試着室Re

ケン 作
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《第八話:新たなボタン》

「これ何かな?」


ちょうど赤いボタンの横にある蓋を開けてみると、そこにはまた別の色のボタンが並んでいるのだった。


「へぇ、まだ別のボタンがあるんだ!じゃあとりあえずこの青いボタンを押すとどうなるのかな?」


私が青いボタンを押すと同時に私の頭上にある照明が青く輝いて私を照らした。
この大きな部屋ともいえる試着室の中で私の頭上だけだったのでパパとママにはこの光は届かなかったみたいだ。


「この感じ・・・・何だか頭の中に色々な事が流れ込んでくる!?」


何とも言い難い妙な感覚が頭の中を巡ったが、1分もすればそれは収まり私の身に何が起きたか全て把握することができた。


「そっか・・・今の私の肉体の年齢に合わせて知識が頭に入ってきたのね!たぶん25歳くらいだと思うのだけれど・・・」


頭の中で考えを巡らせると来週から小学校に入学して習うはずだった足し算や引き算だけでなく、中学校、高校、果ては大学で学ぶような難しい数式などが楽々と思い浮かべることができた。
それだけではなく料理、洗濯といった生活に必要な知識や性的な知識など全て肉体相応の情報が手に取るように分かるのだ。


「これでもう来週から小学校に通う必要もなくなっちゃったかな?・・・じゃあ今度はこの緑のボタンを・・・・」


今度も先程と同じく頭上の証明が緑に輝き私を照らした。
今度も特に外見には変わりはないし新しい知識も入ってこない。


「何も変わらないようだけど・・・でもさっきよりも頭の中がクリアな感じだわ。状況を楽しむというより現状を冷静に分析できる余裕があるというか・・・・そうか、これはきっと精神年齢を肉体に合わせるって事ね。どうりで子供の時よりも純粋に遊び心が湧きあがらない訳だわ・・・じゃあ次はこの黄色のボタンを押してみようかしら」


そしてまた同様に黄色の光に包まれて・・・・・


今度はどう考えを巡らせても思考やそれ以外について春香自身に何も変化が見られなかった。


「私自身に何も変化がないとなると、これはもしかして・・・・・ねぇパパ、ママ今の私ってどう見えるかしら?」


部屋の隅でイチャイチャしていた2人は春香に話しかけられて急に我に返り恥ずかしそうにしてから返事をした。


「ごめんなさいね。何だか気分が乗っちゃって場所をわきまえずイチャイチャしちゃって・・・それから春香、私まだママなんて呼ばれる年齢じゃないわよ!お姉ちゃんの事おばさん扱いしないでくれる?」


「ふ〜ん、そういう事か・・・・」


状況を分析して検討が付いた春香はまた黄色のボタンを押した。
光はまた春香を包み込み・・・・


「お姉ちゃん!こう呼べばいいかな?」


「やだ、春花ったら・・・お姉ちゃんだなんて、ちょっと嬉しいけどあんまりママのことからかっちゃダメよ」


この千夏の反応で春香は黄色のボタンの効果にも確信が持てた。
これは本人ではなく周囲に今の春香の身体に社会的立場を合わせるといった効果があったのだ。
つまりは大人の身体だと千夏とは親子と呼ぶには肉体年齢的に適さないので自動的に姉妹関係に置き換わっていたのだ。


「じゃあ今度はまた緑のボタンを押して精神年齢を元に戻して・・・・よ〜しこれでオッケー♪精神年齢が大人のままだと純粋に楽しめないしね〜!それにこの状態だと大人の知識は残ってるんだし、子供の時に思いつかなかった遊びもできるからね♪」