湯煙天女−桃乳湯の伝説−

名無しの七尾(物語)・ひぽぽ玉巣(挿し絵) 作
Copyright 2004 by Nanashinonanao (story)
Copyright 2004 by Hipopotamasu (picture)

第一話・天女伝説

「おいおい、どーなってんだここは。地図と全然違うじゃねーか。」
俺の名前はキリ。しがない都会のフリーターだ。
どういう訳か、応募もしてない懸賞に当たっちまって、
この人里離れたさびれた温泉街に暇つぶしに来たというわけだ。
ところが道に迷い___いや、駅からの道は間違っていないはずだ。
駅員にも確認したし、俺は方向音痴じゃない。
ケータイは圏外、霧も出てきた。日が沈んできたのか、辺りは薄暗い。
「ちくしょう、どーなってんだ?!」
歩けば歩くほど深い森の中に入り込んでいく。
霧もますます濃くなって、もう引き返せる状態じゃなかった。
「もうだめだ…、迷っちまうなんて…!」
為す術もなく、俺は地面に座り込んだ。

どれぐらい時間がたっただろうか。辺りはもう真っ暗だ。
霧は晴れたが、夜の森では身動きがとれない。
「朝まで待つか…。」
その時だった。こちらに向かってくる火を見つけた。
「な、なんだ?」
まさか、火の玉か?いや、そんなわけない。あれは一体…?
「はぁはぁ、もし、そこのかた、キリ様ではございませんか?」
「いや、はぁ、そうですけど。」
「よ、よかった。あまりに到着の時間が遅いので、お迎えに上がりましたぁ。」
火の玉に見えたのはランプで、それを動かしていたのは人間だった。
しかも絶世の美女。くっきりした目鼻立ちに、長いまつげ、長い黒髪、着物姿。
急いできたんだろうか、息が切れていて、着物が乱れて胸元がはだけている。
色っぽい。それにスタイルも良い。かなりの巨乳だ。美しい、
まるで天女のようだ。年は二十歳前後だろうか。

「本日はようこそ。わたくし桃乳旅館の若女将、ヨウでございます。」
俺は旅館に案内された。
「ようこそー。」
旅館に着くと、ヨウさんほどではないが、巨乳、しかも
美人ばかりが出迎えてくれた。ざっと20人ほどいる。年は、
ヨウさんと変わらず二十歳前後に見える。
館内もなかなか味のあるつくりで、よく手入れされている。
しかし俺はある異変に気付いた。客が、俺の他に誰もいないのだ。
しかも、男もいない。女性ばかりだ。つまり、男は俺一人、そんな状況だった。
「こんな人里離れた山奥なのですっかりさびれてしまって、今や
誰も見向きもしない、温泉街となっているのです。」
俺の気持ちを察したのか、ヨウさんは寂しそうに事情を話してくれた。
「ささっ、こちらでございます。おくつろぎくださいませ。」
部屋に通され、夕食を待つことにした。ケータイを何気なく開くと、
今だ圏外のままだった。
「ふー、ま、いっか。」
少しして、夕食が運び込まれた。ヨウさん直々に持ってきてくれた。
腹は減っていたので、食欲は進む。
「キリ様、食事の後はどうされますか?桃乳湯でしたら24時間いつでも
入れますが…。」
「そっか、じゃ、温泉に入ろうかな…。」
「そ、それでしたら、わたくし、キリ様のお背中、流させてもらいますね。」
俺は驚いた。こんな美人の、しかも巨乳で色っぽい若女将が、
背中を流してくれるというのだから…!来て良かった!
「桃乳湯は混浴なんですよ。…イヤですか?」
「まさか!よろこんで。」
「そうですか、イヤじゃありませんか、あぁ、うれしい。」
ヨウさんが頬を染める。

夜の十二時頃、俺は桃乳湯に向かった。
お湯にどっぷり浸かる。気持ちいい。いい湯加減だ。
しかし、桃乳湯というわりにはお湯は無色透明だった。
「失礼します、キリ様、いらっしゃいますか。」
「よっ、ヨウさん!」
ヨウさんは上半身裸の状態だった。おかげで胸が丸見えだった。
かなりの巨乳、いや、超爆乳だった。Jカップは有るんじゃないだろうか。
下半身にはタオルを巻いているが、あと1pずれれば
全てが見えてしまうほど、わずかなものだった。
「お背中、流します。」
俺の心臓は高鳴った。振り返ればヨウさんがいる。
超爆乳の美人若女将のヨウさんが。
「お背中流し終わりました。少しからだが冷えましたわね。
もう一度桃乳湯に浸かりましょうか。ご一緒してよろしいですか。」
ヨウさんと俺は、同じ空の下、同じ温泉に入っている。
ヨウさんは俺に何度も喋りかけてくるが、その度に胸がつん、つんとあたるので、
ドキドキして、何も頭に入らなかった。
「あっ、流れ星!」
ヨウさんはバシャッと音を立てて立ち上がり、空を指さした。が、
立ち上がったときにスルッとタオルがとれてしまった!
ヨウさんは、全裸の状態で俺の目の前に立っている。
「きゃっ、やぁぁぁぁ〜ん!すみません、キリ様!あっ…!」
ヨウさんは慌てたのか、滑ってしまった。そして俺の顔の上に
胸が覆い被さった。ものすごい体勢だ。胸に潰され、息が出来ない。
「ふご、ふごごご…。」
「いやぁぁぁっぁ〜〜〜ん!!」

ヨウさんはしばらくすまなさそうにしていた。
「本当にすみませんでした。お礼と言ってはなんですが…さぁ、あなた達、
入って!」
「はぁ〜〜〜い!」
元気よく胸を揺らしながら、全裸の女の子たちが20人ほど入ってきた。
さっきの子たちだ。
「さあみんな、キリ様に本当の桃乳湯をお見せするのよ。」
「はい、若女将!」
一体何が始まるんだろう。俺は興奮しながらも不安でいっぱいだった。

続く