全日本ビッグバスト選手権 その15

カゼリ(物語)・カゼリ(挿し絵)・黍野 井戸(挿し絵) 作
Copyright 2010 by Kazeri (story)
Copyright 2012 by Kazeri (picture)
Copyright 2012 by Ido Kibino (picture)

先鋒戦は白組の勝利に終わった。ルールによれば、敗者は水着を奪われ退場となるはずだが、

<水着の受け渡しは後ほど特設ステージで一斉に行います。
 両選手はひとまず応援席に戻ってください>

アナウンスに従い、陽子とももはプールサイドに寄せられた浮き島から降りる。
一勝を収め誇らしげに凱旋する陽子を、渚のカメラが追いかけた。
そのとき、

ぷみゅ

「きゃあああああっ!?」
渚の絶叫。いきなり背後から両の胸をわしづかみにされたのだ。
突然のはずかしめに涙目でふり返ると、そこには木根の顔が。
「なにすんのよっ!」

パァン!

と、いい音を立ててその頬をひっぱたく。容赦ない平手打ちに、木根はしりもちを着いて倒れた。
(はっ!?)
だが、すぐに彼の真意を悟る。
ずっとファインダー越しに陽子を撮影していたため気付かなかったが、渚のつまさきはプールサイドギリギリで、まさに踏み外す一歩手前だったのだ。
カメラは完全防水とはいえ、水中へ不意に転落しては渚自身も危なかっただろう。

「痛ってえ〜……ひどいじゃないっすか」
「た、助けてくれたのは礼を言うわ。だからって胸をつかむことないじゃないっ!」
ヒリヒリ腫れる頬を撫でながら起き上がった木根に、渚は赤面して反論する。
「木根くんは胸を触った。私は落ちずに済んだ。これでチャラよ!」
「ちぇ、ビンタはもらい損かよ」
(!)
 言われてみればその通り。論理に矛盾が生じるのは渚のプライドが許さない。
「そ、そうね……わかったわ。ビンタのおわびにもう1回だけ、さ、さ、触らせてあげるわよ…」
「え!?そんな意味で言ったんじゃないっすよ!」
「いいから触りなさいよ!借りを作りっぱなしじゃ私の気が済まないわ。ほらっ、こっちだって恥ずかしいんだから早く!」
「いや、もういいっすから。俺、どんだけ浅ましく見られてんすか!」

 20台の男女が繰り広げる、そんなほほえましいやりとりを、白組応援席からニヤニヤと見つめる者がいた。島根代表の鳴神愛矢である。
「おお〜♪あの渚さんがダイタン発言。ねぇねぇ温子ちゃん、やっぱあの2人脈アリじゃない?」
「そ、そう?」
いきなりそんな話題を振られても、返答に困るというもの。
「クールなキャリアウーマンに遅咲きの青春!相手はライバル企業の年下彼氏かぁ…」
「『遅咲き』って、本人聞いたら怒るっちゃ。渚さん25歳だけん」
愛矢は渚と木根の関係に興味津々で、勝手に想像をふくらませては盛り上がっている。
「むふふ〜。いいなぁあの2人、縁結びたいな〜☆」
「愛矢ちゃん、ほんに恋バナ好きっちゃねえ。男女と見りゃ、なんかなし(とにかく)くっつけたがりよる」
「もっちろん!恋バナはわたしの主食だよ!」
幼い笑顔をぺかっと光らせ、愛矢は明るく言い放つ。
そう、これは彼女の性分。
男女の恋を成就させ、祝福することこそ喜びなのだ。

12年前。愛矢は双子の姉、愛弓と共に神社の娘として生を受けた。
出雲大社を抱え、十月を「神在月」と呼ぶほど神道の盛んな島根県。
数ある神社の中でも、愛矢の生まれた鳴神神社が祭るのは、実りを司る豊穣の神様だった。
それを象徴するかのように、姉妹の胸も早くから豊かなる「実り」に恵まれる。
小2でEカップに達したバストはスクール水着に到底収まりきらず、水泳の授業では困ったものだ。
6年生になった今もその勢いはさらに増し、日々成長を続けている。

この目ざましい発育をご利益の顕現と見た両親は、神の力を宿す愛娘たちに、早くから巫女の修行をさせようと思い立った。
しかし、スタイルは全く同じく成長していても、ここで性格面の違いが出てくる。

日頃から巫女としての自覚をもち、真剣に修行に励む姉の愛弓。
小学生にして粛々とした立ち振る舞いを見せている。
当然、大人からの信頼も厚く、クラスでは学級委員も務めている。

かたや、妹の愛矢は自由気ままで開放的な性格。
修行も遊び半分で、サボることもたびたび。
ケータイを使いこなし芸能ニュースをチェック。好きなものは月9ドラマという今どきの高学年である。
クラスでも「誰が誰を好き」などの噂話には目がない。

たとえば、下着ひとつ見てもそうだ。
愛弓は「下着はつけない」という巫女の流儀を守り、暴れあふれる乳房をサラシで巻くのに毎朝格闘している。(母もそこまでしなくて良いと言い、ブラを勧めているのだが)
一方、愛矢はファッション誌で流行をチェックしながら、おしゃれとして下着選びを楽しんでいた。(もっとも、デザインを選ぶ余地があったのはIカップ程度までの話だが)
ちなみに、どちらも艶やかな黒を誇る姉妹の髪型は、愛弓がポニーテール、愛矢がツインテールである。

両親もそれらを個性と受け止め、2人とも分け隔てなく愛情を注いでいる。
来たるべき日には、真面目な愛弓が神社を継ぎ、芸能界に憧れる愛矢は都会に出て行くのだろう。

(でも…わたしだってちゃんと家のこと考えてるもんね!)
出発前、姉とこんな会話をした。

「ねえ愛矢、本当に出場する気?今からでも辞退するべきよ。そんなハレンチな大会」
「ジョーダン!せっかく芸能界デビューできるチャンスなんだよ?本当はお姉ちゃんも一緒に来てほしいんだけどなあ。愛弓と愛矢で『キューピッドシスターズ』…ダサっ、わたしネーミングセンスないや」
「それこそ冗談よ。由緒ある鳴神神社の伝統を、私が乱すわけにはいかないわ」
「アタマかったいなぁお姉ちゃん。ウチはアピールが足んないんだって。埼玉の某神社なんてアニメの影響で参拝客すっごい増えたらしいじゃん?」
「え?」
「やっぱメディアの力を利用しなきゃ。ただでさえこっちは田舎なんだからユイショだのデントーだの言ってらんないよ?」
これまで巫女の自覚が足りないと見ていた妹の、現実的な意見に愛弓は驚く。
「それに、今どき豊作の神サマだけ祭ってても流行んないっしょ。せいぜい農協とかの地域行事に呼ばれるくらいじゃん?」
「まあ…それと豊乳祈願に来る女性客がちらほらね」
やはり、爆乳小学生巫女姉妹の噂はどうしても広まってしまうようで。
「そんなんじゃダメダメ。やっぱやるなら『縁結び』っしょ!」
「縁結び?」
「そ。わたしの得意分野。縁結び神社として有名になってさ、ファッション雑誌にデートスポットとして紹介されちゃおうよ!休日は若い男女でにぎわって、クレープの屋台とか呼んじゃってさ!」
「……全部には賛成できないけど、驚いたわ。遊んでばかりのあなたが神社のことを考えていたなんて」
妹に向けるまなざしを改める愛弓。そこには信頼の光が宿っていた。
「お姉ちゃん、ウチの広報は任せといて。わたしがアイドルになったら、超有名な観光地にしてあげる!」

そんな事情を踏まえてか、彼女に贈られた水着は巫女服をモチーフにしたもの。
トップスは白い和服。と言っても、袖はほぼノースリーブ。
裾も限界まで短くしたため帯はなく、襟に隠れた留め具で押さえているだけ。見る角度によっては下乳がチラチラとのぞく。
ボトムスは袴をイメージした朱色のミニスカート。
ナイロン製でありながら巫女服の魅力を十分に伝える、マニアには堪らないデザインとなった。
ツインテールの童顔に不釣り合いな2つの大玉が、清廉な白衣の襟下できゅうくつにひしめき合う様は、見る者を背徳的な衝動に駆り立てるだろう。

島根代表
鳴神愛矢(なるかみ・あや)
12歳
身長 147cm
バスト 107cm(Nカップ)
ウエスト 53cm
ヒップ 79cm
支給水着 袖と裾をギリギリまで短くした巫女服
特徴 神社の娘。芸能ニュースと他人の恋バナが大好きなミーハー小学生。

カゼリさん作

話を会場に戻そう。
赤組応援席に戻ってきたももに、東京・神奈川・千葉・埼玉の関東4人集からねぎらいの言葉がかけられる。
「ももちゃん、がんばったね!かっこよかったよ」
「辛苦了(おつかれさま)。見事な闘いだったアル。ワタシも同じ『桃』として、ももちゃんの分までガンバるね」
「まだ1回戦じゃん。点差なんて気にしないで!」
「……どんまーい」
相変わらず、無表情につぶやくだけのありす。
「うん。ありがとう、みんな!」
仲間の温かい励ましに、ももは素直に感動する。
だがその一方で、せめて帰るまでに少しでも多くのおっぱいをさわらせてもらおうと、したたかに目論んでいた。

<さー、どんどんいきましょう!スロット・スタァートゥ!>
良い発音でハイテンションにとばす臼井編集長。
アダルトには走らない演出。あくまで「地上波でもゴールデンタイムで見れそう」な明るいバラエティのノリこそ、企画のキモだ。

ピッ
<次鋒戦。赤組・広島!白組・大分!>

「温子ちゃん、出番だよ!」
「っちゃー、よりによってあたしかい」
大分の湯川温子。この乳相撲において、支給水着が上下2枚の手ぬぐいというのは相当なハンデであろう。あまりに軽装すぎる。
「ポロリには注意してね。ファイトだよっ!」
「まあ、作戦はあるけん。やるからには覚悟決めるっちゃ!」
手ぬぐいの結び目を確認してから、白いふとももをパン!と叩き、勇ましく立ち上がる。

そして赤組からも、
「がんばってキリカちゃん!」
「逆転して、かっこいいとこ見せてね!」
「い、1回戦でわたしが負けた分、取り返してきてくださいっ!」
声援を背中に受けながら、前だけを見据え闘いの場へ向かう。彼女の頼もしい返事は、
「任しときいや。ひっくり返すんはアタシの十八番じゃき。お好み焼きも、得点差も、な」

広島代表
小此宮キリカ(おこのみや・きりか)
16歳
身長 162cm
バスト 112cm(Oカップ)
ウエスト 57cm
ヒップ 86cm
支給水着 袖と裾をギリギリまで短くした半被(はっぴ)
特徴 お好み焼き屋の看板娘。赤髪のツリ目美人。勝ち気な戦略家。

黍野 井戸さん作