欲望のカタチ

リアン 作
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ー1ー 来訪者

「紅茶はレモンとミルク、どっちがいい? …あ、家にはレモンはないから、ミルクティーだけどいいよね?」
さっきから一人でしゃべっている僕は、彼女の方へ振り返った。
「はい」
彼女はきょとんとした顔でこちらを見てから、面白くもつまらなくもないバラエティ番組を映しているブラウン管に視線を戻した。
赤味がかった色素の薄い長髪、整った小さな顔、真っ白な肌……まるでお人形のような、不思議な存在感を放つ美少女だった。
これまたお人形のような、フリルがたくさんついたクリーム色のワンピースが見るからに華奢な身体を包んでいる。これでもっと胸があったらアイドル顔負けだよな、などという妄念が頭をよぎった。いや、でもこの顔にはあっているスタイルだから…いやいや、あえてアンバランスなのが最近のアイドルの傾向だし…。
「お構いなく、ほんとに」
彼女の声で我に返る。
「えっと、インスタントだけど、これしかないから」
「ありがとう」
家で一番綺麗なティーカップに彼女の柔らかそうな唇が触れたのを見ながら、僕は先ほどからのことを頭の中で整理していた。
マンションの前に彼女がうつ伏せに倒れているのを発見した僕は、恐る恐る話し掛け、救急車を呼ぶことを提案した。だが、彼女の答えは、放っておいてください、の一言のみ。それでも、深夜に路上で倒れている人を無視する勇気もない僕は、とりあえず部屋に上がってもらい、体調を整えてもらっているわけだ。しかし、この部屋で一人暮らしを始めてから初めてのお客様、しかも無口な美少女ということで何をどうしていいのか全く分からない。
「ほんとに、病院行かなくていいの…えっと…」
おそらく4回目の質問だ。いや、5回目かも…だが他に何を話していいのか…。
「紫音です」
彼女は言った。相変わらず抑揚を抑えた落ち着いた口調で、何を考えているのか分からない。詩音…ああ、名前だ。そういえば名前を聞くのを忘れていた。僕が言葉に詰まったから、名を尋ねたと思ったのだろう。
「えっと…山田…」
「和樹さん…ですよね、さっき聞きました」
いつの間に自己紹介したんだ? まったく覚えてない。
「休ませてもらったおかげでもう大丈夫です。夜が明けたら出ますんで、私のことは気にしないでください。本当にありがとうございました」
彼女の眼が僕の視線と絡み、たまらずカーペットの模様へ目を泳がす僕。
「ろくに食べ物もなくて、ゴメンね。近所にあったコンビニ、先月潰れちゃって…。そうだ? ピザ取るピザ? 番号は…チラシとかなかったかな」
しかしピザなど頼んだことはなく、チラシは見つからない。我ながら手際が悪い。
「うふふ、いいんですよ」
彼女が初めて微笑んだ。唇の端を小さく上げた天使のように可愛いらしい笑みは、何故か寂しそうでもあった。
「和樹さんってほんとに…」
言葉が途切れ、彼女の身体がビクッと小刻みに震えた。
「え? ゴメン」
反射的に謝る僕。同時に、電話のベルが鳴り響く。こんな時間に誰だろう。
しかたくなく受話機を取る。
「はい、山田ですが」
「妹がそこにいるな」
抑揚のない男の声。
「え? 紫音ちゃんのお兄さんですか?」
「ククク、やはりそこか…ついに見つけたぞ、紫音」
「待って! すぐにそこから離れて!」
紫音が叫んだ。
「ククク、もう遅いよ。山田くん、君は当選者だ、おめでとう」
電話の男が言った。
「止めて! もう止めてよ、兄さん!」 
先ほどまでの落ち着きが消え去り感情的な声をあげた紫音は、壁に背中をつけて震えている。
優しいお兄さんが道に迷った妹を迎えに来るにしては、何かがおかしい。
「離れて! 和樹さん、早く!」
紫音が顔を引きつらせて叫んだ。目は涙ぐみ、唇は震え、顔のすべてのパーツが恐怖を表現している。
「和樹さん、何が起こっても、あなたはあなたのままでいてください…」
僕から視線を外し、喉を震わせながら絞り出された紫音のつぶやきが耳に届いた。
その時、急に目の前が暗くなった。黒ずんだ霧の塊……それでいて息苦しくはない何かが受話機から湧き出て、僕を包んだ。身体が痺れ得体の知れない感覚が身体中に広がり、鈍い痛みが頭部に走る。脳細胞を指で掻き混ぜられたような不快な痛みだ。
だがやがて暗黒の霧は薄くなり、頭の痛みも消えていった。身体はまだ動かせないが、痺れも少しずつ引いてきている。
「嫌ぁぁぁッ!! 来ないでぇぇッッ!!!」
紫音が僕とは反対側の部屋奥の隅に身体を寄せ、知らぬ間に彼女の方へ移動した黒霧から離れようとして顔を強張らせている。だが6帖の部屋に逃げ場があるはずもなく、球状になった煙がずぶずぶと彼女を覆っていく。
『ククク、良かったなぁ、お前。滅多に出来るもんじゃないぞ…こんな体験。妹を助けてもらった兄からの礼だ』
受話機はとうに手から落ちているのに男の声が聞こえ続けている。鼓膜の内側から響いているような気味の悪い声。
詩音を包む暗い霧はやがて薄れ、部屋中に霧散していった。彼女は深く荒い呼吸を繰り返している。
「大丈夫!? 詩音ちゃん。何だか分からないけど、変な煙は消えたみたいだよ」
「…来…ない…で…」
彼女とはほぼ反対側、3mほど離れた壁に寄りかかっている僕を見上げる彼女の大きな瞳からは、恐怖の色は引いていなかった。むしろ、僕を視界に捉えたことで、より一掃震えが酷くなったようだ。
「うっ… 来た…みたい…」
彼女が呻き、焦点の定まらない眼球が上下に細かく揺れる。それに合わせて身体も痙攣し始め、時々電気ショックでも浴びたようにガクンと跳ねる。霧を受けた影響かぼやけている僕の視界の中で、信じられないことが起こった。彼女の肉体に驚くべき変化が始まったのだ。
左右の胸の辺りがぷるぷると動き出し、失礼ながらまっ平らだった胸部に次第に美しい二つの膨らみが出来ていく。胸の中の脂肪が高速に増殖しているのか、どこか別の空間から送り込まれてくるのかは分からないが、彼女の幼い胸はムクムクと膨らみ続け、左右の山の間には女性的な谷間が形成されていく。Aカップ、Bカップ…いや、既にCカップはあるだろう。
「あうっ」
紫音が短く声を上げた。恐怖の中に、うっすらと恍惚を帯びた表情を浮かべていた。身体の変化が彼女に性的な快感を与えているようだ。
「お胸が…紫音のお胸が膨らんじゃう…お胸の中が熱くてたまらないの…」

ー2ー 我想う故に

美しいM字の曲線を作りながら、胸の中にみっしりと詰まった肉は飽くことのない増殖を続け、膨らみの内側から押し上げられたワンピースは窮屈そうに張り詰めていく。二つの山の頂点にはうっすらと乳首の形が浮き出ている。
「あぁ…私のお胸…どうなっちゃってるの…お肉がどんどん入って来て…止まらないの…」
彼女は左右の手の平を開き二つの膨らみを包むように上から抑えるが、膨張は止まることなく続き、彼女の指では乳房全体を包むことができなくなり、手の平は上に押し上げられていく。
「プチッ」
ワンピースの中でブラジャーのヒモが切れた。恐らくAカップでも収容に大きな余裕があった少女のプライドとしてのブラジャーが、精いっぱいむっちりと膨らんだ乳房を限界以上に受け止めた後、その役目を果たし切れなくなってしまったのだ。ワンピースの方も内側からの圧力で窮屈そうに張りつめてしまっているが何とかもって欲しい。目のやり場に困ってしまう。
「やめて…もう…何も考えないで…助けて…あんっ」
彼女が潤んだ瞳で僕を見上げながら言った。何も考えない? この状況が恥ずかしいのは分かるが、動くこともままならない僕にはどうしようもない。
『まだ分からんのか?』
男の嘲笑するような口調が聞こえる。男の姿は部屋にはない。頭に直接響いているようだ。
Eカップ、Fカップ、Gカップ…、彼女の胸はますます豊かに成長していく。
「どうして…あんなに優しかったのに…こんなの…こんなことって…くふぅ」
役目を全うしたブラジャーはちぎれ、今や彼女の上半身を覆っているのはしっとりと汗ばんだワンピースのみだ。クリーム色の薄い布地に、もはやどんな巨乳タレントにも負けない程たわわに実った乳房がぴったりと貼り付き、官能的な双丘をこれでもかとアピールしている。衣服というよりは伸縮性の高い生地で作られた体のラインを見せるための水着のようだ。葡萄の実のようにぷっくりと成長した乳首の赤みが布ごしに自己主張を続け、早くこの布から解放されたがっている。彼女の乱れた呼吸に沿って、二つの柔らかな肉の塊が上下左右にたぷたぷと揺れ、その淫らな魅力をアピールし続ける。
膝下まだあったスカートもワンピースの上部が引っ張られた為ミニスカートとなり、彼女の秘部を守る純白の布が見え隠れしている。
「否、気付くことができないのではなく、心に気付かない振りをさせることで良心の呵責なく楽しむつもりだろう、くくく」
また男の意味不明な声が頭に響く。だが今は彼女から眼を離すことができない。何もできない僕には見守るしかないのだ。肉感的な乳房が美少女の清純な印象を妖艶なものへと変化させていくのを眺めながら、このバストだったら下半身ももう少しボリュームがあった方がいいかな…という思考が頭をよぎった。直後、僕から彼女の方へ空気が流れるのが微かに見えた。部屋中へ霧散したはずの黒い霧が再び集まり、彼女の腰から下をうっすらと包む。
「ひぃぃっ、もうやめてぇぇ」
彼女が小さな叫び声を上げ、一瞬だが責めるような眼差しを僕へ向けた。
紫音はビクっと大きな痙攣を起こし、膝立ちの状態で壁に両肘と豊かな胸をつけるようなポーズになり、丁度尻をこちらに突き出す形になった。
「お尻が、お尻が熱いの。もうたまらないの」
既に変化は始まっていた。少女の尻がじわじわと何かが注入されていくように膨らみ出し、つつましい少女のお尻は異性を誘惑するためのむっちりとした臀部へと変化していく。同時に鉛筆のように直線だった太ももにもフェロモンいっぱいの肉が生み出され増殖を続け、内側外側ともメリハリのあるラインを形成していく。極上の尻肉は過剰なサービスを止めることなく増え続け、純白のパンティは上下左右に引っ張られ白い水着が食い込んでいるかのようだ。
「紫音のお尻…お肉が膨らんで…キツキツで…苦しいよぉ」
汗ばんだ女性の匂いが微かに漂う。
「くくく。もう気付いているのだろう? すべてはお前のせい、お前の業なのだよ」
また男の声。さっきから何を言っているんだ。だが今はそれどこらではない。彼女の変化をもっと見たい。だがスカートが邪魔だ、もっと上と同じような…。そう考えた刹那、彼女のスカートは泡のように流れ落ち、純白のパンティが材質と色合いを変化させながら皮膚の上を伸びていき上部とつながり、彼女の下半身はフリルのついた薄黄色の水着に包まれていた。いや、彼女の上半身から下半身までが薄黄色の伸縮性のあるレオタードのような生地に包まれていた。だがその生地は薄くぴったりと皮膚に密着するため、大きく桃色に勃起した乳首の先にある僅かな陥没やその周囲にぷっくりと浮き上がった乳輪、そして彼女の秘部の形まで、何一つ隠すことなく外部に晒していた。
「それがお前の欲望の形か」
また男の声が響く。
「俺の能力は他人の意識を読み己の意識を他人に伝達すること。リーディングとテレパスだ。この能力のせいでまともな生活などできなかった。妹と一緒に社に拾われるまではな。そんな話はどうでもいいか…。妹の能力は構造変換。己自身と触れたものの構造を変化させることができる、俺なんかと違って希少な能力さ。もっとも、以前は怒ると爪や髪の毛が伸びたり嫌いなピーマンを甘くすることができる程度だったがな」
男の話が信用できるのか、何故自分にそんな話をするのか分からなかったが、今起こっていることを理解するためには聞くしかない。
「ククク、まああれだ、悩める現代人の好きな自分語りって奴さ。だが社は俺達の存在価値を認めてくれた。研究対象としてな。それでも俺達は…少なくても俺はうれしかった。そして俺達は能力を引き出されたが、いくら訓練を積んでも俺はありがちなリーディング能力者、紫音はコップ1杯の塩水を2時間かけて砂糖水にする程度…。すぐに飽きられたよ。だが、俺と妹が近くにいる時には、大きな力が発揮できる可能性があることが理論上分かっていた。遺伝子の共鳴現象だとか研究員は言ってるよ。共鳴によって発現する新たな力、俺がスキャンした対象の願望を紫音に植えつける…たったそれだけさ、今起こったことはな。だがこんなにうまく行ったのは初めてだよ。社の実験では上手くいかなかったんだ。死んだおばあちゃんに会いたいと泣いていた実験の被験者より、お前の肉欲の方が遥かに強かったんだな」
彼女の方を振り返る。
まだ少しづつ成長を続けている豊潤なバスト、その下で理想的なカーブを描き引き締まった無駄のない腰回り、それに続くヒップのはちきれんばかりのボリューム、ふるふると美味しそうな肉が詰まったムチムチの太もも、滑らかに連なる足首までのラインは前後左右どこから見ても完璧だった。あどけなさが残る少女の美しい顔に卑猥な欲望を極限まで詰め込まれた肉体。見ているだけで頭がクラクラとして、理性が崩れてしまいそうだ。

ー3ー 欲望のカタチ

彼女のは本当に僕の意識から引っ張られた形なのだろうか。そもそもこれは現実なのか。バイトで疲れた身体が見せる淫夢ではないのか。
たしかに外国製の安価なTVや飾りっ気のない壁、玄関へと伸びたキッチン兼廊下などは見覚えがある。ここはたしかに僕の部屋だったはずだ。小さなテーブルの上には、少女が口をつけたばかりのティーカップもある。少女=紫音は…今でもすぐ側で壁にもたれかかっている。道に倒れていた時よりもぐったりとして、肩で息をしている。大きく息を吸う度に頭2.5個分はある圧倒的な乳房がたぷんたぷんと波打ち、伸縮力の高い特殊な水着の締め付けによって強調された胸の谷間が呼吸に沿って微妙に形を変える。
彼女が懇願するように上目遣いで僕を見た。
「た、助けて…和樹さん…もうこんなことは…止めて…」
すべて僕のせいだと言うのか。彼女が苦しんでいるのも、すべて僕の…。
「俺はそんな…そんな…変態じゃない!」
男の姿は見えないが、奴の声が聞こえてくる上を睨みながら叫んだ。
「ククク、別にアブノーマルでもないさ。ここに来るまで何度か自主的に行った実験では、可愛い妹をマッチョな弟にしようって野郎もいたからな、ククククク」
「お前、それでも兄なのか! 何故そんなことをする!」
「質問は一つずつにしてくれよ。両親の顔は覚えてないが、何度も遺伝子検査しているからな、兄妹であることは間違いないよ。二つ目、何故こんなことをするって? さっき言わなかったか。俺と妹が生きていくためにはこの能力をものにして研究所に認められなきゃならんだよ。つまり紫音のためでもあるのさ。そんなことより、お前せっかくのチャンスがこれで終わりでいいのか? もう身体は動くだろう? 大成功した記念に、もう少しサービスを続けてやろうかと思ってたんだが。俺たち3人のコラボレーションをな」
「ふざけるな! 実験だか何だか知らないが、こんなこと許されるわけがないだろう!」
「ククク。俺はお前の心が読めるんだぜ。まあ完全に上辺だけの怒りではないようだが…。安心しろ、俺の仮説では、今回の成功は妹がお前に対して少しは好意を持っていたからなんだよ。紫音の本音は俺には分からんが、今までの実験で紫音側に精神の壁があったせいで意識の移動が失敗していたことは間違いないんだ」
なんだって…。紫音ちゃんが俺のことを…。
「ククク、動揺してるな。本当は、リーディング能力で妹の心だって読めるんだろ?って突っ込んで欲しいところだったんだが。能力者同士や訓練を積んだ人間には使えないんだ、俺のリーディングはな。俺一人に出来るのは電波の弱い携帯電話なみのテレパシーだけってことさ。もっとも、紫音の感情が読めないのは好都合なんだよ。自分への憎しみが流れて来るのはいい気分じゃないんでね、ククク」
「実の妹で実験するなんて、お前は狂ってる!」
「ククク、お前に俺達の何が分かるっていうんだ。そんなことより、そろそろ俺が散布した意識伝導帯が切れちまうぜ。お前の欲望はそんなもんだったのか? 遠慮するなよ、ちゃんと満足させてやれ、我が妹君をよ。ククク」
紫音の方を振り返る。相変わらず息は荒いが、命に別状はないようだ。俺のせいで紫音にもしもの事があったら…俺は自分が許せないだろう。
「クククク、素直じゃないねぇ、ククククク」
男の笑い声がが頭に響く。紫音は言った、何があっても僕でいてくれと。今の彼女は普通じゃないんだ。弱みに付け込んむようなことは僕には出来ない。
「ククク、まったく君は汚い男だね。あくまで自分からは手を汚さず、紫音から事を起こせというのかい」
紫音の方から俺を? たしかにそうなったら跳ね返す道理は…いやいや、奴の口車に乗せられてはダメだ!
だがその時すでに、空気の微かな流れが起こり、僕から紫音へ何かが送られた。
壁に横たわっている彼女の身体がビクっと震え、たっぷりと淫肉が詰まりながらも伸縮性のある水着の中で綺麗な形を保っているバストを中心に大きく波をうった。何重にも反復される波が収まった頃、深呼吸のように深かった彼女の呼吸音が聞こえなくなり、彼女が顔をこちらに向けた。彼女の瞳はウルウルと濡れていた。
眼を細め、天使のような、悪魔のような微笑を浮かべ、正座から膝を開き内太ももをペタンと床につけた格好で座る。彼女が動きにやや遅れて動きを増幅してトレースするかのように左右の巨大な乳房がたぷんたぷんと揺れ動く。薄い薄黄色の生地はねっとりと湿って透け透けで、肉の形を強調している。イチゴサイズにまで膨らんだ充血した乳首と周囲の浮き出た乳輪がはっきりと透けている。下乳部を両手で挟み込むように抑え、双丘を突き出すように持ち上げる。腕は胸の裏柄に隠れこちらからは見えない。魅惑的な谷間がさらに強調させてから、彼女は甘い興奮に包まれた声を出す。
「見てください、和樹さぁん。紫音のお胸、あんなに小ちゃかったのに、あなたの欲望がいっぱいいっぱい流れ込んできて、こんなにいやらしく大きくなっちゃっいましたよぉ」
裏で支える両手と身体全体を使って二つの胸が上下同時に、左右に、上下逆の方向、時計周りに、その逆にと跳ね回る。見ているだけで身体が浮かぶような光景だ。
「あふぅ、紫音のお胸の中のお肉が熱いの。あなたに早く触ってもらいたくて、疼いちゃってたまらないの。だってそうでしょ、ここにたっぷりと詰まっているいやらしいお肉はあなたの欲望なんだから。はやくあなたにかきまわして欲しくて暴れまわってるの。紫音のいやらしいお胸に、早くきてくださいよぉ、とってもふわふわですよぉ」
紫音が上目づかいに僕を見上げながら胸を弄び続ける。
「で、でも」
僕は唾をごくりと飲み込んだ。
「ウフフ、まだ我慢してるんですかぁ? そろそろこのワンピースも用済みたいですねぇ、お気に入りだったのにぃ」
彼女が右の乳房を口の前に押し上げ、乳首を舌の先でねっとりと唾液を絡ませるように舐めあげると、元ワンピースだった伸縮性のある透け透け水着がワンピースの素材に戻ってしまい、左右から引っ張りで胸の谷間から生地が浮かび上がり、両乳首から縦に亀裂が入り切り裂かれたかと思うと、蒸発するようにそのまま消えてしまった。
ぽわわん、と二つの乳房が圧倒的な質量を見せ付けるながら大きく弾み、重力で下をむいたが、伸縮水着着用時より左右に多少広がった程度で、それほど型崩れは起こらなかった。
「ふう、苦しかったぁ。お胸が出して出してって大変でしたよぉ。布地とこすれて揺れただけでも気持ち良過ぎて…。私もお乳もあなたに早く気持ち良くしてもらいたかったんですよぅ。でも大事なところはまだ秘密ですよ」
みっちりとした太ももの間には先ほどまでの水着がビキニの下部分のような形で残ってた。
紫音はもう一度自分の乳首を持ち上げ舌の動きを見せながら時間をかけて舐め上げた。絹のように白くきめの細かい皮膚は汗ばみ、ローションを塗ったようにテラテラと身体中を輝かせている。
「あはぁ、もう自分だけじゃ我慢できないのぉ、早く揉んでぇ、舐めてぇ、紫音をぐちゃぐちゃにしてぇ」
だらしなく緩み口から涎れを流しながらんでもまだ美しさを保つ紫音の顔に僕の中の最後の防御壁が破られた。
「ありのままの僕…本当の僕…分かったよ、紫音ちゃん!」
抱きしめるように巨大な乳房の間に顔を埋づめると、汗と雌の芳香が脳を直撃する。欲望のままにマショマロのようにらかながら適度な弾力を感じさせる完璧な乳肉を揉みしだく。指の先と手の平で赤子のように滑らかな肌触りを楽しんでから、はぜるほどに膨らんだ右乳首を口の中に含み舌で転がしながら、右手の指でもう一つの頂点を強くつまんでかきまぜる。
「あひぃぃ、気持ちいい、気持ちいいよう! もっと揉んでぇ、舐めてぇ、掻きまぜてぇ」
紫音の左乳首の先を舌で転がしながら左手の肘より上を胸の間に突っ込み、左乳首を開放してから、左右の乳房で淫肉の中へ埋まった左腕を上下に大きくしごかせる。皮膚から滲み出ているローションのような甘い液体が量を増し、双丘の内側がなめらかにこすれ腕に極上の感覚が伝わってくる。紫音は乳房を上下させるたびに大きく喘ぎ、その上下運動に夢中になっていく。
「ふひぃ、お乳中が熱くて気持ちいいのぉ、お乳が気持ちよすぎておかしくなっちゃうよぅぅ!」
紫音が身体中の皮膚を紅く上気させて叫ぶ。
だが、これくらいでおかしくなられたら困る。それがありのままの僕だ。意識を両乳房の中心部あたりに集中して念を送る。
周囲の黒霧が予想通り反応して紫音の肉体を突き抜けていく。
「ひぃ、お胸が、お乳がまたむずむずして、あふぅ」
再び膨張を始める紫音の胸。
「入ってくる、入ってくるよぉ、和樹さんのHな気持ちがお胸に入ってきて、内側から胸を揉まれてるよぉ、気持ちいいよぉ」
それでも紫音は乳房の上下運動を身体中を使って一心不乱に続けている。紫音の反応にますます欲望を掻き立てられた僕は、さらに心を込めて念を送り続ける。
「あふぅぅん、変だよぉ、紫音のお乳がどんどんHになっちゃってるよぉ、もう空気の抵抗だけでも乳首とお肉がじんじんしちゃうよぉ、気持ち良すぎちゃって、もう…」
もはや詩音が起き上がれるのか心配な程乳房は膨張し、乳首はキュウイサイズまで大きくなった。それでも型が崩れてしまうことなく海に浮かぶ球体のようにぶるんぶるんと卑猥に揺れている。もはや別の生き物のようだ。
皮膚はローションを塗ったようにテラテラと輝き、中に詰まった淫靡をさらに引き出している。
「お願い、もういかせて…これ以上気持ちよくなったら、頭が変になっちゃうの…」
だが、僕の欲望はまだ紫音を開放しない。君が言ったんだ、ありのままの僕でいてくれって。今度は、意識を乳房全体に合わせて念を送る。
「僕の欲望がそこ詰まっているというのなら、僕に返してもらうよ」
紫音が身体の変化に気付いて悶える。
「くふぅ、お胸が変なのぉ、あぁん、内側でお肉が暴れてるのぉ、お乳がはってきちゃって、何なのこれ、何をしたの和樹さん、でも気持ち良くって、ああもう溢れちゃう、真っ白になっちゃうよぉ!!」
再び紫音を壁に寄りかかるように座らせ、僕はその前方正面に立ち、彼女を迎えるように左右に大きく手を広げた。
「来い!」
その時、彼女の乳房全体に張り巡らされた乳腺から集められた大量のミルクが、性感をクリトリス以上に高められた乳首の繊細な穴を通り噴出し、左右から僕の口めがけて飛び出した。
「あひぃぃいっちゃうぅぅ!! 紫音のお乳が気持ち良過ぎていっちゃうぅぅぅぅぅ!!」
彼女の絶叫とともに降り注ぐ大量の生温かいミルクシャワーを全身に浴びながら、僕は心地よい達成感に包まれていた。

終わり