「でも、わざわざ毎日診察に来なくてもいいんだよ?」
「いえ、私は治療をしてほしいので…」
「そんなに危険な病気じゃないんだよ?」
「でも、こういうのって、やっぱり、専門の方の知識とか、必要じゃないですか…。
私、全然わからないですし、その、治療してもらわないと、一日辛くて…」
早石はカルテを手に取った。診察の記録の欄には、ほぼ毎日丸山がここへ来ていることが記されている。
「でも、お代は受け取ることはできないな…」
「どうしてですか」
「まだ君は高校生だし、何度も言うけど、毎日僕がやってることは誰でもできて、専門の知識なんかいらないんだ」
「でも…」
丸山は治療してもらうために白衣へ着替えていた。大きくてだぼだぼのそれを着ているが、胸の部分はしっかりと膨らんでいた。
丸山はあどけなさの残る18歳の女子高生だが、胸が異常だった。簡単に言えば胸が大きくなってしまう病気だった。
それは、胸に脂肪がたまってしまう病気、乳腺が肥大する病気、乳が出産後の状態になってしまう病気、
神経が過敏になってしまう病気などが、奇跡的な確率で同時に発病し、丸山を芸術作品とでもいえるような肉体にしてしまったのだった。
毎日測っているわけではないが最近最後に測った時には、痩せているにもかかわらず丸山の胸囲は125cmに達していた。
「でも、私、何もわからなくて、先生に搾ってもらわないと…」
治療、と丸山は言っていた。だが、これは病気が治るわけではない。
溜まったミルクを出すだけでは、張り詰めた胸を一時的に楽にするだけだ。根本的な治療法は実は皆無に等しかった。
「それなら一人でもできますよ」
「私はそんなこと…」
丸山はこの病院に来るのは学校の帰りらしい。制服でよくこの病院へ入れるものだと思うが、
彼女は真面目で、変な風に思われるという発想すら持っていないらしい。その制服は県内でも有名な進学校のものだった。
自分の胸を搾る、という行為は丸山にしてみれば淫らな行為であり、いけないことだと思っているのかもしれない。
「あの……そろそろ…」
丸山は顔をわずかに赤めて早石を見つめた。
「じゃあ、搾ろうか」
丸山は白衣をそっと脱ぐ。中には何も身につけておらず、ボタンもつけていないので簡単に裸になれる。
ぷるるん…
かわいそうに、ここ1ヵ月でまた5cm膨らんでしまった。まるく、美しい。
それは、病気とは思えないほど自然な形であり、乳房とは思えないほど不自然な大きさだった。
重そうに、だがしっかりうえを向こうとしている。毎日毎日、与える相手もいないのにミルクを製造し続けている。
その工場は、供給過剰にもかかわらず、さらに工場の規模を拡大し、良質なミルクを生み出そうとしている。
「すみません、ティッシュありませんか?着替えた所に置いてきてしまって…」
てっぺんが既に湿っていた。
「はい、これ」
「ありがとうございます。擦れて、白衣についてしまって…」
「ああ、別に大丈夫だよ」
本人は気付いていないんだろう―右の乳首からは、白い雫がたれようとしていた。
おそらく今の丸山には一日1回の搾りでは足りないのだろう、母乳にしては濃過ぎる液体だ。
2cmほどでっぱった乳首から、つーーっと糸が伸び、さすがに切れて1滴になると、…調度丸山自身の膝に落ちた。
「あ…」
丸山は恥ずかしがっている。早石は膝をふいてあげた。次に早石はミルクを入れるためにバケツを2つもってきた。
清潔なそれは丸山のためのものだ。紙コップでやっていた頃がなつかしい、今ではもう…。丸山の机の上に2つを置いた。
胸をよくみて、間隔を整える。丸山は立ち上がり、目標を定めた。
「お願いします」
「うん…」
これが治療といえるのか疑問だ。それに僕じゃなくてもできるのに。早石はずっと考えていた。
「触るよ」
早石は丸山の後ろに立って、胸まで手をのばす。
「…っ!」
早石は手が大きい方だが全然覆いきれない。こんなに大きいのに、かわいそうなほど敏感だった。
むにっ
びゅっ
興奮と刺激によって胸が活発になってきたらしく、あつくなってきた。
むにっむにっ
びゅうっ、ぴゅうぅ…
テンポよく、連続して揉む。早石が力を入れる度に丸山の身体がはね、ミルクがとんだ。
びゅっびゅっびゅびゅっ
揉まなくても勝手に出そうな勢いだ。丸山は刺激があまりにも強く、声が出ない。
「あぁ……あぁ……」
カクン、と丸山の身体がおちた。早石は慌てて腕を丸山の胸にひっかけて支える。
「大丈夫かい?」
返事はなく、気絶していた。噴水はとまらず、胸が向きをかえてしまっていたので周りを濡らしてしまった。
「すみません…」
自己嫌悪。
「いや、いいんだ。それより、気分はどうだい」
「大丈夫です…」
だが、恥ずかしかった。胸を揉まれて気絶した、という事実において丸山は自分を責めていた。
「昨日は休診だったけど、やっぱり自分ではやらなかったのかい」
「はい」
やはり、ためすぎが原因なんだろうか。
「困ったな」
病院はもう閉まってっている時間だった。あたりはすっかり暗い。
「どうしても自分ではできないかい?」
丸山はうなずいた。
「じゃあ、そうだな…病院だと、ごまかしができないからな。僕の自宅に通ってくれないかな」
「は、はい…」
早石は紙に何やら描きはじめた。
「これが住所と地図。ここからあまり遠くないし、何もなければ9時には帰ってると思う。問題は君に門限とかがあるかどうかなんだけど」
「大丈夫です、予備校の帰りによれます」
「そうか、なら、来るかい?」
「はい、お願いします…」