全日本ビッグバスト選手権 その5

カゼリ(物語)・美咲(挿し絵) 作
Copyright 2003 by Kazeri (story)
Copyright 2006 by Misaki (picture)

飛騨の山奥には、猫又達の棲む隠れ里があった。およそ人間の10倍の寿命をもつ彼らは、人間社会との交わりを避けつつ、静かに生活している。
しかし山林の開発は進み、山の自然はどんどん奪われ、彼らもまた住む場所を追われつつあった。
妖術を使える彼らも、人間達と抗争になれば文明の力に敗れてしまうだろう。
「うむむ……もはや打つ手無し」
「この里もおしまいですかな」
会議の場でも重い空気が漂っている。

しかし、そこに彼女が現れた。
「そんなことニャい!まったく、年寄りはすぐ諦めるニャ」
「ひ、姫様?」
「わらわが里を救ってみせるニャ。アイドルになればいっぱいおカネもらえるニャ」
「“あいどる”?何ですかそれは」
「歌ったり踊ったり、いろんな芸をする仕事ニャ。この前拾った雑誌によれば、すっげー儲かるらしいニャ」
「またそのような低俗な書物をご覧に……」
いつも口うるさい教育係のばあやが顔をしかめる。
「ばあや、今はそんな問題ではニャい。わらわがアイドルになってガッポリ稼いで来るニャ!そいで土地買い占めて、里は安泰ニャー!」
「しかし、姫様にそんな危険な役をお任せするわけには……」
「いやいや、民のシアワセを一番に考えるのが姫としての務めニャ」
「姫様……わたくし嬉しゅうございます。ついに自らのご使命に目覚められたのですね!」
感激して嬉し涙を流すばあや。
「それに、皆は100年以上山にこもってるから下界のことよく知らニャい。その点わらわは、こうして雑誌を拾っては下界のことを学んでいるからバッチリニャ!」
「た、確かに」
姫の言葉に、年寄り集は何も反論できない。
「ふふふ、全てはこの時のため。わらわは初めから予想していたんだニャ」
「わ、わ……わたくしが間違っておりました。遊んでばかりいたわけじゃなかったのですね!」
もはや反対する者は誰もいなかった。
「しかし姫様、下界に降りたとて簡単に“あいどる”になれるものなのですか?」
「それもちゃーんと考えてあるニャ。これ見るニャ」
そう言って彼女が見せたのは、山道に捨てられてボロボロにふやけた月刊バルーン。
「全日本ビッグバスト選手権?」
「よーするに乳がでっかきゃOKってこと。人間って単純だニャア」
能天気に笑う彼女は、これからの激戦をまるで予想していない。
「これで優勝すれば、間違いなくトップアイドルになれる。そしたら仕事バンバンこなして、あっという間に億のカネが稼げるニャー!」
ポンと煙が立ち、彼女は人間の姿に変化する。
シンプルな白い和服は、前をほとんどはだけていた。尋常ではない体積を誇るバストのせいである。柔らかな乳房は帯の上にどっかり乗り出し、圧倒的にその魅力を主張していた。
そして、猫の跳躍力をそなえたしなやかな脚も、短めの裾からスラリと伸びている。人間ではなかなかお目にかかれない程の美脚だ。
「姫様、耳が猫のままですよ?」
「これでいいんだニャ。人間にはこの方がウケるらしいニャ」
そして彼女は研究熱心だった。
「んじゃ、ちょっくら行ってくるニャ」
「姫様、どうかご無事でー」

しかし、
「ふふふ……退屈な生活からまんまと抜け出してやったニャ!」
彼女は気ままな女。もちろん今回の計画も遊び半分だった。
「山を下りるのは50年ぶりだニャ。下界では面白いものいっぱい見て、おいしいものいっぱい食べて、キモチいいこといーっぱいするんだニャア!」

岐阜代表
環姫(たまき)
144歳(人間年齢14歳)
身長 164cm
バスト 125cm(Sカップ)
ウエスト 57cm
ヒップ 87cm
支給水着 毛皮のビキニ
特徴 江戸時代から生きている猫又、現代の知識に乏しい

こちらはおなじみバルーン編集部。
「いよいよ47都道府県全ての代表がエントリーされましたね、編集長」
「そうですね秋原先生。私達もこれから忙しくなりますよ。明日から明後日にかけて、選手全員がホテルに集まって来ます」
「大蔵さんがスポンサーになってくれたおかげですね」
「全くです。これだけの活動資金があれば怖いもの無しですよ。そのためにも期待に応えなくては……」
「あの〜、賞金が用意できるってことは、別に私が優勝しなくてもいいんですよね?」
「そうですね」
「よかったぁ、実はプレッシャーだったんです。私なんかよりずっと可愛くておっぱいの大きい子、どんどん集まって来ましたもんね」
「ですが、秋原先生はウチの看板作家なのですから、こちらとしてもがんばっていただきたい」
「は、はいっ。がんばりますぅ……」
だけどあんまりエッチな競技はカンベンしてほしいな、と秋原葉子は思った。

ドンドン!
その時、編集部のドアを叩く音。
「はい?」
臼井がそれに応じると、そこには幼い少女が立っていた。まだ小学校1、2年生だろうか。
「ここが編集部ですか?」
「う、うん。そうだけど」
しかしその胸元では、健康的に日焼けした肌が急激に盛り上がっていた。身長比から考えても到底あり得ないほど巨大なバストである。
「こんにちは、磯村みおです」
自己紹介した彼女は、低い身長でぺこりとお辞儀をする。見るからに張りのある乳房が、薄着の胸元から深い谷間をのぞかせた。
「わたしもビッグバスト選手権に参加します」
「えっ、君が?」
「小笠原の島から、お船に乗って来ました」
「ひとりで?」
「はい。お父さんもお母さんも、がんばってきなさいって」
歳の割には、はっきりとした口調で話す子だ。
「きみ、何歳?」
「7歳です」
7歳。これまでの中でも間違いなく最年少である。と言うか、胸の成長期がここまで早く訪れてしまった彼女は、まさに自然界の奇跡を思わせる。
「どうして参加したいの?」
「そ、それは……」
ここでいきなり恥ずかしそうに言葉を詰まらせる。
「おっぱいを小っちゃくしたいんです。だから手術のためのお金が欲しくって……」
「小っちゃくする!?」
これには臼井も驚いた。なんて勿体無い、せっかくこの若さであり得ないほどのバストを誇っているのに!
「そそそ、それはダメだよ。俺は反対だ!」
「でもわたし、お母さんみたいな海女になりたいの!」
「あま?」
「だけど、この大きなおっぱいがじゃまで、どうしても浮いてきちゃうの。だから、深い所まで潜れないんです。海で泳ぐの大好きなのに……」

(う〜ん、小笠原諸島って一応東京都なんだよな。東京代表はもう秋原先生がいるし)
頭を悩ませる臼井編集長に、鶴の一声が。
「良いではないかね。参加させてあげなさい」
「ああっ、大蔵様!」
現れたのは、この企画の資金面を支える男、大蔵金之助。
「お、大蔵様がそうおっしゃるなら」
「わぁ!ありがとうございます!」

伊豆・小笠原諸島代表
磯村みお(いそむら・みお)
7歳
身長 118cm
バスト 91cm(Lカップ)
ウエスト 40cm
ヒップ 50cm
支給水着 ピンクの貝殻ビキニ
特徴 今回最年少、海女になるために巨乳が邪魔

「ふっふっふ、お嬢ちゃんのおかげでちょうど数も合ったよ」
「え?」
数が合うとはどういうことだ?
「48人なら、2つに分けても24人ずつ」
「分ける?」
バタン!
そこへ駆け込んで来たのは副編集長、木根。
「編集長ーーー!大変ですーーー!」
「どうした、血相変えて?」
「こ、これを見てください!」
木根が手にしているのは月刊ビッグメロン。バルーンと同程度の小規模コミック誌で、巷ではどちらが先に潰れるかなどと噂された仲だ。
「フッ、ビッグメロンか。懐かしいな。かつてはドングリの背比べをする仲だったが、今や俺達は業界トップ……!」
パラパラとめくってみた臼井は、あるページで指を止める。
「ぜ、「全日本ビッグバスト選手権」だとぉ!?」
「そうなんです!ウチの企画、パクられちゃったんです!」
いや、パクるにしてももう少し工夫はするだろう。企画名まで一文字も変わっていない……ということは?

「パクったのではない。二誌合同企画にさせてもらったのだよ」
「大蔵様?」
「ビッグメロンの佐藤編集長と塩原副編集長に話はつけてある。」
「ど、どうしてそんな事を?」
「簡単な話さ。競わせるためだよ。互いに戦ってこそ少女達は美しい」
何ということだ。企画の半分を、よりによってライバル出版社に持って行かれるとは!
「味方だと思っていたのに……」
「ふっふっふ、私は味方さ。勝利した方にはこれからも協力を惜しまないつもりだ」
心強きスポンサーだった大蔵は、決して打ち出の小槌ではなかった。開始直前になって、己の野望を実行に移したのだ。
「さあ、これから私はどちらの雑誌にもひいきするつもりはない。興奮に満ち溢れた戦いを期待するよ?」
「勝負だなんて……」
当初の予定では、読者投票で何か月も長引かせるはずだったのに。
「勝負するのだよ。詳しい方法は任せるが、基本ルールは私が決めた。すなわち「支給水着を奪われたら負け」これが大原則だ」

ついにルールが定められたビッグバスト選手権。
スポンサーの暴走によって、この先どのように進んでいくのか……

続く