急上昇

カズロウ 作
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現代の多くの女性が冷え症で悩んでいるというのに、まな香は熱くて熱くて、熱に困っていた。
なぜそんなことが起こるのかというと、まな香は胸が大きいからだ。大きいといってもその大きさは普通ではなく、今の18歳という年齢で、バスト212cmという巨大なものだった。まだまだ成長し膨らんでいる。そして熱の原因は、胸のすさまじい新陳代謝と、大きいうえに球に近い形状による表面積の減少だった。谷間は肉でぴっちりと埋められ、空気の入り込む余地はなかった。

(あつい…)
まな香は必死に我慢していた。授業中なので、あまり動けない。胸を机に押し付けて熱を奪わせていたが、もう机も下敷きになっている教科書もあったまってしまって効果がない。息が荒くなる。犬みたいで嫌いだったので、まな香はそれもできるだけ我慢していた。夏でもないのに、谷間はすごい汗だ。机が濡れてしまうのを回避するため、背筋をのばし、胸を持ち上げた。ユッサ…。重さの負荷が机から椅子に移動し、ギギギときしむ音がする。谷間に入れてある、汗を吸い取るためのタオルも限界のようで、たらりたらりと服の中を汗がつたっているのを感じる。
キンコーン…
「よかった…」
思わず声が出た。授業が終わり、まな香はトイレに(胸の揺れを気にしつつ)向かった。
ガチャン
個室は狭い。校舎が古いからかもしれない。まな香にとっては胸が壁にぶつかってしまうことが多く、方向転換がしづらい。とはいえ毎日利用するので、まな香は慣れた様子で制服を脱いでいく。彼女の場合、脱ぐのは上半身だった。ぷつ、ぷつんとぼたんをとっていく。上着を脱ぎ、ブラウスを脱ぐと手づくりのブラがあらわれる。しかし、そのブラは細く弱々しくて、とてもまな香の胸を支えられそうにない。熱くなるので覆う面積を減らしたのだ。このブラの目的は、専ら乳首が透けるのを防ぐためだった。そしてそれもはずした。
ほんのり赤くなっている、巨大な胸。もわんと、その胸から発せられる熱が目に見えるようだ。
まな香は脱いだ上着のポッケから扇子を取り出した。パタパタと、胸を扇いでやった。扇ぐ腕の動きにつられてごわんごわんと胸も揺れる。
(きもちぃ…)
扇子は右手で動かしながら、左手で谷間にはさまったタオルを取り出した。ホカホカのぐしょぐしょだった。左手で胸をかかえ、横に引っ張った。かすかに谷間に隙間が生まれた。そこを扇いでやる。
(はぁぁ…)
やっと落ち着いてきた。家なら冷たいシャワーを浴びてすぐ終わるのだが、ここではそういうわけにはいかない。

胸のあつさは時間経過とともに熱くなるが、運動をしたり刺激があると、いっきに熱くなる。感情など、心理的な刺激はもっとすごかった。
昼休み。まな香は友達と弁当を食べていた。適当なおしゃべりをするだけで時間はすぎていく。
一緒にいた友達の一人が言った。
「あ、今日は面白いものもってきたよ」
「何?」
「じゃーん、中学の卒業アルバム」
「おおっ」
みんなが集まった。
「まな香、場所とりすぎ〜」
「う、うるさいなぁ」
アルバムの中には、この高校に入学してきた他の人の中学時代の写真があったりしておもしろかった。
「あっ!」
まな香はある男子の前で視線が止まった。
「あ、智じゃん。若ーっ」
他の友達も気付いた。
かああっ
体内で何かが爆発さたように熱くなっていく。
「まな香、たしか智のこと…」
「ちっ、違…あぅ」
ゴゴゴゴゴ…。乳房という爆弾に火がついてしまった。
「あっつ!相変わらずまな香のここは正直なんだから」
「うわ、ほんとだ、すごく熱い!」
みんなが触ってくる。
「だめ、やめ…」
「すごーい」
「あつい〜」
もうだめだ。まな香はみんなを振り切ってトイレに向かった。
刺激まで得てしまった胸は爆発寸前だ。揺れを気にする余裕などなかった。ダッシュでトイレに向かうしかない。
教室のドアを出た瞬間だった。
「きゃ!」
バイイィィン
「ギャ」
まな香は誰かに強烈な乳タックルをかましてしまった。ぶつかった人は廊下の壁に打ち付けられた。まな香もよろけて、もともとバランスが悪く、足をくじいてしまった。
汗がどんどん出てくる。お腹のあたりはしみが出来ていた。
「いてて…、大丈夫か?」
なんと、ぶつかったのは智だった。特に頭を強くぶつけたらしく左手でおさえていたが、右手をまな香に差し延べてくれた。
もうこれ以上の刺激には耐えられない。せっかく智に優しくしてもらえたのに、まな香はそこから逃げるという決断をした。
「っ!?」
まな香は足をくじいていた。重い体(胸)を支えるには、彼女の細い片足では無理だった。
「けがしてるじゃんか、保健室にいこう」
「いやっ…いやっ…」
「ほら、肩をかすから」
体重をかけたら、普通の人より重いことがばれてしまう。
「いいの、あうっ…」
たら…たらり…
首や腋の下まで汗がでてきた。こんなのを智に見られたら…。
「まな香さん、体が熱いみたいだけど、もしかして風邪かなんか…」
かああああっ
「いやああっ」
オーバーヒート。
びっくん、びっくん…制服の厚い生地を通してでも、まな香の胸が動きはじめたのが確認できる。だんだんそれはパンパンになってきて、中からミキミキと音がする。
どくん、どくん…
全身の力が抜けていく。もうまな香の感覚は胸だけだ。
異変を察知した智はまな香を抱き上げた。
「うっ(重…)」
智は保健室に向かった。
胸がいやでも智に触れる。びくんびくんが伝わってしまう。智が走るので、さらに刺激が。もう、もう限界だった。
「ぅぁ…」
爆発は静かに激しく起こった。
じゅばっじゅわあああ…
中では大量のミルクが放出されていた。すぐに上着にもしみていき、熱いそれは智にもつたっていった。
「……??」
白いとろとろとした液体を見た智はさぞかし驚いただろう。

保健室は誰もいなかった。

「ビックなおかげで急展開だね!」
「…」
何度からかわれたことか。もう慣れてしまって、あきれもしなくなった。そうでもしないと熱がこもってしまう。
あれからまな香と智は付き合っている。智といると、すぐに熱くなってしまう。だが平気だった。智が放熱をしてくれるのだった。