8.そして、不二子編
ぶるん。不二子は寒さで胸を震わせて目を覚ました。
(あれ、わたし今…)
気がつくとルパンの膝の上に顔をうずめたまま、いつの間にか眠っていたらしい。顔を上げると辺りはかすかに明るくなり始めている。ひと晩中…。あわてて立ち上がると巨大な胸が大きくたわむ。
その時、胸の動きに合わせるようにルパンの表情が少し動いた――気がした。
「ルパン、気がづいたの!?」
思わず嬉しそうな声を出してしまう。しかしその時、自分が胸をはだけたままなのを思い出す。え、やだ…。いきなり気恥ずかしくなってレザースーツのジッパーを引き上げようとしたが、もちろん手が届くはずがない。
どうにかして胸を隠さなきゃ…。自分でも理解できないほどそう思いつめた表情で辺りを見回すと、がさつな男所帯で棚を修理しようとしたんだろうか、無造作に釘の頭が出っ張っている所を見つけ、なんとかジッパーの先をそこにひっかけて有無を言わさず上に上げた。
(う、きつい…でも――)
五右ェ門と次元の精を吸った胸はまた少しだけ大きくなっていたらしい。きのうと比べ物にならないぐらいスーツが小さくなっていた。(なんとかしないと…) ほとんど火事場のバカ力というやつで無理矢理引き上げるが、みちみちと革が容赦なく悲鳴を上げている。構うもんか、となんとか胸を半分ほど隠し終えたもののむちゃくちゃきつい。手を少しでも離そうものなら張りつめた胸の反動ですぐにまた開いてしまいそうだ。(今はルパンに胸を見せる訳にいかない) 不思議とそんな気がしてあたりを見回して、とっさに瞬間接着剤でジッパーを止めた。後先考えない行動だった。
1分ほどじっと押さえつけてからおそるおそる手を離すと、どうにかジッパーがその場にとどまって固定されている。念のため胸を揺さぶっても大丈夫な事を確かめると、ほっとして改めてルパンの顔を見つめた。きのうは能面のようだった顔に赤みがさし、徐々に表情筋があちこちせわしなく動きだしている。もう程なく目覚めるだろう。(ああ、ルパン…) 不二子はわくわくするような面持ちでルパンが目を覚ますのをひたすら待った。
(なんか…長いこと眠ってたような…)
瞼が無性に重い。しかしなんとか眼をこすると、すぐそばにレザースーツ姿の不二子が立っていた。
「ルパン、気がついた?」
「不二子」なにげに口から声が漏れる。あれ、どうして不二子がここに…。まだ頭がはっきりしない。話の前後が見えなくてただぼーっと不二子を見返した。
「よかった」どうしたんだろう、あの不二子が心底ほっとしているような顔をする。いったいどういう風の吹き回しで…。「あなたはずっと長いこと眠ったままだったのよ」
「ずっと…?」そうか、ずっとか…。その途端ある事が頭をかすめて一気に体がしゃっきりする。「今日は何日だ?」
不二子が日付を言う。「やっべぇ、予告してたのは今晩じゃないか。こうしちゃいられねぇ」いきなり立ちあがって辺りを見回した。「次元!五右ェ門!」しかし2人も見当たらない。
「ちくしょう、2人ともどこいったんだ? 決行は今日だっていうのに」
しかしいきなり立ち上がったせいか、頭がくらっとしてよろけた。不二子が横から手を伸ばす。おっきなおっぱいが2人の間に挟まってクッションのようにルパンの体を支えた。
「ルパン。無理しないで。あなたはずっと寝てたんだから」不二子はそのままそっとルパンを再び椅子に腰掛けさせた。「まずは体力つけなきゃ。ね、お腹空いてない?」
不二子は隣室にある台所に立つと、勝手知ったるアジトを使って食材を次々と取り出すと、なんと手早く料理までしてルパンの前に並べた。その時になってルパンは自分が猛烈に腹が減っているのに気づいた。無理はない、ここ何日も、ほとんど何も食べ物を受け付けなかったのだから。
「ごめんなさいね、あんまり凝ったものとかできなくて…」
不二子が申し訳なさそうに言う。不二子がこんなしおらしいだなんて…。普段のルパンならその違和感から警戒しただろうが、今はそんなこと言ってられない。出されたそばから料理にがぶりつく。
「うまい!」空腹もあったろうが、料理という料理、なにからなにまでおそろくうまかった。
「ほんと!?」不二子のやつ、また無邪気なまでに嬉しそうだ。なんか調子狂うな、と思いつつ、ルパンは手当たり次第にありったけ食らいついた。
不二子は不二子で、ルパンがおいしそうに食べまくる姿を見ているだけで喜びが沸々と湧いてきてしょうがなかった。(わー、ルパンが動いてる。わたしが作ったものをどんどんお腹に押し込んで…) ある種の男をたらし込むために有効、と踏んで憶えた料理だけど、それがこんな所で役に立つなんて。不二子は自分で自分を褒めてあげたくなった。(あ、もうこれしかない。もっと作んなきゃ)
「ねぇルパン、もっと食べる? 追加で作るけど」
「ああ、すまねえな、たのむ」それだけ言う暇も惜しいかのように、さらに皿の上のものを口に掻き込んだ。
「あー、なんか久っしぶりにうまいもん食った気がするよ」
ほんと何日ぶりのまともな食事だろう。恐るべき健啖ぶりを発揮して、不二子の作った料理をありったけ平らげたルパンは、ようやく人心地がついて他の事を考える余裕ができてきた。
「にしても次元も五右ェ門もどこほっつき歩いてるんだろうな」
「さあ、わたしが気づいた時にはもういなかったけど」
そう。不二子もそれが一番気がかりだった。不二子が目覚めた時、2人ともアジトに見当たらなかった。きのうの様子ではとても自分で歩き出せる状態ではなかったのに…。
「まいったなぁ。予告状はもう出しちまったし、1人で決行するのは無理があるし…。まーったく、次元も五右ェ門も肝心な時に姿くらますんだからなぁ」
当り散らすルパンに、不二子がおずおずと尋ねた。
「あの…わたしじゃだめ?」
不二子は小首をかしげていた。(やだわたし、なに可愛い娘ぶってるの。そういうキャラじゃないでしょ) 特に装っている気はないのに、いつになく妙にしおらしくなってしまう。まるで自分じゃないみたいだ。
「不二子ぉ――」その申し出にルパンの顔が思わずにやけてしまう。「そりゃお前なら申し分な――いやいやいや、お前はすぐ裏切っからよぉ。安心できないったらありゃあしない」
「裏切んないわよ!」不二子は思わず大きな声を出した。大きな胸がぶるぶると震える。しかしちょっと上目遣いになり、ぼそっとこう付け加えた「――たまには」
(なんか今日の不二子、かわいい…)ルパンは新鮮な魅力を感じた。
しかし他に選択肢はない。結局不二子と2人で潜入することを決め、ルパンは今日の計画を説明し始める。しかし――不二子は向かい合って離している間、食い入るようにルパンの顔ばかり見つめていて、なんかうわの空だった。
わールパンが動いてる、しゃべってる…。不二子はそんななんてことないことが嬉しくて、ついついその様子を目で追ってしまう。
「ん?、どうした不二子。俺の顔になんかついてるか?」
「え?」言われて初めて、不二子はじーっとルパンの顔を見続けていたことに気づいた。
「おい大丈夫か? ちゃんと聞いてる?」
「聞いてるわよぉ」そうして今ルパンが言った事を要点をかいつまんで復唱してみせた。なんだかんだいって抜かりはないところは不二子らしい。
(なんか調子狂うな――。でも、こういう不二子、なんか新鮮…)
一方ルパンはルパンで、不二子の事が気になってしょうがない。特に、胸が。いや、その急成長を続ける超爆乳にどうしても目が行ってしまうのは毎度のことだが、今日はなんか見方がちょっと違った。
気がつくとじーっと見つめてしまう。その視線に気づいた不二子が胸を隠すように横を向ける。
「もうルパン、何見てるのよぉ」
「いやぁ、不〜二子ちゃんのおっぱい、おいしそうだなぁと…」
「もう!ルパンのウルトラエッチ!!」
そうじゃない!とルパンも返したかった。エッチとかそういうのではなく、なんだか不二子の胸が本当においしそうに見えてしょうがない。正確には不二子の胸の中にめいっぱい詰まったものが。はっきりとは憶えてないが、今朝目覚める前、なんか不思議な夢を見たような気がする。不二子が自分の前で胸をあらわにし、乳首を自分の口に押し当てて懸命に吸わせようとしているのだ。妙に感触までリアルに感じられて、夢だかうつつだか分からないような境界線にあったが、そうしたら口の中になんだかとてつもなくおいしいものがあふれてきて、そうしたらたちまち体に力が湧いてきて、それでようやく現実に戻ってこれたような――。でもまだ足りない。夢から覚めたけどもなんとか体を動かせるギリギリの所で、本調子とはほど遠かった。もっと、もっと…不二子の胸の中に、そのおいしいものがたっぷりと詰まっているような気がしてしょうがない。
ルパンは人知れずぐびりとのどを鳴らした。
ミーティングが終わるとルパンは一旦準備のため席を外し、不二子はひとり部屋に残った。
(やだ、どうしよう。きのうからわたしおかしい) どういうわけかルパンの顔を見ずにはいられないのだ。それにルパンを見ているとだんだん胸がドキドキしてきて、胸が一層張ってきて服が伸びて引きちぎれそうになる。不二子は今朝がたジッパーを接着剤で固めた事を少し後悔した。一度服を脱いで胸を確かめたいけども、それすらできない。
仕方なく服の上から胸を当ててその張りを確かめる。その張りぐあいがいつもとちょっと違ようなのだ。
(これは…)
その違和感には覚えがあった。そう、以前、次元にいきなり胸を握りしめられてミルクが噴き出した時。あんなこと、結局あの1回だけで後はないから忘れかけていたのだが、今になってまたこんなことになるなんて…。
(やだわ。また、おっぱいの中がミルクで満タンになっちゃってる…)
しかもその張り具合はあの時とは比べものにならなかった。なにせあれからバストはさらに2メートル以上も膨らんでいるのだ。中に詰まったミルクの量だって桁違いに増大している。
(とにかく今、こんなところでミルクを噴き出す訳にはいかないわ。なんとか今日一日もたせなくっちゃ)
今日のお宝は場末の洋館の中にあった。いかにも年期が入っていてかつての栄華を思い起こさせるが、今は余り手入れが行き届かずにどこか古びている。
「こんな所に、ほんとうにそんな宝石があるの?」意気込んで潜入したもののそのさびれっぷりに、不二子は正直拍子抜けした。こんな所にお宝があるとは想像できない。
「ああ、意外だろ。でも確かな情報なんだ。まさかこんな所に、と誰もが思うような所に、あえて財宝をどっさり隠しているのさ」
「でも、ひと気も全然ないじゃない。予告状出したって割りに、警備のひとりも見当たらないしさ」
不二子が疑問を投げかけると、ルパンはちょっと苦々しげな表情を浮かべる。
「おっかしいなぁ。ちゃんと渡したはずなのに」
「渡したって、誰に?」
「とっつぁんにだよ」
不二子はハッとした。
「それもご丁寧に直接手渡しにいったんだぜ。元気ないって聞いたから、これ見ればちょっとは元気でるかなー、って。わざわざ泊まってる部屋にまで入り込んで直にその手に押し込んだんだ。なのになんかぐだっとして俺が目の前にいるのになんかぼーっとしちゃっててさ」
(あ…)不二子は事態を察した。私が思いきりパイズリしたからだ。まさかあの銭形があんなに骨抜きになるだなんて思っても見なかった。
「ごめんなさい…」不二子はそっと小声でつぶやく。「ん?なんか言った?」ルパンは聞き返すが、不二子はそれ以上何も言えなかった。
「ま、来ないなら来ないでとっとと済ませてずらかろうぜ」
誰もいない屋敷から宝石を盗み出すのは拍子抜けするぐらい簡単だった。2人はあっさりと奥の金庫室に忍び込む事に成功する。
「さ、あの中に宝石がゴチャマンと眠ってるのさ。さっさとたたき起こしていただいていこうぜ」あまりに簡単に事が進んだことで油断が走ったのだろう。ルパンは不用意に金庫に向けて足を踏み出した。
次の瞬間、金庫の前の床がぱかっと外れる。防犯のためのシンプルな落とし穴だった。いつものルパンならそんな罠にはまることはなかったろう。しかし今日のルパンはやはりどこかおかしい。ひらりと穴をかわそうとしたが、ジャンプ力が足りずに思わず足を踏み外してしまった。
「ルパン!」不二子は思わず手を伸ばす。その手がルパンの腕に届いた。不二子は力を込めてルパンを引き上げようとする。これもいつもの不二子なら容易にルパンを救い出していただろう。
しかし――力んで胸を張った途端、瞬間接着材でかろうじて留めていたジッパーが遂に限界を超えた。いきなりジッパーが吹っ飛び、胸がザッと一気に数10センチ拡がった。「きゃっ!」いきなりの事でバランスを崩す不二子。「不二子ぉっ!」穴に向けて崩れおちてくる不二子をルパンはとっさに抱えようとするが自分も足場がない。そのまま2人とも抱きかかえるように奈落へ落ちていった。
「ぐっ」下を向いた不二子の巨大な胸が一番先に落ちる。着地の瞬間、2人分の体重がバストにまともにかかり、思わずうめき声を上げてしまった。
「いったぁ」不二子は胸に強烈な衝撃を喰らい、ぐわんぐわんと響きわたる胸を抱えあげるように立ち上がった。ルパンは――と見るとすぐ脇に力なく座り込んでいる。不二子の胸がクッションになったおかげで特に怪我はなさそうだ。「どうしたっていうのよルパン、いつもだったら…」不二子はハッとした。いつもだったらこれぐらいのアクシデントひらりとかわしてスマートに着地しているだろう。どこか普通じゃないことは見て取れた。
(なんでだろう、調子が出ない) それはルパン自身身に染みて感じていた。腹は――減ってない、さっき不二子の手料理をたらふく食べて準備万端だった。しかし――なんだろう、今朝目覚めてから、体の中に何かが圧倒的に不足している感じがする。なんだか体から精気がすっぽり抜け落ちているみたいだ。今の自分にはかろうじて普通に動ける分の力しか残されてない。ルパンがしばしば見せる、超人的なアクションは望むべくもなかった。
(くっそう、全然足りねぇ、なんとか補充しないと…)ルパンは首を振って辺りを見回すと、その途端ある一点に視線が釘付けになった。そこには不二子が、その余りに豊満すぎる胸を露出させていたのだ。
不二子もその視線に気づき、思わず自分の胸を見下ろす。先ほどまでかろうじて隠していた胸が、ルパンの前であらわになっていることに気づく。(いけない!) 今ルパンの前で胸を直にさらすことがどんなに危険なことか、不二子は本能的に察していた。しかし隠そうにも布地が圧倒的に足りない。どんなにたぐり寄せようとしても一度解放された胸はどうにもしまい込めなかった。
「ルパン、あの、これは…」 不二子の声に思わず動揺が走る。しかしルパンはまっすぐ不二子のあらわな胸を凝視してやまなかった。
(これだ…)ルパンは確信した。今の自分に圧倒的に不足しているもの、今すぐに補充しなければならないものが、この中にどっさりと、今にもあふれんばかりに詰め込まれているに違いない。
「ね、ルパン…おちついて」今にも飛びかからんばかりに身構えるルパンに対し不二子が後じさる。(いけない、今ルパンにおっぱい触られたら――わたし、どうにかなっちゃう)
精を満々に湛えた不二子のおっぱいの中は、先ほどの衝撃でもってさらにもろく、敏感になっていた。後もうちょっとの刺激を受けただけで、中に詰まったものがとめどなくあふれ出してしまいそうだった。
「ねえルパン、どうすんのよ。この部屋、どこにも出口が無いわ」
不二子はなんとかルパンの注意を他にそらそうと声をかける。実際今ピンチなのだ。お宝を目の前にして、こんな罠に落ちてしまった。見渡すとこの空間はかなり深く、高さだけで10数メートルもあるだろう。辺りは垂直な壁で囲われており、とっかかりなどは何もなく、また踏み台にできるような荷物もなかった。
「あ、ああ。ここは――おそらく地下倉庫ととして使われていたんだろうな。この広さからして相当大量のものが運び込まれていたろう。でも大分前に放棄されたみたいだな、すっからかんだ、今は。出口は――」
ルパンは上を見上げる。はるか上に、今まさに落ちてきた穴が見えるだけで、他に人が出入りできるような場所は見当たらない。この穴だってもう10数メートルも上にある。
「なーに安心しな、この高さなら、持ってきたワイヤーがあれば――」ルパンは腰に手を当てるが、その途端はっとしてズボンのあちこちをまさぐった。「あら、あら、あららららら…」
「どうしたの?ルパン」
「ワイヤー、落っこどしちゃった。おそらくあそこから落っこった時に」すいません、と言わんばかりにしょげかえった。
「えええっ!!」不二子は怒りにも似た声を上げた。「じゃあ今どこに!?」
「多分あの穴の脇の方に転がってるんじゃないかな」
「もうっ」不二子は腹立たしげに言い放った。「役立たず。じゃあ、どうするのよ!」
「ちょっと待ってな」そう言ってルパンは部屋の中にどこか別の脱出口がないか、なんとか上に上れるような所はないかを丁寧に時間をかけて探っていった。しかしそれらしきものはどこにも見つからない。
もうかれこれ1時間以上、狭苦しく暗い部屋の中に不二子はルパンと2人きりで閉じ込められていた。
「だめだ。どこにも登れそうな所はない」
「そんな…」
不二子はしきりに首のあたりに手をやり、つばを飲み込んでいた。
そう、不二子は実は閉所恐怖症だった。密閉された空間の中に押し込められると、息が詰まるような気がしてしかたがないのだ。神経が次第に逆立ち、イラついているのが自分でも分かった。
一方ルパンは、ないと分かれば一転のんびりとしたもので、だらしなく寝そべっている。ちゃんと座っている不二子とはえらい違いだ。
そのやる気のない態度が、不二子を一層いらだたせる。
「ねえルパン、何をそんなにのんびり構えてるの? 早くここから出る方法を考えてよ!」
勝手なものだ。落ちた原因は不二子にもあるのに。しかしルパンは動じようとしない。悠然と煙草を取り出した。
「何やってるの!こんなとこで」
不二子はルパンがくわえかけた煙草をつかんで握りつぶした。狭い空間に煙草の煙が充満するのを想像しただけで息が詰まりそうだ。
「なんだよ、いいじゃん。煙草ぐらい」
「信じらんない。こんなとこで煙草だなんて。ねえルパン。真剣に考えてよ。こんなところに閉じ込められて――。ここには、食べ物だって何にもないのよ」
「食べ物? たくさんあるじゃん」
不二子はきょとんとして尋ねた。「食べ物が?どこに?」
「ほらここに」ルパンは不二子の胸を指差す。「栄養たっぷり、不二子ちゃん特製超特大ミルクタンクが、ほら2つも」
「ル〜パ〜ン」怒りで胸がの先がぷるぷる震えている。「今わたし、そういう冗談を聞いてる気分じゃないんだけどぉ」
「わ、怒った? でもさぁ、前っから不思議だったんだけどさぁ、不二子ちゃんのおっぱい、そんなに大きくて、ミルクが出ないなんて、そんな見掛け倒しな事ないんじゃない? 実は毎日しぼってるなんてこと、ねぇ…」
ふと不二子は不安に駆られた。ルパンは次元との一件を知ってるのだろうか。いや、あの次元があんなことを他人に――ましてルパンに喋るなんてことは考えられない。第一ミルクが出たのはあの時1度きりなんだし…。
「あのねルパン。女の胸はねぇ、子供を生んだ時、赤ちゃんのためにミルクが出るようになってるの。大きさは関係ないの」
「じゃ、2人でこれから子供つくろ」
あっけにとられた不二子のそばにルパンは音もなく近づき、その胸を掌でなする。さわっという感覚に不二子は背筋がぞくっとした。
「アん…」
開いた口から思わず漏れたその一言の中に、ルパンはかすかに言いようのないなまめかしさを敏感に読み取っていた。
「あらーっ、不二子ちゃん、感じちゃった?」
「バ…バカ言わないでよ」
とっさに否定しようとしたが、その語気にさっきの勢いはなかった。
今ルパンがさわったあたりから乳房の中が何やらわさわさと蠢くような感触が生々しく残り、その感じが、水面に小石を投げ込んだ時のように乳房全体へとじわじわと拡がっていった。
(あ…おっぱいが――)
不二子はとっさに瞳を閉じる。なんとか持ちこたえなくては――精神を集中させようと深く息を吸い込んだ。
肺に空気が入るとともに胸がより一層せり出してくる。ルパンはその一瞬を逃さなかった。
(あ………)
ルパンは両手を目一杯広げると、両の乳房を抱え込むようにつかみかかり、ぎゅむぎゅむと内へ外へともみ込んでいった。ルパンといえどもこれほどやわらかく、同時にこれほどまでに弾力のあるバストに出会ったことがなかった。
(こりゃ、もみごたえあるわ…)
いつしかルパンの額に汗がひとつふたつ流れていた。両腕に懇親の力を込めて、時にはやさしく、時にははげしく不二子の乳房を2つともまんべんなんくもみしだいていく。そうするうちに、内側からさらにどんどん張りつめていくのが指先から伝わってきた。先ほどまでもちのようにやわらかかった胸が、みるみる空気をいっぱいに詰め込んだゴムボールのようにむちむちしてくる。
その乳房は、まるで2つの別々の生き物のようにのたうちまわった。しかしそれが間違いなく不二子の胸であることは、その動きに敏感に反応して無意識に漏らしてしまうあえぎ声からも察知できた。
「ああ――あ…あ――」
その声も胸が張りつめるにつれてますます艶っぽく、切羽つまったものになってきた。
(だ、だめ――このまんまじゃ――おっぱいがあふれちゃう…)
不二子はなんとかルパンの手から逃れようともがく。しかしその大きすぎる乳房がそれを許さなかった。まるで腕が何本もあるかのように、ルパンはその全体をすくい上げるように掴み、離さない。
(次元と――全然違う…)
そう、それは次元の無骨で不器用な動きとは比べものにならなかった。あれほど膨大な質量の胸を、隅々までまんべんなく刺激し、もみしだいていく。
ルパンの手が自分の胸の上で自在に動き回るうちに、不二子は胸の奥から中からなにかがすさまじい勢いで湧き上がっていくのを感じていた。それはみるみる乳房の中にたまっていき、今まさに余すとこなくいきわたってしこっていった。
その感触はルパンの手にもびんびん伝わってきた。もめばもむほど、押しこめば押しこむほど乳房ははじけんばかりにその手を突き返していく。もみ続けていくうちにその胸はますます張りつめ、弾力を増していった。
(こりゃ、たまらん)
ルパンは、やもすれば自分の体をはじき飛ばしそうなほどの弾力を感じながら、さらに一層力を込めて不二子の胸を絞り込んでいった。
かろうじて胸の先を隠していたジッパーの裂け目に手を突っ込むと、両手でその裂け目を掴んで一気に開いた。超特大な不二子の乳房が一気にあふれ出し、遂にその全貌をさらけ出す。ルパンの目の色が一気に変わった。その突端にはその大きさに不釣り合いなほど小ぶりでピンク色の乳首が恥ずかしそうに顔を出している。
ルパンはさらに手数を増やして不二子の胸を攻め立てる。しかし、最後まで一番敏感なところ――乳首だけは攻撃しないでいた。自分の掌の下で、乳房全体がみるみると怖いほど張りつめていくのを感じながらも、不二子の魅惑的な乳首だけは、最後のお楽しみとばかりに巧みにすり抜けていたのだ。見ると、その乳首は先ほどとは見違えるほどぷっくりと膨れあがっていて今にもはじけ飛びそうだ。
(もうそろそろ食べ頃かな)
これ以上攻め立てたら本当におっぱいはちきれちゃんじゃないか、と心配になるぐらいまでもみ続け、そこでふっと両手の動きを止めた。
(え…?)
絶え間なく攻め込まれた刺激が不意になくなり、不二子が半ば朦朧とした感じで、ちょっと息をつくようにほっとした顔を見せた瞬間、ルパンはピアニストのよな弾力的なタッチで、今まで避けていた不二子の乳首をぱらんと弾いてみせた。
「ふぐっ…」
途端に不二子の体全体が、ひくんとひと跳ねした。一瞬力が抜けたところに与えられた新しい刺激に、たまらず反応してしまったのだ。
ルパンはニヤリと頬笑み、ここぞとばかりに不二子の胸に顔をうずめると、今度は不二子の口に含むのにちょうどいいサイズの乳首を徹底的に舐めまわし始めた。
「ほ〜ら、出てこい出てこいおっぱいちゃん、べろべろべろべろ…」
ルパンの舌が、絶妙に不二子の乳房のいちばん敏感なところを攻めたてていく。度重なる膨乳を繰り返してきた不二子のバストはいつしかおそろしいほど鋭敏になっており、とてもルパンの練達の舌使いに耐え切れるものではなかった。
自分で自分の精神をコントロールできない、不二子は今までにない事態に陥ってしまった。
「ああっ、や、やめて、ル、ルパン…。ちくび、しゃぶっちゃだめぇ…」
不二子は思わず制御の言葉を口にする。しかしルパンはそれを聞いてさらに乳首を攻め立てた。
「ああっ、だ、だめぇ、ル、ルパン…やめ…やめて…。出ちゃう…」
「な〜に不二子ちゃん、なにが出ちゃうのかなぁ」さらに舌で乳首をいじくりまわしていく。不二子の巨大なおっぱいすべてにくまなく快感が怒濤のように押し寄せて満ちあふれていく。そして2つのふくらみ全体が快楽のるつぼとなって絶頂に向けて駆け上がっていった。
「ああっ、もうだめっ!!!」
次の瞬間、2つの乳首から真っ白な噴水が勢いよく噴き上がる。嘗め回していたルパンの口から勢いよく飛び出して目に入り、ルパンは思わぬ攻撃の手を止めた。
「うわっ…と。な、なんだぁ?」
ルパンは顔を手で覆ってごしごし拭き取ろうとするが、目の中のミルクはそうそう取れそうもなかった。
(うわっ、もったいね) ルパンは自分が先ほどから切望していたものがこれであることを直感し、間髪入れず不二子の乳首をくわえ込んでごくごくと飲みだした。(うんめぇ〜〜) それは信じられないほど美味だった。それも刺激すればするほど後から後からあふれ出してきてとめどがない。両方から一度に噴き出すミルクを一滴でも無駄にするもんかと、代わる代わる乳首を行き来して吸いまくった。
それに飲むほどに、なんだか腹の底から力が沸々と湧きあがっていくのを感じた。そう、近頃なかった――不二子にさんざん搾り尽くされていた力がみなぎってきたのだ。
(だ、だめぇ、おっぱい吸っちゃ…おっぱいが…抜けてっちゃう)不二子は満タンに胸の中に詰まった快楽に押し出されるように、中にぱんぱんに詰まっていた精がミルクと共にとめどなくあふれ出ていくのを感じた。出て行くそばからルパンの口にちゅうちゅうと吸われていってルパンの中に蓄積されていく。しかし口ではだめと言いいながら不二子はおっぱい自身がびくんびくんと脈動して自ずからミルクを乳首へと送り出し、乳首を通る時に今までにない快感と充足感があった。
(だめぇ…いい…もっと…)不二子は相反するいくつもの感情が渦巻いて混乱し、ルパンのなすがままになっていった。
「はあっ、はあっ、はあっ…」
ずいぶん長いこと吸われ続けた気がする。胸の中を暴れ回っていた渦はいつしか落ち着きを取り戻し、乳首からあふれる勢いがようやく止まる。あんなに荒いでいた息も次第に静まっていく。不二子は全身の力が抜けて仰向けにぐたっと横たわっていた。胸の上にはおっぱいが相変わらず巨大さで無防備にさらけ出されている。ふと、ルパンの唇が自分の乳首から離れた刺激にはっとなった。なんだろう、あんなにいやだったのに、その途端言いようのない喪失感があったのだ。
(ルパン…)ルパンは力強く抱え込んでいた両腕も胸から離し、何事かその場に仁王立ちしていた。
(ルパンに…奪われちゃったぁ。あんなに大事にしてたのに…) どうしようもない喪失感と共に、なんとも言えない満足感があった。不二子はその相反する2つの感情を自分でも処理しかねていた。
いつまでもこうしていても仕方がない。不二子は力なく立ち上がったが、その時「え?」と思わず声を上げる。胸が先ほどより軽く感じたのだ。
「あ〜〜〜っ!」不二子は自分の胸を見下ろして叫んだ。
「おっぱい、ちょっとちっちゃくなってるぅ!」
傍目には全然そうは見えない。しかし不二子にはそのわずかな違いがはっきり分かった。その証拠に、さっきはあんなにきつくてレザースーツに収まらなかった胸が、今はたぐり寄せるとぴったり収まったのだ。
「ちょっとルパン、ひどいんじゃない?」
先ほどの満足感はどこへやら、不二子はまるでこの世の終わりのように叫ぶ。
「ルパン?」 しかしルパンは不二子の叫び声が耳に入らないかのように息を荒げて立ち上がっている。その体の内側からヴォルテージがぐんぐん上がっていって抑えるのに苦労しているほどだ。
「すげえ。力がみなぎって抑えきれねえ」ぐん、と右手突き上げてみせる。
「ありがとう、不二子。おかげで完全復活だぜ」
「え…?」不二子はあっけにとられてレザースーツを押さえていた手を離す。途端にまた胸がはだけてあわてて隠した。
「今なら、海の水を飲み干すことだって、空を飛ぶことだってできる!」
(え…?)
不二子がきょとんとしている間に、ルパンは辺りをぐるぐると何周か走り回って助走をつけ、何もない壁にいきなり駆け上がった。かと思うと次は反対側の壁にぴょんと飛び移り、そのままぴょん、ぴょん、ぴょんと何度か壁を行ったり来たりを繰り返しあっという間に先ほど落ちた穴の縁に飛びついた。
「ルパンって…ほんと人間?」
不二子ですら思わずそうつぶやくほどの離れ業だった。
ルパンは穴の縁に手をかけると、なんてことなくぴょんと床の上に飛び上がった。
「おーい、ワイヤーあったぜ。これで不二子も上って来いよぉ」
先ほど言ってたワイヤーが穴からするすると降りてくる。「ありがと」不二子はそれをつかんで1回強く引っ張り、しっかり固定されていることを確認すると両腕だけで力強く昇り始めた。上るところさえあればそれくらい不二子には朝飯前だ。
ぐいっ、ぐいっとあっという間に不二子の体は穴に近づいていく。しかしもう後もう少しで手が届く、と言うところまで来た時、ワイヤーが手元でいきなりぶちっと切れた。
(!) しかし不二子も慣れたもの、その直前に察知して穴の縁に向けて飛び移った。左手が縁にかかる。不二子はそれをしっかりとつかむと次いで右手も縁をつかみ、懸垂の要領で体を引き上げようとした。
しかし穴から顔を出しかけたところで、大きく張り出した胸が穴の縁に思い切り引っかかってしまう。(いっけない) 不二子は両腕を交差させるとそのまま体をぐるんと反転し、逆手で体を支えた上で両足をぶるんと振り子のように1回反動をつけるとそのままジャンプ、体を一回転させて床の上にきれいな着地を決めた。体操選手でもまずないほどの完璧なフィニッシュを決めて「どう?」とばかりにルパンを見ると、ルパンはと言えば先ほど切れたワイヤーの先を見つめたままどうにも解せないような顔をしていた。
「どうしたの?ルパン」ルパンは信じられないと言いたげな顔で不二子を振り返る。「このワイヤー、500キロまでは平気なはずなんだよな。それがこんなあっさり…。不二子、もしかしてお前…」
不二子はルパンに最後まで言わせず、これ見よがしに自分の胸をルパンの目の前にまで突き出した。
「なによ、なんか文句ある?」
「ありましぇーん」ルパンはその勢いにのけぞって黙るしかなかった。
「まったく…」それからはなんの問題もなかった。ルパンは難なく金庫を解錠させてみせると、中からは本当に数々の宝石が無防備に眠っていたのだ。不二子も目を瞠る。こんな古びた屋敷にあるとは思えないほどの量だったのだ。「こんな所に、これほどのお宝があるだなんてね。さすが、と言っておくわ」不二子は数々の財宝を手に乗せながら、うっとりと眺めていた。「これもみんなわたしのためなんでしょ。ありがと、ルパン」
「ちょ、ちょっと待てよ。だ〜れが不二子のためなんかに…」
「あら、そんなこと言うんだ」不二子の目に不敵な光が宿る。
「そう。じゃあやっぱりどうしてもわたしと"勝負"するっていうのね」
不二子は自信満々に胸を張ってその超乳を今まで以上に突き出した。
「ああ。いつも勝てると思うなよ、さっき不二子ちゃんのおっぱい飲んだおかげで、俺様は今これまでにないぐらいにビンビンなんだからな」
あ…。不二子は先ほどのことを思い出して自分の胸を見つめる。悔しさがぶり返してきたのだ。(んもぉ〜ルパンったら、わたしのおっぱい、あんなにたくさん飲んじゃって〜。ぜったい取り返させてもらうからね)
「ふふ、どうやらさっそく貸しを返してもらえそうね…」
「なんだよ貸しって」
「わかんなくっていいの。もうたっぷり利子つけて返してもらうからね」
ルパンは意味が分からなくとも、先ほどのことと関係していることはなんとなく気がついた。
「よく言うよ。あの時、お前の方がイっちゃったくせに」
不二子はカーッとなった。
「あれは――あの時は"勝負"じゃないでしょ。いきなり…。ノーカウントよ! 勝負ではわたしは相変わらず無敗のままよ」
「あー、ずるいんだ、不二子」
2人もお互いを見詰め合う。軽口をたたきつつも目は笑っていなかった。「そうね。決着はあくまで"勝負"でつけましょう」
両者不敵なおももちで見詰め合う。不二子の手が胸のジッパーに伸びた。
その時、部屋の向こうが大音響とともに突破された。
「ルっパ〜ン、見つけたぞ!!!」
銭形警部だ。
「とっつぁ〜ん、あらら。なんか腑抜けになってたって聞いてたけど、元気そうねぇ」
「お前がここにいると聞いたら、そんなの吹っ飛んじまったわい。さあ今日こそ神妙にお縄につけ」
そこまで言ったところで横に胸をはだけかけた不二子の存在に気づき、思わず一瞬目を逸らす。しかしすぐに振り払うように頭を思いっきり回した。
「ええい、あれは夢だ夢だ!本官に限ってあんなことあるわけはない。わしのやることはただひとつ、ルパンの逮捕あるのみ!!」
その強引な開き直りぶりに不二子はあきれるというより感心してしまった。
(銭形――。もう…、執念ね、これは。でもよかった…)
不二子はふっとかすかに笑う。ま、こんな奴らだからこそ一緒にいてあきないんだけどね。
「あら銭形さん、あの日のことは単なる遊びだったの? わたしとあーんないいことしときながら」
胸のジッパーに手をかけながら銭形に忍び寄り、耳にささやきかける。胸は完全にその体に押し当てている。銭形は途端にどぎまぎしだした。それによく見ると息も絶え絶えだ。どうやらまだ本調子ではないらしい。
「え?不二子ちゃん、どゆことどゆこと?」手練手管はお手の物だけど、ルパンがいる前ではまずい。不二子はそう判断すると一旦銭形から体を離し、勢いをつけて銭形の顔に思い切り胸を押しつてそのまま壁にぶつかっていった。その衝撃で、さしもの銭形も一瞬でノックダウンする。
「さっすがぁ、不二子ちゃんの500キロおっぱいプレス。銭形も一撃だぜ」その場で失神した銭形を見下ろしながらルパンが言う。
「もう…だからそんなに重くないったらぁ」
「でも銭形が来るんじゃここは安心できないわね、ひとまず勝負はお預けよ、ルパン」
言うが早いか、不二子は目の前のお宝を掴むと、次々と胸の谷間に押し込み始める。あきれたことに、あれだけあった宝石はひとつ残らず不二子の胸の中にすっぽり納まってしまった。
「そりゃねーぜ不二子ぉ。そんなこと言っといてぜんぶ独り占めに――」
「だからぁ、勝負といっしょにお宝もひとまず預かっとくだけだって」
まだ納得してない顔のルパンの耳に、不二子はそっと口を寄せるとそっとつぶやいた。
「この勝負、楽しみにしてるから」
その声にルパンも心が色めき立つ。
「確かだな、この次――今度こそぜーったい勝ってみせるからな」
「どうだか…。わたしのおっぱいは無敵なんだから」
じゃあね、と言い残すと不二子は一人さっと駆け出すと瞬く間に姿を消した。あんな巨大なものを2つ抱えながら信じられないほどの素早さだった。
気がつくとせっかく盗ったお宝を全部持ってかれてその場にひとり取り残され、ルパンは立ち尽くすしかなかった。
しかしひとり第24アジトに戻ったルパンは、奥の部屋に誰かがいる気配を察して肌がざわっとした。
「遅かったわね、ルパン」そこには深紅のレザースーツに着替えた不二子が机の上に腰掛けて足を組み、ルパンをまっすぐ見つめていた。その体からは妖艶なオーラが立ち上っているのが見えるかのようだ。
「不二子…どうして?」
「どうして、って、もちろん勝負のために決まってるでしょ」そう言うとパツパツになりながらもかろうじて胸を隠していたレザースーツのジッパーに右手をかけ、ジーッと下ろし始めた。ただし腕が目一杯伸ばされても到底胸の先までは届かず、その半分にも達しない。もうこれ以上行かない所までジッパーを降ろすと、今度はぴっちり閉じた胸の谷間にその腕を突っ込み、そこから手品のように次々と先ほどのお宝を引き釣り出し、脇に並べていった。
「ほら、極上の緩衝材にたっぷり包んでおいたから、傷ひとつないわよ」なんて事ないように不二子が言う。どうするの、とばかりに不二子は妖艶な笑みを浮かべて自分の胸をくゆらす。何もしなくとも胸の先が誘うようにふるふると揺れている。
余裕綽々の不二子に対し、ルパンは息が荒いでいくのを止めようがなかった。今日不二子のおっぱいを吸って以来体中をかけめぐっていた猛烈な精気が、どんどん股間に集まっていき一点に寄り集まっていくのが自分でも抑えようがない。
「ふふ、どうしたの、ルパン」不二子は先ほど半開きにした胸の谷間を斜に構えてルパンに見せびらかすように揺すった。それとともに先ほどのなめまかしい空気がより一層濃密に立ち上っていく。
(だ、だめだぁ、抑えが利かない…)平静を保とうとしても精気が股間からあふれ出さんばかりに突き出してきてズボンを突き破りそうになる。そのふくらみを、不二子は舌なめずりをせんばかりに見つめていた。不二子の方も高揚を隠せず、次第に息が荒くなっていく。
「来て、ルパン」不二子が右手をルパンの方に差しだす。その一言をきっかけにルパンの中で何かが外れた。次の瞬間、ルパンは上着もズボンも、パンツすらすべて脱皮するように脱ぎ捨て、不二子の胸に向けて飛びかかっていた。
先手必勝! ルパンが完全に機先を制していた。しかし不二子はあわてない。ルパンの爆発せんばかりに屹立した股間の逸物を冷静に見て取り、まるで狙いすましたように胸の谷間に受け止めてみせた。
(捕まえた!)ルパンのものが谷間の奥深く突き刺さる。しかし不二子の谷間の底はまだまだ深淵の彼方であり、一瞬にしてルパンの逸物はしっかりロックされてしまった。そこは手応えがまるでないかのように柔らかいくせに同時にみっちりと張り詰めていて、ルパンのものは左右からがっちりとホールドされている。
(まだまだこれからよ)ほくそ笑む不二子に対し、ルパンはなんとかロックを外そうと両手を伸ばして不二子のおっぱいに襲いかかる。あちこちを刺激しつつ、レザースーツのジッパーの先をつかむと、一気に下に降ろした。
赤から白への反転。今までレザーに覆われてきた不二子のおっぱいが一気にその全貌を現し、支えを失って大きくたわんだ。ルパンはその一瞬の隙を狙う。股間のロックを外して戒めを脱し、不二子の乳首を攻撃しようとしたのだ。しかし不二子は相変わらず笑みを浮かべている。
(ぬ…抜けない) 意に反して胸の谷間は微動だにせず、股間は相変わらずがっちりガードされて、いっこうに動けなかった。
「おっぱいを解放すれば抜けられると思った? ルパン。わたしのおっぱいを甘く見ないことね。ぱんぱんに張り詰めているんだから」
そんな…とルパンの顔にとまどいの色が走る。その間に不二子は両腕を胸に添えてさらに力を込め、いっそうその圧力を強めていった。敏感な股間全体が両腕の動きに合わせてうねりを上げて搾り込まれ、下半身全体がしびれるような快感に襲われた。
ルパンはたまらず一発目の精を不二子の胸に注ぎ込んだ。
(ああ…やっと――) それは常人の常識を越える量だったが、ひたすら待ち望んでいたルパンの精をふんだんに受け、不二子の胸は砂漠にコップの水を撒いたかのようにみるみる染みわたっていった。
(まだまだこれからよ) 不二子はさらに左右のおっぱいを互い違いに揺さぶっていく。ルパンは大海の荒波に揉まれる小舟のようになすがままにされた。それとともに、ルパンはなおも続けざまに精を吐き出しながら、股間もろとも、身体全体がずぶずぶと不二子の谷間に飲み込まれていった。
「いらっしゃい、ルパン」不二子は近づいてきたルパンの耳許に、とろけるような声でささやく。ルパンはもはや不二子の思うがままだった。股間を中心に身体全体が性感帯となって間断なく次々と精を放つ。
(さっき吸われちゃった分、たっぷり取り返させてもらうから) ルパンが放ち続ける精は一滴残らず不二子のおっぱいの中に消えていく。(ルパン、わたしの勝ちね)不二子は自分の勝利を確信していた。
今やルパンは完全に自分の手の内にあった。絶妙におっぱいを揺すりながらルパンの敏感なところを縦横無尽に刺激し、意のままに精を搾り出していく。不二子はそれを思うがままにおっぱいに取り込んでいった。(ああ、最高) ルパンの精が次第に不二子の巨大なおっぱいにまんべんなく行き渡り、満ち満ちていく。不二子はこれまでにない極上の満足感を味わっていた(もっと…もっとちょうだい)。しかし――いくら搾り続けてもルパンの精がいつまでも尽きることなくあふれ出していくことに、不二子は次第に不安を感じ始める。
(どういうこと…?) さっき吸われた分はもうとっくに越えている。しかしルパンの放つ精は、その勢いを増しこそすれ尽きる気配はみじんもなかった。
今度は不二子が驚く番だった。(この量、さっき私から吸った精よりも何倍も多い。ルパン、あなたっていったいどこまで底なしなの!?) 一方でルパンの方はますます生気に満ちその目はぎらぎらと輝いていた。「不二子…やっぱすっげえやお前。不二子ちゃんのおっぱい最高!!!!!」
(え、ちょっ…待ってよ…) 不二子は先ほどまでの優位を失いあわて始める。なによりとどまるところを知らず吐き出し続けるルパンの精を取り込みすぎて今や不二子のおっぱいは満タンに近づいていた。
(そんな一度に…吸いこみきれない) 許容量を超えて取り込んでしまった精が行き場を失い暴れ始めている。膨大な乳肉全体がはちきれんばかりに張り詰めて敏感になり、もはやルパンを受け入れがたくなっていた。
(これ以上は――無理!) たまらず不二子は胸のホールドを解こうとした。しかし今度はルパンの方が離そうとしない。両腕でがっちりと不二子のおっぱいを押さえつけ、さらにますます胸の谷間の奥深くへと自ら突き進んでいった。
「不二子ぉ、行くぞぅ、受け取ってくれぇ!」これまでになく大きく屹立したルパンの穂先が、遂に不二子の胸の奥底まで到達する。
(無理無理無理無理無理無理無理!)不二子はもう息も絶え絶えだった。(今、そんなの発射されたら、おっぱい、破裂しちゃう!!!!!)
しかし次の瞬間、ルパンはこの日最大の精を不二子のおっぱい奥深くに怒濤の勢いで噴出した。一瞬、不二子は自分の胸全体が張り裂けるかのような衝撃を受け、意識が遠くなっていくのを感じた。(そんな…ルパンを完全に取り込んだつもりだったのに――いつの間にか、ルパンに、侵略されちゃったぁ…)
どれぐらい時間が経ったろう。不二子は…気がつくとすぐさま自分の胸を確認した。(破裂して…ない――) おっぱいがちゃんと自分の胸についていることを見てちょっとほっとした。あのルパンの怒濤の攻撃に耐えきったのだ。しかしおっぱいの中に自分でも制御できないほどの膨大な精があふれんばかりにぎっちりと詰まっていて、ぐゎんぐゎんと中で暴れまくっている。先ほどのことが夢ではないことははっきりしていた。
(ルパンは…?) 見ると、すぐ脇にぐったりと横たわっている。精を出し尽くして動けないが、その顔は満足そうな笑みが浮かんでいる。
(幸せそうな顔しちゃって) あんだけのことをしときながら、と一言言い返したくもなったが、一方で不二子の方もこれまでにない満足感を味わっていた。
(でも…すごかったわ、この量) 不二子は今吸い取ったばかりの精の量の莫大さに驚嘆していた。(今日ルパンに吸われちゃったけど、倍返し、いや、10倍返ししてもらったからいいわ、許してあげる) その精が彼女の巨大なおっぱいのいたるところに駆け巡り、そのそばからぐんぐん吸収されていくのが分かる。そしてまた新たな乳肉となってますます内側から張り詰めていっているのだ。(おっぱいが…よろこんでる!)待望のルパンの精をたっぷりと吸い込んで、不二子は自分の胸が打ち震えているかのように思えた。
(なんだか吸収するスピードもどんどん上がっていってるみたい。この分なら一晩で完全におっぱいに同化しちゃうわ) しかしこの未消化の精が駆け巡っている間、不二子のおっぱいは非常に敏感になっていて、ちょっと触られただけでも乳首から吹きだしてしまいそうになっていた。
(そうだ、今のうちにやっておかないと…)
不二子はアジトの一番奥の部屋にあるクローゼットに向かう。そう、まだ謎がひとつ残されていた。次元と五右ェ門がどこに消えたかだ。でも後になって冷静に考えてみれば答えはひとつしかない。このアジトに大の男2人が隠れる場所なんて、この奥のクローゼットぐらいしかないのだ。
(ビンゴ) 不二子がクローゼットを開けると、はたして2人がぐったりとして壁にもたれていた。おそらくは次元が、危険を感じてとっさに五右ェ門をここに引き釣り込み、自分も入って隠れたところで意識を失ったのだろう。(次元は前にわたしのミルクを飲んでいるから――おそらく少しは耐性があったのだわ)
今まで2人には事あるごとにさんざん嫌みを言われていたが、こうしてぐったり動かない姿を見ていると申し訳ない気になってくる。「ごめんね、私のせいよね」。不二子は改めて自分のおっぱいを持ち上げる。先ほど駆け巡っていた精はもう既にかなり吸収されていたが、(今ならまだ、少しぐらいは…) そうして2つの乳首を次元と五右ェ門の口に近づけていった。あともう少し、というところでハッとして、思わず隣の部屋で寝ているルパンの様子をうかがう。すっかり精根尽き果てたように眠っているルパンが起き出す気遣いはない。それを確かめると、不二子はフーッと息を漏らしてからまた2人に向き合った。
(今度だけ…特別だからね!) 不二子が両の乳首を2人の口元に近づけると、今まで微動だにしなかった2人の鼻がクンと何かに気づいたかと思うや否や、口許がにわかに蠢いて我先にと不二子の乳首にむしゃぶりついた。
「きゃっ!」いきなりのことに不二子の口から小さな叫び声が漏れる。2人の口はもう無我夢中に乳首をむさぼり、ちゅうちゅうと吸い始める。
(や、だ、だめ…そんな激しく――。もっと…やさしくして) しかし小さな子供のように遮二無二吸い続ける2人はいっこうに容赦しない。鋭敏になった両の乳首を同時に攻め立てられ、その度に不二子は胸全体に電撃が走るような快感が絶え間なく走り続けた。
(だめ…もう――いっ、ちゃう…)
ぴゅっ! 両の乳首から、一瞬2人の口の中にミルクが迸る。その瞬間2人の口許が緩んだのを見逃さず、不二子は乳首をその口から引っ張り出した。
「はあっ、はあっ、はあっ…」想像を絶する快感に不二子は少なからず戸惑った。(私の胸がこんなに感じやすくなってるなんて…。思わず本当に噴き出しちゃうところだったわ) 今出たのはほんの先走り程度だったが、それでも2人を見ると口許がむにむにと満足そうに動き、先ほどまで生気の感じられなかった顔に赤みが射し、徐々にそれが体の隅々までいきわたっていくようだった。
(これで――2人もおそらく明日には目を覚ますでしょうね。それにしても…) 不二子は先ほどの2人の、普段からは想像できない無邪気なまでの吸いっぷりにいささかあきれていた。
(わたしのおっぱいの前では――どんな男も赤ちゃんになっちゃうんだわ)
ふと銭形の顔も浮かぶ。しかし不二子は次の瞬間頭をぶんぶん振った。(こんなのもう2度とごめん。それに――あの調子なら、執念でじき完全復活しちゃいそうだし)
そして改めて自分の胸を見つめる。先ほどまで駆け巡っていた精は早くもかなり落ち着いてきて、乳肉が内側からみちっ、みちっとさらに張り詰めていくのを感じた。(すごい! おっぱい中をルパンの精がかけめぐって、今まさにぐんぐん成長しているのが分かる。これでまた今まで以上の精を取り込めそうだわ) 一方でまだ動き出さない次元達を見てこう思った。
(でもほんと、このおっぱい、ルパン以外には封印するしかないわね。だって、並の男じゃあっという間に瞬殺だもん。手加減すらできやしない)
最後にもう一度ルパンの寝姿を愛おしそうに見つめる。(でもルパン、あなたとは…お互い末永く楽しみましょうね) 不二子はもう今からルパンが目を覚ますのが待ち遠しくってしょうがなかった。
(でも、今日はこれ以上成長しないうちに自分のアジトに戻った方がよさそう) そう思って戦利品の宝石に手を伸ばし、また胸の谷間に収めようとした――が今まさにムチムチと急激に発育してるおっぱいは押し寄せてくる乳肉に阻まれて支えがなくともぴっちり閉じてまったく隙間がない。これでは紙幣一枚挟めそうにもなかった。(まあいいわ、今日はわたしの負けで。それにルパン、あなたには今日宝石よりずっといいものをいっぱいもらったしね) 不二子は自分でも信じられないぐらい晴れやかに思い切った。それより今のうちに、とばかりにジッパーの先をまた釘に引っかけてなんとか引き上げようとするが、先ほどまでどうにか閉まっていたスーツの胸が、今はもうかろうじて乳首を隠すところまでしかいかなかった。それにたった今閉まったレザースーツの奥で、乳肉がまさに今ぐんぐん成長していってて所狭しと蠢いているのがわかる。(ここまでか…でもぐずぐずしてるとこのジッパー自体が吹っ飛びそうだし、長居は無用ね) このレザースーツも長くは持ちそうもないことを肌で感じていた。
(それじゃあね、ルパン) 不二子は今一度、ルパンに向けて振り返った。(また、2人で勝負しましょ) チュッ。最後にルパンに投げキスを送り、暗いアジトを後にした。
2日後――。
「不二子、こっちは準備OKだ。いつでもいーぜ」
レシーバー越しにルパンの声を聞きながら、不二子は仕事前の高揚感を感じていた。「りょーかい。こっちもいつでもいいわ」窓の外に大時計の針が見える。「もうすぐ12時ね。あの時計が鳴り始めるのが合図ってどう?」
「わかった。じゃあまた後でな」
「ええ、あとで」通信を切って不二子は思わずほくそ笑んだ。ルパンも元気そうだ。今日の仕事の後もまた…。期待感で思わず胸がうずく。
大時計が時を告げる。その最初の音が鳴り始めた瞬間、不二子はその大きな胸をものともせず隣のビルに向け大ジャンプをした。
―― 完 ――