「………」
「…………恥ずかしい」
千秋は一人静かにシャワーを浴びていた。
ここでオナニーをし始めてそれをユリアに見られ、
あまつさえそのまま別の場所で続け、他人の目の前でイってしまったのである。
今は胸に落ちた洗剤を落としているところだ。
「ああもう…なんで俺あんなことを!」
顔を赤らめて顔を横に振った。爆乳もそれに釣られて盛大に揺れる。
「イったんだな、この胸で…ひゃんっ」
感慨深く見つめるように胸に触れるとまたしても感じてしまった。
シャワーの水を浴びるだけでも感じてしまうこの胸。
ここまで敏感じゃなかったら、あんなことにはならなかったかもしれない。
「千秋くーん、そろそろ上がってちょうだーい」
はーい、と返事をしてシャワーを止め、シャワールームを出た。
「ん…あん…ん…くうん…」
タオルで拭いても胸中に快感が湧き起こってくる。さっきイったばかりなのでなおさらである。
爆乳なおかげでただでさえ拭く面積が広いのも苦労する。
「大変ねーこんなに大きい上に重くてしかもとっても敏感なのに」
「…ユリアさんがそうしたんでしょう!」
まるで他人事のように言うユリアに一言文句を吐きながら拭き続ける。
胸に隠れて腹や脚が拭きにくいのも困りものだ。
「まあまあ。髪は手伝ってあげる。」
ユリアは千秋の長い髪にドライヤーを当てた。男の時の短髪とは違い、タオルで拭いたくらいでは簡単に乾かない。
そのまま櫛で梳かしながら、
「そうそう、いいものできたのよ。きっと千秋君喜ぶと思って。」
「服がないと困るでしょ?ほら」
ベッドの上に、衣服が数点置いてあった。
「まずは…セーターとズボンね!」
黒色の長袖縦セーター、そしてジーンズがあった。
「ほ、ホントだ…でもなんかセーター大きくない?」
「ええ。それと…ブラジャーとパンツもあるわよ!」
上下とも桃色の下着一式があった。こちらもブラジャーだけ異様に大きい。
大玉スイカが両カップに1個ずつ入ってもまだまだ余裕がありそうな大きさである。
「そりゃあ、そのおっぱいに合わせるためよ。サイズは昨日測ったからぴったりのはずよ!」
昨日、ってことはあの時気絶してからやっぱり丸一日経ってたのか…と驚きながら千秋は着け始めた。
冷静に考えるとパンツの方も相当な大きさだ。確かヒップも92あったはずなのだから。
胸で下が見え辛いながらも履くと、ぴったりと入った。
「じゃ、次はブラジャーね。女の先輩である私が教えてあげる!」
「はい……」
あの大きなパンツを見て、千秋は嫌なことを思い出していた。母親のことだ。
母はいつも、洗濯物を貯め込んで家事も満足にしなかった。いつも自分が仕方なくやってたっけ…
母の下着はもっと小さかったが、同じ桃色のものばかりだった。
「ちょっと聞いてる?次からはひとりで着けられるようにならないと!」
「あ、ごめんなさい…」
ユリアからホックの着け方などを教わった。
ブラジャーをよく見ると、ストラップやベルトは妙に太く、ホックもかなり頑丈に固定されているように思えた。
「そりゃあ、あなたのおっぱいは片方25kgくらいあるんだから。普通のブラだったらすぐに壊れちゃうわ。特別に作っておいたわよ!」
「え、作ったんだ…?」
「そう、特注っていうか私特製よ!」
こういう時に備えて、爆乳用の服や下着などを短時間で作れる機械を開発していたらしい。
「はい、完成!どう?初めてのブラジャーは?」
「おお…」
見事にブラのカップの中に自分の爆乳がしっかり収まっている。
心なしかさっきほど胸が重く感じない。
胸が収まったことに感心したが、逆にあれほど巨大なブラにも係わらず、少しもぶかぶかさせずにぴったりフィットする自分の爆乳もすごい。
「172のアンダー70。Zカップオーバーの特大ブラジャー……ってわけ」
やはりここまで大きいと、アルファベットで数えられる次元じゃなくなるのか…千秋はしみじみと思った。
「じゃあ、こっちの方も着ないとね!」
勧められるままにジーンズとセーターを着る。
千秋の身長は172cm。女になっても変わりないが、女性にしてはかなり高いので少なくともジーンズは大きめだ。
セーターが大きいのは胸のためであることは言うまでもない。
胸がつっかえかけながらもなんとか着られた。
「おー、いいじゃない!似合うわ!」
案外しっくり来ていたので正直気に入っていた。
セーターも巨大な胸を覆いきってぴったりなのはよかったが、もろにボディラインが目立つ点はちょっと気になった。
「まあ、そんなおっぱいじゃ何着たって目立つわよ」
確かに、と合点して溜息を軽くついた。
「じゃあ、家の仕事とかやってもらいましょうか!」
一息ついた後、さっきも少しやった、家の仕事について説明してもらうことにした。
もちろん、先ほどのような乳でガラスを拭くのはごめんだと断ったが。
「まあ、正直あまりやることもないんだけどね。床や机を拭いたりとか、掃き掃除とかね。」
だが、実際試しにやってみるといろいろ問題があった。
床を拭こうとしても胸が地面についてしまって邪魔でうまく拭けない。胸を抱えながらやるのも難しい。机についても同様だった。
掃き掃除もこれまた胸が邪魔してホウキや掃除機をうまく動かせない。特にホウキの場合は胸で真下のゴミが見えないのは致命的だった。
「あらー…ごめん、そこまで考えてなかった!」
特に困る様子もなかったが、千秋がじゃあどうするのと聞くと、
「掃除用の機械とかが既にあるし、そっちに任せましょう!電気代がもったいないから人の手でやろうと思ったけど別にいいわ!」
結局、手伝いはせいぜいゴミ出しと書類整理くらいにとどまった。
「まあ後は、買い物くらいかな?」
一緒に車に乗り、少し離れたスーパーまで買い出しに行くことになった。食料だけはときどき買いだめしないといけないらしい。
人里離れた場所だが、案外町までは遠くない。
「でも、俺みたいなのいたら、怪しまれないかな?こんな胸だし…」
「堂々としてれば大丈夫よ!」
やたら胸を圧迫してくるシートベルトに悪戦苦闘しながら尋ねる千秋だったが、軽く流された。
そうこうしているうちに、スーパーに着いた。
「じゃあ、あなたはこれだけお願いね。」
冷凍食品や缶詰などの品目が書かれたメモを渡すと、ユリアは別のところへ行った。
メモを見ながら、こんな食生活だと健康が心配だなとか思っていると、やはり視線が来ることに気付いた。
「うわ…でかっ」
「何あれ…本物?」
「外人さん?すっごいわね〜」
みんな小声だったが、こんな感じのことが耳に入った。
何も話してなくても、胸をちらちらと見てくる人間は多数だった。夕方時で人の多い時間帯というのもあったが。
「……胸が大きい女の人ってこんな気持ちなのかなあ」
あまりいい気分でないながらも千秋はメモに書かれた物を探していた。
胸のおかげで近くは見えないので遠目になって商品を確認しないといけないのが辛かった。
しかも人が多いので遠目に確認するのも難しい。
「あ、あったあった。」
数メートル先にあるサバ缶を確認すると、人を掻き分け、胸の下から手探りで取った。
「これで全部買えたかな…あっ!」
うっかり肘が通行人に当たり、サバ缶を落としてしまった。
「やだ〜…どこ?見えないよ…」
胸で視界が遮られ落としたサバ缶が見つからない。買い物も胸のせいでうまくいかない。
「なあ。落としたよ、これ」
声のする方を見ると、金髪の若い男がサバ缶を拾ってくれていた。
「あ、ありがとうございます!」
そのまま受け取ろうとすると、
「でさお姉さん、お礼にさ、どっか遊びにいかない?」
人は見た目によるものだった。ナンパのチャンスでも伺ってたのだろうか。
「し、失礼します。本当にどうも!」
そのままサバ缶を奪うように取って去ろうとしたが、
「待ってよ…俺がいなきゃ缶詰とれなかったっしょ…いいじゃんちょっとぐらい」
無視しようとすると、
「なあ、いいだろー?こんなでかい乳してるのによ!」
胸に記憶の新しい感触が蘇った。揉まれた。
「やめてください!!!」
思わず反射的に手をはたいた。その瞬間、
「うわあああっっ!!!!!」
目が点になった。
はらっただけのつもりだったが、
金髪の男はボールの様に弾き飛ばされ、
3メートルほど先の魚売り場の生簀に飛び込んでいた。
「ご、ごめんなさ…あれ?」
思わず謝ってしまったが、何がなんだかわからない。
「ち、千秋君!何をやってるの!」
「あ、ユリアさん!」
魚売り場に野次馬が集まり始めた。
「しょうがないわね…今日は帰るわよ!」
「ええ、力が強くなるの!」
「そうよ。でないと50kgもそんな重いのぶら下げて歩けないわよ」
ユリアの説明によると、例の急成長遺伝子を摂取すると、力自体も強くなるらしい。
「そういえば胸も案外持ち上げられるもんな…」
50kgというと2リットルペットボトル25本分。片方でも10本分以上で普通なら両手でも苦労しそうなのに片手でも十分に支えられていた。
「私だって何も考えてないわけじゃないのよ…それに、これで痴漢も怖くないしね!」
「はい…ありがとうユリアさん」
そういえばユリアさん科学者だったっけ。さすがだなあ、とユリアへの認識を改めた千秋であった。
「じゃあ、おやすみなさい!寝巻はまだできてないけどごめんね!」
「大丈夫だよユリアさん!暖かいから!」
食事もそこそこに寝床についた。
暖房はきいているし、特に寒いわけでもないので寝巻はいらなかった。
むしろ巨大な胸が断熱材の働きをしているし、寝る時くらいはブラや服に圧迫されたくないのでパンツ1枚で十分だった。
「ユリアさん、おやすみなさーい」
「おやすみ!」
こんな感じで、起きて手伝い、いろいろやって寝るといった生活が数日間続いた。
そんなある日のことだった。
「んー……よく寝た!」
すがすがしい朝。いつも通り爆乳をたぷんと揺らしながら上体を起こした。千秋の1日は服を着替えるところから始まる。一人でも簡単に着られるようになってきた。
「さて…まずはブラジャーを…」
慣れた手つきでブラを付けていき、さほど時間もかからず装着できた。
「……あれ?」
千秋は、なんとなく妙な感覚がした。
「胸が…きつい?」