試着室Re

ケン 作
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《分岐C続:最高のドレス》

「すっごく広〜い!!これが全部試着室だなんて信じられないよ〜!!」


私が足を踏み入れた『特別な試着室』そこは身長360pの私でも十分にのびのびできる・・・というレベルではなく、東京ドームのような広大な空間が広がっていた。
とはいえ試着室というだけあって周囲は四角く、天井も東京ドームよりも遥かに高くなっている。
それでいて壁は前面鏡張りときたものだからこれだけ巨大でも試着室らしさは失われていない。
むしろ私がとてつもなく巨大な試着室に迷いこんだ小人になったかのうような錯覚すら覚えてしまうくらいだ。


「ねぇ店員さん〜!この試着室ではどうすればさっきの試着室みたいにできるのかな?聞こえたら返事をして〜!!」


おそらくどこかで聞いているであろう店員に向けて私はとりあえず広大な試着室へ向けて大声で尋ねてみた。


『では簡単なご説明をさせていただきますね・・・・・』


この店員の話を要約すると、このVIP試着室にはボタンがなく、代わりに鏡がタッチパネル形式になっていて常に私の身体の大きさに合わせた目線の高さに画面表示してくれるという事。
今よりも巨大な身体になったら店内に入れないので必然的に服も選べなくなる。そのためタッチパネルを操作すると今着ている服の大きさやデザインを若干変更できるようになる事。
新たな服が欲しい時はサイズやデザインなど細かくオーダーすると自動生成して生成してくれる事。
というような事であった。話の次元が凄いけど、元々さっきまでの試着室だけでも十分に凄いのだ。店よりも巨大な試着室が存在できることや今までの説明も私の常識で量れることではないのでもう深くは考えないことにした。



「じゃあとりあえず今着てるこの服をどこまで変化させれるのか試してみようかな♪」


鏡張りの壁に手を触れるとちょうど私の目線の高さに私にあった大きさの画面が表示された。先程の試着室のボタン操作と違ってさまざまな細かい設定までこの画面を操作することで適応可能になるようだ。


「まずは今の服をどこまで大きくできるのか・・・・もういっそのこと実現可能な最大サイズにしちゃおうっと!えっと・・・今の100倍の360mまでは大きくできるみたいだからそれにしちゃえっ!!」


画面に打ち込んだ設定を適応させると私の着ていた服は100倍サイズになり・・・そうなると必然的に私の身体はとてつもない量の服の山に埋もれてしまった。
しかしそれもつかの間、私の身体は服の大きさに追従するようにグングン大きくなりあっという間に私は身長360mの巨人になるのだった。



「へぇ〜!本当に100倍の大きさになっちゃった!身体のバランスは変わらないけど身長は本当に360mになったみたい、あれだけ大きかった試着室が普通の試着室くらいの大きさに見えるもの。」


部屋の大きさと自分の大きさの違いで大きくなったのは分かったけど、実際に大きくなってみるとただの試着室にいるのと何も変わらないのでどのくらいの大きさなのか実感はわかなかった。



「このまま外に出たら私どのくらいの大きさに見えるんだろう・・・」


『あ、試してみますか?今出口を作りますね・・・・・前方の壁に取っ手を用意しました。もうそこはドアになってますので開けていいですよ』


「うわぁ・・・・凄い・・・・私今すっごく大きいよぉ〜♪」


ドアの外に広がる世界は私のいた街そのものだった。
でも360mの身長になった今、街のほとんどは私が見下ろすことができる小さな世界になっていた。


下を見るとアリのように小さな人たちが唖然とした顔で私の事を見上げていた。
なんだか私は神様のようになった気分になってしまい、もっと上を目指してみたくなった。


「ねぇ・・・・・を素材にしたドレスって作れる?」


『私の技術力では可能ですが・・・・おそらく元には戻れませんよ。それでもよろしいですか?』


「うん!それでいいよ!お願い!」


私はひとまず試着室の中に戻ると指定した素材で新しい『服』を作ってもらえるように頼んでみた。


『完成したしました。ではどうぞお楽しみください』



「ありがとう!じゃあさっそく着てみるね!最高の素材を使ったドレス・・・楽しみだなぁ♪」



もう既に私は変化するようにボタンを押している。
しかし周囲には服らしきものは何もなく試着室内にあるのは裸の私だけ。
だって私が注文したのは・・・・・・・


バキバキ!バキバキ!

「あっ!試着室が壊れちゃった・・・・まぁこれが最後の変化だし別に気にしなくてもいいかな?」



私の身体は360mからさらに大きくなっている。
500mを超えたあたりから試着室は悲鳴を上げ始め、800mを超える頃には頭が試着室から飛び出し、1000mくらいでボロボロになり、身長が36qを過ぎたころには私の足の裏で完全にすりつぶされて跡形もなくなってしまった。


「わぁ〜!日本がちっちゃ〜い!・・・・あはは、地球がもうこんなに小さく・・・ビー玉みたい♪あっ!そんなこと言ってるうちに見えなくなっちゃった・・・・」


身長3600qになったころには日本よりも大きくなり、絶世の美女としての姿を国中の人が拝めるようになったことだろう。


360万qになった時にはもう地球はビー玉よりも小さくなって・・・・そこからは加速度的に巨大化していく過程の中で地球はあっという間に見えなくなり、私がどんなに目を凝らして見ても地球はおろか太陽すらも見失ってしまった。


「結構時間かかるのね。さすがにこの最高のドレスに見合う身体になるのは楽じゃないって事かな・・・・・でも、そろそろみたいね」



太陽系の大きさを超え、銀河の大きさを超え、さらにその上の領域へと踏み入れてもまだまだ私の巨大化は止まらない。


「やった〜♪これで完成!やっぱり思った通りこのドレス最高に素敵だわ♪」


とうとう私の身体はそのドレスに対してピッタリになった。
漆黒の生地に小さくきらめく光がちりばめられて、とても幻想的だ。
だってこのドレスは・・・・・


「宇宙をドレスにしちゃうなんてなかなかできることじゃないからね。これ以上ドレスにするのに素敵な素材はないわ♪うふふ・・・まさかみんな自分のいる宇宙が私のドレスになってるだなんて気付きもしないのかしらね?試着室は壊れちゃったからもう戻れないけど、これからはこの宇宙の『神様』としてみんなを見守ってあげるからね♪」



【神様END】