしょ!」
 言ってしまった――。勢いに任せて口に出してしまってから、アスカの頭から怒りがすっと消え、恥ずかしさでますます顔がほてってくる。
(アスカ、知ってる…)逆にシンジの方は気恥ずかしさで顔から血の気が引き、みるみる青ざめてくるのが自分でも分かった。
(しまった…)アスカはシンジの顔色を見て激しい自責の念にかられた。言ってはいけない事に触れてしまった。どうしよう――思わず顔をやわらげる。
「いいの。ごめん。シンジ…。ほんとは嬉しかったの、わたし…。シンジも、わたしのこと、そんな風に見てくれてるんだな、って」
 そして静かに、一歩、一歩、シンジの方へと近づいていった。足を踏み出すたびに、わずかな振動が乳房に伝わっていき、ぶるるん、ぶるるんと魅惑的に揺れ動く。
 シンジはその動きに再び魅入られたようにじっと見つめていた。顔にいつしか赤みが戻りつつある。
「お願い。わたしのこのおっぱい、シンジにいじってほしいの」
 小声で、しかしきっぱりとアスカは言い放った。それだけ言うと、シンジの前ですべてを受け入れようとするかのように体を堅くしてじっと立ちすくんでいた。

 シンジは改めてアスカの顔を見た。顔を幾分かしげさせ、シンジの顔を上目遣いでのぞき見るようなその顔は、いつもの勝気な所が消えうせ、今まで見たことのないほど真剣なものだった。もともとアスカは、その性格さえ除けば誰もが振り向かずにはいられないほどのとびっきりの美少女なのだ。それがこんなにも真摯な目で見つめられると…。シンジは胸はもちろん、その目にも吸い込まれるような魅力を感じた。
「アスカ…」
 再びシンジがその名を呼ぶ。しかしその声は、先ほどまでとは違い、はるかにやわらかく、親しみを込めたものに変わっていた。
 シンジも一歩アスカに向けて踏み出す。しかしこれ以上ないほど突っ張った股間がその動きの邪魔をする。いつしか、シンジの股間は痛いほどに張り出していた。しかもアスカがそばに寄ったことにより、なんだかさらに強くいきり立ってきた気がする。
「アスカ、ごめん、脱ぐよ」
 今度はシンジの方が下半身のプラグスーツをはずしにかかった。アスカはふっとおじけずいたように一瞬退いたが、結局そのままシンジの様子を見守り続けた。
 シンジの股間が露出した途端、ピンと張りつめたペニスが天に向けてそそり立つ。アスカは初めて見るシンジの股間のものに目を丸くしながらも、視線をそらさずに真正面からじっと見つめ続けた。
(これが――男の人の…)
 正直な所、得体のしれない気味悪さを感じつつ、好奇心を押さえきれなかったのだ。
「アスカ、さっきから苦しくてしょうがないんだ。だから…アスカの胸で、してほしい」
 アスカはちょっとの間ためらっていたが、意を決したようにうなずいた。

 アスカは腰を落として胸がシンジの腰の高さに合わさるようにすると、両腕を伸ばして自分の大きな乳房をそっと抱え上げた。乳肉がむっちりと盛り上がり、2つのふくらみの間にできた谷間はより一層深く、その中に吸い込まれていってしまいそうな気がした。
 アスカはそのまま少しづつシンジににじり寄っていく。それに従い、アスカの胸は、シンジの目前に刻一刻とより大きさを増して迫ってきた。
 今、シンジのペニスのすぐ目の前にアスカの胸の谷間がある。アスカが目で合図を送り、シンジがかすかにうなずく。シンジが何かにひかれるように1歩踏み出すと、アスカの深い胸の谷間にシンジのものが吸い込まれるように消えていった。
(あ…。これがアスカの――)
 まだ成長途上のシンジのペニスは、まっすぐ突き立ててもアスカの乳房の底には到底到達しなかった。まるで奥深い深海に潜りこんだかのように、シンジのペニスは闇深く蠢いていく。更なる深遠を求めて――。
(おっぱいって、こんなにやわらかかったのか――)
 それは想像を超えてはかなげで、たよりのないものに思えた。しかし自分のものがそれにすっぽりと埋め込まれてみると、一見はかなげに見えたものが実は強靭なコシがあり、押された途端によりしなやかに押し返してきて、シンジのペニスの隅々にまでまとわりついて攻めたてた。
 まるで全体をまぁるく包み込んでありとあらゆる部分をやさしく刺激していくような、思ってみもしない感触に、シンジのペニスはそれまでないほどに堅く硬直し、鋼のように屹立した。
 一方アスカは胸の間に、想像していたものよりはるかにゴツゴツした感触を受けて驚いていた。
(こんなにカタいものなの…?)
 胸に受けた感触が想像していたものとはあまりにかけ離れていて、ほとんど人間の体の一部とは思えなかった。しかし、むずむずとした疼きで満ちあふれていたアスカの乳房には、そのゴツゴツとした刺激があちこちのツボにはまっていくように心地いい。さらにもぞもぞと細かく蠢くその動きにアスカはますます反応していき、さらに様々な刺激を求めて添えた手を動かす力もいつしかより一層激しく、奔放になっていった。
(あん…なんか――いい、これ…)
 手の形を様々に変えながら、シンジのペニスに向かって、ある時は押し出すように、ある時は絞り込むようにしながら自分の乳房を自在に弄んだ。それはまるで、シンジのペニスからすべての快楽を絞り取ろうとするかのようだった。
(おっぱい…もっとめちゃくちゃにしてほしい…)
 不思議なことに、揉めば揉むほど、乳房の疼きはおさまるどころかますます激しく湧いて出てくるようだった。アスカは更なる強い刺激を求めて手に力を込める。
 しかし自分ひとりではそれにも限界があった。長さが足らず、乳房の奥のほうまで入ってきてくれないシンジのペニスにだんだん苛立ちを覚えてきた。シンジがただ突っ立ってるだけでほとんど動かないのも不満だった。
「シンジ…、お願い。もっと激しく突いて…」
 アスカは目を上げてシンジを見た。しかしシンジは何やらじっと耐えている表情をするだけで応じようとしない。
「シンジ…」もう一度繰り返す。さっきよりちょっとトーンを落として。
「アスカ…。無理…だ…よ――。気持ちよすぎ…」
 実際、シンジは、アスカとは逆に、信じられないほどやわらかく、しかも強烈に締め付けられ続けて、射精を我慢するのに精一杯だった。(アスカの胸って、こんなにやわらかかったんだ。しかも、信じられないぐらい張りつめててすき間なく包み込んでくれて…)
「シンジぃ…」アスカの声はこれ以上ないほどせつなげなものになった。そのやるせなさをぶつけるように、自分の手を精一杯動かしてさらにシンジのペニスを絞り込むように攻めたてていく。
 その時、シンジの腰が突然激しく動き出した。射精を目前に控え、まるで最後に更なる快感を得ようと突き進んでいくみたいに…。
(ああっ、気持ち…いい――)
 アスカは今まで届かなかった胸の奥にまでシンジのペニスがずんずん突き刺さり、まるで快感が大きな乳房の隅々にまでいきわたって、胸が破裂するのではないかと心配になるほどの快感で満ちあふれた。
(ああ…どうにか…なっちゃいそう)
 この気持ちがずっと続いてほしい。本気でそう思った。しかしそれは長くは続かなかった。
「うっ――」
 シンジが短いうめき声を発するとともに、カチカチになったシンジのペニスの先から白くどろっとしたものが勢いよくあふれ出た。それとともに、あれほど堅く起立していたペニスが、急速に力を失っていく。
(あ、だめーっ)
 アスカは心の中で叫びながら、さらにどうにかしようとシンジのペニスをなおもこすりあげようとした。しかしもう元へは戻らない。シンジは息を荒げながらふらふらとアスカの胸から離れ、股間を丸出しにしたままその場にへたりこんでしまった。
 アスカの胸には、ただシンジが残した精液がべったりと張り付いていた。その慣れないどろりとした感触がいやで、ティッシュを出して必死でふき取る。しかし思ったよりねばっこく量も多いそれはこすってもなかなか取りきれない。
「あーっ、なんてことするのよう、このバカシンジ!」
 一瞬、普段のアスカが顔を出したようにきつい言葉を吐いた。
「――ごめん」
 シンジが、床に腰をつけたまま申し訳なさそうにささやく。アスカの胸を汚してしまったことが申し訳なくてしょうがないかのようだ。
 その、強烈に消耗したような態度を見て、アスカはまた表情にふっとやわらかさが戻った。
「ううん、いいのよ」
 確かに驚いたけども、あまりシンジを怒る気にはなれなかった。今の果てきった様子を見れば、シンジが初めてにもかかわらずどんなにがんばってくれたかがアスカにも察せられる。最後のこれだけを気をつければ――自分でするよりはるかに気持ちいいことが分かったし――乳房の間には、今もシンジのあの堅い感触が、まだ消えずにはっきりと残っていた。それを思い出しただけで、アスカの胸には、またざわざわするような疼きが先ほどにも増して湧き上がってくるようだった。
「ねえシンジ、お願いがあるんだけど」
「ん?」シンジはどうにか息を整えながら答えた。
「もう1回、できない?」
 アスカはさっきより一層張りつめた自分の胸を揺らしながらシンジに笑いかけた。

 ―――――――――――― 

 その頃、レイはひとり女子更衣室の中で、やはりプラグスーツの胸をはだけた状態でひとり椅子の上にうずくまっていた。
 アスカほどではないにしろ大きく盛り上がったレイの乳房は、やはり強い疼きに満ち満ちていて、レイは今それと必死で戦っていた。手を伸ばしてこの胸を思い切り揉みしだいたらどんなに気持ちいいだろう。しかしレイは持ち前の強烈な自制心でそれを懸命にこらえていた。
(さわっちゃだめ!ちょっとでもさわったらもう我慢できなくなる。そうしたら――また胸が大きくなっちゃう)
 レイもこの疼きと胸の成長の因果関係について気がついていた。この疼きはしばらくじっとしてれば消える。しかし、今まで何度か、どうしても我慢しきれなくてとうとう胸に触れてしまった事がある。ほんのわずかでもそうなればもう止めることはできない。後から後から快楽が襲ってきて、自分でも気が狂わんばかりに徹底的に揉みしだかずにはいられなくなってしまう。そして――その後、自分でもびっくりするほど胸が膨らんでくるのに嫌でも気づかされるのだ。
 しかし我慢すればするほど胸のむず痒さは耐えられないほどになっていく。ちょっとでも気を紛らわそうと座る位置をわずかに動かした時、右胸の先が机のへりにかすかに触れた。
「はうっ!」
 レイの体に電流が走る。反射的に右胸に手を当ててしまう。その途端、ざわざわとした快感が胸全体に襲いかかった。
(さ、さわっちゃだめぇ!!)
 しかしもう遅かった。胸中に怒涛のように快感が押し寄せ、レイの意思を押し流していく。両手でそれぞれの乳房を縦横無尽に揉みしだいていくが、快楽の波は胸の奥から尽きることなく湧き出していき、とどまる事を知らなかった。
 いつ果てるともなく続く快楽の渦に巻き込まれ、意識すら吹っ飛びそうな中、レイの脳裏にはなぜか碇指令ではなくシンジの顔が浮かび上がっていた。
(碇くん…助けて――)

 ―――――――――――― 

「まったく、どうなってんのかしら」ミサトはリツコの前に来るなり書類を机にたたきつけた。
「なに、どうしたの?」リツコはいつもながらの冷静さで訊き返してくる。しかしその耳はミサトが何を言い出すかと興味深くそばだてていた。
「アスカよ。つい2週間前にプラグスーツを作り変えたばっかりだってのに、今日また『胸がきつてもう入らない』って言ってきたのよ。もうっ、信じられない!」
 リツコは黙ってコーヒーに口をつけた。
「ねえリツコ、あんた何か知らない?エヴァには何か――女の子の胸を大きくする作用か何かがあるんじゃないの?」
 いきなり話を振られてリツコはかすかに目を細めた。
「さあ、そんな話は聞いたことがないけど」
「ぜーったい何かあるわよ!」リツコの落ち着きはらった態度に、ミサトはいささかいらついていた。「だっていい。エヴァが本格始動して1年、この間にレイとアスカの胸がどれだけ大きくなったと思う?レイのバストは今132センチ。これだってちょっと信じられない大きさだわ。なのにアスカときたら――。ちなみにアスカが去年ここネルフにきた時のバストサイズは82センチ。中学生にしてはちょっと大きい方かな、っていうぐらいだったわ。なのに今――というか、この前採寸した時でなんと243センチにもなってるのよ。その時作ったスーツがきついってんだから今は確実にもっとあるわね。エヴァに乗ってたほんの1年足らずの間に2メートル近くも成長するなんて…何かあると思わないほうが不思議でしょ」
 言うだけ言ってリツコの顔をにらみつける。しかしこの女は癪に障るぐらい表情を動かさない。
「確かにその数値は驚異的だわ。それはわたしも認める。しかしだからといってそれが直接エヴァに原因があるって考えるのは短絡的すぎるんじゃない?実際、彼女たちは今第二次性徴期の真っ只中なんだし、胸が大きくなること自体は不思議でもなんでもないでしょ」
「だからって!!」ミサトは両手を思いっきり机にたたきつけた。じーんとくる痛みがその手を襲う。顔をしかめながらなおも話を止めようとはしなかった。「程度問題でしょ。あの子たちはまだ15歳なのよ。このままどんどん大きくなってっちゃったら…どうなるのよ!!!」
「フフ…よっぽどうらやましいのね」
 リツコの思わぬ切り替えしに、ミサトはちょっとひるんだ。
「な、なによぉ」
「ま、無理もないか。ご自慢のEカップも、あの子たちの前じゃかたなしだもんね」
「そんな――。わたしは、自分の胸に満足してます!」
「あらそう。そんな風には見えなかったものだから。ごめんなさい」
 (相変わらず喰えないわねぇ)ミサトはふてくされながら視線を逸らす。
「あーあ、わたしもいっそエヴァに乗ってみようかなぁ」ふと口をつくようにうそぶいた。
「あら、知らなかったわ。あなた、いつからエヴァにシンクロできるようになったの?」
 うっかり本音を漏らしてしまったことに気づき、思わず顔をむっとさせてリツコをにらみつける。
「ちょっと言ってみただけです」
 とうとうミサトはむっつり押し黙ってしまった。
「とにかく調査はしてみるわ。今言えるのはそれだけ」リツコはカップの底に残ったコーヒーを飲み干すと、話は終わったとばかりに席を立った。「ただ――あんまり結果は期待しないでね」
 まだしゃべり足りなさそうなミサトを残して、リツコは部屋を出た。
 長い廊下を一度曲がり、絶対ミサトには聞こえない所まで距離をとったところで、リツコの口が小さく動いた。
「まさか…ね」
 実はリツコにはひとつ思い出したものがあった。それはもう10年以上前に母ナオコから聞かされた古い記憶だったが、この時自分でも思いがけないほど鮮明に浮かび上がってきた――。
――エヴァ最初の搭乗者である碇ユイ、彼女がシンジくんを生んだ時、母乳の出が悪くてほとんどおっぱいを与えられなかったそうよ。だからシンジくんはほとんど牛乳で育ったの。意外なほど母性本能が豊かで、自分のおっぱいで子供を育てることに強いあこがれを持っていたユイにとって、その事は強烈なトラウマとなって残ったんだと思う。その後も時おり、私と2人きりの時なんかによく「わたしの胸がもっと大きければ…。もっともっと大きくなりたい…」と繰り言のように呟いていたの。私がいくら「大きさと母乳の出には直接関係はない」と言っても耳を貸さず、まるで胸が大きくなればすべて解決するという考えにとりつかれているように何度も何度も繰り返していた――。
 その繰り言を、リツコも何度か聞いた記憶があった。子供心にもなにか鬼気迫るものを感じて怖かったことを憶えている。
 足の向くまま歩いているうちに、いつのまにかエヴァの前に来ていた。しっかりと格納されたままの無敵の巨人は、今はそれが動くとは信じられないほど静かに佇んでいる。
 その姿を見つめるうちに、リツコの心にある想像が勝手に湧き出してきてどんどん膨らんでいった。エヴァの中には、ユイの意識が確かに溶け込んでしまっている。もしそれが今も健在で、乗り込んだ成長期の女の子の胸になんらかの作用を与え続けているとしたら――。
(まさか…ね)
 リツコは再び心の中で繰り返し、足の向きを変えてエヴァの前を去った。たった今、レイとアスカの胸がより一層膨らみつつあることなど思いもよらずに――。