俺は昔から、性欲がすごく強かった。
だから、高校に上がって手に入れたこの能力は、神様が俺にそのドロドロとした劣情を有効活用するように与えたプレゼントなのだろう。
俺は誰にもこの能力について話すことなく、1人でそう確信している。
『能力』
1、世界に存在する万物を想像できる限り自由に作り変えることができる。
2、この世界に存在しない物質、起こっていない事象を想像できる限り自由に想像・実現することができる。
3、上記を行った時、「それが当然である」と指定した人間(0〜複数人)の認識を改変させることができる。
4、使用した人間は死ぬ事が出来ない。
「さて、次は何をしようかな」
放課になり、俺は廊下に出て通り過ぎる同級生の顔をジロジロと見ながら歩いていた。
勿論、俺が何をしても怪しまないようにしているため、どれだけ見つめたとしても、誰も何も言ってこない。
しばらく物色していると、一人の教師が俺の横を通り過ぎて行った。
俺は、思わず声をかける。
「あ、橘先生」
俺の声に振り返ったその教師は、実に地味な容貌をしていた。
平たい顔をして、体つきもぽっちゃりとしている。どこにでもいそうな地味な女だ。
確か新任だった気がするから、20代前半のはずなのだが、若々しさは全く感じられない。
「ん、どうしたの? えぇと…」
「梶です。いえ、ちょっと気になっていたことがあって」
「あら、何か授業で分からない事でもあった?」
「いえ、先生のことについてなんですが」
そう言うと、橘は首を傾げた。
「え、私何かマズい事でもしたかしら?」
「いや、やっぱり先生はすごく綺麗な顔をしてるな、と思いまして」
「あら〜、急にどうしたの?でもありがとうね」
そう言って俺に笑いかける橘の顔は、テレビの向こうでしか見れないような、絶世の美女のものに変わっていた。
「それに、すごくスレンダーで背も高いですし」
俺の言葉に呼応して、背は一般男性程にまで伸び、贅肉のついた体はモデルのように細くなる。
スーツもそれに合わせてビックサイズになり、スタイルの良さが際立った。
「胸なんかも大きいじゃないですか。今何カップなんですか?」
橘は人差し指を艶かしい唇に当て、数秒黙り、答えた。
「えーっと、確かFカップだったかな?」
橘がそういった途端、胸は膨らみだし、言葉通りのFカップにまでなった。
だが、俺はその程度では満足しない。
「嘘だぁ、もっとあるんじゃないですか?ほら、もっとしっかり思い出して」
「えぇと、F、G?もっと大きかったかしら?」
大きなサイズが言われる事に、橘の胸はどんどん大きくなっていく。
しかし、まだ足りない。
「いやいや、Kカップとかでしょう、どう見たって」
「……うん、そうよね。私ったら何を言ってたのかしら」
緩やかだった膨張は、一気にハイペースになり、遂には腰の細さにはアンマッチな程に大きい、爆乳と呼べるほどにまでなった。
スーツのボタンは上から順にプチンプチンと外れていき、谷間が隙間から見えてしまうほどになっている。
「それに、お尻もすごい大きいですよね。100cmとかあるんじゃないですか?」
「えぇ、本当に困ってるのよね〜、ここまで大きいと」
キュッと引き締まった臀部は見る影もなく、スーツを引き裂いてしまいそうなくらい、パンパンに膨れている。
俺はボンキュッボンな体型に作り変えられた橘に、追撃を仕掛けるように言葉を繋ぐ。
「あと、これは噂に聞いた話なんですけど、先生がちょっと触られただけで感じるくらい敏感で、とんでもない淫乱だっていうのは本当ですか?」
すると、橘の表情は見る見るうちに蕩け、媚を売るような喋り方に変わった。
「そうよぉ、先生はすぐに感じちゃう、す〜ごいヘンタイさんなのよぉ」
腰を誘うようにクネクネと動かし、過剰に顔を近づけてそう言う橘は、どこからどう見たって痴女のそれだ。
続いて何を言おうかと思っていると、廊下に予鈴のチャイムが鳴り響いた。