不思議な譲渡契約 〜リンの場合〜

kd 作
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彼女の名前は浅井リン。幼少の頃から理数系の分野においてその凄まじい才能を発揮し、「神童」と呼ばれる類の子供であった。
またその身体も年齢に不釣り合いな程豊かに発育しており、小学校入学時点で既にGカップ、高校卒業までにはZカップを悠々と超え、バストは3メートルに達していた。
その才能、プロポーションから「スーパー女子学生」と周りからもてはやされていたのだが、そのプロポーションこそが彼女の大きなコンプレックスであった。というのも、彼女の才能を以ってしてももう1人の神童、深堀サエコには全く敵わないのであった。
暗算、数学オリンピック、全日本クイズ選手権など、深堀サエコの前ではリンは常に2番手に甘んじており、その身体に嫉妬した人々からは、
「無駄なところに栄養が回ってしまったのね」「身体で順位を買ってるんじゃないのか?」
などと心ない言葉を浴びせられることもしばしばあった。その度に
「(こんな身体より深堀さんを越える『知識』が欲しかったのに…)」
という思いを強めていった。
大学入学以来は生物化学を勉強し、選手権等の大会に出ることを控えるようになった。嫉妬の目に晒されることも無くなったためか、
一時的に落ち着きを取り戻したかに思えた胸の発育は一気に加速し、在学中にバストは5メートル近くまでになった。
卒業後は独自に研究を行い、多数の成果を挙げてきた。しかし尚も発育を続ける胸は、7メートルを超え、振り向くだけで実験器具をふっ飛ばしたり、近くの物を胸が遮って見えなくしてしまったりと、だんだんと生活に支障をきたすようになってきた。尤も、ここまで平気で生活できていたことに脱帽だが。

そんな頃であった。リンの携帯に見知らぬアドレスからメールが届いた。
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WTA事務局

浅井リン様
貴女の要らないもの、欲しいものと交換しませんか?
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メールにはURLが貼られており、単なる迷惑メールだと思いながらもそのページへアクセスしてみると、希望品と出品のたった2つの枠があるだけであった。遊び半分で希望品欄に「知識」と打ち込んでみると膨大な数の出品があった。
「漢検準一級 C-」「toeic得点率95% B」「速読 D+」………
下には出品者の名前と希望品が書かれていた。
「え?何これ……希望品:バストですって?」
リンはとある出品欄に目を付けた。そこには希望品として「バスト(2cm)」の文字が。
大して欲しいとも思わないものであったが、この胸が小さくなるのならと契約手続きを行った。
「念のためサイズ測っとかないとね…」
勿論その辺にあるようなメジャーでは到底測り切れるはずもなく、運動場で使うようなメジャーを使って何とか測定。
「7……97。797センチっと……。いつになったら大人しくなるのかしら…」
この発育具合にはもう慣れたものの、流石にうんざりしているようだ。

10分もしないうちにメールが届いた。
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WTA事務局

浅井リン様
下記の【知識】の譲渡契約が完了致しました。
ご利用誠にありがとうございました。
・化学式に関する知識 レベルB-
御相手様希望品の「バスト(2cm)」につきましても契約が完了したことをお知らせいたします。
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あまりにもあっさりとした内容に拍子抜けしたが、リンは胸に違和感を覚えていた。やがてその違和感も治まり、気になるバストサイズはというと…
「795センチ…本当に小さくなってる!私のこれだけの胸なら深堀さんを越えられる知識も…」
リンの中で夢とも野望とも言えない何かが膨らみ始めていた。