胸以外地味な子

きんちょ 作
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5月30日


「ブラジャーがキツくなってきた気がする……」

下着姿で自宅の鏡の前に立つ少女は前園 夏目(まえぞの なつめ)である。
彼女は18才で今年大学一年生になったばかりである。
大学進学とともに上京し一人暮らしをしている。

夏目の見た目はというと、眼鏡をかけて三つ編みのおさげを左右に二つ作っている、どちらかと言えば
地味目な顔立ちである。体型も太っていなければ痩せてもいない中背中肉といったところだろうか。

だが、夏目の身体には一つだけ大きな特徴があった。それは彼女の胸である。
平均的な体型の彼女において、そこだけ平均を大きく超えている。
元々高校卒業時点でHカップあった夏目は、今は一つ上のサイズのIカップほどになっていた。

「どうしよう、もっと大きくなったら……」

夏目にとって大きな胸はコンプレックスである。夏目の性格は引っ込み思案で、あまり
他人と関わろうとするタイプではない。そんな夏目は昔から通学途中などで感じていた人々の視線
――胸への視線に若干の恐怖を覚え、胸にコンプレックスを抱くようになったのである。

「……あっ、そろそろ家を出なくちゃ……」

時計を見た夏目は慌てて身支度をし、家を出て大学へと向かった。

大学に着くと、夏目は1時限目の授業が行われる教室へと入り、一人で席に着いた。
上京した彼女には高校時代からの友人もおらず、また引っ込み思案な性格もあって
大学ではいつも独りぼっちである。サークル活動なども行わない彼女が大学で行うことは
授業を受けることだけである。

やがて始業のチャイムが鳴り、授業が始まった。普段通り授業を受けていた夏目だったが、
時折胸元を気にかけながらノートを取っていた。

「やっぱりこのブラジャー、きつくなってる気がする……」

夏目が着用しているブラジャーは高校卒業時に購入したものである。
ところが、服の下では夏目が着用しているブラジャーからほんの少しばかり胸があふれている。

「新しいの買わなくちゃだめかな……」

1時限目の授業が終了した後も、1時限目と同じような様子で夏目は授業を受けた。
そして今日の授業がすべて終了した後、彼女はブラジャーを買いに行くのであった。



6月19日


一人暮らしを行う夏目は、その生活費を親の仕送りと週に一回のバイトで賄っている。
そんな夏目のバイトとは、模擬テストなどの試験監督である。
試験監督と言っても夏目の場合は受験した生徒の答案用紙の確認や集計を行うようにしている。
その理由はひとえに引っ込み思案から来る人見知りである。

今日は模擬テストの実施日であるため、夏目はその試験会場にスーツ姿で出向いていった。
試験会場の試験監督待機室に入ると、夏目と同じようにバイトに来た人々がすでに何名かいた。
今回の試験会場は夏目が何度もバイトで行っている場所であり、バイトに来た人たちとも
顔見知り程度の関係になっているのだが、それでも引っ込み思案な夏目はほかの人たちに
なかなか声をかけられないでいた。
しかし夏目は、待機室に入ってから自分に対する周囲からの視線を感じていた。
周囲の人は夏目がそういう性格の人間だと知っており、必要な会話以外はなるべく声をかけないで
いるのだが、夏目の大きな胸にどうしても意識が向かってしまうのであった。

やがて模擬テストが始まり、そのテストの一つ目の科目が終了した。
夏目たち答案確認係が待機している部屋に試験会場からの答案用紙が届いた。
夏目は早速いつものように答案用紙を捌き始めるのだが、答案用紙を捌いている最中に
頭の中でこうつぶやいた。

「何だか……スーツがキツくなったような気がする……」

今日の模擬テストも終わり、各自勤務報告などを行って夏目の今日のバイトは終了となった。
いつもどおり夏目はこのまま帰るだけだが、帰るために歩を進めるたびに、先ほどの疑念が
確信に変わっていった。

「やっぱり胸のあたりがキツい……怖いけど帰ったら測ってみようかな」

家に帰った夏目は、早速メジャーを取り出し、スーツとブラジャーを脱いで胸の周りでぐるっと一周させた。
そしてメジャーの目盛りは、夏目の確信を裏付ける結果を示した。

「うそ……また胸が大きくなってる……」

夏目の胸はJカップになっていた。


7月3日


夏目は家でベッドの側面にもたれかかりながらテレビゲームをしている。
今日は休日である。彼女は前日に試験監督のバイトを行っており、
その翌日である今日を休みの日にすることにしていたのである。

試験監督のバイトに行くときのスーツは以前のままであった。胸のサイズが合っていない事を
重々承知しているものの、週一でバイトしているとはいえ生活費の
大部分を仕送りに頼っている夏目には、大きいサイズのスーツを買うだけのお金をすぐに
捻出することはできなかったのである。

そんな夏目であるが、彼女の休日の過ごし方はもっぱらテレビゲームをする事であった。
引っ込み思案な彼女は何らかのアウトドアな活動はしていない。また彼女はアニメや漫画にも
あまり関心を持っていなかった。そのような事情から、彼女の空き時間は専らゲームをすることに
費やされるのであった。

夏目が今やっているゲームはRPGであり、夏目はこのゲームを何回もクリアしていた。
そんな何回もクリアしているゲームに、彼女はどのようなモチベーションで臨んでいるのかというと、
どうやら彼女はレアアイテムを限界まで所持する事を目的としているようである。
何回もプレイしてやる事がそれくらいしか無くなってしまったのだろう。
彼女は黙々とアイテムを集めていた。

やがて午後二時過ぎの昼下がりになった。夏目の家の外は静寂に包まれており、時折遠くで
車の音がする程度である。
そんな静寂の中、一人でゲームをしていた夏目はというと、流石に単調作業と静寂が応えたのか、
ゲームをつけたままベッドの側面を背もたれに居眠りをしていた。寝息とともに彼女の胸の膨らみが
上下に動いていた。

夏目がふと気が付くと、辺り一面真っ白な空間にいた。
夏目は身体を動かそうとしたのだが、異常に身体が重く動く気配がない。
その時夏目は自分の身体の異変に気付いた。
身体の奥から熱い何かがこみあげてくる。
そして次に自分の胸がどんどん膨らんでいく事に気づいた。

「やだ、何これっ……!」

慌てふためく夏目を尻目に、彼女の胸はどんどんと大きくなっていく。
今はもう胸に普通の3倍のスイカが二つぶら下がっているような状態だった。

「お願い止まって……!」

その言葉が通じたのか、彼女の胸は大きくなるのをやめた。
だが、その代わりと言わんばかりに彼女の胸の先端――乳首が
その周りにある乳輪とともに大きくなり始めた。
やがて乳首は500円玉程度の太さと親指程度の長さになり、
ぴくぴくと震えるようになった。

「いやっ、こんな恥ずかしいち、ち、乳首なんて……」

その直後、胸の奥からまるで火山のマグマのような熱く激しい何かが
猛烈な勢いでこみあげてきた。

「いやっ!何かが出てくるーっ!」

その熱く激しい何かが胸の先端、太く隆起した乳首に到達し――

「……あ、あれっ?」

夏目は元居た自宅に引き戻された。目の前にはほったらかしにされた
ゲーム画面を映したテレビがある。
先ほどの出来事は彼女の夢だったのである。
夏目が目を下にやると、彼女の胸は元の大きさになっていた。

「な、なんだ夢か……」

夏目はホッと安堵した。しかし彼女は、先ほどの夢の出来事が忘れられなかった。
もしやと思った彼女は手に持っていたゲームのコントローラーを手放し、
メジャーに手を伸ばした。そして服を脱ぎ、胸が露わになった。
彼女は家にいるときはノーブラである。
おもむろにメジャーを当て、ぐるりと胸の周りを測定した。

「ああっ、やっぱり大きくなってた……」

先ほどの夢を見て大きくなっていたわけではなく、以前から少しずつ大きくなっていたのだろうが、
夏目の胸はKカップに成長していた。
胸を測り終えた彼女は、自身の胸で少し伸びている服を再び着ようとした。

「……あれ、何これ……」

服の胸のあたりに左右に一つずつ、小さなシミが出来ているのに彼女は気づいた。
どうやら夢を見ている間に出来たようである。

「ひょっとしてよだれでも垂らしちゃったのかな……まあこれくらいのシミなら
 着ているうちに乾くかな」

夏目は再び服を着て、ゲームを再開した。先ほどは居眠りをしてしまったが、
夏目にとってアイテム集めは朝飯前であり、彼女をゲームに没頭させるのに
十分な要素であった。ゲームに没頭した夏目は、やがて乾いてなくなった服のシミの事など
すぐに忘れてしまった。

ところが彼女は一つ間違いを犯していた。彼女はよだれと予想していたが、その予想は
外れである。シミの正体はよだれではなく母乳である。その量は1〜2mlとごく少量であるが、
紛れもなく母乳である。

彼女自身はまだ気づいていないが、夏目の身体は、母乳を分泌するようになっていた。


7月11日


今日は大学の授業日である。今日も1限から授業が入っており、
夏目はいつも通り授業を受けているのだが、
ノートを取るときに以前よりも胸に視野がさえぎられるようになっていた。

それでも1限の授業をしっかりと受けていた夏目は、1限の授業が終わると
足早に次の授業の教室へと向かっていった。その途中、夏目は胸に違和感を
覚えていた。

「何か、胸が切羽詰まっているような感じ……?」

胸が服のサイズと合わなくなったことによるキツさとは別の感覚を夏目は
感じていたが、2限の授業がすぐに始まるため彼女は2限の教室へと入っていった。

2限の授業を受けている間も、夏目曰く「切羽詰まった感じ」は残っていた。
むしろその感覚はより鋭くなってきたようですらあった。
「切羽詰まった感じ」を感じている場所も変わってきており、
最初は胸の奥の方で感じていたが、徐々に胸の先の方で感じるようになってきていた。

そして、その「切羽詰まった感じ」は形を変えて授業を受けている
夏目の胸に現れることとなった。
突如、夏目の胸の先にじわっ、と生暖かい感覚が襲った。
授業を受けていた夏目は目を見開き、目線を胸の方にやり胸に左手を当てた。
何が起きているのか分からない、といった様子の彼女だったが、
その時ちょうど授業終了のチャイムが鳴ったので、彼女は慌ててトイレの個室に駆け込み
急いで服と再び胸のサイズが合わなくなってきたブラジャーを脱いだ。
夏目が胸の先、すなわち乳首の方を見てみると、乳首は何か液体が付着したかのような跡があった。
そして夏目がブラジャーに目をやると、ブラジャーの乳首が当たっていたであろう部分にシミが、
左右のカップに1か所ずつついていた。シミの大きさから、液体の量は合計8ml程度であると考えられる。

「ちょっと、なに、これ……」

夏目は乳首に付いていた液体を指にとり、顔の近くへ指を持っていった。指先からは
甘い香りがわずかに漂ってきた。
それは傍から見れば母乳もしくは牛乳と考えるであろう液体なのだが、自分の胸から
母乳が出るなどという事が考えられなかった夏目は、ただただ目の前の得体の知れない液体の
正体がわからないでいた。

「と、とにかくお昼を食べなくちゃ……」

現在の時間は45分間の昼休みであり、すでにトイレに籠って10分が経過していた夏目は、
目の前の出来事を理解することから逃げるようにトイレを出て食堂へと向かった。

やがて3限の授業が始まった。授業を受けていた夏目だったが、先ほどの出来事が再び気になっていた。
ブラジャーについたシミ、乳首についていた甘い香りがする液体……考えを巡らせていた夏目は、
ついにある一つの予測にたどり着いた。

「もしかして、ぼ、母乳……?」

そう考えた夏目は、胸の方に目をやり胸に左手を当てた。現在は胸に先ほどの
「切羽詰まった感じ」はなかった。
しかし、夏目は自身の予測に対して恐怖感を覚えていた。どうして子供を産んでいない
自分の身体から母乳が……

「そ、そんな訳ない、か……」

夏目は結局、先ほどの液体が母乳である事を否定し、得体の知れない液体の正体の事を
忘れ去ることにして授業を受けることにした。


7月17日


夏目は試験監督のバイトに向かうために、早起きをして部屋着からスーツに着替えている。
結局スーツは先月の状態から買い替えていない。
ブラジャーを着てブラウスのボタンをはめていた夏目だったが、
以前よりも更にブラウスがパツパツになっていることに気づいた。
もしやと思った夏目は、まだ出発までには時間があったので
ブラウスとブラジャーを脱いでメジャーを取り出し、胸囲を測定した。
夏目の予想通り、夏目の胸はまたしても大きくなっており、
サイズは若干大きめのLカップになっていた。

「また新しいブラジャーにしなきゃいけないかな……あとスーツも……」

そうは言っても今日はバイトがあるので夏目は仕方なくだいぶ小さくなったブラジャーと
スーツを着て自宅を出発した。
ブラウスはかなり窮屈になっていて、ボタンとボタンとの間に大きな隙間ができていた。
距離と角度によっては胸肉やブラジャーが見えてしまいそうである。

試験会場に着いた夏目は、いつものように試験開始まで待機していた。
やがていつものように試験が始まり、その試験が終わっていつものように答案用紙が夏目のもとへ
やってきた。いつものように答案用紙を捌く夏目であったが、彼女にとって初めての出来事が起こった。

「……胸が、張ってる……?」

その感覚はブラウスやブラジャーがキツいという感覚とはまた違っていた。
胸の外側から締め付けられる感覚ではなく、胸の内側から何かが圧迫してくるような感覚だった。
最初のうちは胸の張りを気にせずに作業をしていた夏目であったが、やがて胸の張りが以前に感じた
「切羽詰まった感じ」に似てきた感覚になってくると、胸がどうなっているのかが気になりだし、
シフトの空き時間を利用して試験会場にあるトイレに急いで駆け込んだ。

トイレの個室に駆け込むや否や、夏目はスーツ、ブラウス、ブラジャーを外していった。今朝測ったばかりの
Lカップの双球があらわになった。そしてそこで夏目は初めて見る光景を目にした。

「えっ、何か垂れてる……」

彼女の乳首から、白い液体がポタッ、ポタッと一滴ずつ垂れていた。外したブラジャーの方を見ると
この前の時のように左右のカップにシミが出来ていた。
夏目は乳首の内側に何かが詰まっているような感覚を覚えていた。

「これって本当に……」

彼女は何かが詰まっている左胸を恐る恐る左手で揉んでみた。

ぴゅうっ!

静寂に包まれたトイレの中、彼女の左胸から飛び出した白い液体が壁に引っかかる音がした。
夏目は便座カバーを開け、便器の方に右乳首を向けて、左胸と同じような動作を右手で、右胸に行った。

ぴちょんっ!

右胸の白い液体が、便器にたまった水に跳ねる音がした。便器の水の中には白いもやがうっすらと広がっていった。
夏目はついに、自身の予想が当たりである事を実感させられたのだった。

「私本当に、母乳が出るようになっちゃった……」

生まれて初めて行った搾乳を終えた夏目の胸は、もう張っている感覚はなくなっていた。
しかし、壁に引っかかった母乳をトイレットペーパーで拭き、それを便器に流した夏目の表情は暗かった。

「私の身体……一体どうしちゃったんだろう……」

夏目は沈んだ表情のまま、バイトへと戻っていった。