全日本ビッグバスト選手権 その1

カゼリ(物語)・桜庭丈一朗(挿し絵) 作
Copyright 2003 by Kazeri (story)
Copyright 2003 by Joichiro Sakuraba (picture)

俺の名は臼井。月刊コミック誌「バルーン」の編集長をしている。
だが、それももうおしまいだ。
ここまで売り上げが落ちてしまっては、残された道はもう一つしかない。
「廃刊か……」
すまん木根、ついにこの日が来てしまったよ。
社員も次々にリストラして(向こうから辞めていって)当時バイトだったお前を一気に副編集長まで昇格させて(でも給料は変わらず)たった2人でがんばってきたのに……
「ウスとキネ」の名コンビもここまでか。
(ああー、言い出しにくいなぁ、木根に何て言おうか)
と俺が考えているところに、当の木根が入って来た。
「編集長、持ち込みの子が来てますよ」
「ああわかった、すぐ行く」
ところでお前顔赤いぞ、何興奮してたんだ?

やれやれ、よりによって廃刊直前に持ち込みか。うちの漫画のレベルなんてどうせたかが知れてる。
俺は少しの期待も込めず応接室のドアを開けた。
「あっ、あのっ、よろしくお願いします!」
冷房も効いてない散らかり放題の部屋でふかぶかとおじぎした女の子。
名前は秋原葉子。いかにもオタク少女らしい名前だがペンネームではないらしい。
厚めのメガネの下に緊張した表情が見て取れた。小動物的な可愛い顔立ちからは、どこかおどおどした内気な印象を受ける。
着ているのは無地のシンプルなサマードレスだが着慣れていない感じがする。普段おしゃれには興味がないと見た。
しかし色白の肌は見とれるほどに美しく手足は華奢だった。座る時間が長いためだろうか、ヒップはやや大きめだったが。
だが、何よりも俺の頭をパニックにしたのはその胸。俺の常識を超えた巨大なバストがコットンの生地を爆発的に盛り上げていた。
そして今おじぎするのを見てわかった。彼女はノーブラだ。
(ノーブラでこの盛り上がり……)
興奮は簡単に収まらなかった。原稿を読んでいる間も、どうしても気になって胸にチラチラ視線を向けてしまう。
彼女は相変わらずおどおどした様子だったが、その小さな動作がいちいち身体の柔らかさを物語っていた。

一方、秋原葉子の視点。
(ああ……私の原稿読んでる……)
恥ずかしがり屋の私ががんばって持ち込みに来たのはいいけど、大丈夫かなぁ……自信ないなぁ……
そういえばお姉ちゃん言ってたっけ。
(葉子はおとなしいからね〜、編集者って男の人でしょ?堂々としてないとエッチな質問とかされちゃうかもよ〜)
(かああああっ……)
いけない、赤面してる場合じゃないわ。
堂々としてなきゃ。どんな質問にもハッキリ答えなきゃ。
「……秋原葉子くん、16歳だったね」
「はいっ!」
「その胸、サイズは?」
「はいっ!121センチです!Rカップですっ!」
あ……!
「Rカップ!?」
いゃあああ!恥ずかしいっ、ハッキリ答えちゃった!
思わず手のひらで隠しちゃったけど、その弾力でかえって胸元からはみ出ちゃって……
もうイヤ!こんなおっぱい、漫画描く時も邪魔になるだけなんだもん!
「ははははっ!よかったな木根、廃刊せずに済みそうだぞ」
「え?ウチって廃刊しそうだったんですか?」
「まったくお前ってヤツはのんきだな……秋原くん、いや、秋原先生」
「は、はい……?」
「おめでとう。当社はあなたを歓迎します。いつからでもぜひ連載をお願いします」
「えええっ!?い、いいんですか?」
「もちろんですとも。なあ木根?」
「はぁ、ボクはどっちでも」
ウソぉ、夢みたい!まさか最初の持ち込みでデビューできるなんて。
「ただし同時にもう一つ契約してほしいのですが」
「なっ、何ですか?」
落ち着くのよ葉子。こうなったら少しくらいエッチな要求でも……デビューするためなら!
「当社専属のグラビアモデルになっていただきたいのです」
えっ?
「ぐ、グラビアってゆーと、やっぱりその……」
「そう、アイドルですよ」
信じられない!私、今までずっとおしゃれとかに縁のないオタク少女だったのに。
「さあ来月号からバルーンは変わるぞ。木根、お前カメラが趣味だったな」
「はい」
「じゃ、カメラマン決定な。来月号から1年かけて新企画を始めるぞ」
「新企画?」
「そうだ、題して「全日本ビッグバスト選手権」だ!」
ひとりでに話が進んじゃってるみたいだけど……私の人生大きく変わっちゃいそう。漫画家としての未来はあるのかしら?

再び、臼井編集長。
フフフ我ながら最高の企画だ。いける、これなら起死回生を狙える!
内容はシンプルだ。まず日本全国47都道府県から代表を一人ずつ選ぶ。そして様々な企画で各々の巨乳を競わせ、グランプリには賞金1000万円を進呈するのだ。
「でも編集長、ウチにそんな大金あるんですか?」
「バカ、そのために秋原先生がいるんだろ。彼女を東京代表としてエントリーするんだ。いくらなんでもRカップを越えるバストは現われないさ」
つまり初めから出来レースなのさ。
「そそそ、そんな、私……」
「秋原先生、わかって下さい。この企画がヒットすればより多くの読者が得られるんです。先生の漫画も多くの人に読んでもらえるんですよ?」
「あ、それならいいかも」
やれやれ、天然そうに見えて実はちゃっかりした子なのかな。
「決まりだな。今月号からさっそく募集を開始するぞ。書類審査であと46人選出するんだ。
そして選手には当社で用意した水着を贈る。秋原先生、あなたのはこれです」

東京代表
秋原葉子(あきはら・ようこ)
16歳
身長 157cm
バスト 121cm(Rカップ)
ウエスト 57cm
ヒップ 88cm
支給水着 水玉のモンロービキニ
特徴 現役女子高生にして漫画家、内気なオタク少女、近眼

「これで売り上げ倍増間違いなしだ。賞金も用意しなくていいしな。
この際だからコミック誌からグラビア誌に転向しちゃおうかな。わはははは!」
だけど、この時俺は知らなかったんだ……日本は案外広かったってことを。
まさか秋原先生に匹敵する巨乳少女が全国から続々と集まるなんて、思ってもみなかった。

続く