空手

ななしのごんべ 作
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僕(吉井賢吾)は2年ほど前から、家からそう遠くない空手道場に通っている
はっきり言って僕は体育が苦手だ、しかし、体力づくりのためだといって この空手道場に通っている(通わされている)、僕はやめたいと思っていた
そう、1ヶ月前まで・・・

1ヶ月前の水曜日、その日もしかたなく道場へ行った、そして奥にある更衣室 で空手着に着替え、同じ学校の隆志といつもと変わらない話をしていた
そして時間になったら正座して師範を待つ、それがいつもの行動だった
しかし、この日は違った、いつもならみんなは5時に始まる空手に4時40分 過ぎに集まりだす、しかし僕と隆志は4時20分にはいつも来ている、次に早い 栗城が来るのは35分くらいだ
しかしこの日は30分より前に階段(道場の稽古場は2階)を登る音が聞こえ てきた、栗城の奴やけに早いな、と思いながら階段の方を見ると、太った 栗城ではなく小学校4年生くらいの女の子が立っていた(僕と隆は小5)
ただし、その4年生くらいというのは身長からの推測である、その娘が着て いるTシャツは外人の大男が着るような馬鹿でかいものでありながら生地が へその部分まで足りていない、その大部分は胸の部分に使用されてしまって いる、彼女は無言で更衣室へ入っていった、その様子を僕と隆志はただ呆気 に取られて見ているだけだった。