選択肢 その3

かるぼん 作
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 選択の余地なんてありえない。バストアップサプリで痩せずに胸をさらに大きく!
 私の身体が彼の理想通りになるのなら、太ったままなんてありえない。
 一流のボディビルダーも脂肪と筋肉を同時に溜め込んでから、理想の身体に近づけていくって聞くし、おっぱいだっておんなじことだと思う。多分!
 ……仮に太ったままならば、それは彼がぷにぷにしたものが大好きだということだ。
 おっぱいとおなかとおしりと太ももと。エトセトラ、エトセトラ。
 だから、私は太ってしまったことはまあ、一旦おいて、姿見の前に向き合った。
 一糸纏わない、生まれたままの私がそこにいた。当然だ。一晩で私■人分(黙秘します)の体重になってしまったのだ。
 持ち合わせの衣類なんて、役に立つはずもない。
 贅肉でできた厚手のガウンをまとい、爆乳を抱えた鏡の中の私が尋ねる。
「ねえ、ルナン。この脂肪は何のために?」
 私は答える。
「決まってる。理想(おっぱい)に至るための助走よ」
 鏡の私は尋ねる。
「ねえ、ルナン。その理想は何のために?」
 答える
「決まってる。彼の大好きな私になる為」

「ねえ、ルナン。――貴方は、彼が愛する貴方を」
「もちろん大好き。彼と私。それ以外には何も要らないわ」

 ――コトリと硬い音がした。
 不思議なことが起こったと、誰かが見たら言うのだろう。
 あるいは私が幻覚を見ているのだろうと、別の誰かは笑うのだろう。
 ううん、これは必然なの。
 私が悲しみ、彼が望み、私が理想を抱いたのなら、これは魔法でも不可思議でもない。
 私はかがんで……手探りで小瓶を拾う。おっぱいが邪魔で足元なんて見えなかったのが、なんだか彼を感じて嬉しい。
「ねえ、わかる? ここにあるのは第三のサプリ。目指す大きさは、そう。私たちの愛そのもの……なんちゃって」

 重たい体でスキップすれば、ドシンドシンと床が悲鳴を上げている。けれども、私の心は綿雲みたいに軽やかだった。
 手には2つの錠剤と、シロップの入った小瓶。
 彼の愛と私の愛。両方の愛を混ぜたなら、きっと――。
「あ、やばい。それは赤ちゃんできちゃうかも」

1.彼の用意した2つの錠剤だけを服用する。このまま色々と大きくなるのだろう
2.私の用意したシロップだけを服用する。何が起こるかはわからないけれど
3.当然の全部乗せ。何が起こるかは全く見当もつかないけれど

(続く)