千々山村自然教室

唐鞠 作
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おもむろにめくり上げられたポロシャツの下から現れたのは、シンプルな水色のブラ。
その容量たるや、「ホットケーキを2〜3人前焼くならこのくらいのボウルじゃなきゃね」ってレベルです。
見た感じスポーツブラでもなさそうなのに、合計8kg超の重量を体操中もしっかりホールドしていた性能。どんな技術で作られているのでしょうか?
今やそのホックも1つずつ外され、「完全開放」の時が刻一刻と近づいています。

仁科さんの着替えから目が離せないわたくしとあまねちゃんは、ドキドキしながら息をのみました。
「おぉ……おぉ……」
ナッちゃんに至っては、砂漠を3日さまよった旅人がオアシスを見つけたような表情で、両手を前に伸ばし今にもゾンビ歩きしそうです。(わたくしは「落ち着け」とばかりにそれを片手で制していました)

そしていよいよ、巨大なカップが外されます!

たぷんっ

聞こえたっ!わたくしの耳は今確かに小さな音を拾いました!
驚きですわ。Rカップともなると本当に音がしますのね。
「たぷん」が擬態語でなく擬音語になるってどんなんだよ!って思いますが、相当なサイズと弾力を兼ね備えてこそ成し得る業でしょう。

ついに一糸まとわぬ姿を晒した仁科さんのバスト。そのフォルムの美しいこと!
支えを失ってなお垂れ下がらない乳房の張り・ツヤ。
絶妙に上向きに位置する乳輪の形・色・大きさ。
全てが均整の下に「美」として統一されており、感動に涙すらこみ上げそうです。
もともと胸以外も完璧なスタイルなのですから、まさにこれは最後のピースが揃った画竜点睛の瞬間!わたくし達にはまだ遠い、アダルティな魅力を見せつけられました。

「〜♪」

そんな感動など知る由もなく、仁科さんは鼻歌まじりに水着を装着していきます。
バッグから取り出したのはセクシーな黒ビキニ……と思いきや、タンクトップ型だったのでむしろスポーティな印象。
そこへ、片手では到底つかみ切れないおっぱいをかき集め、豪快にぎゅうぎゅう詰め込んでいきます。仁科さんの繊細な指は、弾力に満ちた乳肉に埋もれほとんど見えなくなっていました。

(す、すごい……っ)

あ、状況説明が遅れましたがここは女子更衣室ではありません。普通教室です。
というのも、この建物は旧・千々山中学校を利用した林業基地。働く人はほぼ全員男性で、女子更衣室は長年使われないままホコリをかぶった状態にありました。
そこで、普段ミーティングなどに使用している普通教室のひとつを女子更衣室として間に合わせたのです。
えー、つまりですね……
この時の仁科さんは「学び舎で大人の女性が裸になっている」という背徳的なシチュエーションも相まって、なんだか……その……とてもエッチに見えたんですの。

「な、なーによぅ? そんなに見つめてくれちゃって。はずかしいじゃない」
やっとわたくし達の熱視線に気付いた仁科さん。
それにドキッとしたわたくしは、バツが悪そうに照れ笑いを返すしかありませんでしたが、

「仁科さんのおっぱい、すごい! 大きくてとてもきれいですっ!」
「そう? ウフフ、ありがとっ」
こんなときも率直に偽りない感想を述べるナッちゃん。このまっすぐな生き方、見習うべきかもしれませんわね。

「ルミちゃん、私たちも早く着替えなきゃ」
「そ、そうですわね」

あまねちゃんに促されバッグを開くわたくし。ここで選択を迫られます。
(さあ……どちらを着るべきかしら?)



時はさかのぼり、出発前のこと。
旅の荷物を準備していたわたくしに、家政婦兼家庭教師のヨシミさんはこう言いました。

「お嬢様、スクール水着を持って行かれた方がよろしいかと」
「えっ、どうして? せっかくこの新しいビキニのお披露目かと思ってましたのに」

今年新調したGカップの三角ビキニ。
色はパステルパープルで、キュートなデザインの中にも一さじの妖艶さを含んだ、まさにわたくし好みの一品。(とはいえ、メーカーもこれを着るのが小学生とは想像しないでしょうけど)
旅先で出会う子たちに、これで強烈なインパクトを残してあげようと考えてましたのに。

「お嬢様の考え、よくわかります。そのビキニなら殿方に限らず、どなたの視線も引きつけてやまないでしょう」
「フフン、そ・れ・が・狙いですのよ☆」
得意気に胸を張るわたくし。このバストを自慢に思っていることはヨシミさんが最大の理解者です。

「しかし参加なさるのは自然“教室”です。他のお子様方が皆スクール水着だったらどうなさいます?」
「別に構いませんけど? わたくし一人だけビキニで目立ってしまっても」
「あらあら……それではどちらの手柄かはっきりしないではありませんか」
「てがら?」

「お嬢様が浴びる視線は、その小学生離れした肉体ゆえか? それとも単にセクシーな水着の手柄か?」
身振りを加えて説明するヨシミさん。彼女の言わんとすることが分かりました。

「なるほど。同じ条件でこそ魅力は証明される……一理ありますわね」
「お嬢様のお胸はスクール水着でも十分すぎる存在感でしょう。何せDカップの私を小4にして追い抜いてしまうほどですからね。自信をお持ちなさいませ」

実はわたくしのスク水、既成品が入らないので去年特注したものです。
小5当時はFカップでしたが、すでに身長も割と高かったので、パッと見たカスタム感はそれほどでもありません。(もし低身長用のスク水を胸だけ拡張していたら、すごいインパクトでしょうけど)
考えてみたら、「特注のスク水」というのはなかなか魅力的なキラーワードに思えてきました。

「悪いことは申しません。念のため、どちらも持って行かれることをおすすめしますよ」



と、そんな風に言いくるめられ、わたくしは両方の水着を用意していました。
しかし実際、周りを見てみるとスク水を着ている子はいません。
(ヨシミさんの予想、珍しくハズレでしたわね)

まず、いつきちゃん。小3とは思えない170cmの長身をブルーの競泳用水着に包んでいます。
まあ彼女の場合、「スク水が着れなくてもしょうがないよね」と誰もが納得せざるを得ない発育ぶりですから。当然と言えば当然でしょう。
身体の側面を走る白いラインが際立たせるのは、しなやかな流線型ボディ。
Fカップのダイナミックな盛り上がりもさることながら、キュッと上がった状態で収まった90cm近いヒップもプリプリの弾力を伝えてきます。
年齢に反比例したアンビリーバブルな肉体美をナイロンの光沢が艶めかせていました。

竹上さんも、仁科さんと同じスポーティ系。セパレートタイプです。
色は紺で、ちょうどスク水のおなか周りをカットして上下に分けたような、初めて見る水着でした。
Mカップともなれば既成品ではないのでしょう。身体からどーんと突き出した標高20cmの山はブラ着用時とほぼ変わりありません。
おなかを露出することで強調されたウエストのライン。肉付きの程良いヒップとの落差も相まって、全体的なプロポーションは見事の一言です。
体幹を横にはみ出して成長しているおっぱいは、ちょっと動作するたび二の腕に触れ、重々しく揺れていました。

そしてさやちゃんですが、これがもうすっっっごくかわいいの!
色はライトグリーンで、短いスカートが付いたワンピース。まさにティンカーベルのカラーリングで、フェアリー感が半端ねえ!ですわっ♥
もともと色白なため、北欧のバレリーナのようにも見えます。神秘的美少女の魅力を最大限引き出した水着でした。
そして細身から実らせているのは、みずみずしいFカップの果実!
小3という若さが保証する、すべすべぴちぴちした質感が伝わってきます。
完全な丸みを帯びたまま前方へ突出しており、恐ろしいまでの成長余地を予感させました。
先ほどの「果実」という表現、やはり訂正すべきでしょう。あんなに大きくても、あれはまだ「つぼみ」なのです。

「うっわー☆ さやちゃんの水着すっごくかわいいね。きみどり色似合ってるっ!」
ナッちゃんもさやちゃんの水着姿を賞賛します。が、

「きみどり……?」
「あ! ごめん」
うっかりしてました。彼女は生まれつきの完全色盲。
「ううん。ありがとう……うれしい」
だけどそんな事は慣れっこなのでしょう。ナッちゃんのまごころは伝わりました。

「ナツさんの水着もすてき……ひまわりのもよう、かわいいね」
「へへー☆ いいでしょ。でもちょっとコドモっぽいけどね」

いやいやいや! 問題そこじゃないから!
ナッちゃんの水着は、ヒマワリの柄がプリントされたオレンジ色のワンピース。
日焼け跡の鮮やかな健康的ボディの中でも、Eカップの盛り上がりは特に目を引きます。小4という学年に不釣り合いなほど布地をぴっちり張りつめていました。
しかし「やっちまった感」があるのは下半身の方で……

「ナッちゃんその水着……サイズ合ってますの?」
「いやー、おっぱいに合わせて選んだから。下半身ちょっとブカブカなのはしょーがないよね」

えー!? 優先順位そっち?
ナッちゃんの未成熟なヒップは70cmほどしかなく、摩擦で水着を固定することも叶いません。何かの突起に引っかかれば、たやすくペロンとおしりを露出させてしまうでしょう。
それだけならまだしも、あれだけ緩いとデリケートゾーンチラ見えの危険があるのでは……?

「これ、2〜3年は着る見込みで買ってもらったんだ。ナツもこれから身長ぐんぐん伸びて、ルミさんみたいなナイスバディになる予定だから!」
「そ、そう……ありがと」

そういえば、行きのバスでも「電車の中でブラ脱いじゃった」って話してましたし。
天性の元気っ子・ナッちゃんは窮屈なのがとことんキライな性分なのでしょう。
しかし、上半身の豊満さと下半身の幼さを同時に強調する「ブカブカ水着」の破壊力は相当ですわね。ある意味、ナッちゃんのアンバランスボディを最も引き立てるチョイスかもしれません。

さて、ここまで皆の水着姿を実況してきたわたくしですが、その間にも脱衣は進めています。

下着姿の今になってやっと、どちらを着るか決まりました。
(やはり皆さんプライベート水着で臨んでいますわね)
ならばわたくしも遠慮なくビキニでしょう。よりによってお嬢様だけがスク水ってのも滑稽ですし。

その時です。
「あまねちゃん! どうしたのそれっ!?」

「?」
背後で突然聞こえた竹上さんの声に振り向くと、衝撃の光景。

「こんなにキツく締めつけて……ひどい。跡がついてるじゃない!」
下着姿のあまねちゃんに、竹上さんが心配そうに寄り添っていました。
驚くべきはあまねちゃんの胸元。シャツの上からDカップと見積もっていたそれは、まさかの大誤算だったのです。

(―――――ッ!!!!!?)
わたくしは目を疑いました。
一般の小学生には十分に大きいサイズのブラ。それを今にも弾き飛ばしそうなほど、ぎゅうぎゅうに圧縮された乳房。
どう見てもDなんて半端なサイズじゃありません。

「どうしてこんな小さいブラしてるの!? 外してっ! ほらすぐに!」
先輩として余裕ある態度を見せてきた竹上さんが、珍しく感情的になっているようです。
その剣幕に、当のあまねちゃんも戸惑っている様子でした。

竹上さんは有無を言わさず、あまねちゃんの背後に回りブラのホックを外します。

「ァはんっ♥」
拘束から開放され漏らした吐息は、無意識と分かっていながらも妖艶に感じてしまいました。

弾力にポンと跳ね上がったブラは、今や本来の大きさを取り戻したバストの上に「乗っただけ」の状態です。
その有り余る容積から、いかにサイズ違いを着けていたかがわかります。

(これはっ!?)
比較参考として小瀧さんを思い出してみます。あまねちゃんと身長の近い彼女がHカップでしたが、今のあまねちゃんは少なくとも同等以上に見える……
チホちゃんやかえでちゃんとも、同じ小6として太刀打ちできるレベルです。
すなわち、

(ま……負けたッ!)
本日3度目の敗北でした。
もはやわたくしは「小学生バスト日本一」の銅メダルすら返上したのです。
Gカップでは表彰台に上がる資格すらないと、無情な現実を突きつけられたのです。

いえね、心のどこかでは思ってたんですの。「この村の巨乳っぷりは異常なレベルだ」って。
たとえば、都道府県別にバストサイズの平均を調査したとするでしょう?
千々山村を含んだ県が全国1位になるのは自明じゃないですか。
仮に千々山村が他県に編入されたら、今度はそこが1位になる。
そういう規模で平均を左右してしまうデータは「外れ値」といって、統計学上除外されるべきなんですの。
だからこの村を除けば……イクセプト・チヂヤマの条件下なら……依然わたくしが日本一だと、密かに思っていたのです。

しかし今、そのか細い糸も断たれました。
過去の栄光は彼方へと消え去り、残すは虚ろな心のみ。完膚無きまでの敗北にただただ絶句するしかありません。

「あら〜宮方さん、ダメよ? ブラは合ったのを着けなきゃ。今まで息苦しくなかった?」
着替え終わった仁科さんもあまねちゃんを心配します。
「そうだよ。過度な締めつけは呼吸も浅くなるし、骨格のゆがみにもつながるんだよ!」
竹上さん、どうしてそんな真剣なんですの?

「こ、このサイズしかブラ持ってなくて……」
赤面しつつも、どこか悔しそうに答えるあまねちゃん。早く着替えてしまおうと、急いでバッグから水着を取り出します。
「えっ、そのスクール水着大丈夫? 小さくない?」
「うん。胸以外はちょうどいいし……押し込めばなんとか」

ごく一般的なスクール水着。当然90cm台の膨らみなど想定されていません。わたくしを超えるムネが収まるとは思えませんでした。
よく見たら名札には「5−3 宮方」とあります。名札が5年生のままということは……
(まさか、今年のプール授業はずっと見学を!?)

ハッとした閃きに、茫然としていた意識が戻りました。

その時、わたくしはあまねちゃんを可哀想だと思ってしまったのです。
学校指定の水着が入らないばかりに小学校最後のプールを楽しめない……そんな悔しさを勝手に想像し、勝手に同情したのです。

だから、これからわたくしがやる事も「勝手な」お節介ですので、あしからず!

「あまねちゃん! この水着よかったら着てっ!」
そう言って、わたくしは楽しみにしていたあのビキニを差し出しました。

「え……?」
「ムリに小さい水着を着るなんて、友達として見過ごせませんわ。これ、ちょっと大胆な三角ビキニですけど、あまねちゃんならきっと似合うから」

感情に任せたこの行動は、サイズで負けて卑屈になっていたから?
敗者から勝者へ、あてつけの献上だったのでしょうか?
断じて否! そんなセコいものではありません!
純粋に友をいたわる気持ちから、ビキニを譲るのです!
この越出馬ルミ、胸は小さくとも心までは小さくありませんわ!!!(啖呵)

「で、でもそれルミちゃんのでしょ? 悪いよ」
「大丈夫。わたくし予備のスク水を持ってますの」
「え……それってルミちゃんにはキツくないの? だからビキニを用意したんじゃ」
「ノープロブレム。胸を拡張した特注品ですから」
「あ、じゃあ私がそっちを借りれば」
「だーめ。わたくしのスク水をあまねちゃんが着たら、身長差の分、下半身が余っちゃいますわよ?」

そこでチラッと実例に目配せします。ナッちゃん本人は「?」といった様子ですが、あまねちゃんは理解したようです。
「ね? ビキニだから貸してあげられるんですの」

「宮方さん、ここは好意に甘えたら?」
「そうね。三角ビキニなら紐でサイズを調整できるわ」
仁科さんと竹上さんも勧めてくれました。

「そーだよ。開会式で椎原先生も言ってたじゃん?『ありのままの自分を解放しましょう』って」
おっと、思いがけないところから応援が。
(ナッちゃん意外と先生の話をしっかり聞いていますのね)
わたくしは、竹上さんとさやちゃんのおっぱいに夢中で上の空だったというのに。

「小っちゃい水着に閉じ込めてないで、パーッと開放しちゃおうよ☆ おっぱい」
ナッちゃんが言うとトップレス推奨してるように聞こえるんですけど。

「ほ、ホントにいいの?……じゃあ、お願いしようかな」
周囲に押され、ようやくあまねちゃんも決心したようです。

「ビキニって初めてで、なんかドキドキするー♥」
「照れることありませんわ。きっとステキよ」

こちらこそ初々しい反応をありがとう。「典型的な優等生めがねっ娘が初ビキニでドキドキ」ってのは、なかなかそそるシチュエーションですわね。ウフフ♥

こうして、晴れてビキニ姿となったあまねちゃん。
Dカップの拘束から解き放たれたおっぱいは、開放を喜んでいるかのようにプルプル揺れています。
それもそのはず。あまりに豊かな双丘はGカップを以てしても覆いきれず、ビキニの3辺から下乳・横乳・谷間へとお肉をはみ出させているのですから。ちょっとした動作にもたぷんと振動します。
とはいえ、あの窮屈なスク水に押し込めるよりはるかに賢明でしょう。

紐を調整しフィッティングを手伝ってくれたのは竹上さん。
収納しきれない下乳を最後まで気にしていましたが、「まあこれなら許容範囲ね」といった様子で今は頷いています。
わたくしに言わせれば、ビキニなんてのはトップが隠せれば十分なんですけど。

「よかったー。下のサイズも合ってる」
「ふふん。わたくし、身長の割にヒップは小ぶりですのよ」

しかし改めて見るとスゴいなぁ……あまねちゃんのプロポーション。
あんなご立派なムネをよく今まで隠せていたものですわね。ほかは小6の標準体型なのに。

「うっわー、あまねさんのおっぱいこんなに大きかったんですね。本当は何カップなんですか?」
うむ、スカウター役ご苦労ナッちゃん。それはわたくしも気になるところですわ。

「え? わ、わ、わかんなぃょ……。ずっと測ってないもん」
曖昧にはぐらかして、恥ずかしそうに腕で隠そうとするあまねちゃん。
ビキニ着用経験のない彼女は、その動作が逆に強調してしまうと知らないんですのねぇ。やれやれ♥

しかしGカップからあれだけ溢れるとなれば……Hでも足りない。おそらく95cmのIカップってとこでしょう。

あまねちゃんの言動を振り返ってみると、今なら納得できることがあります。
行きのバスでわたくしのスタイルを褒めたとき、胸ではなく脚でした。(第2話参照)
それに、あのときナッちゃんに向けた「いいなぁ」のつぶやき。
あれは「仁科さんのおっぱいを触れていいなぁ」ではなく、「ノーブラになれていいなぁ」でしたのね。
隠れ巨乳だというヒントに、わたくしは気付きもしませんでした。

「ルミちゃんありがとう! 本当に嬉しいよ……実はね、こんな水着着てみたいって前から思ってたんだ♥」
「どういたしまして。その笑顔が見れてわたくしも満足ですわ」

優等生が密かに抱いてきた、おしゃれへの憧れ。
それをこっそり打ち明けてくれた、友情のくすぐったさ。
わたくしの心は高貴な満足感で包まれていました。
(ノブレス・オブリージュ。お嬢様としての責任を果たした思いですわ)
ヨシミさんに感謝。やはり貴女のアドバイスはいつも良い結果に導いてくれますわね。

感慨に浸りつつ、わたくしの着替えも完了です。

(う〜む、慎ましい)
特注品とはいえあくまでスク水。襟ぐりから谷間は数センチほどしか露出せず、お腹には「6年 越出馬」と名札が付いています。
正直おしゃれ要素はゼロですが……この存在自体が「先生ー、既製品じゃ入りませーん♥」というストーリーを物語るので、ある意味煽情的かもしれませんね。
去年ちょっと余裕を持たせてオーダーしたので、今年はジャストフィットでした。拡張した胸部はGカップを無理なく収めています。

(そうそう。人間ありのままに生きるのがベストです……わ!?)
その一瞬、わたくしの動きが固まりました。

(ええっ!? どういうコト!?)
閉めようとしたバッグの底に、入れた覚えのないアイテムを見つけたのです。
ヨシミさんの字で「お役に立てば幸いです」というメモが貼られた、それは

(パッド!?)
普段のわたくしには最も不要。しかし今は重要な意味をもつアイテム。
これを使えば1〜2カップ胸を大きく見せることができるでしょう。



緊急招集された脳内ルミ会議では、様々な意見が飛び交います。

黒ルミA「チャンスですわ! 今のうちにサッと仕込んでしまいましょう」
白ルミA「何を言いますの? そんな浅ましい行為許されませんわ!」

黒ルミB「フン、何を高潔ぶって。ご存知ないかしら? お嬢様とは見栄っ張りなものですのよ」
白ルミA「いけません! 自分を偽るなんて……それを使った時こそ真の敗北ではなくて?」

黒ルミC「見栄だと思うから後ろめたいのですわ。あくまでこれは“物理的ガード”。人一倍敏感なトップを保護する防具と考えてはいかが?」
黒ルミD「そうそう。敏感なのは否定させませんわよー? 何せ普段から触ってるし♥」
白ルミA「詭弁を! 見栄か防具かを判断するのは、わたくしではなく周囲ですわ!」

黒ルミE「何をバレる前提で話していますの?」
黒ルミF「確かに。ビキニならその心配もありましたが、スク水を着た今状況は変わりましたわ」
白ルミA「いいえ、ナッちゃんを甘く見てはいけません! 常に人のおっぱいを観察してるあの子なら、『あールミさん胸に詰め物してる。ずるーい☆』って、皆の前で晒すのがオチですわ!」

いやいやいや! ちょっと待って!
黒、多くない? 白だけ一人で孤軍奮闘してない?
わたくしの中で善悪の比率どうなってるんですの?

黒ルミG「えー、ここで資料をご覧いただきます」カチッ(←パワポを点ける音)
おいおい、黒いわたくしの識別記号がついにカップ数に届きましたわよ?

黒ルミG「本日出会った女子と、その学年、推定カップ数を身長順に並べてみました。●は千々山村民、〇はその他の出身者です」

◯ いつきちゃん 小3(F)
――― 170cm ―――
● 仁科さん 大人(R)
――― 160cm ―――
● 竹上さん 中2(M)
〇 わたくし 小6(G)
● チホちゃん 小6(I〜J)
◯ 青梅さん 中2(L)
――― 150cm ―――
◯ あまねちゃん 小6(I)
● 小瀧さん 中2(H)
● かえでちゃん 小6(I)
――― 140cm ―――
◯ ナッちゃん 小4(E)
● さやちゃん 小3(F)

スクリーンに映されたデータを見て、ざわめく黒ルミ達。
黒ルミE「こうして比較すると、わたくし小っちゃいですのねえ」
黒ルミG「レアリティの低さは否めませんね。『日本中探せば他にもいそう』という点で、後れをとっています」
黒ルミF「まあ貧乳とまでは言いませんが。平凡なおっぱい、“凡乳”ですわね」
黒ルミD「このデータ乳首の感度は加味されないの?」
黒ルミC「何より、同学年で4人中1人だけGカップなのが痛手ですわ。他3人はIなのに」
黒ルミB「この現状にプライドが傷つかないなら、お嬢様としての資質を疑われますわよ」
黒ルミA「いかがかしら、白いわたくし? アイデンティティを保つためパッドの使用はやむを得ない措置と考えますが?」

白ルミA「ううう〜」(涙目)

ああっやばい! 良心が屈しかけてますわ!
がんばって白ルミ! 心までは小さくないと啖呵を切ったばかりじゃないですの!
あとD! お前は特に発言を自重なさい!

ああっ、こんな物見つけなければ悩まずに済んだものを。
ヨシミさんはどういう意図でわたくしのバッグに忍ばせたんですの?



と、ここまでわずか数秒。
わたくしの脳内劇場は、ある人物の登場によって突然打ち切られました。

「おまたせ〜」

えええええーーーっ!!? 青梅さん、そ……その水着は!!!

つづく