千々山村自然教室

唐鞠 作
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「ふにゃぁああ!?♥」

突如襲われた刺激に嬌声を上げ、ヘラヘラと笑っていたギャル顔を一変させられるチホちゃん。
ダブついた体操着に隠れていた胸のフォルムが今、明らかになりました。
指のめりこみ具合が証明するパッドの不在。やはりIカップがキツいというのは本当だったようです。
(あ、これ確実にわたくしの負けですわ)

さらにそのまま、白烏様は繊細な指でおっぱいを弄びながら上下にシェイクします。
そんなことをすれば、水風船のようにタプンタプンと波打つとお思いでしょう?
でも実際は違いました。
バストは重々しく上下するものの、半液体のようなプルプルした振動を見せません。
理由がお分かりでしょうか?
つまり、あれだけ大きな膨らみでもなお「ぎっしり詰め込まれた」状態だからです。
「揺れない」ことが逆説的に、ボリュームの膨大さを物語っているのです!

「やッ!?いにゃっ……何か、いるゅ〜?♥」
ここまでされて気付かないのですから、チホちゃんは本当に見えていないのでしょう。

白烏様の執拗な攻めに身をよじらせるチホちゃん。
何度も肩をすくめ上下させた結果、少しずつ水着の肩紐がずり下がっているようでした。そして!

ぱゆんっ!
「みゃッ?♥」

体操着の中で、片方のおっぱいがはじけてしまったようです。
そこでようやく放たれる、ぷるんぷるんの半液体的バイブレーション!

それに満足したのかニヤリと妖艶に笑う白烏様。
ようやく手を放すと、チホちゃんはひどく不格好な、それでいて煽情的な姿に「仕上がって」いました。

「はァ……はァ……♥」

荒い呼吸に上下する体操着の胸元。大きな膨らみの斜め上に、さらに一回り大きな膨らみが発生しています。
それこそ、哀れにもこぼれ落ちてしまった片乳。
スク水の圧縮から解き放たれた、本来サイズのおっぱいでした!

「チホちゃんっ!大丈夫!?」
「せ……センパぁい……アタシ、さわられた……“何か”に……おっぱいもまれたぁ」

目の前で繰り広げられた艶めかしい惨劇に、わたくし達は言葉を失っていました。
そこでついに、初めて白烏様の声を聞いたのです。

「ほお……ワシの姿が見えるか……ヌシら外から来た童(わっぱ)どもじゃな?」

うわー、ロリータ系の声優が老人キャラを演じてるような、あざとい違和感。
そのベタなセリフで、わたくし悟りました。
こんな漫画みたいな展開ありえません。リアリティがなさすぎますわ。
つまり、

(あ、これ夢ですわ☆)

やったあああああ!ここまでの出来事、全て夢オチ!
すなわち、わたくしの敗北もオールリセット。日本一の座に返り咲きですわ。ざまぁ!
んもう、イヤですわね♥こんなエッチな夢を見るなんて、わたくし欲求不満なのかしら?
目を覚ませばきっと、まだ千々山鉄道の座席に揺られているのでしょう。
(でも、せっかく仲良くなった皆とお別れは寂しいな……)

もはやこの現実を見限ったわたくしですが、ほっぺたをつねっても夢は覚めてくれません。
一方、白烏様はあまねちゃんを指さして、まだ何か言っています。

「そうさの……弱肉強食は自然の掟。そこの童の言うとおりよ」

えっ、まだその話題?

「ヌシらが殺す鶏は、ヌシらの家禽……山鳥の長たるワシの知ったことではないわ。勝手にせえ」

ていうか、わたくし達さっき一羽のツバメを救ったんですけどー?(主にいつきちゃんが)
山鳥の長なら、お礼でも言いに来てくださったんですの?

「……じゃがのぉ」
白烏様は深い瞳を妖しく光らせ、ユラリとこちらへ歩み寄ってきます。

「弱肉強食と言うならば、ワシが、」
そして震えるいつきちゃんの眼前に迫り、恐怖する様を覗き込むように顔を近づけました。

「ヌシらを食ろうても、自然の掟よなァ!!!?」

「きゃああああああああああーーーーーーーーーーッ!!!!!!!!!!」

最後、声を荒げて凄みを効かせた白烏様。
しかし、いつきちゃんの絶叫で全てが終わりました。
立派な体格から放たれた大音声は、わたくし達の耳をビリビリと震わせ、周囲に山彦となってこだまします。
すると当然、びっくりして倒れるさやちゃん。その手には「ドッキリ大成功☆」と書かれたダンボールフリップが。

「「「ドッキリぃ!?」」」

そう、全てはわたくし達を驚かせるためのイタズラだったのです。村の子全員に、仁科さんまでグルだったというわけ。
そして……

(やっぱり現実だったーーーーー!!!)

ようやくホッとした皆をよそに、一人ショックを受けたのは、わたくしです。
あろうことか、白烏様の役を演じていた子は6年生!
白装束の上から見ても、そのバストは確実にIカップありますから……
つまりわたくし、3位転落!

(くぅうううーーー!同じ日に2度も敗北を味わうなんてッ!)
「あの〜、ルミさん大丈夫っすか?涙出てますけど」
「ええ、白烏様の演技があまりに怖くて、ちょっぴり泣いちゃいましたの」
ごめんなさい進太くん、ウソです。

「なーんだぁ。本当に妖怪だったらナツが退治してやったのになー」
とか言いながらアイアンクローの動作をするナッちゃん。
さては、おっぱい揉んで退治するつもりでしたわね?

「ふー、暑かった」
白烏様が銀髪のカツラを外すと、元の髪形はおかっぱ。
今度は見るからに“座敷わらし”で、結局妖怪のイメージは離れません。
童顔なのに、ちょっとツリ目なせいで老獪な印象に見えるのかしら?
百年生きてるような妖しい笑みも、元々のものでした。

「というワケで、はじめまして。シロガラス改め、千々山小6年の奥野かえででーす」

「やるじゃーんカエデ、名演技だったぜぇ?」
「いぇー☆」
かえでちゃんとハイタッチを交わすチホちゃん。
そのまま流れるような動きで背後に回り、かえでちゃんのバストをわしづかむ!

「けどアタシの胸、揉みすぎなんじゃー!」
「んふぁンッ?♥」
「ほれほれ、お返し〜♪」
「やっ、ちょっ、やめっ……この下、何も着てなッ、あーッ♥」

どうやら2人はおっぱいを気軽に揉み合える関係。とても仲良しのようです。
後から知ったのですが、この時かえでちゃん下に何も着ていなかったとか。(白装束だとスク水が透けちゃいますからね)

「……私のママが見てなくてよかった」
少女同士の過激なスキンシップを眼鏡に映しながら、あまねちゃんがつぶやきました。

「ねえ竹上さん、この村では友だち同士ああやっておっぱい触ったりするんですか?」
出た!ナッちゃんのド直球質問。
「ん〜どうかな?まあ、あの2人は特別だけど。そんな珍しいことでもないし、普通かな」
「そうですか!すっごくいい村ですねっ☆」
ナッちゃんこそ、今すごくいい表情ですわよ。

「う〜……ドッキリだいせいこうのカンバン、出せなかった……くやしい」
ああもう!かわいいなぁ、さやちゃんは☆

「けど、ビックリしたぜー。カツラなんていつの間に用意したんだ?」
「そうよ。打ち合わせのときは無かったじゃない。見えないフリするの大変だったんだから」
あら?亮平さん、竹上さんにとってもサプライズだったようです。

「あ、コレねー。川原にいたお姉さんが貸してくれたんだ」
「この辺りじゃ見かけない人でしたね」
「変わったお姉さんだったよねー。ハデなTシャツ着てたし、自分のこと『ボク』とか言うし」
「川原で石を探してたんだよな」

「石を?」

「おう。で、オレらも梁漁の準備が終わったからヒマでよ、探すの手伝ったんだ」
「白くて珍しい石だったけど3、4個は見つけたよね」
「そしたらスッゲー感謝されてさぁ、アタシらのドッキリ計画話したら、『ぜひ使ってくれたまえ!』って、このカツラ渡されたのよ」
「一応、遠慮したんですけどね。石を見つけてくれたお礼にどうしても!って言うものですから」

「ふ〜む、何やら変わった人物が出没してるみたいですわね」
「東京なら不審者情報が回る案件だよ?これ」
「まあまあ、あまねちゃん。ここは平和な村ですから、世知辛いことは言いっこなしですわ」
たぶん地質調査か、鉱石コレクターの人でしょう。(なぜカツラを持っていたかは謎ですけど)

「じゃあ私、そろそろ行くね」
「えっ、小瀧さん帰っちゃうんですか?」
「うん。だって私、参加者じゃないよ。アイスを差し入れに来んだもん」
そういえば一人だけ、水着に体操着じゃありませんでしたわね。

「県外の人に試食してもらえて良かった。ありがとねっ☆」
笑顔でぺこりと礼をする小瀧さん。立ち上がってクーラーボックスを肩にかけました。
たすきがけですから当然、パイスラによって形のいいHカップが浮き彫りになります。
(うわあ、やっぱり小柄な体格だと映えますわね)
セクシーとキュートをいいとこ取りした、なんともズルいボディですこと。

「ところで仁科さん、あの……」
「ああ、林くんなら事務所に戻ってるわよ。今一人だと思うから、渡して来るといいわ」
「え……」
「あるんでしょ?本・命・スイーツ♥」
「ちちちち違いますからっ!試食してもらうだけ!大人の男性の意見も聞きたいだけですからッ!」

頬を赤くして否定する小瀧さんを、仁科さんと竹上さんはニヤニヤ眺めていました。
あー、つまりそういう事ですのね。
(林さん……犯罪者になりたくなければ、あと6年はガマンですわよ)

小瀧さんを見送って、一波乱あったおやつ休憩も終わりました。
ここからは午後の部。女子は魚捕りのために、水着に着替えて川原へ集合です。

「うっわー、いよいよかー」
「緊張するなー」
一方、地鶏の解体をひかえた男子とは別の班になります。

「あっ、男子のみなさん、これから鶏を絞めるなら水着のままがいいかもですわよ」
「どうして?」
「服を汚さずに血抜きをするの、本当に大変ですから」
「へ、へえ〜……詳しいじゃん、お嬢様」
「だってわたくし、やったことありますもの。去年のクリスマスに、七面鳥で」

「「「ええーーーっ!?」」」
あら、驚かれちゃった。まあ意外でしょうね。

「な、なんで?ルミさん、お嬢様なのに!」
ナッちゃんの疑問に答えるため、お父様の言葉をそのまま引用しましょう。(わたくしにとってもショッキングな体験でしたから、よく覚えていますわ)

「お父様に勧められたんですの。

『かつて屠殺は身分の低い人々の仕事だった。人間全体で負うべき業を特定の層に押し付けるのは醜いことだ。だからルミ、お前も一度でいいから経験しておきなさい。自分が手を汚さずに済む高い身分にいるなんて、決して思ってはいけないぞ』

……ってね」
少し変わってるけど、そういう人なんです。わたくしのお父様は。


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私は自分を裕福だとは思っていない。
娘の家庭教師を兼ねた家政婦を住み込みで雇えるほどの財力があっても、だ。
なぜなら富裕層を自覚したが最後、仕事上必要なスキルを失うからだ。
庶民感覚。それこそが市街地開発コンサルタントに最も欠かせないと、私は考える。

だからこうして地方の商店を巡り歩くのが、私は大好きだ。
地元の生活に思いをはせ、郷土愛をも共有できてこそ、初めて良い仕事ができるのだ。
住人は大きな変革を決して望まない。
だから開発者も「今の暮らし心地を残しつつ、ちょっとだけ便利」を心がけねばならない。
町の発展とはその積分だ。

さて、今頃娘が楽しんでいる自然教室、私は「一身上の理由」で保護者としての参加を遠慮させてもらった。
何せ、よそのご令嬢も参加するからな。趣旨は理解している。成人男性はいない方が望ましいだろう。
娘には「別の用事があって」と言ったが、それは他でもない、この散歩だ。
私の勘が正しければ、この村は発展につながる何らかのポテンシャルを秘めている。

数による賑わいとは違う。牧歌的と言うか……上手く言語化できないが、「生」を謳歌する伸びやかな雰囲気。これが現代にはなかなか無いものだ
さすがに僻地すぎて住人を呼び込むのは至難だろう。
だが、観光地としてならどうか?あるいは、有名ブランドになり得る特産品が埋もれていないか?
それを探し出すのが私の仕事であり、楽しみ。越出馬勝矢のライフワークなのだ。

千々山村について調べただけでも、いくつか有望な点が見つかった。
まず、財政状況はすこぶる健全。交付金に依存する自治体が多い昨今、これは素晴らしいことだ。
農林業・観光業が税収を支えている。自営業には定年退職がないから、おそらく高齢者も元気に働いているのだろう。
歳出における社会保障費の割合も、一般的な地方都市よりむしろ小さめだ。

そして4年前に、中学校が小学校の隣に移転している。
事情は推察できる。冬になるとこの辺は豪雪地帯だ。自転車通学ができなくなると、車で送り迎えをする家も多いだろう。
となれば、きょうだいを同じ場所に届けられた方が良い。合理的判断だ。
理科室や家庭科室などの特別教室を隣の小学校と共有することにより、最低限のコストで中学の新校舎を建てている。
これも少子化地域ならではの大胆な工夫。がっついたゼネコンの食指が伸びていない証拠でもある。

(……良い村だ。やる気がふつふつと高まってきた)

止まったエスカレーターを上って2階に着くと、長イスで休憩する一人の青年が目についた。
違和感の正体は彼の服装だ。あまりに村のイメージと合わない。
(この真夏にリクルートスーツなんて、就活生だろうか?)
彼は1階で購入したのであろうペットボトル飲料を頬に当て、涼をとっていた。

********

就職試験を無事終えて、緊張の糸が緩んだのかな?
浮かれた俺は「久しぶりに帰ってきた故郷、実家まで歩いてみるか!」なんて気まぐれを起こしてしまった。この服装でだ。我ながらバカな判断だった。

そして炎天下に耐えかね、懐かしの店“かしの”に立ち寄ったのだ。
1階で飲み物を買い、今は2階の休憩スペースで休んでいる。
(あー……涼しい)
火照った体に冷房の心地良さを感じながら、昨晩の旧友との電話を思い出す。



「よーお中山。帰って来てたのか」
「うん。久しぶりだなあ加藤。ところで明日、時間あるかな?」
「明日?おう、特に何もないぜ。天気よさそうだからトマト収穫するかなーって考えてたけど」
「助かったぁ!実はさ……」

「何ぃ、就職試験のために役場まで送ってほしいだぁ?」
「頼むよ。俺ん家がバスの行路から離れてるの知ってるだろ?」
「甘えんじゃねー。都会に行って足腰まで軟弱になったか?チャリをこげチャリを」
「そのチャリが壊れちまって、今夜中に修理できそうにないんだ」

「だったら、お前の姉ちゃんに送ってもらえばいいだろ」
「姉貴の運転、殺人的にヘタなんだよ。免許受かったのが間違いって思えるレベルで。あんなんに乗ってったら真っ青な顔で面接に臨むことになるぞ!」
「ぷっ!マジメくさってたお前も、ちっとは面白いこと言うようになったな」

「なあホント頼むよ。いい仕事紹介するからさ」
「はあ?なんで就活中のお前が仕事紹介する側なんだよ。逆だろフツー」
「まあ聞いてくれ。実は、明日だけ頼みたいバイトがあるんだ。謝礼は3万円」
「マジか!?一日で3万はでけーな」
「だろ?俺を役場まで送るのは、そのついででいいんだ」

俺は事情を説明した。
大学で、医学部の女子生徒が千々山村を調査したがっていること。
そして、どうやってか俺が出身者であることを知り、強い希望で帰省に同伴してきたこと。

「同伴って……おいおい、それお前のカノジョじゃねーの?」
「いや、決してそういう関係じゃない。彼女はあくまでこの村を調査したいだけだ。すごく研究熱心でね。農作物とか畑の土、鶏の飼料、あと温泉の成分も調べたいって言ってたぞ」
「ふーん。リケジョの考える事はわかんねーな」
「そうしたサンプル採集や、村人への聞き取り調査のために、車でいろいろ案内してほしいって。その報酬が実費込みで3万円」
「さすが医学部だけあってリッチなお嬢様だな。ちなみにどんな子だ?美人か?」
「ああ。名前は志木沢ミレイさん。知的な顔のクール系美女だよ。背もスラッと高くて、あと胸が小さい」
「引き受けたァ!!!」

よし!加藤ならそう言うと思った。
あいつの好みが胸の小ぶりな女性なことは知っている。(俺と同じく)

「よかった。じゃあ俺を送るのもお願いできるな?」
「任せろ!ジャマ者のお前はさっさと降ろしてやる。その後俺が一日エスコートして、千々山の魅力を余すことなく伝えてやるぜ!」
引っかかる言い方だが、まあいいだろう。

「うっわー、都会の女性とデートなんて初めてだぜ〜。何着てこうか?夏でもノーネクタイじゃ失礼かな?」
「いや作業着でいいだろ。彼女は農家としてのお前にもインタビューしたいんだぞ?」

かくして今朝、約束どおり加藤はミニワゴンで俺の実家に来てくれた。

「なんだよ!俺には作業着でいいっつっといて、自分はスーツで好印象かよ!やっぱおめー志木沢さんに好かれようとしてんな?」
「落ち着けって!就活なんだからスーツ当たり前だろ!」

朝から疲れる漫才をこなした後、次に向かうのは温泉街。ここで旅館に泊まっている志木沢さんを拾う。

「はじめまして。この村で農業を営んでおります、加藤康太郎です」
見たこともないほどキリッとした顔で自己紹介する加藤を見て、俺は思わずふき出しそうになった。

「△△大学医学部4年生、志木沢ミレイと申します。本日はよろしくお願いします」

声からして怜悧な印象。礼儀正しさの中に一片の媚びも感じられない。
強い意志が彼女を動かしているのだろう。研究への真剣さがうかがえた。
釣りに持って行くようなクーラーボックスは、農作物のサンプルを採集するためのものだろう。
それをたすきがけにしているのに、夏用ブラウスにわずかな隆起も見られない。パイスラで強調できないほど真っ平らなのか。すごいな。
(この村じゃ逆に目立つだろうなあ)

加藤は一目見てデレデレしていたが、正直なところ俺は彼女をそこまで魅力的に思わなかった。
(ぺったんこな胸は理想的なんだけど……個人的には美人よりも可愛い系が好みだし。一緒にいて楽な感じじゃないんだよな。ピリピリしてるっていうか、自分自身に不満があるのかな?)
まあそれも、千々山の大自然が癒してくれることを期待しよう。



そして、次に向かった役場で俺は降ろされた。その後2人がどこを巡っているかは知らない。
(加藤ずいぶん舞い上がってたけど、うまくやってるかなあ……)
ぼーっとそんな事を思い出していると、

「お休みのところすみません。少しお話よろしいですか?」

突然聞こえた渋い男性の声。視線を上げると、長身の中年男性が立っていた。
カジュアルな服装でも仕事ができるオーラを隠しきれていない。おそらく有能なビジネスマンだ。
そんな男が“かしの”の2階に何の用だろう?

「突然申し訳ない。私は観光客ですが、この村について教えていただきたいのです」

つづく