僕の妹

ジグラット 作
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第1話

 夕飯を終えた後、僕は妹とそれぞれの部屋に向かって一緒に階段を上っていた。
「今日はすごいごちそうだったよな」
 今日は妹の高校受験の発表日。見事第一志望を突破した妹は4月から僕と同じ高校に通うことになった。今晩はそのお祝いだった。「お母さん、すごい張り切ってたもんな」
 その言葉に、妹がちょっとふてくされ気味に突っかかってくる。
「わたしもちょっとは手伝ったんだからね」
「うそつけ。準備しているところ見てたけど、ほとんどお母さん任せだったじゃないか」
「だから――ちょっとだけって言ってるじゃない!」
 そんな軽口をたたきながらお互いの部屋の前に入ろうとした時、妹が急に口をつぐみ、じっとこちらを見つめていることに気づいた。
「おにいちゃん…」
 妹の口が開く。先ほどとは明らかに声のトーンが違う。ひっそりと、下にいる両親には絶対に聞えないように気をつけた物言いだった。
 あ…。僕は察して表情がこわばる。妹がこういう時、何を言い出すかはもうよく分かっていた。
 妹はうつむき加減に近づいてきて、その大きく突き出した胸を無造作にこちらに押しつけてくる。ああ、やっぱり…。僕はその胸の感触から妹の次の言葉を確信した。
「また…後で、おにいちゃんの部屋に行っていい?」至近距離で顔を上げ、上目遣いで哀願するようにじっと僕の顔を見つめる。その目で見られると弱い。僕はただうなずくしかなかった。

 一旦そのまま別れて互いの部屋に入る。しかし部屋のドアを閉めてから、ほんとうにこれでいいんだろうか、という葛藤が心に渦巻いていた。(けど、もう…。この前からまだ3日と経っていないのに。近頃だんだん間隔がせばまってきているみたいだ――本当に大丈夫なのか…?)

 ――――――――――――

 僕が妹の史緒とこんなことになったのは――あれは史緒が中3になって間もない頃だった。あの日の事はどうにも忘れられない。まさか妹が――史緒があんな事を言い出すなんてその時まで想像だにできなかった。
 それより少し前、史緒はしばらくの間荒れていた。反抗期だったんだろうか、ほとんど引きこもり状態になり、学校にもまったく行かない日が続いた。出席日数が足らず、あやうく留年になるかもしれないギリギリのところまで行ってしまったぐらいだ。それまで真面目でおとなしかった妹の急な変化に僕も両親も訳が分からない。なんとかしようとはしたがどうやっても塞ぎ込んだままだった。それが中2の終わり頃になって理由がよく分からないまま急に持ち直し、それからは1日も休まずになんとか進級することができた。
 しかし数ヶ月にわたった休みのためもちろん授業についてこれる訳はなく、完全に置いてけぼりを喰らって当然のごとく成績は急落してしまった。しかし――妹はそこから頑張った。自棄になることもなく、なんとか遅れを取り戻そうと必死に喰らいつこうとした。その喰らいつき先が――僕だった。もう既に高校生になっていた僕は、家に帰ると毎日、ここはどうなってるんだ、あれはどういう意味だと連日妹の質問攻めにあわされる羽目になった。僕はと言うと、それまでしばらくろくに口も聞いてくれなかった妹の急変ぶりに驚きつつも、内心嬉しくて時間の許す限りつきあってやった。正直忘れかけていた事も多くこちらの方が詰まってしまうこともあったが、意外に呑みこみのいい妹のこと、話している内に「あ、そうか。こういうことね」と自分で解決してしまうこともしばしばで、その頑張りには目を見張るものがあった。

 そして無事中3に進級したある日のこと、妹は家族の前でいきなり「おにいちゃんと同じ高校に行く!」と宣言したのだ。これには父も母も驚いた。僕が行ってる高校は一応進学校ってやつで、僕は運良く入れたものの入試は決してやさしくはない。それをついこないだまで登校拒否していた妹が目指すと言うのだ。その気持ちは嬉しいが、はたして――。しかし妹はさらにこう続けた。「そのためにおにいちゃんに勉強を見てもらいたい」と。まあそれまでだって実質そうなってたから、大差ないと言えないこともないが、大学受験を控えて自分の受験勉強もこれから忙しくなりそうだし、正直これからも同じように続けられるかどうか不安だった。しかし妹はこの時ばかりは絶対に自分の意見を翻そうとしない。結局、「いいよ僕は。まだ2年だし、けっこういい基礎の復習になってるから」と折れるしかなかった。

 その日から、妹は連日僕の部屋に来ては何時間も勉強をするようになった。最初のうちはほんとうにどこから手をつけていいか途方にくれるほどだった妹の学力も、必死に頑張るうちにだんだん形になっていくのが目に見えていき、やがて2年の時の遅れを完全に取り戻していった。
 なにより「おにいちゃん」と懸命にこちらに向かってくる様を可愛く思ったが――一方で、単に妹だからというだけでは済まされない気持ちが僕の心に湧いてきたのも否定できなかった。

 そう、ちょうど妹が荒れて家の中が険悪な空気に包まれている頃――ちょうどそのあたりから、史緒の胸は目に見えてぐんぐんと前にせり出していった。ちょうど年齢的にそういう年頃だったんだから当たり前と言えば当たり前だが、妹の胸の膨らみ方はちょっと人並みはずれていた。こういう時、家の中では普通、唯一の同性である母親が一番の相談相手になれるはずだが――特に母との関係がなにより一番こじれていた時期だったため、妹は適切なブラの処置もできないままますます内にこもってしまった。その後、妹の反抗期が納まり、母との関係が修復した後、まず2人して行ったのがブラ探しだった。だが――あきれた事に、その時もう既に妹の胸は既製品ではまったく収まりきらないサイズにまで成長していた。
 それからも何度か、妹が「またブラがきつくなっちゃった」と母に話しているのが耳に入ってしまったので、その後も成長し続けていたのだろう。こうして机に向かい合って座っていると、妹の側の机がその大きな胸でかなり覆われてしまっている。その上、「おにいちゃん、ここなんだけどさぁ…」と無邪気にこちらに寄り添ってくるものだから、その大きな胸がさらにこちらにすごい勢いでずり寄ってきて、目のやり場に困ってしまう。しかし兄として、そんな気持ちを抱えているのを妹に絶対悟られてはならない。日に日に迫力を増していく妹の胸を前に、自分の気持ちを押さえ込むのがやっとだった。

 しかしあの日、史緒の様子は最初から変だった。いつも通り部屋に入ってきても一言も喋らず、なにか思いつめた顔でじっとしたまま時間がただ過ぎていった。
「なに?どうかした?」
「う、うん…」
 要領を得ない生返事を繰り返すだけで、いつまで経っても教科書を開こうともしない。これでは勉強にならないとは思ったが、なんだかここで下手を打つとかつての反抗期がぶり返すような予感があって、どうしても見放せなかった。
(どうしたんだろう)
 妹とはいえ、年頃の女の子の気持ちは分からない事だらけだ。あの大きな胸を抱えた体を小さく縮こめるようにして、何度か言いたげな顔をしたのだが、結局唇が空回りするだけでなんの言葉も出ず、また口をつぐむ事を繰り返すばかりだった。
 僕はけっこう辛抱強く待ったが、いい加減時間も遅くなってきた。今日のところは切り上げた方がよさそうだと口を開きかけたその時だった。
「待って!」史緒はこちらの気持ちを察したのか、ここばかりは機先を制してきた。そして意を決したかのように大きく深呼吸を2度、3度。その度に大きな胸が一層こちらに向かってせり上がる。僕はその胸に思わず目を奪われてしまい、二の句が告げなくなってしまった。
 しかたがない。もう少し待ってみようと座りなおすが、沈黙はさらに数分は続く。いい加減焦れてきた頃、やっと開いた妹の口から出た言葉は、なんだか拍子抜けがするものだった。
「あの…今日の夕ご飯の後、おにいちゃん、お母さんの肩もんでたじゃない」
 は?話がいったいどこに飛んでいくのかまったく分からない。なんでこんなこと喋るのにあんなに悩む必要があるんだ?
「今日だけじゃない、おにいちゃん、よくお母さんの肩、もんでるよね」
 そう。母は昔っからひどい肩こり持ちで、僕は小さな頃からよく肩もみをやらされた。かつては子供だった頃は力もまだ弱く、母に「もっと強く」とばかり言われていたけども、最近は体も大きくなってほどよい加減に力を込められるようになり、母の評判も上々だった。
「おにいちゃんに押されると、お母さん、いつもすっごく気持ちよさそうにしてて――おにいちゃん、肩もみ上手なんだよね」
 ははぁ。ようやく話が見えてきた。そっか、この胸だもんな。史緒のやつも近頃肩が凝ってしょうがないんだろう。でも中学生で肩こり持ちってのが恥ずかしくって――。
「そうか。史緒も肩もんでほしいのか。いや、遠慮するこ――」
「違うの!!」
 背中の方にまわろうとした僕を史緒は今まで聞いた事のないほど激しい声で制止した。僕は思わずびくんと動きを止める。史緒の張りつめた思いが部屋中に伝わってくる。「肩じゃ…ないの」
 史緒はそれからまたしばらく押し黙り、ようやく決意を固めたように口を開いた。「肩は…大丈夫。別に凝ってないわ。けど――あの、別の所の…凝りをほぐしてほしいの…」
(肩じゃないって、それじゃあ…)訳が分からずに史緒の様子を見ていると、史緒はいきなりとんでもない行動を取り始めた。
 着ていたブラウスのボタンを上からはずし始めたのだ。
 僕は驚きのあまり口を半開きにしたまま動けないでいる。(史緒のやつ、いったい何を…)てっきりおかしくなったんじゃないかと頭が混乱した。しかし史緒はためらうことなくボタンをすべてはずし終わると迷いを吹っ切るかのように勢いよくブラウスを脱ぎ捨てる。その下には、目にまぶしいほど純白のブラジャーしか着けていなかった。
(まさか…)史緒はそのまま両手を背中にまわし、ブラのホックに手をかける。そこでやはり恥ずかしさにとらわれたのか一旦指が止まっていたが、しばらくして思い切ったかのようにホックを外しにかかった。
 ひとつ、ふたつ…。ブラはもう既に相当きつくなっていたとみえて、ホックをはずす度に胸がぐんと一層せり出してくるようだった。遂に最後のホックもはずし終える。それまでずっとうつむいたままだった史緒の目が、そっと上を向いてこちらを見る。僕がまだここにいる事を確かめると、なぜかほっとしたような顔をしてまたうつむき、少しづつブラをずらし始めた。
 ツツツ…、次第に、次第にブラの重心が前に移る。そしてある時点で耐え切れなくなったように動きが加速し、わずかな音とともに史緒の膝の上に落ちた。
(!!!!!)僕の口が声のない叫びを上げる。まさか、史緒が…。僕の前で自分から胸をさらすだなんて――。
 しかしそれは確かに僕の目の前で起こっていた。なんという光景だろう。史緒の胸は、信じられないほどきれいだった。確かに大きかったが、その大きさ、重量感にも関わらず、まったく下を向くことなくきれいなお椀形でぷっくりと盛り上がっている。大きい事は大きいが、それでいてまだ芽吹いたばかりの蕾のような堅さが感じられた。
「おにいちゃん」もう一度顔を上げる。そして哀願するような目で僕に言った。「この胸、苦しいぐらいに凝っちゃってしょうがないの。お願い、わたしの――おっぱい、もみほぐして…」

 まったく思いもかけない事態に僕の頭は完全にオーバーフローを起こしていた。まさか、史緒が――。自分から僕の前で上半身裸になり、しかを胸を揉んで欲しいだなんて…。
 目の前で起こったことなのにとても現実とは信じられない。夢じゃないか、なにかの冗談じゃないかと何度思ったかしれない。しかし何度腕をつねってみても目は覚めず、言うだけ言うと息を殺してじっと僕を見つめ続ける史緒が冗談を言ってるとはどうしても思えない。高校進学を宣言した時も含め、妹のこれほど真剣な顔を見るのも初めてだった。
 それに、僕自身、史緒の胸からどうしても目を離すことができない。服の上から想像するよりもはるかに大きく、ふくよかで、しかしまったく型崩れせず中学生らしい堅さの残る乳房。その大きさにも関わらず乳首などよっぽどよく見ないと分からないほどぽつんと小さく突き出しているだけで、まだほとんど色づいてさえいない。(きれいだ…)僕はただひたすらそう思うだけだった。ほとんど手を触れるのがはばかられるほどの神々しさ、そんなものすらあった。
 妹の胸をもみほぐすだなんて――。僕の中の理性は必死でそう叫ぶ。しかし一方で僕の本能は、ふらふらと惹き寄せられるように手を伸ばしかけた。史緒は2人の距離が近づくにつれて見ていられないかのように目を逸らす。あともう1センチでその胸に手がとどく…。しかし指先が触れたか触れないかの瞬間、理性が目覚めて僕はあわてて手を引き戻した。いけない。妹にこんなことするなんて、理由はどうあれ絶対許されやしない。
「おにいちゃん…。こんなこと、おにいちゃんしか頼める人がいないの」あともう一歩のところで引き下がられて、史緒はこれ以上ないほどせつない顔をした。「おねがい、助けて…」
 その声に、僕の頭の中でなにかが音を立てて砕けた。これは…苦しんでいる妹への、いわば治療行為だ。なにもやましいことなんかない。
「いいのかい?」
 うん、とばかりに史緒は顎をわずかに引く。それがすべてだった。
 改めて両手を伸ばし、まずは史緒の胸を下からささげ持つようにさし出す。指が触れた途端、妹が息を呑んで体を硬くしたのを感じる。しかし僕はさらに指先に力を込めてその感触をまさぐった。
「ん?」触れた瞬間は、とてつもなくやわらかい肌ざわりだった。しかしその中に踏み込もうとしたとき、内側に何か大きな堅いしこりのようなものを感じた。
「これは…」不思議な抵抗感を押し破ろうとさらに力を込めた時、史緒の口から声が漏れた。「あ…」
 その声の感じが今までまったく聞いた事のない類のものだったので、僕はあわてた。「あ、痛かった?」
「ううん、そこ…なの。もっと強く押して…」
「あ…ああ」僕はさらにそのしこりに対して力を込める。「あ…お…むぅ…」史緒がまた、耐え切れないかのように押し殺した声を出す。しかし僕が力を緩めると、物足りなさげにささやいた。「いいの、もっと…続けて」
 そう言われても…僕はとまどっていた。肩を揉むのとは勝手が全然違う。ましてや妹のおっぱいだなんて…。ぎこちない動きを繰り返す僕に、史緒がこう訊いた。
「おにいちゃんて…。女の子の胸さわるの初めて?」
 いきなり図星を指され、ぐっと詰まった。「ど、どうでもいいだろう、そんなこと」
「ふぅん」史緒はその時、ほっとしたような、嬉しそうな微妙な表情を浮かべる。「うっ!」しかし一瞬の後、史緒は痛さと悦びが一緒に押し寄せたような顔で呻く。「おにいちゃん、そこ…いい」
 痛い所を突かれて思わず力が入ってしまったのだが、偶然ツボを押し当てたらしい。「ここか」僕はちょうどその辺りをさらに攻め立てる。最初こそおそるおそるだったが、次第に指先の動きが大胆になってきた。それから他の指でその周りをまさぐると、中のしこりは思いのほか大きく、乳房の内側のほとんどを占めてるのではないかと思えるほど奥深くに拡がっていることが分かってきた。
「史緒、これって…」これが史緒が言ってる凝りのことなんだろうか。しかし史緒は僕の指の感触に夢中になっているのかなにも答えず、次第に意味不明な感嘆符を漏らすだけになっていった。よく分からないが僕の指が次第に効いてきていることは確かのようだ。そうか、こうすればいいのか。僕はだんだんに要領が分かってきて少しづつ余裕が生まれてきた。
 しかし――そうなればなるほど理性との戦いが激しさを増していった。妹の声がなまめかしさを増していき、そうすればするほどこちらの箍が吹っ飛んで何をしでかすか自分でも不安になっていく。それほど史緒の胸の触感は素晴らしかった。最初こそとまどったものの、極上のやわらかさとはちきれんばかりの弾力を併せ持っており、気になる胸の中のしこりは押し込んでいくに従い徐々に胸の中に溶け出すように小さくなっていき、代わりに吸い付くような張りともちのようなきめ細かさがどんどん増していった。僕は今にも吹っ飛びそうな理性と戦いながら、これはマッサージなんだ、凝りをほぐしてやってるだけなんだと心の中で念仏のように唱え続けていた。
 どれぐらいこうしてもみ続けていただろう、いつしか大きなしこりはすべて胸の中にとろけ出していき、史緒の胸はひたすら極上の、つきたてのもちのようなすばらしい手触りになっていく。僕はいつしか夢中になって史緒の胸をマッサージし続けていた。
 「ああっ」不意に史緒の口から短い、しかし何かに到達したかのような声が漏れる。そのままなんだかぼーぅとしたかのように動かなくなり、それまで絶えずあった反応がなくなった。
「史緒?」
 胸から手を離すと、史緒はふらーっと心ここにあらずといった感じで体が横にすべっていく。
「史緒!」思わず腕を掴むとようやくハッとして我を取り戻す。上気した顔はまだどこかうわの空だったが、徐々に目に力が戻っていった。そして自分から胸をゆさぶって何かを確かめるようにすると、顔が次第にぱーっと明るくなっていった。
「おにいちゃんすごい」無邪気にこちらに向かってこようとするのを必死で押し止めた。「胸がすーっと軽くなっちゃった」見ると、先ほどまで蝋のように白かった乳房にほんのり赤みがさし、あふれんばかりの弾力であたりをはじき飛ばしてしまいそうだ。僕はまた理性の箍が外れそうになって目を逸らす。
「ほ、ほら、いつまで胸出してるんだ、早くブラしろよ」
「あ、ごめん」気恥ずかしさが戻ってきたのか、史緒は脱ぎ散らかしたままにしたブラを拾い上げてあわててつけようとした。
「あれ…どうして?だってさっきまで…」
 僕はその声にまたチラリと史緒を横目で見る。カップに胸を押し込んで手を後ろに回してホックを留めようとしているのだが、なかなかうまく引っかかってくれないらしい。そんなたどたどしい様もすごくかわいく見えて、気持ちがどうにも制御できない。(なにやってんだよ、早く――しまってくれよ)
「おにいちゃん…」ところが史緒はどうしてもうまくいかないらしく、おずおずとこっちに寄ってきて背中を向けた。「ごめん、後ろ、留めてくれない?」
 今では背中の白い肌すら平静では見てられない。僕はなるべく視線をそらしながらどうにか両のホックを手に取った。しかしホックを合せようと引っぱると、確かに数センチも間が開いてしまいどうにも届きそうになかった。
「あれ、これ小さいんじゃないか?全然丈が足りないぞ」
「そんなはずないよ。だってさっきまでしてたんだもん。そりゃちょっとはきつかったけど…」
 しかし到底そんな風には思えない。けど――ノーブラのまま部屋から出す訳にもいかないので、無理矢理ぎゅーっと絞りこんだ。
「おにいちゃん、痛い痛い…」
「ごめん、ちょっと我慢して」苦労してなんとか力づくで締め付けたが、史緒がこちらを向くとせっかくの形のいいおっぱいがひしゃげてて、今にもあふれ出てしまいそうだ。胸全体を締め付けられてかなり息苦しそうだったが、それでも妹はお礼を言うとやっと自分の部屋に戻っていった。

(終わった…)
 ひとり部屋に残されると、なんだかまた今のが本当に起こった事なのか確信が持てなくなってくる。しかし間違いなく現実で、それに終わった訳でもなかった。
 そう、これは始まりだった。あれから一週間もしないうちに、史緒はまた部屋の前で僕の耳元でそっとささやいた。「おにいちゃん、あの…また、後で行っていい?」
 僕が信じられないという顔で驚いていると、さらに続けた。
「あれから2〜3日はほんと楽だったの。けどおとといぐらいからまたおっぱいが凝ってきちゃって――もうどうにも我慢できないの…。おにいちゃん、お願い、また…」これ以上は恥ずかしくて言えない、と言う風に顔を伏せ、そっと自分の胸を押しつけてきた。
 「!」その感触に僕は驚いた。あの時はあんなにやわらかくなったのに、また胸いっぱいにしこりができている。それも、明らかに前より大きい…。

 ――――――――――――

 あれからもう1年が経とうとしている。この後も、史緒は毎週のように「お願い」をしに部屋に来た。幸い普段から毎日のように勉強しに来ていたから、両親に怪しまれることこそなかったが、僕は毎回「こんなことしていいんだろうか」という思いに苛まれていた。今日で最後にしよう、今度こそ終わりに――いったい何度そう決意したことだろう。しかし史緒にあの目でじっと見つめられると――あと1回だけ…と心が鈍ってしまうのだ。揉んでいる最中にも、仮にも妹の胸を――という呵責の波が何度となく押し寄せたが、いや、これは凝った所をほぐしている、単なるマッサージだ、とその度に自分に言い聞かせ続けていた。しかし、これが言い訳であることは何より自分が一番分かっていた。いくら自分にいい聞かせ続けても、胸を揉んでいるうちに自分が異様なほど興奮していき思わず我を忘れそうになるのを誤魔化しようがない。このままこんなことをしていては、いつか"その先"に突き進んでしまうのでは――そして心の底に、密かにそのことを期待している自分を見つけて不安を一層掻き立てられた。
 さらにはっきりしたことは、史緒の胸の凝りをほぐすと、血行がよくなるからか成長がさらに倍加してしまうことだった。要は胸の発育が激しすぎ、成長が追いつかずに張りつめた乳房のあちこちに血行障害が起こってしまうのを史緒は"凝り"と認識しているらしい。その凝りをほぐしてやると、血流の増加によって一時的に膨らむだけでなく、乳房の隅々にまで栄養がいきわたってさらに発育が促進される。それでまた胸が凝ってきて乳房いっぱいにしこりができる――。そんな事をひたすら繰り返しているのだ。あれから1年、元から大きかった史緒の胸は今や…。

 コンコン。乾いたノックの音がドアの向こうから響く。「おにいちゃん、いい?」続いて史緒のひそめた声が聞えてきた。
 僕はそっとドアを開けて史緒を迎え入れる。本当ならなるべく細めに開けたい所だが、思いっきり開かないと史緒の胸がドア板に引っかかってしまう。着ている長袖のTシャツは、胸になにかとてつもなく大きな風船を2つ押しこんだかのように思いっきり引き伸ばされ、今にも破裂するのではないかと心配になるほど胸の生地が薄くなり、その下からブラジャーの線がくっきりと浮かび上がっている。
「今回は――ずいぶん早いじゃないか」
「うん…」史緒は申し訳なさそうに言った。「なんだか近頃、凝りが広がるのが速くなったみたいで――」
 それは僕も感じていた。最初は週に1度程度だった「お願い」が、いつしか5日に1度、4日に1度と間隔が狭まってきて、最近は3日ともたなくなってきている。成長が加速している――?
 史緒は言葉数が少ない。凝りがそうとうきつくなっているのは間違いなかった。そのまま僕のベッドの上に腰掛けると、黙ってTシャツの裾を持って少しづつ上に持ち上げ始めた。
 僕はなるべく背中を向いて見ないようなふりをする。しかし実際は、衣擦れの音を聞くだけで胸が高鳴り、ちらちらと背後を伺わずにはいられない。(だめだ!)見てしまってはまた決心が鈍ってしまう。高校受験も終わり、一緒に勉強を見ることももうなくなるだろう。史緒がひんぱんに僕の部屋に来る理由も消える。もし両親にばれたら――。もう…いい加減、こういうことは最後にしなければ――。
「なあ史緒…もう、こんなこと、やめにしないか」僕は後ろを向いたまま、なるべく冷静を装って口に出した。後ろで史緒の動きが不意に止まるのを感じる。部屋の空気が史緒を中心に徐々に固まっていくようだった。
 静かに振り向くと、史緒が目をまんまるにしてこちらを見ている。しかしこちらが見返すと耐えられないように目を逸らし、じっと僕の足許を見つめだした。史緒だって分かっているはずだ。兄妹でこんなこと、いつまでもしていていいはずないってことは。冷たいようだけど――兄である僕のほうから言い出さなければ…。
 どれぐらい時間が経ったろう、史緒がふっ、と顔を上げ、まっすぐこちらを見据えた。
「おにいちゃん…。わたし、明日で15歳になるんだよ」
 それだけ言うとまたぐっと息を呑む。それから一言一言、言葉を選ぶように語り始めた。
「わたしだって、いつまでもおにいちゃんに迷惑かける訳にはいかないって、分かってる。でも――せめてもう少し、この胸の成長が落ち着くまで――そうしたらこの凝りもおさまるだろうから…」史緒は音もなく立ち上がった。しかしどんなに静かに動いても、胸がぷるんと揺れるのだけは止めようがない。「だから、お願い。もうしばらくだけ――」そのままこちらの方に歩み出した。僕はその胸の動きに目を奪われて動けない。 
「せめて今日は――わたしに、誕生日プレゼント――ちょうだい」
 僕が動けないでいると、史緒は何かを決意したかのようにそのまま僕に抱きついてきた。この1年の間に信じられないほどの成長を遂げた超乳が僕と史緒の間でぎゅうぎゅうにせめぎあって僕を攻め立てる。
「ちょ、史緒――やめ…こら…」
 これじゃまともに息もできない。いやさらにまずいことに、史緒の胸の感触を直に受けて、僕の興奮に火がついてしまった。ようやく史緒を引き離すと、半分ほどめくれ上がったTシャツの奥から膨れ上がった純白のブラジャーが見え隠れする。一度目には入るとどうしてもそこから視線を引き剥がせずにしどろもどろになってしまった。
「わ、わかった。――今日だけだぞ」僕は息の荒さを気取られないように一音一音気をつけて発する。
 史緒は、心底ほっとしたような笑顔を見せた。

 史緒は再びベッドに腰掛けると、今度こそ最後までTシャツを脱いだ。服を袖から引き抜くと後はもう上半身にはブラジャーしか残されていない。そこで一旦手が止まる。1年経った今でも、僕の前で胸をさらす瞬間はかなりの勇気がいるらしい。
 (すごい…)改めて史緒のブラ姿を見た僕は、思わず息を呑んだ。この1年、何回も見ているはずなのに、史緒の胸はその度ごとに一層大きく、重量感を増している。片方のカップにどんな大きなスイカだって楽々入りそうな特大ブラジャーが、史緒の胸にかかると今にもはじき飛ばされそうなほど中身が満杯になって伸びきってしまっている。やはり相当きついのだろう。ようやく意を決して背中のホックをはずしにかかるが、いっぱいいっぱいに張りつめていてなかなかはずれない。(言ってくれればはずしてあげるのに)何度そう思ったかしれない。しかし前に1度そう口にした途端、史緒は恥ずかしさで顔を真っ赤にして自分の部屋に逃げ帰ってしまった。(あの時は後のフォローが大変だった…)以来、どんなに時間がかかろうとももじっと待っていることにしていた。時間が経つのがおそろしくのろく感じる。僕は耐え切れず目をじっと瞑った。
「もう…いいよ」
 史緒の消え入りそうな声が背中に聞える。僕は心の焦りを見透かされまいと、わざとゆっくりと振り向いて目を開けた。
 そこに史緒が、両腕を一杯に伸ばして胸を抱え込むように座っている。僕はごくりとつばを飲み込む。史緒の胸がここまで大きくなるなんて、誰が想像出来たろう。今やどんなに腕を伸ばそうが隠し切れず、掌で両の乳首を覆うのが精一杯になるほど成長していた。
「手を、どけて」僕は史緒の前に跪く。「う…ん」史緒はためらいがちに、そっと、腕を胸からはずし、両手を下におろした。目の前に史緒の胸の全貌があらわになる。
 間近で見る迫力はひとしおだった。もはや史緒の胴体はほとんどその乳房に占領されてしまい、さらに領土を拡張せんとばかりに体からはみ出し続けている。そんな大きさにも関わらず相変わらずまったく型崩れする気配もなくつんと上向き加減に突き出しており、ゆるんだ所が全然ない。1年前にもその様子は堅い蕾のように見えたが――今もなお、その蕾が堅いまま大きく膨らんだだけのように見える。その頂にある乳首は、他に比べてほんのりと色づいただけで、その頂点にぽっちりと申し訳程度に突起があるだけだった。

「じゃ、いくよ」僕の言葉に史緒はかすかに頷く。いつものように、両の掌を上に向け、乳房の下にそっとあてがった。
(う、重い…)持ち上げようとすると腕が抜けそうなほどの重量が手にかかる。いったい何10キロあるんだろう。日に日に重くなっていき、今では両腕いっぱい使っても抱え上げるだけで骨が折れる。これだけの重さ、史緒の小さな体で支え続けていることの方が不思議だった。
(これで相変わらず肩は平気だっていうんだもんな…)
 僕はさらに力を込め、胸の奥を探っていく、するとわりあい浅い所で、その中のしこりに到達した。
(こりゃまたでかいぞ)恐ろしいことに、そのしこりは巨大な乳房の隅々にまで拡がっており、それ自体が本体といっても過言ではなかった。このかたまりをすべてほぐしきらなければならないのか、と思うとちょっと呆然となる。
 まずはむりやり力任せに胸を押し上げてみる。「う…あ…」史緒の口から言葉にならないうめき声が上がる。
「も、もうちょっと上…凝ってるの」僕は数センチほど指をずらして力いっぱい押し込む。「うぅぅ」史緒が押し殺した声を上げる。「そ、そこ…。いいっ!」 しかしどうにも大きすぎる。腕がその重さを支えきれずにどんどんだるくなってくる。ほんの数分もみしごいただけでもう限界だった。

「ちょ、ちょっと休憩…」
 僕はどうにも息が上がって胸から手を離した。(だめだ。このやり方じゃ、もう、無理…)しかし史緒は「もう?」とでも言いたげな顔で物足りなさそうにしている。
 呼吸を整えている間に、僕はだんだん心配になってきた。こんな大きなしこり、大丈夫なんだろうか。今までずっと気にはなっていたけど、ひょっとして悪い病気なのでは――。
 ふともらした疑問に、史緒は意外にも今さらそんなこと、って感じでにこやかに答えた。
「あ、ううん大丈夫。それはちゃんと専門の先生に診てもらったから」
 驚いた。そんな病院に行っているだなんて…一緒に住んでいながらまったく知らなかった。
「心配してくれてありがと。でもね――わたしも1年ぐらい前に診てもらうまでずーっと心配だったんだ。中2の夏頃になって胸に急にしこりができて、自分でさわっただけでけっこう痛みがあったの。しかもそれがどんどん大きくなっていっちゃうし――。てっきり自分は病気だ、乳がんになっちゃったんだって勝手に思い込んじゃってね。ああ、もうわたしは死ぬんだって思ったら自棄になって、なにもかも放り出したくなっちゃったの。それで学校にも行かず部屋に閉じこもって…」
 初めて聞くあの頃の話に驚いた。そうだったのか。あの引きこもりにはそんな理由が――。
「でも…お母さんに相談すればよかったのに…」
「だって…」史緒はなんか申し訳なさそうな顔をした。「あの頃、お母さんとの関係も最悪だったもん。お母さん、元々胸大きくないし、しこりってどんなに真剣に話してもなんだかピンとこないみたいだった。なんでわたしだけ――って思ってるうちに、『わたし、お母さんのほんとの子じゃないんだ』って気がしてきて――」僕の顔からサッと血の気が引いたことが自分でもわかった。しかし史緒はうつむいたままで、幸いこちらの顔色に気づいている様子はない。「でも間違いだった。ちゃんと心配してくれてた。最後はおっぱいの専門医のところに、わたしをむりやり連れて行ってくれて――診察を受けたの。あ、おにいちゃんは学校に行っている間だったから知らないと思う。そしたらそこの女の先生が言ってくれたの。『これは思春期の成長過程でよくあることで全然心配ない。確かに人よりもだいぶ大きいけども、でも特に様子が変わらなければ、今後どんなに大きくなってもこれなら大丈夫だろう』って」史緒はふっきれたような笑顔を見せた。「その言葉を聞いたら、まるで魔法が解けたみたいにすーっと楽になったの。そうしたら、わたし今までなんて悪い子だったんだろうって急に申し訳なくなって――」

 とりとめもない話は30分ほども続いた。僕は今までのわだかまりが解けたような気になったが、史緒の方はまだそうはいかない。いつまでも休憩時間が終わらない事にだんだん焦れてきたのか、目で何かを訴え始めた。
 しかたない。僕は立ち上がると、一計を案じた。
「ちょっと、そのまま横になってくれないか」
 先ほど痛感したのだが、このままの姿勢で続けていくと確実に腕が死ぬ。そこで史緒の方に横になってもらうよう提案したのだ。 
「ここに?これ、おにいちゃんがいつも寝ているベッドだよね」
 史緒はあおむけに寝ると鼻をくんとならす。
「おにいちゃんの匂いがする」嬉しそうに小さく笑った。
「何言ってるんだよ、ほら」
 しかし驚いた。史緒のバストは横になってもほとんど流れることなく、乳房が胸の上から山脈のようにそびえ立っている。まるでむきたてのゆで卵のようにつるんとしていて、ちょっとつついただけではじけてしまいそうだ。
 改めてその胸に手を置く。その重量がこちらの手にかからないのはいいが、今度は史緒の体にまともにのしかかってくる。ちょっと苦しそうな顔を見せた。
「大丈夫か?」
「うん…平気」それほど平気そうにも見えないが、必死で自分の胸の重さに耐えているようだった。
 けどおかげでこちらは自在に体重をかけてじっくりと胸のマッサージに専念できる。先ほどとは力の込め具合が断然違う。「あ…あ…」ぐいっ、ぐいっと押し込むごとに史緒の胸に今まで以上にダイレクトに力が伝わる。史緒もそれを感じたのだろう、次第に顔が紅潮していき、耐え切れずに口から漏れる声も頻度を増していく。それとともに胸の中のしこりが徐々にとろけていくのが指に伝わってきた。
 それでも史緒の巨大な胸のしこりをすべてほぐし終わるにはまだまだ時間がかかる。僕は手の角度を様々に変えながら全体をまんべんなく揉みまくっていった。
「今日…すごく…いい」史緒が感に堪えない風にこう洩らす。そうだろう、横になってくれたおかげで、それまで以上に変化に富んだ攻め方を乳房にすることができた。
 僕の方も必死だった。まだまだ道のりは遠い。史緒の巨大な乳房には今だ手が届いていない所が沢山あった。自分の興奮を何とか醒めやろうと、なるべく冷静にまだ終わってない部分を考える、しかし横になった胸を上から俯瞰することで、史緒の乳房の全貌がより一層明らかになってしまう。
 そして、僕は史緒の胸の頂点の突起が気になってしょうがなかった。気がつくとその頂に手を伸ばしたい衝動に駆られる。いかん、それだけは――それをやったらすべてお終いになる!その度に何度も必死で手に力を込めて押し止めた。
 ――この1年、何度も史緒の胸をマッサージしてきたが、この部分だけは絶対に手を触れることを避けてきた。僕がやってることはあくまでマッサージなんだ。そこに手を出したらこの言い訳もすべて成り立たなくなる気がして――これだけは、最後の砦として必死で守り通してきた。そして、史緒もなんとなくその事を感じていたのだろう。マッサージ中僕に注文を出すことはあっても、そこについては決して触れようとしなかった。いつしかこの事は、お互いの間で不文律となっていた。
 だが、しこりを追って指を這わせるうちに意識せずに胸の中心近くに指先が近づくことが何度かあった。しかもその付近に近づくほど史緒の反応がより敏感になっていく気がする。なんだか史緒の方もむしろさわって欲しそうなそぶりを見せる時があるような――。
 そんな時、事件は起こった。
 中心近くに伸ばした指が、勢い余って、禁断の乳首にちょっと触れてしまった。
「あ――!」史緒の体がその途端ビクンと揺れ、反動で胸が大きく波打つ。実際には先をほんのなすった程度なのに、その反応の大きさは今までとまるで別物だった。
 内心しまった、と思い腕が一気に縮こまる。
「おにいちゃん、そこ――だめ…」史緒の声は妙にせつなそうに聞える。
「ご、ごめん」僕はひたすら謝るしかなかった。しかしその時の声は強烈に耳に残っていた。

 どれだけ時間が経ったろう、あれだけ大きかった胸のしこりは、徐々に姿を消しつつあった。史緒の胸は血色を増し、中身がたっぷりと詰まった水風船のようにあふれんばかりの弾力を持ち始めた。下手するとこちらの方がはじき飛ばされてしまいそうだ。
 座っている時より楽とはいえ、いい加減疲れが出てきた。あとどれぐらい…。そんな時、ふたたび乳首が目に入ってくる。なんだか先ほどより幾分ぷっくりと盛り上がってきたような…。今、あそこを刺激したら――先ほどの激烈な反応が思い出される――一気に終わるだろうな、という考えが頭をよぎる。
(もう一度――いやだめだ!)自分の意思と関係なくいつの間にか指がそちらに向かっていくのを必死で思い止める。
(だめだ、ここだけは――忘れろ、さっきのは事故なんだ!)僕は念仏のように心の中で唱え続けた。
 けど、ここなら――と僕はほんのり色づいた乳輪との境目ぎりぎりを攻め立てた。そこに最後のしこりが集中しているかのように、史緒の反応が激しさを増した。
「うぁぁ、そこ、そこ…。だ、だめっ、いいっ!もっと!!」
 僕はそれより内に踏み込まないよう細心の注意を払いながら、なおも執拗にぎりぎりの線を攻め立てる。
「ああっ!」史緒は遂に我慢しきれずにのどの奥から絞り出すような声を上げると、そのまま動かなくなった。

「史緒…?」
 満足したのかな?と思って声をかけると、史緒の口から思いもよらない言葉がこぼれた。
「もっと…」
 え?史緒のうつろな声が信じられず聞き返す。そこでふっと気がついたかのように史緒が目を開けてこちらを見た。
 しかしやはりまだどこか心ここにあらずといった風でぼーっとしている。
「ありがとう」声にも力がない。「胸、すごいよくなったよ、おにいちゃん」いつもの終わった時とはどこか違う、ほとんど全力を使い果たして口を開くのも億劫なようだった。
「さっきは…変な声出してごめんね」最後にそれだけ言うとまた目を閉じる。程なく静かな寝息が聞えてきた。
「史緒…寝ちゃったのかい?」
 僕のベッドで、しかも胸をさらけ出したままの無防備な姿で。僕は史緒の胸をちょっと突ついてみた。肌が指に吸いつくようにまとわりつく。しかし満足しきったかのような顔で既に熟睡してしまったのか、起きる気配はなかった。
「史緒…」僕は反応がないのをいいことに、そのまま史緒の胸を触り続けた。先ほどのマッサージとは明らかに違う、己の欲望につき動かされた動きに…。
(だめだっ!!)僕はなけなしの自制心を振り絞って手を史緒の胸から引き摺り下ろした。なんとか見ないようにしようとは思うのだが、どうしても視線が史緒の胸に釘づけになってしまう。

(なんだこれは…)驚きのあまり息を呑む。凝りがほぐされて赤みがかった乳房が、まるでつややかに光り輝いているように見える。それまでとは別の生き物のように生気に満ち満ちて、呼吸で上下するたびにむくむくとさらに大きく盛り上がっていくようにすら思えた。
(これが…凝りがほぐれた時の史緒の胸なのか)
 いつもは終わってすぐ服を着てしまうのでこんなにじっくり観察した事はなかったが、それまで見たどんな時よりもはるかに魅力的だった。
 どうにも自分が制しきれない。僕は無理矢理目を逸らし、何か隠すものを…とあたりを探した。史緒が先ほど脱ぎ捨てたブラが目に入ったのでそれで胸を覆い隠そうとするが――とてもさっきまでしてたとは信じられないほど、そのカップに胸が収まりきらなかった。
(やっぱり…大きくなっている!?)
 仕方なく上に乗せただけでその上からさらに毛布を掛けたが、胸のあたりが信じられないほど盛り上がり、それを見ただけでさっき目に焼きついた光景が嫌が応にも頭に浮かび上がる。僕はベッドに背を向けて自分の机の上に座り、両手をじっといつまでも見詰め続けた。先ほどまでの感触が腕全体に生々しく残っていつまでも消えてくれない。そして乳首をなすってしまった時のあの声――耳にこびりついて離れない。
 僕は史緒への想いがどんどん大きくなって、今にも押しつぶされてしまいそうだった。
「史緒は妹なんだぞ。決して許されることじゃない。――たとえ実の兄妹じゃないとしても…。史緒はそれを知らないんだからな」

 僕はその日、史緒のおだやかな寝息を背中に感じながら、朝まで一睡もできなかった。