マイメイド

かなぶん 作
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チュン チュン チュン

雀の鳴き声に呼ばれるように目を覚まして、僕はいつものように朝食を作りにキッチンへと向かった。

「あ、おはようございますぅ、ご主人様♪」

「ああ、おは・・・・ええっ!!」

第二話「メイドとの生活・初級編」

いきなりでびっくりしたけど、良く考えたら彼女、兎伊ちゃんは僕が先日雇ったお手伝いさん、というかハウスキーパーと言うか・・・・正確に言えば違うんだろうけど、俗に言うメイドさんの1人だった。

「えっと、朝食の用意は今やってますからぁ・・・ご主人様はお席でお待ちくださぁい」

彼女の甘ったるいソプラノは目覚めの頭にも心地よい。そして、その声に従い、夢見気分で席に着くと、そこにはもう1人のメイドさんがいた。

「ご主人様、おはようございます」

猫伊さん

「おはよう、猫伊さん」

彼女は猫伊さんと言って、兎伊ちゃんのお姉さんだ。しっかりしていてどんな事でもてきぱきとこなす、おかげでしばらく使っていなくてくもの巣だらけになっていたいくつもの部屋が、殆ど一日で完璧にとはいかないが、そこそこの見れる部屋に変貌を遂げている。

「あのさ・・・何で僕のことをご主人様って呼ぶの? 何かこう・・むずむずするって言うか・・・・」

「雰囲気です」

少し楽しげに、人をからかったような笑みを浮かべながら答える。ここら辺が妹の兎伊ちゃんとは正反対で、年上のお姉さんって感じがする。謎めいた美人って感じがして、いい意味での魅力なのかな?

「ご主人様、朝食をお持ちいたしましたぁ〜」

何処から引っ張り出してきたのか、ここ数年は使われていなかった銀色のカートを押しながら兎伊ちゃんが朝食を運んでくる。どうでもいい・・・・というには少々無理がある事だが、そのカートを押しているのは手じゃなくて胸のようにも見える。それほどの大きさの胸を、この僕と殆ど変わらない、しかも童顔の少女は持っているんだ。
ああ、それと、この兎伊ちゃん、最初は不器用で何をやってもダメな娘に見えたんだけど、意外にも料理とか裁縫みたいな事はすごく得意だったんだ。だから、今朝はその腕によりをかけて朝食を作ってくれたらしい。夕食に本格的なフレンチを出された事で大体は予想していたが、今朝のメニューはフレンチトーストとサラダ、それにスクランブルエッグといった洋風のものになっていた。でも、本人は何処の料理でも大体は作れるって言っていたから、今度はまた違う料理を頼んでみようかな? でも、それは今後の楽しみにして、今は出された料理に手を付けるのが先か。僕はフォークを取ってフレンチトーストを食べ始めた。

「うん、美味しいよ・・・・やっぱり兎伊ちゃんは料理が上手だね」

「本当ですか!! 良かった〜・・・一生懸命作ったんですよぉ〜」

本当に嬉しそうだな。でも、確かに普通の家のよりは広いと言っても、あの胸でどうやってこんなに器用に料理をしたんだろう? それが一番の不思議かな。

「あれ? 飲み物は・・・何か無いかな?」

テーブルの上には飲み物が何も乗っていなかった。甘いフレンチトーストは甘党の僕には嬉しかったが、砂糖が口の中に残って、やっぱり何か飲み物が欲しい。

「あ、すいません・・・コーヒーと紅茶、どっちがいいですかぁ?」

「えっと・・・じゃあ、コーヒーで」

「お砂糖とミルクはどうしますぅ?」

「たっぷり入れてね、僕は甘いのが好きなんだ」

「そうなんですかぁ、じゃあ・・・・」

と、手早くコーヒーメーカーに轢いた豆を入れ、兎伊ちゃんはあっという間にコーヒーを淹れてくれた。

「砂糖とミルクはたっぷりでしたよね〜・・・」

「うん、お願い」

「はい、分かりましたぁ!!」

と、兎伊ちゃんはそこでいきなり昨日布を買ってきて作ったらしいメイド服を脱ぎ始めた。

「わ・・わわ!! な、なな、な、何を」

「ご主人様、いい加減慣れてください」

と、横から猫伊さんに突っ込みを入れられたけど、いきなり朝っぱらから目の前で女の子に服を脱ぎだされたら誰だってびっくりするでしょ?

「んしょ・・・よっと!!」

と、兎伊ちゃんはそのおっぱいを片方、両手で支えるようにして持つと、それがコーヒーカップの上に来るまでゆっくりと歩いた。そして、何をするんだろうと思いながら、目を背けようとしている僕の、その目の前で、その先っぽから、朝日が差し込んでいて良くは分からなかったけど、白っぽい線がカップに伸びていた。

「ふう・・・お待たせしましたぁ♪」

と、兎伊ちゃんはそのままカップを僕に手渡してきた。

「う・・・うん・・・ありがとう・・・」

僕はそれを受け取ると、どうしたらいいものかと考えて、しばらくの間固まってしまった。

「え・・・もしかして・・・こういうのお嫌でしたぁ?」

と、兎伊ちゃんが涙目になるのが、硬直した視線の端で見える。

「う、い・・・いや・・・んぐっ!!」

その涙には勝てず、手に持ったコーヒーカップを傾け、一気にその中身を飲み干した。それは少し熱かったけど、でも、何だか、いつもより美味しかった気がする。まあ、味わう余裕なんてなかったから何とも言えないけどね。

「わあ・・・・えっと・・・もう一杯・・・お飲みになります?」

嬉しそうな兎伊ちゃんの顔と、凶悪なまでに自己主張をするその露出したままのおっぱい、その二つに迫られた僕は結局、合計10杯近くのコーヒーを飲み干し、気分が悪くなりながらも自室へ戻ったのだった。
でも、こんな兎伊ちゃんと一緒に生活していて・・・・僕は一体何日間無事でいられるんだろ。

続く