全日本ビッグバスト選手権 その12

カゼリ 作
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集合シーンとプライベートシーンは撮影完了。
以降はいよいよ企画の目玉、競技シーンの撮影となる。
乳と乳とのぶつかり合い。文字通りの「肉弾戦」が期待できるだろう。

16歳のRカップ漫画家・秋原葉子が率いる『バルーン』のチームは『赤組』。
19歳のQカップ編集長・佐藤さとみ率いる『ビッグメロン』のチームは『白組』

この2チームがアイドルデビュー、もといDVD制作費10億円をかけて戦うのだ。
葉子もさとみも内気でリーダーの器ではないのだが、実際にチームの指揮を執るわけではなく、あくまで形式的な、本部との「連絡係」程度のもの。
だから編集部と直接関わりある立場の2人が選ばれたに過ぎない。

それにしても、
「ふ〜う…さすがに疲れたぁ」
「あら木根くん、もうバテたの?」
ここまでスムーズに撮影を進めた木根と渚の副編コンビは本当に有能だった。
たった2人で、選手48人のカメラマン兼スタイリストとして目まぐるしく働いた。
ところで、選手たちに混じると霞んでしまうが、ハイレグの競泳水着にパーカーを羽織った姿でバリバリ仕事をこなすGカップの渚も十分セクシーである。
開放的なプールサイドにクールな眼鏡美女というギャップがまた良い。
「大変なのはこれからよ?ぼーっとしてたら、おいしいアングルは私が全部録っちゃうんだから」
「くっ、『ビッグメロン』にゃ負けねーぞ!」
張り合いつつも2人は笑顔。良きライバル関係が保たれているようだ。
「大道具さーん、浮き島はこっちに運んでください!」
もちろんバルーン編集長の臼井も、腕を組んで見てばかりではない。
会場設営やタイムスケジュール管理、雑誌への原稿起こしは彼の仕事である。

(みんな忙しそうだなぁ……いいのかなあ?私だけ選手に混じってて)
編集部で唯一被写体として働いているさとみが、ちょっと後ろめたい気持ちで3人を見ている。
しかしドジっ娘の彼女には実務よりも、絵になるハプニングを期待しよう。
英字プリントのビキニに包まれた重たげなQカップは、いつこぼれ落ちてもおかしくないのだから。

ともあれ、第1の競技『水上乳相撲』が始まる午後のロケまで1時間の昼休み。
選手達は自室で休むなり、軽食をとるなり、チームで交流し団結を深めるなり、自由に過ごしてよい。
実際、ホテルの館内を訪ね回る選手たちは、さながら修学旅行のノリではしゃいでいた。
部屋割りは2人1組で、赤組は東館、白組は西館にそれぞれ分かれている。

「よっしゃー!ミオ、お昼ゴハン食べに行くニャー!」
足どりも軽やかに西館から飛び出してきたのは、岐阜代表・環姫。
飛騨山中ではお目にかかれなかった豪華な食事にありつこうと、中央棟のレストランへ向かう。
これでも猫又一族の命運を託された姫君なのだが、相変わらずの天真爛漫。
いつでもハイテンションに振る舞うのが彼女らしさだ。
毛皮のビキニから今にもこぼれ落ちそうなSカップをゆっさゆっさ揺らしながら、しなやかに伸びた美脚を走らせる。
その後ろから、
「まってよー、たまきおねえちゃん。あんまり食べるとおなか目立っちゃうよー?」
床を蹴るのは、まだまだ小さな可愛い裸足。短い歩幅でとてとてと走る、今回最年少の磯村みおである。
7歳ながら相変わらずしっかり者のようだ。環姫とは同室になったらしい。
最も若くみずみずしく、成長の可能性をいっぱい詰めた弾力抜群のLカップをぱゆんぱゆんと弾ませながら、環姫の後を追いかけた。

(じぃ〜〜〜〜〜っ……)
と、その様子を物陰から観察していた少女が一人。(もっとも、当然おっぱいが「物陰」からはみ出しているのだが)
「怪しい……怪しいわ〜。あの環姫ってコ、妖怪の気配をビリビリ感じるわ〜」
丸い眼鏡を指先で押し上げると、おもむろに自らの谷間にずぶりと手を突っ込む。
ぷるん、と柔肌を波打たせて取り出したのは、愛用の手帳だった。
B6サイズの手帳など、収納するのはごく容易い。
(あの猫耳!どう見たって作り物じゃない。尻尾も感情に合わせて動いてる!プールでも水を怖がってたし……)
これまでの行動を思い返してみると、ますます怪しい。
「……私のカンが正しければ、あのコは妖怪・猫又!」
環姫についての特徴・考察を興奮交じりにメモしていく。

彼女の名は遠野千郷。岩手県の代表である。
とは言え、生まれは東京郊外であり、岩手に移ったのは大学に受かったこの春から。
柳田國男を尊敬し、幼い頃から妖怪に憧れてきた彼女の専攻は、民俗学。
その情熱は冷めることを知らず、妖怪伝説を聞きつけては現地調査に赴くのが趣味である。
薮をかき分け野山に入ることもしばしばだが、正直、自分の大きな胸を邪魔だと思ったこともある。
かなり早熟で、小3で初めて着けたブラはEカップだった。
(小学生の頃は、『おまえが妖怪・牛女じゃねーのかー?』なんて、からかわれたなあ)
しかし、あるものは利用すべき。
そう思い、活動資金を稼ごうとビッグバスト選手権に出場したわけだが……
(日本って広いわね。私よりおっぱい大きい人がこんなにいるなんて。私程度じゃ、まだまだ『人間』ってことか)
やはり自分に妖怪・牛女の血は流れていなかったらしい。
(……ちょっとだけ期待してたのになぁ)
常人とは異なる感性。
千郷にとって『妖怪』とはむしろ、ほめ言葉だったようだ。

(おっと、後を追わなくちゃ。あのコと一緒の白組になれて良かったわ)
手帳を谷間にずぶりとしまいこむと、尾行を再開する。
(最終的には、じかに接触して確かめてやるわ……そうだ!敏感な部分をとことん刺激すればきっと正体を現すはず)
突然の思いつきに、勝手な憶測を巡らす千郷。
(だったらもちろん、おっぱいよね)
おそらく自分よりも大きなあの乳房を、とことん揉みほぐし、撫でさすり、こね回す!
その快感に耐えられず変身を解いた時が、夢にまで見た妖怪との初対面になるだろう。
「ふふ……ウフフフフ」
息を荒くして想像する千郷の手は、早くも空中を揉んでいた。
黙っていれば文学少女風のインテリ美人なのに、筋金入りの妖怪マニアなのである。

岩手代表
遠野 千郷(とおの ちさと)
18歳
身長 166cm
バスト 116cm(Oカップ)
ウエスト 60cm
ヒップ 91cm
支給水着 藍染めの木綿ビキニ
特徴 妖怪マニアの大学生。環姫の正体を探っている。

(う〜ん、ヘンなお姉さんと同室になっちゃったなあ)
その背後から向けられる宮城代表・木根芙由花の表情は、苦笑い。
もともと外交的で人付き合いが得意な芙由花だが、さすがにちょっとコミュニケーションに苦労しそうなルームメイトだった。
(もともと兄貴からは「敵情視察のために白組に行け」って言われてたんだけどね)
兄から情報を得ていた芙由花は、チーム分けの前から△と□のどちらが白組のマークかを知っていた。
とはいえ、佳苗と春の超乳に見とれている間に、ピンポン玉は△2個だけになってしまったので、結局選択の余地はなかったわけだが。
ともあれ、芙由花は兄の指示通りビッグメロン側へと乗り込んだのである。
(ちぇっ、あたしゃスパイかよ……ま、もっとも今回最小サイズじゃグランプリ狙えないのはわかるけどさ……)
しかし釈然としない。乙女としてのプライドが納得いかない。
Kカップだからって戦力外通告はないだろう。
(出場させてくれた兄貴には悪いけど……本気でやらせてもらおっかな。グランプリは無理でも、白組が優勝すればあたしもアイドルデビューできるんだし!)
そう、最初から勝ちを諦めるほど、芙由花は冷めた女ではないのだ。
『バルーン』を裏切ることになるが、それはそれ。
アイドルになって富と名声を得ることは、いち女子高生としての野望なのだから!

一方こちらは、赤組の選手控える東館。
その一室で、長崎代表の美朱蘭野崎がルームメイトに話しかけた。
「リサコさん、おヒル食べに行かナイ?ワタシ、オントベイト(朝ごはん)抜きだったカラ、おなかペコペコなの」
ちょっと照れながら、富山代表・鈴木理冴子を昼食に誘う。
「いいわね。一緒に行きましょ」
同意しつつ、白衣を羽織り直す理冴子。
もちろんSカップのバストは隠しきれず、黒いメッシュ地によってセクシーに演出された谷間はコントラストにより際立っている。
(ふ、ふ、ふ……こんなに早くチャンスが来るとはね)

グランプリを狙う理冴子の切り札、『ミラクルブレストπ』
薬学博士の彼女が開発した乳房成長促進剤。その最新バージョンである。
しかし、作ったばかりなのでまだ臨床実験を行っていない。
乳房をこれまで以上に急成長させる効果は間違いないのだが、どんな副作用があるかも分かっていないのだ。
安全が確認されるまでは、おいそれと自分で服用するわけにもいかない。
(だからミシュラン、悪いけどあなたには被験者になってもらうわよ)
谷間に忍ばせた小ビンの中身は、まさにそれ。
これから食事するのをいいことに、隙を見てミシュランの飲み水に混ぜるつもりなのだ。
色は無色透明。10倍に希釈してもまだわずかに甘味があるが、バレる心配はなかろう。
無事ミシュランのバストが成長し、副作用がないことを確認したら、より高濃度のものを自分も飲めばいい。
(そうすれば……)
Zカップオーバーの2人をあっさり追い抜き、人気は爆発、読者ハガキ大量ゲット。
晴れてグランプリの栄冠に輝くのだ。
(だいじょうぶ。乳房の急成長だけは保証してあげるから、むしろありがたく思いなさい。ふ、ふ、ふ……)
マッドサイエンティストを自認するわけではないが、理冴子は使命感に動かされていた。
そう、究極の膨乳薬を世に広めるという使命に。
(かつての私もそうだった……胸の小さい女性たちに、希望を!)
そのためには圧倒的大差で勝利し、理冴子自身が広告塔になるのだ。
手段など選んではいられない。

「なに食べよっカナ〜。『ハラが減ってはイクサはできヌ』だもんネ☆」
意外にも日本のことわざを披露したオランダ人ハーフ。
ウキウキと陽気な足取りでレストランへ向かうミシュランは、人体実験の対象に選ばれてしまったことなど知る由もない。
ゆるやかなウェーブのかかった金髪以上に、カラフルな造花のビキニに包まれたTカップの乳房はダイナミックに揺れ動いていた。

同じく東館の別室。
青森代表・木村麻衣子と秋田代表・俵深雪の東北ペアである。
「オラ…私たち、お互い気をつけようね」
「んだな。方言くっちゃべるめらはど、一部さ人気出らびょんばって、限度ばあるはんでな」
(訳:そうね。方言でしゃべる女の子って、一部には人気出るかもしれないけど、限度はあるからね)
言ってるそばから、やはり麻衣子の訛りは聞き取り困難。
しかし、
「アイドルごされ、みっぱばっかめごくてもまいね。わは標準語さ勉強すっぺや!」
(訳:アイドルだったら、見た目だけかわいくてもダメよね。私、標準語を勉強するわ!)
野生たくましい山の民である麻衣子は、もともと勉強が好きではないが、ひとたび集中すれば驚くべき学習能力を発揮する。
170cmの長身とVカップの特大バストが示す通り、肉体のポテンシャルが凄いのだ。
やると決めたら、彼女はやる。
「う、うん。私もがんばる!」
深雪も意気込んでガッツポーズをとる。
その際、ワンピースの白い水着をぴちぴちに張りつめるPカップは、二の腕とぶつかりぷるるんと弾むのだった。
というわけで、麻衣子の津軽弁は次回登場までに抑えめになって……いると思います。たぶん。


さて、昼休みが終了し、再びプールサイド。
<午後の撮影を開始します。選手のみなさんは応援席へ移動してください>
拡声器で臼井が呼びかける。
いよいよ第1の競技『水上乳相撲』が始まるのだ。

<ルールを説明します。
プールに浮かべた円形の浮き島を土俵に、相撲をとってもらいます。
ただし通常と異なるのは、「胸だけで押し合う」ということ。
 相手の身体に故意に手を触れた場合、反則です。
もちろん脚をからめてもいけません。
あくまでも胸同士でぶつかり合ってください。
 勝利条件は、
・相手をプールに落とす
・相手の水着をずらしてトップを露出させる
この2つのみ!
 逆に言えば、土俵上でどれだけ体勢を崩そうが負けではありません。
 たとえ転んでも試合続行です。
 選手は電光掲示板のスロットで抽選し、5回戦行います。
 そして……負けた選手は相手チームに水着を奪われ、脱落となります>

臼井の説明を聞き、ゴクリと唾を飲み込む芙由花。
「てことは、1回戦で早くも5人が脱落するってことね。シビアだわ」
その隣では、
「はあ〜…どきどきしますね〜…」
「そうですか?ヨーコ、今テンション上がってます。コトコ先パイはこーいうのって血が騒ぎません?」
新潟代表・朝日奈陽子。もともと大会出場経験が豊富なだけあって、こうした場面には強い。
「まあ〜…さすが陽子さん〜…好戦的で〜…頼もしいわぁ〜…」
「ちょ、そんな言い方やめてくださいよ!ヨーコ、戦闘民族じゃないんですからね!別に強いヤツを見てもワクワクしませんから!」
愛知代表・菅内琴子のペースに、ルームメイトの陽子は相変わらず翻弄されている様子。

「芽衣ちゃん、きばってこうな。こっから先は負けたら脱落の『さでんどす』になるさかい」
「茜ちゃん、それ言うなら『サドンデス』やろ。苦手な横文字ムリに使わんでええて」
京都代表・香坂茜の天然ボケに、大阪代表・川上芽衣がすかさずツッコミを入れる。
「当たる確率は24分の5。およそ2割どすな」
「あーゴメン、算数の話はせんといてんか」
頭痛のリアクションをとる芽衣。
「それに、ウチらが当たらへんでも、全力で白組を応援するでえ!」
「せやな!」
(このふたり、漫才の息がピッタリだなぁ)
さとみも思わず感心する関西コンビ。この2人も同室である。

「それでは先鋒戦の組み合わせを決めます。スロット・スタート!」