世にも奇乳な物語 (第一話)

日生優 作
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それは、ある夏祭りの日のことである。

その日、私は腐っていた、、、

(なんで、俺が今日仕事なんだ、、)
地元の祭りがクライマックスを迎える2日目、本来ならば今日は休みのはずであったが、たまたま先輩が祭りの実行委員だとかで、休みを「無理矢理」とったがため駆り出されたのだ。
祭りの会場から少し離れた場所で、宅配便の受付業務を後輩の女子社員と二人で行っていたが、女性にやさしい俺は、祭りが初体験の彼女を遊びに行かせ、自分一人で店番をしていた。
いいかげん暑さと、明日まで祭りがあるのでほとんど無い客待ちとで頭がやられていた俺が、「後輩もタッパがあって、ヒップは旨そうだけど、胸はなぁ、、」などと考えながら、ぼーと手元を見ているといきなり目の前に人の気配が現れた。
がっちりとした俺以上の気配を出すが、鼻に感じる良い香りで「かなり太った女性だな」などと考えつつその場で、
「いら、、、、」
俺は、今日何度も口にしていた言葉が最後までいえなかった。
いま座っている椅子と長机はよくある会議室用のものだ、そこに50Kgまで計れる電子秤や、POP、伝票などをおいている。
もう一つの、ちょっと背の高い狭目の机で伝票を書いてもらっている。
その座っている長机の盤面よりも下から乳が始まっている。丁度座っている目線の高さが彼女の乳首だ。
思わず立ちあがると、目の前に彼女の濡れたようにつややかなふっくらとした唇が見える。ちょっと目を落とすと、男性用のLLサイズかそれよりも大きいタンクトップに包まれながらも胸の谷間の半分まで見えてない、、、
「すみません、荷物を送りたいのですが。」
まるで、鈴を転がしたような、いつまでも聞きたいような声が聞こえてきた。
ハッと顔を上げ、
「では、こちらの伝票にお届先の住所と、・・・・・」
決まり文句をいいながら、彼女の顔を見ると、卵型の小さめの輪郭に今時珍しい漆黒のロング、意志の強そうな太目の眉にやや黒目がちで大きい瞳、文句なしの美人である。
一通り説明が終わると、彼女はくるりと背を向け、伝票書き用の机に向かった、後ろ姿は基本はきゃしゃで、背中越に巨大な乳房が見える、「この細さで折れないな」と感心するほど細いウエストの下にはよく発達したヒップがプリプリとよく動いている。
おや、、 彼女は大体成人男性の平均値の俺より背が高いので、てっきり 厚底サンダルをはいているのかと思えば、身長の半分以上の長さを誇るジーンズに包まれた足は、ローカットのスニーカーだ。
俺は、次の瞬間目を疑った。
彼女が机を胸の谷間で挟み込んだのだ。
小さ目とはいえ、大人が4人で伝票が書ける大きさがある机を、足を左右に開きながらその胸で苦もなく挟み込んでしまったのだ。
その後ろ姿を見ながら待つことしばし、彼女が伝票をもって来た。
俺は荷物の重さと大きさを確認し、彼女そのもののような奇麗な字で書かれた伝票をはりつける。
送り先は有名結婚相談所である。
「なんでこんな奇麗な人が、、」と思いつつ、会計をしながら思い切って声をかけてみた、
「あの、、」
どうやら彼女は俺より5〜6年下で、男子から軟派されたことがないと言う。自分の容姿が醜いからであり、もうだんだん周りの同級生が結婚を始めたのであせって相談所に話を持ちかけたらしい。
自分が太っているのを気にかけているようであるが、話をしていて、彼女の胸が片方秤に乗ったとき
「ピー」と言う警告音と表示が「重量オーバー」と出てきた。
50Kgまで計れる秤で重量オーバーである、彼女の胸の変形具合からいえばあと半分ってところである。
「ごくり・・」
思わずつばを飲み込むと後ろから声をかけられた。
「せんぱーい」
振り向くとそこには後輩が焼きそばとタコ焼きを2パックづつもって、綿飴をほおばりながらやってきた。
「先輩もお祭りを見ればどうですか? パーカーを脱いじゃえばわかりませんよ」
再び前を向くと、彼女の姿が見えなくなっていた。手元にはお客様控えが残っている。
住所はちょっと山奥に入ったところである。
後日、控えは届けることにして少し祭りを見ることにする。
実際、彼女にあえたらな、、 と言う下心を60%くらい持ちながらである。
それにしても人通りがおおい。この小さな町に関東、関西、、、 かなり遠くから観光客がやってきて、しかもかなりデカイ山車が通りのあちこちに出ているのだ。
人ごみが苦手な俺は、飲みものを調達すると早々に受付場所に戻り受付を終了することにした、この季節このあたりは夕立がほぼ必ずくるのだ。
急いで軽バンに荷物をつめ込むと、後輩は「あと止めるんですか」と聞いてくる。適当に返事をして車に乗り込むと案の定バケツをひっくり返したかのような雨が振り出した。
間一髪、車に乗り込むととりあえず事務所に戻り荷物を置いた、その時は気がつかなかったが、彼女の荷物は無いようであった。
基本的に荷物は、直に荷台につみ込んでいたので、てっきり後輩が処理したものとおもい、タイムカードを押して彼女の家経由で帰ることにした。
とりあえず、彼女の家を確認するために名簿を確認すると、彼女の名前に「鬼」と書いてある。この印は「鬼籍」の略でもう死んでいることを現す。
半心半疑で、訪れると家は喪抜けの空である。
しかたなしに、今日のところは伝票を置くのをあきらめ、部屋に戻って呑むことにする。
帰り際にいつも寄る酒屋に行くと、看板娘が迎えてくれる。
多少年上の彼女は胸もお尻もおなかもお肉がたっぷり、、 というタイプである。
そこて御薦めを聞きながらビールを選んでいると、昼間聞いたような声が聞こえてきた。
声の方向を向くと、酒屋の奥さんと品の良さげな初老のお客さんが話している。お客さんは昼の女性ほどではないが胸が大きい。
そこで、話の中で昼間の伝票に書いてあった名前が出てきた。
思い切って、初老の客に伝票を渡すと、
「なぜこれが、、、 」
しばらく絶句した後、ぽつぽつと話し始めた
話をまとめると、3年前の今日、娘が自分の体を苦に自殺をしてなくなったと言う。やはり年は生きていれば昼間の女性くらいにはなるという。

「娘は、彼氏を作らずになくなりました、初めて告白した彼氏にひどいことをいわれたらしいのです」

続く