超乳のガールフレンド

ジグラット 作
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part 2

 その夜、アスカは風呂場に掲げられた鏡の前で自分の全身をくまなく眺め回していた。
 まだ少女らしさの残る華奢な身体の中で、ただ唯一、胸だけはおそろしいほど巨大に膨れ上がっている。アスカはその大きさを確かめるようにそっと手をその下に差し入れ、自分の乳房を持ち上げてみた。両の掌に、自分のものとはにわかに信じがたいほどずっしりとした重みが伝わってくる。
「また大きくなっちゃったみたい…」
 アスカはその重みが、きのうと比べても明らかに増大しているのを痛感せずにはいられなかった。見ただけでも、昨晩やはり風呂場で確かめた時よりもふたまわりは大きくなっているような気がしてしょうがない。
(やっぱり――)
 昼間の更衣室での出来事が脳裏にまざまざと再現されていく。あの時――胸の奥からなんだかいがらっぽい粒々がどんどん湧き上がってきてこのおっぱいいっぱいにたまっていき、その粒々同士がせめぎ合ってむずむずしてたまんなくなって――。で、どうにも我慢できなくて、あんなことをしてしまった。シンジのペニスをはさみ込んだ時に感じた、あのゴツゴツした感触を――。あれが胸の間で動きまわると、その粒々がぷちぷちと次々にはじけていき、中から気持ちいい成分がパッと広がっていくみたいで、胸の中が気持ちよさでどんどんいっぱいになっていった…。けど粒々はまだまだ奥の方から際限なく湧いて出て、潰れたそばからすぐ胸の中にぎっしりひしめきあっていって…。そのためシンジにまたおねだりした。何度も何度も――。粒々が湧いてくるのが止まるまで、1時間ぐらい、まさしく――むさぼるようにその感触を味わってしまった――。

「もう、なんだってあんなことしちゃったのよ!」
 アスカは鏡に映った自分の顔に向かって悪態をついた。
(加持さんならまだしも、よりによってあのバカシンジなんかと…)
 今となっては自分でも自分が信じられなかった。どうしてあんな事をしてしまったんだろう――魔がさしたとしか思えない。今、こうしている最中にも、後悔が津波のように襲い掛かってきて自分を攻めたてる。そしてその結果が――
(胸――また大きくなってる…)
 そっと手を離すと、巨大な乳房がふるんと大きくたわむ。なんだか自分の身体の一部であることが信じられないぐらいの大きさだった。しかも急激な成長のためか、中身がぎっしりと詰まって皮膚の成長が追いつかず、つっぱった感じになっている。
(どうしてこんなに大きくなる必要があるのよ。将来自分の子供におっぱいをあげるため?――子供なんて絶対いらないのに…)
 再び手に力を込めてぎゅっと寄せると、深い谷間がより一層深くなる。その時ふいに、あの時はさみ込んだシンジのものの堅さが、その感覚がありありと蘇ってきた。まるでたった今はさみ込んでいるかのようなリアルさで…。
「だめっ!!」アスカは思わず口に出してしまう。あの時の、胸のむずむずする感覚まで再現されてしまいそうで――危険を感じて、胸を放り投げるように両手をはずした。いきなり支えを失った両の乳房がぶるぶるんと跳ね回る。
「いけないのよ、こんなことしてちゃ。だって…また、シンジ――のが、欲しくなっちゃう」
 アスカはその感覚を振り払うかのように、あわててスポンジを手に取るとたっぷりと石鹸を含ませて胸の谷間をごしごしとこすりつけた。張りつめた肌が次第に赤くなりヒリヒリと痛みすら感じ始めたが、アスカは一向にその手を止めようとはしなかった。
(あんなことしちゃ、いけないのよ…)

 お風呂から上がって自分の部屋に戻ると、アスカは一刻も早くその胸を自分の前から消し去ろうとするかのようにパジャマに袖を通した。しかし――これまた先日特注したばかりのパジャマも、今や胸のボタンが届くのがやっと、というまでに伸びきって、ぱっつんぱっつんになっている。第一腕自体、必死に伸ばして胸を押さえ込んでどうにかボタンに手が届くほどで、ボタンを締めるだけでもひと苦労だった。やっとのことで締め終えても、手を離した途端ボタンとボタンの間がぐうっと伸びきって、今にも引き千切れそうになる。なんとか留まってくれたものの、その間から、ちらちらと自分の胸の肉が垣間見えてしまう。
(もう――)
 アスカはクローゼットの中に押し込まれたままのブラジャーをちらりと見た。それは常識的に考えて桁外れの大きなカップのものだったが、それですらアスカの胸には到底サイズが追いつかず、ここ数日つけていなかった。
(これも――新調しなくちゃ)
 サイズはミサトに頼んで明日測ることになっている。けど、それまでは今ある服でまにあわせなければならないかと思うと気が重くなってきた。
(こうなったのも、シンジのせいだからね!)
 責任転嫁だ。自分でも分かっている。けどそうでもしないと自己嫌悪に陥ってどうにも抜け出せなくなってしまいそうで、そうせずにはいられなかった。

 なのに気がつくと部屋のある一方を見つめている自分に気づく。この壁の向こうに、今もシンジがいるはずだった。この3人での同居生活もかれこれ1年になろうとしている。
 ――そもそもどうしてミサト達と暮らそうと思ったんだっけ。今となってはよく思い出せない。けど、あの時はなんだかそうしなければならないような気がして、つい自分から言い出してしまったのだ。でもこのままここにいたら自分はどうにかなってしまうかもしれない――そんな不安を最近しばしば感じるのだが、一方でどうしてもここから離れる気にならなかった。
 シンジは今どうしてるんだろう。一旦気になりだすと、ずーっと壁を見つめたまま目を離せなくなってしまった。壁の向こう、備えつけられたドアを開けさえすればそこにシンジがいる。鍵はこちらからかかるようになってるんだから、自分さえその気になれば簡単だ。
(その気って…何?わたし、何をする気なの?)
 アスカは何気に考えていた自分自身の思考にすらおびえ始めていた。

(シンジ、もう寝ちゃったかな…)
 何度もためらった挙句、やっぱりどうしても気になってドアに近づいた。ついドアノブに伸ばしかけてしまった手を一旦納め、様子をうかがおうとそっと壁に耳をつける。
 何も聞えない。しかしなんらかの気配を感じたくて懸命に耳を押し当てると、壁の向こうからシンジの荒い息遣いがかすかに聞こえてきた。
「ハァハァ、アス…カ――」
 ハッとして壁から耳を離す。シンジの奴、よりによってこんな時に――。
 どす黒い感情に包まれて耳をふさいだ。しかしそうしてもなお、今聴いた声が耳から離れようとはしてくれない。いくらふさいでも、いつまでもいつまでも頭の奥から響き続けるようだった。
(シンジのやつ――きたない!)
 アスカの心を言いようのない嫌悪感が覆った。しかしそれはすぐ自分自身へと返ってきた。シンジのやつ、きっと昼間のあれを思い出してしてるんだわ。そして――それをお願いしたのは、わたしだ…。
(どうしよう。わたし――穢れちゃった…)
 手を伸ばして、パジャマの上からどうにか抱え込むように胸をぎゅっと押さえつける。手に伝わるやわらかい感触を浴びながら、アスカは際限なく襲いかかる不安にさいなまれていた――。

 ―――――――――――― 

 次の日の朝、シンジが起きるとアスカはもう出かけていた。
 ネルフに寄ってくから構わず行ってて、とだけ書かれた書き置きを見て、シンジは残念なような物足りないような、妙な感覚を覚えていた。

 その頃、アスカはネルフ内の一室で不満げな声をミサトにぶつけていた。
「なんで赤木博士じゃないんですか?」
「彼女も今ちょっち忙しいのよ。ま、わたしでもいいでしょ」
「ミサトだったら、別に家で測れば済むのに――」
 けどしかたない。アスカは、ちょっとためらいがちに裾をつかみ――覚悟を決めると一気に服を持ち上げて胸をはだけた。
 中から、ぷるんと巨大なゼリーのようなものが跳ね上がる。ミサトはそれを見て、わかっていながら目を丸くした。
(なんて大きいの――確かにこの前よりずっと大きい…)
 その細身の身体と比べても不釣合いなほど莫大な質量を持ったふくらみが、何の支えもないのにこちらに挑みかかってくるかのごとく突き出している。その張りつめかたたるや尋常でない。不用意に触ったら破裂してしまうのではと心配になるほどぷっくりと膨れ上がっていて、ミサトは思わず一歩後ずさってしまった。
 信じられないものを見るような目で見つめるミサトに、アスカは抗議するように口をとがらせた。
「ちょっとぉ、何見てんのよ。測るんでしょ、早くしてよ」
「あ、ご、ごめんね」
 意を決したようにミサトはアスカの胸にメジャーをあてる。養護施設の中にあった、一番長い3メートルあるやつを用意してきたのに、それでもアスカの胸囲に回すとほとんど余らなかった。
「えーと、275セン――、あ、いや、待って。276センチかな」
 巨大なバストはちょっと触れただけでぷるぷる揺れ動いて少しもじっとしてくれない。ミサトは思わず数値を読み間違えてしまった。
「ちょっとどっちよ。はっきりして」
「ごめんごめん、えーと…」胸の動きが静まった頃を見計らって改めて数字を読む。今度はぴったりと目盛が見えた。「うん、やっぱり276センチだ。間違いない」
(2週間で30センチも――)
 ミサトとアスカは、お互い同じ事を考えていた。これまでもその成長スピードはあきれるほど速かったが、今回はそれにも増してはるかに急激だった。
「で、いつできるんですか?新しいスーツは。他にも制服やらブラやら、いろいろいるんですけども」
「あーもう、一度に言わないでよ。すぐに作らせるからさぁ。明日には必ず…」
「あしたぁ!?」アスカの声が大きくなる。「それじゃあ、今日一日、この格好でいろっていうんですか」
「そんなこと言ってもね。こんなサイズ必要になるなんて思ってもいなかったんだから、これから全部アスカ用に作らせるのよ。1時間や2時間でどうにかなるもんじゃないじゃない。これでも最大限急がせてるんだから」
「もう――」アスカはふてくされた顔を見せた。(今日、休んじゃおうかな)
「あ、だからって学校サボるのは禁止ね」ミサトがアスカの考えを見通したたかのように言った。「エヴァで召集される事を見越すと、ズル休みなんかしてたら出席日数けっこう危ないんだから」
「はーい、わかってまーす」
 ここまで先回りされてはしかたない、とアスカは裸の胸の上にかろうじて制服をかぶせると、これ見よがしに大きく胸を突っ張らせながら早足で歩き出した。

「おはよう」
 シンジが教室でトウジ達とバカ話している頃、ようやくアスカが現れた。もう始業2分前に迫っている。
「あ、おはよう、アスカ」シンジが振り向くと、その視界一面にアスカの超乳が拡がる。制服は胸のあたりが今にもはじけ飛ぶんじゃないかと心配になるぐらい大きく前方に膨れ上がり、その内側から胸のラインが見ている方が恥ずかしくなるぐらいくっきりと浮かび上がっていた。それに実際、なんだかきのうより制服の丈が一層短くなったみたいで、ウエストまで届かずおへそがちらちら見え隠れていている。ちょっと動いただけでも胸があふれ出してしまいそうだ。しかもアスカが一歩足を踏み出すたびに胸が縦横無尽にバインバインと揺れまくって、その度にやわな制服の布地は今にも引き千切れそうになる。シンジは一目見るなりその胸に視線がくぎづけで、離れなくなってしまった。この布1枚のむこうに、きのう更衣室で見たあの広大なおっぱいがあるのか――。シンジの脳裏にあの時のむきだしの胸とその感触がまざまざと思い起こされて、股間が熱くなっていくのを止めようがなかった。
「な、なによぅ…」アスカがその視線に気づいてあわてて胸をそらそうと体を振る。その動きにあわせて、巨大な乳房がぶるんと大きく波打った。
「あ、ご、ごめん」シンジはその動きにさらに大きく目を見開きながらも、反射的に謝っていた。
(シンジ、また謝ってる)アスカはシンジのこういう煮え切らない態度が嫌いだった。けど――なんであの時、シンジにお願いしてしまったのだろう。ただ他に適当な人がいなかったから?それだけ――?。
 アスカが再び振り向くと、胸のふくらみは再びシンジに向かって大きく揺れ動いた。ちょうど中途半端に伸ばしていたシンジの指先がアスカの胸に触れる。制服の布1枚を通して、アスカのおっぱいのやわらかさがシンジにダイレクトに伝わってきた。
(ノ、ノーブラ…!?)きのうのあの感触が脳裏に生々しく蘇ってきて、シンジの股間はさらに激しい衝動につき動かされた。
(気がつかれた…)指先を見つめ続けるシンジにその事を察したアスカは顔がかーっ赤くなっていた。
「だ、黙ってるのよ!」シンジの耳もとに口を寄せ、小声で釘を刺した。
「でも、アスカ…ブラは…?」
「し、しょうがないでしょ。きつくてしまんなくなっちゃったんだから」
 今一度念を押すようににらみつけると、ぷいとそっぽを向いた。

 授業が始まっても、アスカはノーブラのせいで制服の上から乳首が浮き出てしまわないか、寸足らずの裾から下乳が見えてしまわないか、1日中気になってしょうがなかった。
 集中できずに目をそらすと、ふとシンジの顔が視界に入る。シンジのほうもその視線に気づいたらしく、さも嬉しそうににこっと笑顔を返した。なんだかいたたまれなくなってあわてて目を伏せる。そんな事を何度となく繰り返してしまう。授業に集中しなくちゃ、と思っても、先生のしゃべってることに目新しいものは何もない。
(もう、どうしてわたしがこんなくだらない授業を毎日受けなけりゃならないのよ。とっくの昔に終わったとこばっかじゃない)もう1年以上前に大学まで修了しているアスカは不満たらたらだった。

 ようやく一日の授業が終わり、アスカはほっと息をつくと立ち上がった。今日だけでなんだか肩がずいぶんこわばってしまったような気がするが、それは何も胸の重さのせいだけではないだろう。
 こんな日はとっとと帰ってしまうに限る、そう思って鞄を手に廊下を歩き始めた時、なにやらすぐ後ろにふっと人の気配を感じた。あわてて振り向くと、いつの間にかレイがそこに立っている。思わず体がビクッと震える。
「あ…なんだ、ファーストか。来るなら来るで声ぐらいかけてよ」
「あの…放課後、ネルフに来るようにって、赤木博士から伝言があったから」
「今日?聞いてないよ」
「なんか急に決まったみたい。緊急だそうよ。――わたし、先に行ってるから」それだけ言うと、レイはまた音もなくふっとその場から立ち去っていった。

(もう、なによ。こんな日に…)
 ひとりネルフの更衣室の中で、アスカは思いっきりふくれっ面になりながら力任せに制服を脱ぎ捨てた。案の定、新しいプラグスーツはまだできていない。この胸にバカきついスーツをまたつけなければならないのかと思うとそれだけで気が重くなってきた。
 しぶしぶスーツをつけてみるとやはり胸はいっぱいいっぱいで、なんとか無理して入れようとしたがそれだけでスーツのあちこちから、ぎしっ、ぎしっ、といやな音が聞こえてきた。きのうシンジの前で無理矢理脱ぎ捨てた時に響いた音も気になる。きついだけではない、もう無理を重ねすぎてばらばらになる寸前になっているような気がした。

 やっとの思いで装着を完了して作戦室に入ると、そこにはレイだけがプラグスーツを着て立っていた。
「あれ、シンジは?」
「さあ…。今日は2人だけみたい」
「なんだ…」物足りないような、ほっとするような複雑な気持ちだった。エヴァにシンクロした後、シンジがそばにいたら、きのうの今日でいったい何をお願いしてしまうか分からない。それを考えればいない方が好都合なはずなのに――。
「残念そうね」レイが口を挟んだ。顔には微妙に頬笑んでいるようなかすかな表情が浮かんでいる。
「な、何言ってんのよ!わたしはねぇ、あのバカがいなくて心底ほっとしてるのよ」気がつくと不用意に大きな声を出していた。まるで何かを隠すかのように。

 シンクロテストは何事もなく終わった。緊急といってた割には特に変わり映えのない、いつものテストのように思えた。いったいどういうつもりで呼び寄せたんだろう。アスカは不可解なものを覚えていたが、しかし、それも短い時間に過ぎなかった。
(あ、また…)
 いつものように胸にむず痒さが湧き始めていた。最初はちくんとわずかなものだったものが、ひとつ、またひとつと場所を変えて伝染していき、程なく堰を切ったようにあの粒々が胸の中にわらわらとあふれ出し、またたく間に胸全体に拡がっていく…。
 (シンジ――)アスカの脳裏にまた、シンジのあの堅いものが思い浮かんでくる。あわてて大きく首を振って否定した。ううん、もうだめよ。自分でなんとかしなきゃ。あんなのがくせになっちゃったりしたら…。
 もう一刻も早くひとりになりたかった。このぎっちぎちにきついスーツを脱ぎ捨てて、このおっぱいを思いっきりいじりまわしたい!今この瞬間だって気を抜くと人目をはばからずに何度も胸に手を伸ばしかけてしまい、それを制するのに必死なのだ。このままじっとしてたら、そのうち自分が何をしてしまうかわからない――。
 しかしその時、リツコの思いがけない声が耳に届いた。
「悪いけど、レイとアスカは、ちょっとこのままここに残っててくれる?」
(え――!!)アスカは心の中で思いっきり叫んでいた。

 意図は分からない。けどそれだけ言い残すとリツコはさっさと部屋から出て行ってしまい、そこにはただ、アスカとレイが2人きりで待たされていた。胸のむず痒さはますますはげしくなっていく。胸の中には例の粒々がうざうざざわざわときのうにも増して湧き出してきて、今や巨大なおっぱい全体がむずむず勝手に震えてくるようだった。我慢ももう限界に近づいている…。
(もう――赤木博士ったら、何考えてるのよ。早く…早く終わらせてくれなきゃ――我慢、できない…)
 なんとか気を紛らわさなきゃ、と、すぐ横に不動の構えで立ち尽くしているレイの方をちらりと見た。その横顔が目に入った時――アスカはハッとした。その表情には、いつものようなひややかなまでの冷静さはない。まるで何かに必死で耐えているように歯を喰いしばっているように見えた。
(まさか――ファーストも?)

 アスカの頭は、一瞬自分の胸のうずきも忘れて素早く回転した。同じエヴァに乗っているのだ。レイにも同じ事が起こっている、としてもなんら不思議ではない、ということにアスカは今さらながら気がついた。そういえば搭乗後、アスカはいつも自分のおっぱいのことに必死でレイの事を気にしたことなかったけども、気がつけばいつもお互いひとりになっていた気がする。それにレイだって、自分ほどではないにしろここにきてずいぶん胸が大きくなっている。そうだ、そうに違いない――と妙に腑に落ちてしまった。
「ファースト…」

 アスカは好奇心を抑えられず問いかけてみた。いきなりのことにレイはビクッと体をひくつかせていた。
「な、何?…」必死で平静を装うとしているが、普段のおちつきはらった様子はそこには微塵も感じられなかった。この様子、絶対いつものレイじゃない。
「胸、きつそうね」
 そう言うアスカの胸だって、あれからさらにむずむずとしたものが刻一刻と充満していっていた。好奇心で忘れられたのもほんの一時のこと、いつまで耐えられるかわからない。
「え、ええ?えええ!?」
 しかし輪をかけてレイの方がおかしかった。あまりに過剰反応。おそらく、自分の気持ちを見透かされることに慣れてないのだろう。
「ね、あんまりきつかったら――脱いじゃわない。これ」
 レイの顔に驚愕という表情があるなんてこと、今まで考えてもみなかった。でも、今確かにそうとしか言えないものがレイの顔を覆っていた。
「わたしは――脱ぐわ。もう、耐えられない」
 アスカは自分からプラグスーツを脱ぎ始めた。実際、もう我慢の限界だった。レイが自分と同じだと分かって急に気が楽になったし、なんだか初めて彼女と心が通じあえるような気さえした。
「え…あ……」
 レイはまだ信じられないといった風にアスカを見つめている。そんなレイを尻目に、アスカはほとんど脱ぐと言うより壊さんばかりの勢いでプラグスーツの上半分を身体から引き抜いた。もうどうせ明日には新しいスーツができるんだ、こんなきついスーツともおさらばよ、と脱いだ瞬間は独特の爽快さがあった。
 ぶるん。
 引き抜いた途端、アスカのはちきれんばかりの超乳が、いましめから開放されてさらに大きく胸から突き出してきた。自慢じゃないがレイなんか比べ物にならないくらい大きい。胸のむずがゆさから気を紛らわそうとするかのように、これ見よがしに胸をレイの目の前に差し出してみせた。
 それまで必死に身体を硬直させていたレイも、これを見てとうとう我慢しきれなくなったのか、あわててスーツを脱ぎだした。カチャカチャと音をきしませながらもあわてて引き抜いて胸をあらわにすると、銀色のスーツの下からこれまた大きく膨れ上がったバストがあふれ出てきた。
(あれ、レイって、こんなに胸大きかったっけ?)
 アスカは知らなかった。レイはきのう遂に禁を破って思いっきり胸を自分でもみしだいてしまい、まるでそれまで我慢していた分を取り戻すかのように一気に十数センチも大きくなっていたのだ。今日だって、アスカよりはるかにきつい思いをしてプラグスーツをつけていた事に、アスカは気づいていなかった。
 レイは脱いだことによってちょっとの間心底ほっとしたような顔をした。しかし、それも長くは続かない。押さえるものがなくなっていっそう大きく張りつめた胸いっぱいに、さらにそのむずがゆい気持ちが充満していって前よりもっと強烈にレイをさいなみ始めたのだ。
(レイのおっぱい――さわったら気持ちよさそう…)
 アスカは、裸にさらされたレイの胸をまじまじと見つめた。大きさこそアスカにかなわないものの、レイのおっぱいも、みっちりと中身が詰まっていて重力に逆らうかのようにつんと上向きかげんでほれぼれするほど形がよかった。きっとさわったら、全体でむっちりと押し返してくるような感触だろう。
 アスカは何かに導かれるようにそのふくらみに手を伸ばしていく。あともうちょっと、という所でレイがそれに気づき、またびくっとして数歩後じさりした。
「な…なにを…」
 その様子に一瞬むっとしたけども、構うもんか、とばかりにこちらもじりじりにじり寄っていく。レイがまた下がる、アスカがさらに迫る――程なく、レイは壁にまで追い詰められていた。

「ね、ファースト――ううん、レイ、逃げないで…。一緒にいいことしよ」
 もう後がない。アスカがここぞとばかりにその胸に手を伸ばそうとすると、レイはわなわなふるえながら必死に小さな声を振り絞った。
「やめて…だめ…さわらないで…。今、さわられたら、わたし――」
 しかしアスカに迷いはない。「さわられたら、どうなるの?」
 右手を伸ばしてレイの充実しきった左の乳房の先を思いっきり掴んだ。
「はぉっ!」レイの押し殺した、しかし身体の底からあふれ出したような声があたりに響く。その声には明らかに抑えきれない歓喜の表情が含まれていた。途端にレイの表情が一変する。それまでの不安と焦燥が入り混じった顔が一転、湧き上がる快感につき動かさせるようにえもいえぬ気持ちよさそうな顔に変わっていった。それでもなんとか押しとどめようと体中に力をこめて口元がゆがむほど歯を喰いしばらせる。しかしそれも長くは続かない。アスカがさらに指に力をこめる。「は…ぁあ」硬直したレイの体を突き破るように快楽が突き抜けていった。それとともに、もう我慢できないとばかりに自分から胸をアスカの掌に押しつけてきて、さらなる刺激を求めて動き始めた。
(レイ、気持ちよさそう…)
 アスカも我慢できず、あと一歩前に踏み出した。元々手をいっぱいに伸ばさないと自分の胸の方が先に当たりそうなぐらいだったから、それだけで胸の先がレイの先にぶち当たった。
(う…)
 アスカの胸の中で、何かがぼわっとふくれてはじけたようだった。途方もなく強烈な電気のようなものが走り抜ける。もう止まらない。より一層の快感を求めて体が馬車馬のように猛烈なエネルギーでつき動かされ、ぐいぐいと胸をレイに押しつけていく。
 もうなりふりかまってなどいられない。4つの巨大な乳房がそれぞれ圧しつぶされ、むっちりとまぐわりあった。
 2人はもう一言も発しない。ただ徐々に荒くなっていくあえぎ声だけが部屋の中にあふれていた。
(もっと、もっとぉ…)
 潰れたおっぱいの奥からとめどなく快感があふれ出して止まることを知らない。いくらやっても足りずにアスカは両手を伸ばして触れるそばから構わずおっぱいをもみしだいていく。4つの超乳がまざりあい、いったい自分のだかレイのだか分からないくんずほぐれつの状態で、アスカの腕はあたり構わず乳肉を手当たり次第にぎゅむぎゅむと力のかぎり絞り上げていった。

「だ、だめ…やめて…」
 ずいぶん遠くから聞こえてきたような気がした。しかしそれは目の前のレイが、息も絶え絶えにやっと絞りだした声だった。
 しかし、アスカはなんだかそれが自分の心の奥底から響いてきたような気がしてハッとした。
(わたし――またやっちゃった…)
 ふっと心の片隅に冷静な自分が目覚める。しかしそれも一瞬のこと、胸の奥底から新たな欲望が怒涛のように押し寄せてきて、あっという間にその気持ちを押し流していった。
 もっと、もっと、もっと…。まだぜんぜん足りない――むちむちとしたレイのおっぱいに自分のおっぱいをこすりつけ、痛くなるほど絞り上げているのに、アスカはそれでも満たされないものを感じていた。何かもうひとつ、もっと堅いものが…。
 ――アスカは自分が何を求めているのかがわかった。きのうあって今日欠けているもの…。シンジだ。このおっぱいの間に、あのカタいのが――欲しい。そうしたら、もっともっと、気持ちよくなれるのに…。
 満たされきれない想いをぶつけるように、アスカはさらに自分の超乳をレイに圧し上げ、こねまわし、締め上げた。「あ…あ…あ…」レイの方は今まで経験したことのない刺激の連続にもはや恍惚の表情を浮かべている。しかしアスカは容赦しない。今だ埋められていない空白をなんとか少しでも塗りつぶそうと、ほとんど本能的に、自分の、そしてレイの乳房をさらに攻めたてた。
「ああっ――」レイの口から、感極まったような叫びにも似た声がこぼれ出す。2人の胸から、ほとんど張り裂けんばかりの快楽が突き上げてきた。それを最後に、レイの体は精根尽き果てたかのようにほとんど動かなくなってしまった。

 いくら攻めても反応がなくなったレイを、アスカはようやく開放した。
(ああ、おっぱい、じんじんする…。気持ちいい――)
 アスカ自身、その胸にたっぷりと刺激を受け、腰を床にへたりつけるようにしながら一応の満足を感じていた。その巨大な乳房全体が熱を持ち、今まさにむくむくと一層張りつめていくようだった。でも――何かきのうとは違う、どこか行きつくす所まで行ってないような喰いたりなさがあった。
(シンジが――ここにいてくれたらな…)
 頭では忌み嫌ってながら、心のどこかで勝手にシンジを求めていた。自分の意思とは関係なく、脳裏にきのうの更衣室での出来事が再現される。あの時のめくるめくような感覚がまるで今この場で起こっているかのように生々しく…。すると、またあの粒々が前にも増して湧き上がってきて広大なおっぱいの中いっぱいに拡がっていった。
(あ…また)
 もうレイはいない。仕方なくひとり両手を懸命に伸ばしてさらに自分の胸をもみしだこうとしたその時、恍惚の表情を浮かべたままのレイの口がかすかに動いた。意識も朦朧としている上に息も切れ切れで、言葉を吐くのがやっとという状態だったが、それでもその言葉は妙にくっきりとアスカの耳に忍び込んできた。
「い…かり――くん…。た…すけて――」

 その意味するところをアスカが察した途端、その心にさっとどす黒いものが覆った。胸のうずきすらもどこかに吹き飛んでしまうほどだった。
(な、なんでこいつがここでその名前を言うのよ。まさかあのバカ、ファーストなんかと…。いーや、絶対そんなことないわ。わたしの方がルックスだってエヴァの操縦だって、おっぱいだってずーっと上回ってんですからね)
 いきなり立ち上がった拍子にその超乳がさらに大きく揺れる。その時、きのうのあの堅い感触が胸の間にまたありありと蘇ってきた。ああ、女同士じゃやっぱりなんか物足りない。やっぱりシンジがここにいてくれたら――どんなに…。
(シンジ――は、渡さないわ)
 アスカは仁王立ちしたままレイを見下ろすようににらみつけて、そのままじっと動かなかった。

 ―――――――――――― 

「まさか、こんなことになっているだなんてね…」
 別室で、リツコはモニターを食い入るように見詰めながらひとり呟いていた。内心強烈な驚きに支配されていたが、一方で科学者らしくどこか冷静な分析力を失っていない。ディスプレイの中では横たわったレイの横にアスカが立ち尽くしたままいつまでも動こうとしなかった。その横に据えつけられたサーモグラフィーは2人の乳房が急激に赤く――熱を帯びていることを示していた。そして小さな画面を通してさえ、2人の胸がさらにむくむくと大きくなっていくのが見えるようだった。
 きのう、ミサトとの会話の中でどうも気になってしまったことを確かめようと、エヴァと乳房の成長の因果関係を調べるべく試しにエヴァ搭乗後の2人を隔離して観察してみたのだ。結果は――思わぬ成果だった。
 人さし指を立てたままの右手をこめかみに押しあてながら、リツコはじっと考えこんでいた。
(さて、どうしたものかしらねぇ、これは…)
 眼鏡の奥で、指先に引き上げられた右目だけが、不自然なまでにつり上がっていた。