アダルト・メール Part1-3

またたび 作
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「ぶっふぁああ・・・。」直子は会社の入り口の辺りで大きなため息をついた。彼女はため息というものが嫌いで、自分もなるべくしないように心がけていたのだが、さすがに今日だけは勘弁してほしいと思う。今の直子は普段の彼女ではない。入り口に来るまでの間、一体何人のオッサンにいやらしい目で見られたことか。「ぶはああぁ・・。」直子はもう一度大きなため息をついた。

「(間違いない、あのアドレスみたいなのを・・・)」

『美しくなりたいあなたへ アダルトメール ここをクリック』 
「(つうかあれしかない、あれ以外ない!でもクリックしただけでこんなことになるのかしら?)」
といろいろ錯誤していると、ふと携帯が振動した。「・・?」と直子が受信ボックスを開けると、


『美しくなりたいあなたへ アダルトメール ここをクリック』 beauty.change/b125milky/w64/h93.be

「ゲッ!?」と直子は声を上げてしまった。「(う、嘘!?またメール!?)」ついに携帯にまでこのメールが来た。
「(あれ?よく見るとアドレスが違う)」
beauty.change/b98/w52/h89.be
beauty.change/b125.milky/w64/h93.be
と微妙にアドレス(といってもアドレスになってないが)が違う。今までは全く同じ内容であったのに。「(ていうことは・・別物?なんでいきなり変わったんだ・・)」まあ、考えてもわからんし、とにかく帰るか。と直子がタクシーを探し始めると、
「あ、あの・・・。」と急に声をかけられた。「へ?あ、ふぁい?!」ビックリして直子はグルリと振り返る、同時に直子の胸がゴワンと暴れる。「あの さ、さっきはすいませんでした。ぶつかってしまって。」さっきの男の人であった。その男も思わず直子の巨乳に目を惹かれる。「あ、いえいえいえいえここちらこそぉ!?」直子は慌てふためく。
「(か、かわいいなあ・・)」と男は思った。特に顔に特筆すべき点はない。どこにでもいそうな一般的な女性だ。しかし体は誰もが(一部の例外を除き)欲情してしまいそうな、まさしく美人である。「(ここのビジネス街に今までこんな人がいただろうかなあ。どうしよう、連絡先聞きたいなあ・・でもイキナリ聞いたらやらしいし・・。)」
「え、ええと、それじゃ・・。」とその女性はタクシーを拾ったらしく。近くに停まる。「(ああ、どうしようかなあ・・またここ来るかなあ、でも営業失敗したしまた来れるかわからないし・・。)」とまごついていると。「あっ!」とタクシーに入った女性が叫び声を上げる。「や、やば!財布にそんなお金ない・・。」どうやら財布にお金はいれないタイプらしい。「あの、カードでは・・。」「ああ、すいませんお客さん、この車俺と同じ年寄りで、カードはちょっと。」「そんなぁ・・。」
チャンスだ、と男は察した。「じゃあ、僕が金を出しましょう。」「え、いいんですか?でもATMに行けば・・」とその女性が返答してきた。それだけで男は嬉しかった。「体調が悪いのに、僕は問題ないですよ。ぶつかった事もありますしね。」よし、完璧な返答だ。「す、すみません・・どうしよう、何時返せば・・。」「それでしたら、会社の連絡先をお教えします。」「あ、はい、ありがとうございます!」
そして男は彼女に会社の連絡先と自分の名前を教えて、彼女に金を貸した。「すぐに連絡させて頂きます。」「いやいや、おかまいなく。(もう十分謝礼は頂いたもんですよ。)」そして彼女はタクシーで行ってしまった。まれで連れ去られるようだなあ・・。と男はほんわかと思った。
続く