全日本ビッグバスト選手権 その16

カゼリ(物語)・黍野 井戸(挿し絵) 作
Copyright 2010 by Kazeri (story)
Copyright 2012 by Ido Kibino (picture)

<さあー次峰戦。白組からは、大分代表・湯川温子!
 15歳の高校1年生です。
 身長160cm。スリーサイズは118・57・84のQカップ!
 実家は温泉旅館でゆくゆくはその後を継ぐ、未来の若女将です。
 真っ白できめ細かな自慢の肌は、毎朝の温泉で磨き上げられたもの。
 そんなスベスベピチピチボディを包むのは、上下2枚の手ぬぐいのみ!
 今大会でも髄一のきわどさです!
 彼女のおっぱいが湯舟に浸かるとき、一体どれほどのお湯があふれてしまうのか!
 アルキメデスにも予測不能だぁーっ!>

(なんちゅうアナウンスじゃ…)
さすがに頬を赤らめながら、温子はプールサイドを歩く。
それに、手ぬぐい2枚「のみ」というのは誇張だ。さすがに下には白のビキニパンツをはいている。
動き回る以上せめて下半身は守らなくては。

<対する赤組からは広島代表・小此宮キリカ!
 16歳の高校2年生です!
 身長162cm。スリーサイズは112・57・86。
 中2から一気に急成長したというバストは、現在Oカップ!
 強気なツリ目と燃えるような赤い髪が、バッドでワイルドな印象を与えますが、
 実際は家業のお好み焼き屋を手伝う、親孝行な看板娘ですっ!
 自己主張の激しいおっぱいは、鉄板に触れないよう注意が必要だとか。
 そんな彼女が纏うのは……おおおぉーーー!?>
途中で乱れた臼井のアナウンスに、場の注目が一気に集まる。
<し、失礼しました。彼女のコスチュームは超ミニの半被(はっぴ)。
 前を閉じるほどの長さはない、羽織るだけのデザインです。
 そのため、下に巻くサラシもセットになっているのですが……これはどうしたことかっ!?
 キリカ選手、サラシを斜めに、たすきがけに巻いています!>

正面から見るとサラシは×字形に交差している。
右肩から左乳首を通り3周、乳房の下でアンダーバストを1周した後、右乳首から左肩へ再び3周。
本来ならしっかり固定できたはずが、斜めに巻いた分だけ巻き数は減り、ポロリの危険度は高まっている。

<普通は横に巻くところを、たすきがけにしたことで谷間は完全に露出!
 左右のおっぱいはそれぞれ独立し、ぽよんぽよんとダイナミックに揺れ動いています!
 これは視聴者へのサービスか、はたまた余裕なのかーっ!?>

赤組応援席で、その問いに答える者がいた。
「前者ね」
「どういうコト?リサコさん」
「あの子も単独グランプリ狙いってワケよ。赤組としての勝利より、一人だけきわどいカッコして読者票を稼ぐ方を優先したのね」
「そんなコトナイよ!キリカちゃんも赤組のメンバーとしテ」
「はいはい、ミシュランは良い子ねぇ」
純粋でまっすぐな金髪娘に、憐れみ混じりの視線を投げかける理冴子。
「でも別にキリカちゃんを責める気なんてないのよ。私もそうだし……ふ、ふ、ふ」

一方、白組応援席。
「ちゃうわ。どっちでもあらへん」
「どないしたん?芽衣ちゃん」
芽衣のつぶやきに、茜が尋ねる。
「ありゃサービスでもなければ、余裕でもあらへん。勝つための策や。アタシにはわからんけど、絶対に何か意味がある。キリカ姉ェはそーいう人間や」
「芽衣ちゃん、あのお姉さん知ってはるん?」
「幼なじみや。アタシの方が5コも下やけどな、大阪風と広島風でお好み焼き対決したこともある。完敗やったわ……」
言いつつ芽衣は、鉄板を前にお好み焼きを返すしぐさをする。
「アタシの空中4回転半に対して、キリカ姉ェは5回転を決めた…今思い出してもホンマくやしいわぁ」
「ちょっ、味で競わんのん?」
「そーいう勝負やないさかい」
「5回転やったら同じ面が着地してはるやん?半回転少ない芽衣ちゃんが正解どすえ?」
「スマン、アタシ算数苦手やねん」
またも漫才を繰り広げる関西コンビ。
「とにかく強敵やで……オセロもメンコも神経衰弱も、アタシ1回も勝てたことないねん」
「ひっくり返すモンばかりどすな」
「せや。『ひっくり返す』んがキリカ姉ェの十八番やねん。油断しとったらカンタンに『裏』をかかれるで!」
芽衣が真剣な表情でうまいことを言ったその時、

ザパーーーン!

「!?」
キリカに向けられていた視線が、突然聞こえた水音の方へ集まる。
「あ、温子ちゃーん!大丈夫―?」
唖然とする空気の中、声をかけたのは愛矢だった。

<おおっと!白組の温子選手、プールに転落!
 まだ試合開始前なので失格にはなりませんが、こんな調子で大丈夫でしょうかーっ?>

「ぷはあっ、大丈夫でーす。なーも問題ないっちゃー!」
浮上した温子は元気な声で返事をし、すぐさまプールサイドに上がる。
そして何事もなかったかのように、水を滴らせながらウォーキングを再開した。

「っちょおコラァ!試合前からなに油断しとんねん!」
年上に対しても遠慮なく、芽衣は檄を飛ばす。
「気ィ緩めんとシャッキリせんかーい!」
「あらあら、女の子がそんな乱暴な言葉遣いではいけませんよ」
「んっ?」
いきなり芽衣の目の前に、湯気の立った1杯の緑茶が差し出される。
指先までしなやかな手の主は、古風な和柄模様のワンピースに長い黒髪がよく映える、大和撫子だった。
「さ、お茶を召し上がれ。心が落ち着きますわ」
「お…おおきに」
呆気にとられた芽衣は、言われるがまま湯飲みを受け取る。
(この姉ちゃん、さっきからずっと正座で観戦しとるけど…ボケなんか?アタシ、ツッコんだほうがええんか?)

芽衣が判断に悩んでいるところ、横から茜が言葉をかける。
「お姉さん、たしか静岡代表の…」
「はい。安斎茶湯里と申します。20歳で白組の最年長ですが、よろしくお願いいたしますね」
茶湯里が丁寧な物腰で頭を下げると、たっぷりと乳肉をはみ出させているワンピースの胸元から、顔よりはるかに巨大なおっぱいが雪崩を起こしそうになる。
パストだけでなく、ヒップも相当なボリューム。今にも張り裂けそうなナイロン生地の織目がそれを物語っていた。
柔和でありながらどこか凛とした端正な顔立ちからは、実年齢以上に成熟した大人の魅力を感じさせる。
黒目がちな瞳はとても優しい眼差しだ。
その圧倒的包容力を前にした者は、どこまでも深い谷間に顔をうずめ、赤子のように甘えたくなるだろう。

静岡代表
安斎茶湯里(あんざい・さゆり)
20歳
身長 168cm
バスト 134cm(Tカップ)
ウエスト 62cm
ヒップ 96cm
支給水着 緑色の和柄模様ワンピース
特徴 心おだやかな年長者。もめ事が起こると、緑茶を勧めて落ち着きを促す。



(このお姉さん、ウチに似てはる)
茶湯里の姿を見て、茜は思うところがあった。
(いや……正しくは、ウチが目指すべきやった理想の女性像どすな)
上品な振る舞いと言葉づかいから推測すれば、彼女もまた良家のお嬢様なのだろう。
それなら、なぜこんな大会に出場しているのか?
(茶湯里さんもウチと同じで、家のしがらみに嫌気がさしたんかなあ…?)

「ところで芽衣さん、温子さんを怒るのは間違いですよ?なぜなら、プールに落ちたのは作戦だからです」
「なんやて?」
「サービスでもなければ、余裕でもありません。勝つための策です。今にわかりますわ。うふふ」
笑みを浮かべつつ緑茶をすする茶湯里。
「まっすぐな力のぶつかり合いだった先鋒戦とは変わって、知略と技巧の勝負になりそうですね」

さて、土俵ではすでにキリカと温子が見合っていた。
「早くもずぶ濡れたあ、難儀じゃのお」
キリカが指差す山の頂には、ほのかなピンク色が浮かんでいる。水をたっぷり含んだ純白の手ぬぐい。透けるのも当然だ。
「いい女だけん、水ば滴らせとるんよ。それとも、水着が濡れとっち何かあかんかえ?」
動じず不敵に返す温子。互いに強気。
「ふふっ、こすぃーのはお互い様かい。おもっしゅうなりそうじゃ」

<それでは次峰戦。はっけよーい……のこった!>

「やあっ!」
僅差ではあるがサイズ的に優勢な温子。すぐさま突進をしかける。
片方約2kgという乳房が二つ眼前に襲い来る迫力に、常人なら間違いなくひるんでいたはずだ。
だがそれを予見していたかのように、キリカは華麗な足はこびでくるりとかわす。
(はっ!)
気づけば一瞬で背後に回られていた。ブレーキをかけた温子は、同時に背中へのプッシュを警戒する。
しかし、キリカはおもむろに自分の乳房をむんずとつかみ…

ぎゅうっ!

<な、なんと!キリカ選手、背後から温子選手のブラをつかんだー!
 しかしこれは……>
臼井はズームアップされた木根カメラの映像を確認し、続ける。
<セーフですっ!相手の身体に手を触れたら反則、というルールですが、
 キリカ選手がつかんでいるのは、あくまで自分の胸。
 その谷間で手ぬぐいの一端をしっかりはさんでいます!>

「くっ!?」
背後からブラをつかまれている以上、うかつに動くのはポロリを招く自殺行為。
だが、ここは力まかせに振りほどくべきか?温子はとまどう。

白組応援席。
「なるほど。サラシをたすきがけにしてはったんは、このためやったんどすな」
「ええ。温子さんのブラをはさむため、あえて谷間を全開にしていたのです」
「ルールの『裏』をかいたっちゅーわけか。キリカ姉ェらしいわ」

五指が溺れる柔らかな乳肉の狭間で、キリカは手ぬぐいの結び目をグイグイ揉みほぐす。
本来なら、綿のタオル地は簡単にほどけるはずだが…

赤組応援席。
「むぅ〜…敵もかなりの策士でございますっ」
思わず声に出したのは三重代表、群竹詩乃。
不自然な「ございます」口調で話す、ちょっと風変わりな高校1年生である。
「シノちゃん、どうしたノ?」
後ろの席のミシュランがそれに反応する。明るく外交的な彼女は、すでに赤組全員とあいさつを済ませていた。
「はいっ、わたくし気づきましたっ。先刻、白組の温子さんがプールに落ちたのは、手ぬぐいを濡らすのが目的だったのです。乾いた結び目は簡単にほどけますが、水に濡らせば固くなりますっ」
「ナルホド!」
「加えて、濡れた布は肌にぴったり貼りつきポロリを防ぎます。敵ながら、一石二鳥の妙手でございますっ」
「おお〜!シノちゃん頭イイね」
「そ、そんな……これでも忍びのはしくれゆえ、存じ上げていた次第でございますっ」

確かに、忍者が濡れた手ぬぐいを用いて塀を登ったという説話は残されている。
そして詩乃は正真正銘、伊賀忍者の血を引く末裔。現代に生きるくのいちである。
普通に高校に通ってはいるが、その誇りと自覚を忘れたことはない。(ちなみに体育と歴史と書道以外、成績はあまり良くない)
ミシュランの称賛に謙遜しながらも照れ笑いする詩乃。忍びの素養を認められ嬉しかったのだろう。

「なるほど、水に濡れたタオルは粘性摩擦力が増す。吸盤の原理による真空圧着効果も期待できるわね」
隣で聞いていた理冴子の補足。さすがは科学者である。
「スゴ〜い、リサコさん何言ってるかゼンゼンわかんナイ☆」
「あの子、ただでさえキメ細かいピチピチした肌だしねえ……あ、別にうらやましいわけじゃないのよ?私が最年長だからって、若さに嫉妬するような女だと思わないで!」
「お、思ってナイよ……ところでシノちゃん」
「はい?」
「どうしテさっきカラそんなトコに隠れてるノ?」
「!」
そうなのだ。先鋒戦のときからずっと、詩乃は座席の後ろに身を隠している。そこから頭をちょっとのぞかせ、観戦していたのである。
「わっ、わたくしは…忍びの者ゆえ、カメラに映るのは…その…は、恥ずかしいでございますぅ…」
「ダメだヨ!そんなにシャイじゃアイドルになれないヨ?」
「そもそも、どうして応募してきたのよ?」
「わ、わたくしの上がり症を治すため…これも修行だと、母上が…」
「ホラ、いいカラ出てきテ。ちゃんと前に出て応援シなきゃ!」
ミシュランは詩乃の細い肩をグイッとつかみ、引っぱり出そうとする。
「あ〜れ〜!おたわむれを〜!」
「ふっふっフ、ヨイではナイか」
(ハーフのくせに、時代劇のお約束は知ってるのね)

そして、隠れていた詩乃の大きなバストが、むりゅんっ!と現れる。
(うわ、背後からもはみ出てたけど……この子すごい)
低い身長とのアンバランスと、扇情的な衣装が演出する迫力には、理冴子も瞠目を禁じ得ない。
一目で自分より、ミシュランよりも大きいとわかった。
Zまではいかないが、アルファベットも相当終盤のはず。

詩乃の水着は紫色のワンピース。
ただし、谷間からへそにかけて大きくV字にカットし、斜めに交差する紐によって網目状になっている。
漫画などでよく見る忍装束の、鎖かたびらをイメージしたデザインだ。
網目は本来正方形だが、二の腕の外側までせり出したバストによって、菱形に引き伸ばされている。
もちろん、全ての網目から乳肉がぷっくりと盛り上がり、巨大さと柔らかさを物語っていた。
150cmと高1にしては小柄な体格。しかし幼児体型というわけではなく、上半身を占領する乳房を持ち上げてみれば、きゅっとくびれたウエストを確認できるだろう。
スカート状のフリルの下に見え隠れする小さなヒップも、たまらなく愛らしい。
こんなにも刺激的な曲線美のカラダを隠してしまうとは。彼女の恥じらいはある意味、罪である。

三重代表
群竹 詩乃(むらたけ・しの)
15歳
身長 150cm
バスト 131cm(Xカップ)
ウエスト 51cm
ヒップ 78cm
支給水着 谷間部分が網目状の紫ワンピース
特徴 忍者の末裔。極度の恥ずかしがり屋で、物陰に隠れるくせがある。

(それにしても、さっき飲ませた試験薬、そろそろ効果が現れる頃だけど)
ミシュランのバストを横目で観察するが、まだ変化は見られないようだ。

そのとき周囲が不意にざわつき、3人は視線を土俵に戻す。
「あっ!」
しばらく膠着状態が続いていたが、いつの間にか温子はキリカをふりほどいていた。
Qカップバストを守る手ぬぐいは、心憎くも貼りついたまま。

「いいぞー温子ちゃん!ピンチ脱出だー!」
白組応援席から愛矢の声援。

「谷間ではさまれるとは思いもせんかったっちゃ。ばってん、この結び目は解かせんよ」
「まいったわ…そいだけ固とうなっちょると、ほどくのは無理かのお」
ところでキリカは豪気な広島弁で喋っているようだが、実際はかわいい声のせいで、凄みが行き場をなくしている。それが逆にギャップ萌えしそうだ。
「2度と背中はとらせんっちゃ!」

それから両者、ぶつかり合っては離れ、を何度か繰り返す。
積極的に攻めているのは、もはやポロリを心配せず動ける温子の方だ。
正面から組み合おうとする温子を、キリカはうまくかわしている。あくまで背後を狙うつもりなのか。
浮き島は大きく揺れ動き、チャプチャプとはねた水しぶきは土俵際を濡らしていった。
「…くっ」
ずぶ濡れの温子が動き回ったせいもあり、気づけば土俵は水びたし。
ただでさえ滑りやすいビニールが、さらに摩擦係数を下げている。
もはや乾いた足場は、今現在キリカが立っている位置しかない。

「…一石三鳥だったんじゃの。プールに落ちたんは、このためでもあったんか」
「そーいうこっちゃ。毎日風呂場で働いとるあたしにゃ、滑る足場は慣れっこだけん」
日頃から鍛えたバランス感覚によって、温子は無意識のうちにスリップを警戒できる。
滑る足場は彼女の独壇場。
キリカにしてみればまさに「相手の土俵」で戦っていることになる。
しかし、
「ふふふ……おもっしょい!こうなりゃアタシもイチかバチかの大技、使わせてもらうわぁ!」
キリカは覚悟を決めたように笑うと、改めて自らの両胸をがしっとわしづかむ。
そして、

<おーっとぉ!これは?
 キリカ選手、ジャンプを始めました!
 温子選手と距離をとったまま、その場で垂直跳びをくり返していますっ!>

サラシからこぼれないよう手で押さえながら、両足で地面を蹴る。
もはや乾いた足場はここしかないのだから、力強く!
当然、浮き島は激しく揺れ、上下に傾く。

白組応戦席。
「ず、ずるーい!相撲とらずに地震起こして、温子ちゃんを落とす気だ!」
憤慨する愛矢の目の前に、またもスッと差し出される緑茶。
「そんなにご立腹さなることはありませんわ。さ、お茶でも飲んで落ち着いてくださいな」
やはり茶湯里だった。(一体どこからお茶を出しているのかは、永遠の謎である)
「それに、キリカさんを責めるのも筋違いですわ。あれも一つの戦法ですもの」
「戦法?」
「せや。ルールを思い出してみ」
横から芽衣も会話に加わる。
「勝利条件は『相手をプールに落とす』、『相手の水着をずらしてトップを露出させる』、この2つのみですわ」
「裏をかえせば、マジメに相撲とらんでも勝てるちゅーこっちゃ」
「そんなぁ……でも、なんだかズルいよ!」
なおも不満な愛矢は、せめて心からの声援をおくる。
「がんばってー!負けるな温子ちゃーん!」

(もちろん負けないっちゃ!)
温子の耳にそれは届く。
(小さい頃から、ツルツル滑る温泉の岩場をひょいひょい歩いてきたけん。あたしのバランス感覚なら、どげー揺れようが絶対に落とされん!)

<さすがは温子選手。大地震の土俵上で、うまくバランスを取っています。
 それにしても、バストを持って飛び跳ねるキリカ選手は、あたかもその大きさを誇示するかのよう!
 ブルンブルンと波打ち、重々しく暴れ回るOカップの乳房!
 視聴者にとって、これは嬉しいサービスシーンだーーーっ!>

両腕を広げバランスを保つ温子は、ふとももにぴったり貼り付く手ぬぐいを邪魔に感じる。
タイトスカートのように窮屈で、脚を広げにくいのだ。
(!)
そこである作戦を思いつく。
「そっちがその気ならあたしも……ちょっとずりきー(ずるい)手、使わせてもらうっちゃ!」
宣言した温子は腰の手ぬぐいをほどき、キリカの足下めがけて投げつけた。
水を含んだそれは土俵にぺちゃっと着地する。

<温子選手!下の手ぬぐいを投げたーっ!
 おそらくはトラップ!キリカ選手に踏ませ、転ばせるつもりだったのしょう!
 だが惜しいっ、着地点はだいぶ外れてしまったー!>

(ちっ、こげー揺れとうと狙いば定まらんっちゃ!)
確かに臼井の見立て通り、温子はキリカに踏ませるつもりで投げた。
だが、落ちたのはキリカからやや離れた場所で、設置は失敗に終わる。

一方、手ぬぐいが外され露わになったビキニパンツのヒップ。
(この子……お尻もすごく綺麗。本当に張りがあってスベスベしてそうだわ)
ファインダー越しにも伝わる質感とツヤを、渚のカメラは逃さない。

キリカはなおも懸命にジャンプを繰り返す。
こちらも、よくここまで足を滑らせずにいるものだ。
バストに隠れて足下が見えないため、手ぬぐいを設置されていたら、とても危なかった。
(くうっ、まだ転ばんか…粘るのぉ…)
ハアハアと息切れするキリカ。左右で約4kgの乳房を持ちながらのジャンプは、相当の疲れを伴う。
(こうなりゃ、さらにイチかバチかじゃ!)
力強さを増したキリカの跳躍で、揺れはさらに激しくなる。

「なあ芽衣ちゃん、『ひっくり返す』んがキリカはんの十八番や言うたよね?」
「せやけど?」
「もしかして……ひっくり返すつもりやろか?」
芽衣は、茜が言わんとしていることにハッと気づく。
「ど、土俵をか!?んなアホな!自分もタダじゃ済まへんで。相打ち覚悟や言うんか?」
振り向いた芽衣が一瞬土俵から目を離した、その時、

バッシャアアアン!

次回、決着!