漆黒の演奏者『序曲』

パトリオット 作
Copyright 2004 by Patoriotto All rights reserved.

それはかつて何世紀も前の話です、あるところにとても仲の良い二人がいました。一人はとても腕のいいバイオリンの弾き手でもう一人はそのバイオリンを作っている工房の作り手であり作曲の名人でした。二人は兄弟のように仲が良かった。ところがある日弾き手のほうが当時は不治の病にかかり、医者は3年の命と宣告しました。弾き手は作り手にこういいました。「死ぬ前に最高のバイオリンを弾きたい」と、作り手はその日から製作と作曲にかかりましたがどれもイマイチでした。「なんとか最高のバイオリンをつくりたい!みたこともない楽譜を作りたい!」そう思った彼はある決断をします。弾き手の命はあと3ヶ月のときに作り手は一つのバイオリンと5つの楽譜を持ってきました。その色はとても黒く5つの楽譜はぼろぼろの羊皮紙でした、周囲はなんであんなのものをとぼやいてましたが弾き手が引くと、この世にこんな音色があるのかと感動の涙を流しました。弾き手は3ヵ月後に天へ召されました。しかし、弾き手の母親は気になることがありました。母親もまた優れた弾き手でしたが「このバイオリンはなんの素材を使っているのか?5つの楽譜の名は?」気になった彼女は作り手の工房へ行きましたが作り手は行方をしらせぬままどこかへいったと。ところが作り手の一人がある手紙を渡した。弾き手の母親がきたらこれを渡せと…そこには驚愕の事実がかかれてありました。そのバイオリンは木という素材でできたのではなく女性の性欲でできたものだと、楽譜は女性のさまざまな願いでできたのだと…母親はしばらく呆然としていたがすぐさま帰るとそのバイオリンと5つの楽譜を封印しました。永遠に…
「とこんな話では面白くないでしょう、今ここにあるのはその噂のバイオリン「漆黒のストラディバリウス」です。では御拝聴願いましょうか?ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト作の『鎮魂歌(レイクエム)』ニ短調、K.626を…」
聖堂の少年少女達が一切に拍手する。
…聖カトリア学園…小中高と学年をそろえた名門校で6歳から入学、18歳で卒業というシステムである。ここは元々女子校だったのがごく最近共学になったばかりで男子は全体の約3%ほどだった。しかも女子はよっぽどでないかぎり全員資産家や大企業等のお嬢様でまた全員Gcup以上という男には夢の楽園だが男や貧しい家の子には場合は入学に試験がある。(差別じゃねーか!という声が多いが合格すれば奨学金がある)しかし、ここに有名な世界的なバイオリンの弾き手の少年、花京院恭助が転校してきた。有名指揮者の花京院真の息子だけあって試験パスが認められた。そして聖堂でその見事な腕前を披露した、拝聴者の中には泣き出すものアンコールを叫ぶもの寝ているもの(!?)拍手喝采がしばらく続いた。しかし、彼自身はうれしそうなそぶりを見せない…

花京院恭助のクラス10−3、彼がこのクラスに入ると聞いた少女達は卒倒するもの泣き出すもの妄想に吹けいるものはしゃぎまわるもの鼻血を出すものでさまざまだった。なぜなら彼自身お姉さま顔なのだ(男だけど)
ドアが開き先生が入ってきたと同時に後ろから花京院恭助が入ってきた。少女達はいっせいに叫び声を上げた。
「皆さん静かに!それでもカトリア学園の生徒ですか!」
先生の一喝とともにシン…となった。先生が黒板にチョークで名前を書く。
「みなさんも知ってのとおり彼は有名指揮者花京院真の一人息子です、世界中の音楽家が認めるバイオリニストで…」
「先生、そのような説明はあとで…」
「ああ、そうでしたね。とりあえず仲良くするように、何か彼に質問は?」
ザワザワと話し声が聞こえる中で声を上げたのは
「ほーいほーい!質問!」
唯一の10−3の男子、相山一樹であった。
「少しその行動をつつしみなさい」
「まぁまぁ、んで質問はというと…さっきの話って本当か?」
「さっきの話とは?」
「ほら…聖堂で言ってたあれ」
クラスが笑いに包まれる。しかし、恭助は笑ってはいなかった。
「まぁまぁ、さっきの話ですが僕の一族に伝わる昔話で真偽はわかりません、ですがこの音色は本物のストラディバリウスをはるかに越えているため本物という説もあります。」
「ってことは製作者はもしかして…」
「イタリア人のアントニオ・ストラディバリと言われています」
「すげぇ…一つ数億もするあの名器を…」
ホームルームを終えると一樹が話をしに来た。
「なぁ…さっきの漆黒のストラディバリウスのレクイエムだけどすごかったぜ」
「それはどうも光栄です…本当は持ち出すことは禁じられていますので内密に…」

放課後、一樹に連れられて学校を案内してもらった。
「ここが食堂であっちが図書館、あれが工作室だ。」
ふと恭助は自分が女の子達にジロジロ見られているのに気がついた。
「どうしてジロジロ見るんでしょうか?顔になんかついてます?」
「(ああ、そうかやっかいな問題があるぞ…)あのな…ここだけの話なんだがな…」
一樹が難しい顔をする。
「実はこの学園は花嫁修行もあるんだ」
「それは…そうでしょうね」
「実は裏でな…(声が小さく聞きづらなってきた)調教されてんだよ…ここの女は…」
言ってはいけないことを言ってしまったような顔だった。
「だから?」
「わからないか?飢えているんだよ、10歳あたりで調教が終わるが終わった後のほうがきつい…調教のときの快感が忘れられないでな。例えるなら女は野獣、俺達は餌のような存在だ。」
恭助の血の気が引いた顔を見てこれ以上言うのは酷だなと思った。
「まぁ、そんときゃ回避法教えてやるよ。」
「君は襲われたことあるの?その…あの子たちに…」
恭助の質問に一樹は深刻な顔をした。
「ああ…2回だ、ひとつは10歳の頃に14歳のグループに散々やられた。そんときはまだ若かったからな、二回目はごく最近に13歳のグループだった。そのときはやばいと思って逃げた。」
はぁ〜とため息をつくと向き直って
「ここは男の楽園といわれてるが実際はサバイバルさ…」
「じゃあ、なんでここにきたの?」
「簡単だ、他の場所は遠すぎるし金がかかる、家は貧乏じゃないが兄弟が多いから面倒見なきゃならないし遠くへはいけないんだ…」
「すまないね…悪いことを聞いてしまったようで…」
その日はなにも起きず無事に家に着いた。

自分の部屋はバイオリンの道具が一式あったが漆黒のストラディバリウスが黒光りしていた。そして
「いよう、調子はどうだ?」
「良くも悪くもないよ…あの学園があんな場所だったなんて思いもしなかった…」
話しかけてくるのは漆黒のストラディバリウス…いや、それに取り付いている悪魔だった。
そう、あの昔話は続きがあったのだ。作り手の取った策とは?それは悪魔に祈ることだった、悪魔の力を使えば簡単にいい音色と楽譜が作れる。そこで現れたのがリュークだった。
「お前さんの願いは何だ?」
「親友があと3年の命って言うのに私はバイオリンもできず、楽譜も書けずで…」
「俺の力がほしいと?」
「はい、何でも差し上げますから…」
作り手は必死で祈りました。すると
「いいだろう、ただしお前は死ぬぞ。それでもいいなら…」
「かまいません!そのかわり彼に渡すまで生かせてください!」
「取引成立だな…」
その悪魔、リュークはバイオリンと楽譜に変身した。そして弾き手が感動の涙をながしたあとの日の夜に作り手は消滅した。しかし、リュークは生きていた。現代まで…
「あの学園だがうまそうな女どもだ、おまけに性欲に飢えているという!これほど我が理想を満たす場所はない!」
「でも、なんで僕がそんなことしなきゃならないの?」
「お前に倉庫から引っ張り出してくれた礼さ…」

そう、それは数日前に倉庫の掃除をしていたことだった。謎の箱から出てきたバイオリンを弾いたのがすべての始まりだった。謎の箱から出てきたそのバイオリンは聞いたことのない見事な音色だったがなぜこれほどのものが封印されているんだろうと父さんに国際電話をかけた、すると驚いた顔で
「なんてことだ!それは音が出たのか?」
「はい、出ましたがなにか?」
「ああ…言うのを忘れていた、それは漆黒のストラディバリウスと言ってお前は弾き手に選ばれた。そのバイオリンは今まで祖父や私でも誰でも弾けなかった。弾き手に選ばれた以上お前は…」
そのときガタガタとストラディバリウスが震え始めた、そして
「ふぁ〜…おっ!500年振りの外だーー!いよっしゃあぁぁぁ!」
「と、父さん!ストラディバリウスがガタガタ動いている!」
「落ち着け!いいか?そいつはリューク!性欲を食らう悪魔だ、お前はそいつの弾き手に選ばれた、回避方法はそいつに性欲を食わせること…」
ツーツーツー…
電話線をリュークが切ってしまった。
「あーあー、ばれちまったな…ま、よろしく頼むぜ?」

「でも僕をなんで弾き手に指名したの?」
ベットに座りながらリュークに語りかける。
「お前は人間の本性ってどういう時に出るか知ってるか?欲さ、性欲、金欲、食欲と色々あるが俺は性欲を食らう部分の悪魔だ、お前の性欲を食ってやろうと思ったが…お前は性欲がなかった…それだけだ」
「要するに性欲がなかったから?」
「そう、女と付き合ったことないお前はそれがまるっきしない!だからてめーにこの世の快楽ってもんを教えるためさ!」
ケタケタとバイオリンが笑う。僕はどうなるのだろうか…