愛のかたち

ロイヤルみるく(仮) 作
Copyright 2009 by Roiyarumiruku all rights reserved.

「...えっと。これはいらない。これは....う〜ん、キープかな?」

引越しの時にお馴染みの仕分けをしてる彼女。白木紀美子。24歳。
市内の某会社を先月辞めて、今は花嫁修業中。そしていよいよ婚約者との同居を始める為に荷造りをしながらも結婚情報誌を見たり、妄想をし始めたり...まさに幸せを絵に描いたごとくであった。

「思えばこの半年。ううん。1年。いろんな事があったよね...お母さん。」

そうゆっくり何かを思い出しながら紀美子は母の遺影のほうを向いた。
紀美子の母、恭子が事故死したのはほぼ1年ほど前。幼き頃に父を亡くし、母一人娘一人で暮らしてきた紀美子にとって母の突然の死は当時、彼女の生きる気力をも同時に殺してしまったのではないかと周囲に思わせるほど、彼女を変えてしまった。
同僚や友達も彼女を気遣い、色々な事をしてくれたのだが、愛想笑いはするものの彼女から笑顔は消え、いつ明けるかも解らぬ曇天に覆いつくされたかのごとくであった。
そのような状況でも月日は彼女を意ともせず半年あまりが経ったころ、永遠のごとくに思われた闇を一条の光が全てを彼方へと消し去ってしまったのである。まさにそれこそが彼との出会いであった。

「...そう。もし彼と出会わなかったら。...もし彼が手を差し伸べてくれなかったら。私はずっとあのなにもないのに身動き一つとれない檻の中にとらわれていたかもしれない。
 でもね、お母さん。今は、今度は私が彼の為に...ううん。今度は彼と二人で一緒に歩いていきたい。
 そう思うの。うん。今、すっごく幸せよ。...だから、彼と結婚します。...ってもう何回も聞いてるよね。
 お母さんが死んじゃった事は、今でもまだよく解ってるのかどうかわからなくなることもあるけど、そんな私もすべて彼のところに持っていこうかなって思います。だから見守っててね。」

母の遺影にそう語りながら紀美子は優しく微笑んだ。その刹那、ふと彼女は思い出した。

「そういえば、お母さん変な事を言ってよね。『私にもし何かあった時はこの箱を開けなさい。』って。
 全然余裕が無かったり、彼との事ばかり思っててすっかり忘れてたけど。」

そう言いながら、彼女は母の遺言となってしまった『その箱』を探し出した。ほどなくして箱を見つけ、彼女は開けてみた。中には手紙らしきものが入っており、彼女はそれを読み始めた。
 

「一体、何がどうなってんだよ!?? 紀美子!!」

飛行機が到着し、荷物を受け取る事も忘れ、真っ先へとタクシーに乗り込んだ彼。
北里秀樹。28歳。某企業に勤め、将来を有望視された若手ビジネスマンである。
紀美子と婚約した後、とある外国の企業との業務提携のために海外へと出張中であった。
出張中も毎日のように紀美子と電話で話しをしていたのだが、ある日突然、紀美子からの『婚約を解消したいの』というメールが届いて以来、彼女との連絡が一切つかなくなってしまったのである。
先方との話し合いを手短かながら確実に纏め、すぐさま帰国の手配をしながら音信普通な彼女の様子を家族にみてきてもらったのだが、その事が彼をますます混沌へと陥れたのであった。

「どこへ行ったのかまったく解らないって、どういうことなんだよ!!」

彼はタクシーの中で思わず声を荒げてしまった。彼は家族に彼女の様子を見てきて欲しいと頼んだのであったが、その結果はというと、彼女の行方を近所の人にも尋ねてもまったく誰も行方を知らないと言うばかりで、天外孤独な彼女の行方は完全に霧の向こうに霞んでしまったのである。
鈍亀のような帰国の途に、ありとあらゆる理由を考えた彼は、こうして声を荒げる以外にはなかったのである。
そんな彼の様子を察し、運転手は彼の指示した場所へと急いだ。

それから、彼女のアパートはもちろん、お気入りのパン屋、ショッピングセンター、ドラッグストアー、ヘアーサロンなど彼女の寄りそうな場所へは片っ端から行き、彼女の親しい人、勤めていた会社の人などありとあらゆる人に彼女の行方を尋ねまわったが、あのメールが届いた日以降、彼女のことを知る人は誰一人として居なかったのである。

彼女への全ての道が閉ざされ、あたかも彼女が神隠しにでも合ったがごとくに思えてきた。そんな矢先、ふと、彼は彼女とドライブをした時の事を思い出した。彼女が突然、カーナビでもどこか解らない道の続くほうへ行きたいと言い出し、利用してる人がいるのかさえ解らないような山道を登り、その途中のカーブの手前で車を止め、絶対に誰も気づく事もない草むらの中を、「こっち、こっち。」と言いながらどんどん奥へと歩いていった。
そんな彼女に気後れしながらも着いていくと急に目の前に草原がひらけ、そこで彼女が微笑んでいた事を思い出した。
彼はその時どうしてこの場所に来たかったのかを彼女に聞いたのだったが、「それがよくわかんないの。でも、ほら。きれいなお月様が見れたでしょ。」って彼女は言っただけだった。
その時はすこし不思議には思ったものの、月光の下の彼女との時間が今まですっかりその事を忘れさせていたのであった。
彼は一縷の思いで車を走らせ、その場所へと向かった。
 

あたりはすっかり陽も落ち、昼すぎからの曇り空に月もほとんど姿を見せず、まるで宇宙にほうり出されたかのごとくの漆黒があたりを包む中、秀樹は懐中電灯とあの時の記憶を頼りに彼女への道を探した。
背の高い草木がその道を隠そうとする中、ふと目の前が開けた。
「この景色!この匂い!」彼の頭の中であの時のことが色鮮やかに蘇った。そしてあの時の彼女が微笑んでいた場所に...
彼女は居た。

「紀美子!!」

秀樹は思わず彼女の名を叫んでしまった。実際、彼には思うなどという余裕は無かった。叫んでしまっていた。
だが、それよりも彼は彼女を求めた。彼の体は叫ぶよりも先に彼女の元へと走り出していた。
突然の叫びに紀美子は我を疑い、叫び声のほうを振り向いた。しかしそれも刹那、彼女は彼の求める手から逃げようとするがごとくに駆け出してしまっていた。
ふたりは草原を駆けた。一方は求め続け、一方は拒み続けた...。
やがて秀樹は紀美子に追いつき、彼女を振り向かせると、彼の思いを彼女へとぶつけた。

「どうして僕から逃げようとするんだ!? 訳を聞かせてくれ。君は何が気に入らないと言うんだ?」

少々荒々しくはなってしまったが、彼女とのつきあいの中で些細な事はあったにしろ、このような事態を招く決定的な事が何も思い当たらない彼はこう言うほかには無かった。だが、それに対し彼女は

「離して!お願いだから!秀樹さん!離して!」

ただ、それを繰り返すばかり。離せばまた逃げようとし、逃げれば追いかける。ただその繰り返し。
そのような追いかけっこが永遠と続くのではないかと思われた最中、突然視界が開けた。
重くたちこめて雲を振り払うかのごとくに月がその存在を満天に示し、あたりを、草原を、そして二人を照らした。
彼は久しぶりに彼女の姿をはっきりと見る事ができ、つかの間ではあったが安心したのだったが、だが、それも一瞬の事でしかなかった。

それまで必死に秀樹から逃げ続けていた紀美子の足がぴたりと止まり、両手を頭の上にのせ

「くうううううぅぅぅぅ...ふぐうぅぅぅ...」

と必死に声を殺しながら立ち止まってしまったのであった。

秀樹はその様子に一瞬、追いかけてた足が止まったものの、恋人の何か軒指しならない状況をすぐさま感じとった。
激しい頭痛とそれにより顔には汗もかなり見られる。一刻の猶予もならないと判断した彼はすぐさま彼女の元へと駆けつけようとした。

「...こないでっ!!!!!!」

だが、突然の彼女の叫びが彼にそれ以上彼女に近づく事を許さなかったのである。それほど、鬼気せまるものであった。

治まるどころか、ますます激しくなる何かに声を殺しながらうめく事で彼女は耐えていた。体は小刻みに震え、顔や手や腕からは、幾粒かの汗が月明かりに輝きながら雨垂れのごとくに落ちていった。

「うくうううううううっ!!ああああああぁぁぁぁぁぁぁ!! あ、くぅぅ、あたまがあぁぁぁぁ!!」

突然、彼女は叫んだ。彼女の頭にのせた手の上に何やら白い物が見えた途端、それが『ぐいっ!ぐいっ!』と何かに引っ張られるように指の間から生えてきた。白いものは三角の形になると、さらに今度は黄色い何かに押し上げられた。
さらに勢いを増し、『ぐぐっ!ぐぐっ!ぐぐっ!』と彼女の指の間から大きくなると指の先よりも長いところでようやく止まった。

どれほどの時間が経ったのだろうか?何モノかも全く知れず、ただ必死で耐えるしかなかった彼女にはわからなかった。
何がおきたのかさえもまったく...だが、どうやら頭のほうは少し治まってきたかのように感じられた。
しかし、それは彼女だけでは無かった。彼女の中の魔は再び彼女へと襲い掛かりはじめた。

「うっ!ふぐううぅぅぅぅぅ!くううぅぅぅぅぅぅぅ!あああああああっ!」

再び、何かが彼女を襲った。あまりにも突然だったそれは彼女を仰け反らせ、叫ばせた。そしてそれと同時に、『びりびりびりっ!』という音と共にスカートと下着がボロ布のように彼女の足元へと崩れ落ちた。

「ふううぅ...くうううううううううう!おしりがぁぁぁ!ああああああんっ!」

彼女は、左手で頭の上のなにかをつかみながら、お尻を突き出し、右手をお尻よりも少し上の位置へあてた。
またしても彼女の指の間から白い何かがぐいぐいと押し出されるように姿を現した。
だが、今度のそれはあまりにも大きく、彼女の指は完全に押し上げられてしまったのである。

「ふくうぅぅぅぅぅぅぅ...ああっ....んふううううぅぅぅぅ! ああっ..あんっ!」

さらに勢いを増しながら、彼女の手を押しのけあふれ出し、ゆるやかな丸みをおびたそれは彼女の膝のあたりまで伸びたところでようやく止まり、月明かりで金色に揺れていた。