★ その2 採寸
車は街の中心地の専門店街を走っていた。
繊維問屋から少し離れた、繊維問屋の中の一軒の前で止まった。
「お店に着きました。長いお付き合いになりますから、礼儀正しくしてくださいね。」
看板に白と黒のペンキで大きく、『グラマチカル』と書いてある、古くさい木造の2階建ての建物だった。
しばらく順番を待った。
3人の客の用件が済み、不二子たちの番になった。
「松坂美沙子様、良くお越しになりました。今日はお美しい娘さんまでお連れですか。
亜利紗(ありさ)様、香里奈(かりな)様に続いてのご来店ですね。
本当にありがとうございます。」
男性の大柄な店員の丁寧なあいさつで、ママたちが、この店を利用していることが分かった。
「社長さん、いつもお世話になっています。今度この子もお世話になることになりました。
採寸から始めて下さいね。
ただしこの子はまだ、中2なのです。
今日は、学校を休ませています。」
社長の驚きようを見て、(何に驚いたのかな?) 私は少し不安になった。
「待ち時間3時間程度で、縫製もすまして下さいね。
全部2着ずつ作って下さい。」
不二子の母は言った。
「松坂不二子様。
採寸や縫製はこちらの女性の職人が詳しいのです。
どんな細かいことでもこの『加藤さん』に頼んで下さい。なんとかいたします。」
まだ、先の予定もありますから。・・・。それと・・・。」
社長は、女性の職人を紹介してくれた。
「先日作っていただいた服、よく似合っていると評判でした。
いつも、良い服を作っていただいて嬉しいです。・・・。」
ママは、社長さんと話しながら、私を残してどこかへ行ってしまった。
いったい、どんな女性が現れるのだろうか。
あっ、背の高い胸とお尻のかなり大きな女性が現れた。
と言っても、今の私よりは少し小柄だが。
ちょっと見、ママみたいな女性だった。でも、胸もお尻もママの方がずっと大きいよ。
この人が加藤さんなのだ。こんな人を、グラマーとか巨乳とか言うのだろうな。
「おはようございます。お世話になります。わたしが松坂不二子です。
この四月に中2になりました。」
とハキハキと自己紹介をした。加藤さんも、自己紹介をする。
「加藤真美子(まみこ)です。不二子様は、急激な成長をされたのですね。
当店には、関東は当然のこととして、日本全国からお客様がお見えです。
まずは、採寸をしていただきます。そうしませんと衣類はお作りすることができません。
不二子さん。何か所も採寸させていただいて、始めて身体に合うようすることが可能です。
ABM装置を使えば、どんなに凹凸の激しい身体にでも、フィットするように生地の裁断が可能なのです。
縫製の技術は、日本中のどのお店にも負けません。
また、サイズデータは系列店にも、メールで送らせていただきます。
まずこちらへお越しください。」
加藤さんのきびきびした話し方が、私を緊張させる。
加藤さんについて、採寸室に入って行った。
ドキドキするなあ。
「松坂様。まず正確に採寸します。その後、こちらのABM装置で身体の形状をお調べします。
お母さまが、採寸されたとは聞いていますが、正確に調べなければなりません。」
ママが渡したメモを見ながら、加藤さんは言った。
加藤さんは、長いメジャーを取り出した。
彼女の採寸は手際が良かった。
「バストが177cmですね。乳房を持ち上げて測る必要がありません。
超乳と呼べます。
肩幅が標準の約1.5倍と広い上に、ウエストが引き締まっています。
間違いなく、美しいシルエットが表現できます。
乳間などもお測りしています。
ヒップは152cm。形がまた美しい。
身長計では身長を測りにくい原因となる尻ですので、ご注意下さい。
ウエストは55cmです。バストとの落差が122cm。ヒップとの落差が97cmですか。
お衣装をお作りするには苦労が相当あります。
裁断が複雑になります。ウエストの細さが理由です。
当店以外には制作不能ですね。・・・。まあ、当店としても研究の対象ですが。
研究という言葉に驚かれない様に。
研究しないでは、何事も上手くいくものではございません。
スタイル、プロポーションが素晴らしいということです。心配無用です。」
「加藤さん、朝測った時より大きくなっているみたいですが・・・。」
「松坂様の場合は、つまり急激な成長自体がまずレアなケースです。
その中でも、不二子様ほどの成長はレアなケースです。
ですが、全く心配ございません。
急激な成長を、なされた時には、後で少しだけ成長されるようです。
地震にも余震がありますように。」
「これからは、不二子さんで良いです。
様と呼ばれるとていねい過ぎてちょっと・・・。あれです。」
「はいはい、わかりました。これからは、不二子さんにします。
今度はこの装置の中にお入りください。体型が3Dで表わされてきます。
先ほどの数値を代入いたしますと、積分されて様々な部分の長さや面積、重さがわかります。」
不二子は真っ裸になって装置に入った。
1分ほどしてから、不二子はABM装置から出て、そして服を着た。
ものの5分で、結果が出てきた。
「身長は、176cmです。脚長が、105cm。脚長率は59.7%です。
肩幅がずいぶん広いです。標準の1.8倍です。大腿囲が99cm。脹脛囲が62cm。
アンダーバストは、122cmです。
筋肉の発達が不二子さんの身体の特徴です。鍛えてもここまでは成長しないものです。
相当量の筋肉が乳房の下に存在しています。
乳房にもし、今以上の成長が在りましても、垂れることで形の美しさが損なわれることはありません。
ですから、全く垂れません。
気にする必要がありません。
サイズ早見表で見ますと、Sカップということですね。
まだ早見表で調べることが可能です。
これで、お作りすることができます。
不二子さまは、まだ成長する余裕というか、可能性を感じております。
どちらかと言うと、良いことと考えられて、お気になさらないで下さい。
骨格が大きく、随分と骨が太いのです。
何度も申しますが、筋肉が相当発達しておられます。
そして、相当量の脂肪がついています。
それで、女性的なお身体になっています。」
ていねいなのと、率直なのと、バランスが悪い物言いだったのが、不二子には気にかかった。
しかし、彼女はあまり細かいことに気を使うタイプではなかった。言葉にし難かっただけなのである。
「まず、年齢的なことも考えて、ボックスショーツを2着、フルカップのブラジャーを2着お作りします。
過激なデザインは避けるようにと、お母さまから聞いています。
これらはお昼までには出来上がります。
体操服とハーフパンツは明朝早く、宅配便でお届けします。
それから、当店でワンピースの学校用水着も作らせていただきます。
10日程お待ちください。学校指定の色でお作りします。」
「それだけでは、足らないのですが・・・。」
「制服のブリーツスカートとブラウス2着は当店の姉妹店の『ブーティー制服店』でお作りします。
今日中に出来上がります。
寝巻やジーンズとTシャツは、
当店の姉妹店『カジュアルブーブ』でお作りします。
とりあえずお困りの無いように、今日中に仕上げます。そちらへお越し下さい。
データは当店からメールでお送りしております。
何か、ご質問はありませんか。」
私は『グラマチカル』で下着の出来上がりを待つことにした。安心したのだ。
採寸室から出て、店内のソファーを独占して、リラックスして時間を過ごした。
体格の良い女性が、加藤さんと一緒に採寸室に入っては出てくるのを見ていた。
2m近い身長の外国人女性、相当に肥満した女性、様々なタイプの大きな女性が現れては消えていった。
有名な女子柔道の重量級の選手も来ていた。
バストとヒップの大きなグラマーな女性もいたし、まるでママのような超乳超尻の人も1人いた。
待つ間に、10人を超える女性が採寸を終えていた。
「あの人たちも、既製品がないのだろうな。
私もそう。ここで採寸して、姉妹店で作るのね。」
待っているうちに、不二子は『グラマチカル』に信頼を置くようになってきた。
落ち着いて安心して、自分の下着が出来るのを待った。
程なくして、ママが帰ってきた。
もう、私の身体サイズのデータをメールで見たらしく、色々と心配をしてくれていた。
「不二子さん、こんなに早く今日のような日が来るとは思ってもみなかったわ。
早くても、高校に入学してからだと思っていたのだけど。
本当に、一回目の急成長でこんなに立派になってくれるとは、予想もしていませんでした。
教えてあげていなかったのは、ママの予想をあなたが超えたからなのよ。
でも不二子は、よほど驚いたのだろうってと思うの。
驚かせて御免なさいね。」
・・・。しばらく、親子の間に静かな無言の時間があった。
「でも、大丈夫よ。
『グラマチカル』系列は技術がしっかりしているの。
不二子さんの身体にぴったりの下着ができあがるのよ。
こんな恰好で、もう過ごさせないわ。スカートに挟みを入れさせたりしないから。
私も、20年以上このお店でお世話になっているの。安心して良いのよ。」
加藤さんは、私のショーツとブラジャーを持ってきてくれた。
ショーツのはき心地はとても良かった。
私の、こんなに後ろまでお肉の詰まったお尻に、ピッタリとフィットしていた。
鏡で見ると、私の大きく盛り上がったお尻にピッタリとくっついている。
しかも、お尻の深い谷間をも、浮き上がらずにトレースしている。
さすが、ABM装置で作っただけのことはあるのだろうなあ。
続けてブラジャーも付けてみた。
「なるほど、これがブラジャーなのね。」
今まで、Aカップのブラジャーを付けても意味が無かった私の胸。
単に付けただけで、ガサガサしてとっても気持ち悪かった。
『グラマチカル』で作ったブラジャーは、乳房を快く固定してくれている。
「下着をつけると、気持ちがいいのだね。つけた方がずっとずっとすっきりする。
加藤さんありがとう。」
ママも加藤さんも大きな声で笑った。私も女性的な自分の身体を見て本当にうれしかった。
「それじゃ、次の制服店に行きましょう。」ママは言った。
「明日でも、学園の帰りにお寄り下さい。私も不二子さんには、特別な思いがあります。
まあ、無理はしないで・・・。近日中にお越し下さい。お待ちしております。」
加藤さんは、そう言って下さったのである。
ブラジャーとショーツを一つずつ包んでもらった。
しかし、大きなショーツとブラジャーだなあ。
こんなに大きな下着でなければ、もう私のお尻と胸にはフィットしないのだ。
自分でもびっくりした。しかし、少し悲しい気分でもあった。
(これでこれからの生活、大丈夫なのかなあ。)
「次は、不二子のようにサイズの大きい女子生徒の制服を作ってくれるお店に連れていくよ。
わかると思うけれど、さっきのお店は色々と気を使ってくれるね。
でも、本当は下着のお店です。それと、採寸と系列の本店でもあるのよ。」
「そして、最後はカジュアルな服のお店でしょう。」
「今日はそれだけ回ったらおしまいです。不二子さんの当座の服は足りるでしょう。
でもね、一度は着てみないと、不二子さんの身体にあうかどうか?
下着のようにはいかないかも。」
次のお店に向かう。歩いていける距離である。
『ブーティー制服店』に着てみると、女性の店員さんが出てきた。
20代後半で、比較的小柄な方だった。
「松坂さまのお嬢様ですか。担当の佐藤広子と申します。
それでは試着していただきまして、お直しして晩までにはお届けにあがります。
それでは、フィッティングルームへ。」
ブリーツスカートを試着した。
着心地は良かった。欠点は不二子にはわからなかったのだが。
「大きな欠点がございました。説明させていただきます。
不二子様のお尻と、92cmのヒップの方のお尻を、最も太い部分で比較します。
92cmでも大きなヒップでございますが。
その方のお尻よりも左右に5cmずつ横に広いのです。
後ろへは、20cm長い形なのです。
ウエストラインからだと、真後ろに25cm突き出ています。
そして突き出た所からスカートの布地が垂れ下がっているのです。
スカートの下の線が、後ろが上がってしまいました。
仮縫いを解きましてやり直させていただきます。」
「ママ、難しそう。大丈夫かしら。あの方は若いけれど。
説明が、よくわからなかったのだけれど。」
と心配して話しかけると、
「不二子さん、大丈夫ですよ。このお店の技術は優秀です。
ママも高校生の途中からは、このお店で制服を作ってもらったのです。
心配はありません。」
30分ほど待つと、出来上がってきた。試着するとまだ問題があったようだ。
試着は、佐藤さんが納得するまで繰り返されたのだった。
「次はブラウスでございます。標準よりずいぶん肩幅が御有りです。
また、背中や腕回りに相当筋肉がお付きでおられます。
身体を動かしても破れたりすることなく・・・。
ブラウスのボタンが止まってはいますが、いかにも引っ張られているように見えます。
動かれた場合に、ボタンが飛んではいけません。
補強するなり、根本的に直してまいります。」
「あわてなくてもよろしいと思います。佐藤さんのペースで取り組んで下さいね。」
不二子の母が、気を利かせて言った。
「ママ。バストが大きいと、ブラウスのボタンって飛んだりするの。」
「ママは、何回か飛ばしてしまいました。
このお店の服は、大丈夫です。そんなことはありません。」
試着は数回にわたり、その度に仮縫いがを繰り返された。
「直してまいりました。やはり、バストが予想を超えていました。
鎖骨の上から、真っすぐ前に40センチも突き出しているとは・・・。
そして、細いウエストにも対応させていただきました。これでよろしいかと思います。」
「何度も試着させていただいて、本当にありがたいわ。」
その結果、不二子の胸に対してゆったりとしたブラウスが出来上がった。
「その代わり、着脱のやり方が一般的なブラウスとかなり違います。」
説明書きを見ながら、不二子は何度も練習をした。
見た目は、普通のブラウスと全く変わらなかったのである。
これで、身体を動かしても大丈夫みたいだなと、不二子は思った。
母と車に乗り、3番目のお店へと向かった。
寝巻とジーンズとティーシャツが仮縫いを一応終えて、不二子を待っていた。
寝巻の試着仮縫いのやり直しは簡単に終わった。
次にジーンズを渡された時、その長さに驚いた。
小学校3年生の身長程の長さがあったのだ。
試着の際に店員さんは、105cmの長さの脚への対応には苦労をしたと、話されていた。
ヒップとウエストの落差への対応にも苦労があったはずである。
試着と仮縫いは何度も繰り返された。
152cmのヒップを通るように、ジーンズにも特別な工夫が何か所もされていたと聞いた。
たとえば、ファスナーが横にも付いていたのだが、見た目にはそう見えない。
さすがは、『カジュアルブーブ』である。
最後のジーンズ試着の時に、不二子の母は、不二子に歩くように言った。
想像を絶する太さの大臀筋が、不二子の脚の動きに従ってプリプリと動いた。
左右のお尻の肉の摩擦で、音が聞えるような錯覚を覚えたほどである。
鏡で見ると、お尻の肉が鏡に入りきらないのが不二子には可笑しかった。
「タイトスカートも似合うと思いますよ。」と店員は言った。
ティーシャツは、ブラウスのデータを使ったので、試着は一回で終えることが出来た。
ゆったりとしていて、リラックスできる仕上がりだった。
胸には、『FUJIKO』と大きく黒い文字を入れてもらった。
「おっぱいの形で、字は変形しないのね。明るいブルーは不二子さんに合う色ね。」
ママは言ってくれた。
朝から着ていたピチピチのTシャツと挟みを入れたスカートは、出来たばかりの服に着替えた。
「不二子さんの姿は、前後左右どこから見ても素敵だわ。
後ろから見た時の、身体の線は本当に素敵。
こんなに締まったウエスト見たことが無いわよ。
横から見ると、バストとヒップのラインがとってもセクシーよ。
あなたしか持っていないラインだわ。とっても美しくて個性的。
中学2年生に、セクシーなんて言ってはいけなかったかしら。
でもね、不二子さん。いろんなことが起こるから・・・。
まあ、それも不二子さんの心の急激な成長かもしれないけれど。」
と不二子の母は言った。
私は黙っていたけれど、覚悟という言葉に引っ掛かっていた。
「不二子さんでいらっしゃいますか。
私どもの店『カジュアルブーブ』は、多少規格から外れられているお身体の女性のお店でございます。
美沙子様とのお付き合いも長くなって参りました。
ところで、不二子さんの衣服につきましたは、当店にとりましても格別の意味があるように思います。
特別価格で作るようにと社長から言われております。
時間のあるときには、お越しいただければ嬉しく思います。
その際、こちらではなく『グラマチカル』の加藤まで来ていただくようにと言うことです。」
『カジュアルブーブ』の店員は言った。
3軒とも、繊維問屋街の中でそんなには離れていないのである。
「ええ、そうなのですか。不二子さん、明日にでも行ってらっしゃい。
これからいろんなことが起こるかもしれませんが。
規格外でも気にする必要はありません。
その素敵な笑顔で、笑いながら流していってね。
何が起こってもね。ママも、平気だったのだよ。大丈夫だからね。
でも、不二子は本当に綺麗。肌が白くてすべすべできめが細かくて。
その上に美人でもの凄いプロポーションとスタイル。」
と言いながらも(私と不二子はサイズが違う。本当に大丈夫だろうか)と心配していたのだそうだ。
親の心子知らずとはよく言ったもので、不二子は言葉道理に安心していたようだ。
『グラマチカル』には、しばしば来ることを約束してこの日は自宅へ帰った。
姉の亜利紗と香里奈がクラブ活動を終え、夜になってから学園から帰ってきた。
高校2年生の途中からバレーボールとバスケットボールの両方に入部しているのだ。
実は、2人の入部から、二つのクラブは県下でも強豪校になっているのだ。
不二子の双子の姉2人は、目立ちたがりやで、でしゃばりで元気がよいのだ。
粘り強さには欠けるけれども、あっさりしていて・・・。
会話も、遠慮が無いと言うかせっかちと言うか・・・。
「お母さん、不二子と一緒に朝からバタバタしていたけれど、何かあったの。」
「今朝起きたら、急激に成長していた。だから、一日中ママと一緒に・・・。」
「えっー。不二子が『急成長』したの。
私たちはママと一緒で、高校2年生の夏休みだったのに、中2の分際で・・・。」
と、亜利紗がいうと、すかさず香里奈が続けて、
「今まで、小さかった不二子がどんなになったの。楽しみ。
姿を見せてよ。不二子、出てきなさい。」
恥ずかしがって隠れていた不二子が、二人の前に登場すると腰を抜かさない程に驚いていた。
「私たち双子は、『急成長』する前に身長168cmあったけど、不二子は152cmだったでしょ。
スリーサイズも、92・63・88だったのよ。一応、Fカップはありました。
十分グラビアアイドル並みでしたから。
不二子ったら、見栄で付けているAカップでしょう。
走ると揺れるのはブラジャーだけ。ガサガサ音を立てながら。」
「不二子ったら、身長は175cm以上になったでしょう。20cm以上も身長が伸びているのね。
何よ、そのバストの大きさ。何か入れたの。そんなにシリコン入れる人はいませんね。」
「何センチあるのよ。バストは何カップ。」
「何か急に顔つきまで変わっている。美人になっているじゃない。」
「何、その大きなヒップ。触っていいかな・・・。
うそだ・・・。これ全部お肉なの。」
「お尻が付いている所が高いね。ずいぶん長い脚ね。」
亜利紗と香里奈は、見事に交代で質問を繰り出した。
元気な姉たちからこんな目に合うと不二子はだいたい覚悟していた。
今までもそうだったから。
「身長は176センチになりました。
バストは177。ヒップは152。カップはS。ウエストは・・・。55・・・。」
最後は消え入りそうな声で、何とか答えた。
それでも、姉たちに質問を返した。
「亜利紗姉さん、香里奈姉さんはいったちどんなサイズだったの。」
「高校2年生の、夏休みの7月に一回目の急成長があって・・・。確か・・・。
身長が178cm。スリーサイズは106・68・102だったのよ。ねー。」
「その時に二人とも、バレーボール部とバスケットボール部から誘われたのです。
8月に二回目の急成長があって、身長は188。上から126・68・112でーす。
筋肉物凄付きました。体重しばらく内緒です。」
「それからは、バレーボール部もバスケットボール部も二人ともレギュラーで大活躍。」
「急成長で筋肉も発達して力も強くなったから、途中入部なんてだれも気にしていません。」
「あれから一年経ちました。普通の意味で成長しました。
身長伸びて193。バストとヒップは増量し、ウエストしっかり締めました。
サイズは上から、134・63・120でーす。だけど体重107kg。
とてもそんなに重いとは、ちっともちっとも見えません。」
「不二子。そんなに重いように見えないでしょ。」
ここまでは、調子に乗って明るく話していた姉たちも、急に落ち着いて話し始めた。
「不二子は、まだ一回目だし、中2だし、凄い急成長だよ。
もう既に、バストもヒップも私たちよりずいぶんと大きい。
私たちも、不二子がそんなに大きなバストとヒップになるなんて、イメージ出来なかった。
覚悟した方がいいかも。二回目は大きくなるのよ。
もしかしたら。もしかしたらだよ、三回目があるかもしれないね。」
どんな覚悟をしたらよいのかは、具体的に教えてもらえなかった。
松坂家の母親の美沙子は、立派な体格をしていた。
背も高いしバストとヒップが規格外に大きかった。
だから、不二子から見ていても、街を歩いている時は目立っていた。
その母親と並んでいても、父親は全く負けない立派な体格をしていた。
バレーボールやバスケットの選手でもなければ、格闘技の選手でもなかった。
大学で、生物学と宇宙の研究をしているということだけは、不二子に理解できた。
それ以上難しいことは、わからなかった。
趣味として、ボディービルを高校時代から続けていた。
しかし、時間がないのか大会に出ることは無かった。
筋肉を増量させることは興味があったが、減らしてしまうことになるダイエットは嫌いなようだ。
今日も、家族が揃って夕食は出来なかった。
父親の帰りは遅かった。
母と父とは高校時代に知り合い、大学生で結婚したこと。
姉二人は母が大学時代に生まれたこと。
そんなことしか聞いていなかった。
母はまだ40歳前であるのだ。
父親は、母親から、不二子が急成長をしたことを聞かされても、驚く様子もなかった。
いつものように風呂に入り食事をし、自室で研究の続きを始めた。
居間でくつろぐ三姉妹の方を、さらっと見ただけであった。