リレー小説企画「瑠璃色の華」

17回目(分岐3):樋口耀翠 作
Copyright 2001 by Yousui Higuchi

「お早うございます」
「みなさんお早う、どうだった昨夜は良く眠れたかしら?」
「はい、みんなぐっすりでした」
「そう、良かったそれじゃ行きましょう」
今日はこれからダイビングをすることになっている。待ち合わせ場所でレイと霞に会うと船着場へ向かった。
「みなさんお早うございます、レイさん昨夜はお会いできなくてすいませんでした」
「いいのよ、美樹ちゃんもいろいろと忙しいでしょうし、気にしない、気にしない」
「霞、久しぶりね!」
美樹は霞を見ながら近づく
「いやー卒業以来ね、ホント久しぶり」
「えー二人とも知り合いだったんですか?」
飛鳥が不思議そうな顔をして二人に近づく
「あら言ってなかったかしら?家庭教師に行ってたときに霞と私が大学時代の親友だってこと」
「うん聞いてない気がするけど?」
「あっわかった、ペチャパイの親友が居るって話しをしたでしょ、その親友が霞よ」
「へーそうなんだ、二十歳でペッチャンコの女性って霞先生のことだったんだ」
「ちょっと美樹、あなた人のいないところでなに話してるのよ、まったく」
「ゴメンゴメン、でも私も驚いたわよ!レイさんから連絡をもらって霞も一緒に来るって聞いたんだもん」
聞いていた魅鈴が美樹に問いかける。
「霞先生って昔はペチャパイだったんですか?」
「そうなのよ、ペチャパイで有名だったの、でも霞の胸がここまで成長したなんて信じられないわね、どれどれ」
霞の胸を触りながら
「本物ね!立派、立派」
「もー美樹ったら!昔の話しはいいじゃないっ、今は成長したんだから」
「フッフッ、そうね、それじゃー出発しましょう!」
船が桟橋を離れていく
船内では仲良し四人組が景色を見ながらしゃべっている。
「ビックリしたね、美樹さんと先生が友達同士なんて」
瑠璃が切り出す。
「ホント、しかも有名なペチャパイだったなんてね」
里美が答える。
「でもさ、私たちも含めてオッパイが大きくなったのって最近だもんね、それを考えたら納得できるね」
と飛鳥
「うん、女の子の体って不思議だもんね!」
魅鈴が答えた。
その頃、操船している美樹を囲んでレイと霞がなにやら楽しそうに話しをしていたが、波の音に掻き消され彼女達には聞き取れなかった。・・・
エンジン音が止んでアンカーを降ろした美樹が
「さあみんなポイントに着きましたよ!このポイントは色とりどりの魚がたくさんいるんですよ」
「わーっ楽しみ早く潜りましょう!」
「ちょっと待って、みなさんダイビングの経験が無いと聞いているので簡単な説明をしますね」
美樹はレクチャーを始める。・・・
レクチャーが一通り終わると今度は各自準備に取り掛かった。
「んー重いね!この錘、やっぱハンパじゃないね」
瑠璃がウエイトを引き摺りながら悪戦苦闘していると霞が
「私たちのような胸の大きな女性が潜るにはこれ位の錘が必要なのよ、全ての物体には浮力が生じるの、しかも体積に比例してね」
飛鳥が割って入る。
「先生、もーっ、なに難しい話をしてるんですか、瑠璃すぐに手伝うから待ってってね!」
「大丈夫、一人でできるから」
「先生も早く準備されたほうがいいですよ」
「ハイ、ハイ」
「みなさん準備も出来たようなので、そろそろ海に入りますよ」
V水着の美樹が声を掛ける。
「先ほど言ったとおり、海中ではサインでやりとりしますよ、私から行きますからみなさん付いてきてください」
ドボン!
「さあ、どうぞ!」
ドボン!ドボン!ドボン!・・・
海底へと潜り始める。ブクブクブク・・・
船の上からでも海底が見渡せるほど透明な水、水深はそれほど深くないが実際に潜ると更に綺麗なことに驚く、呼吸の音しか聞こえない静けさ、カラフルな珊瑚、人生観を変えそうなほどだ。
ある程度進むと先頭の美樹が手にしていたエサを撒き始めた。どうやらポイントに着いたらしく、何処からともなくカラフルな魚たちが集まってきた。徐々に近づいてくる魚を見るとイメージしていたよりも大きいことに気付いた。彼女たちは輪になって各々のエサを与えると魚たちは怖がることもなく手を突っついてくる。
ツンツン、ツンツン
『ん〜?何だろう?』
瑠璃は胸の先端に感触を覚えた。そこには魚が水着越しに乳首を突っついていた。
『エッチなお魚さんね、くすぐったいな、でもちょっと気持ちいい』
冷たい水の中で少し顔を赤くしながらみんなを見ると、みんなの手と胸にも魚たちが群がっていた。そんな中、気のせいか美樹の胸の周辺が濁っているように見えた。潜っている途中で露になった乳首から白い液体が・・・
『ミルク?気のせいかな?』
しばらくのあいだ魚たちと戯れていると美樹から合図が出る。
『えっ浮上、もう終わりもっと居たいのに』
船の上へともどる。そして魅鈴がみんなに声を掛けた。
「綺麗だったね!お魚もたくさんいたし、私ダイビングって大好き!」
「それにしてもここのお魚ってエッチよね、乳首をツンツンなんてね」
里美が続いた。
「ホント、ホントそれにみんな大きかったね、何でだろう?」
魅鈴が問いかけ、それに瑠璃が応じる。
「気のせいかもしれないけど、私ね見ちゃったの」
「えーなに、なに、なにを見たの?」
「美樹さんの胸から白いものが、こーもわ〜って」
瑠璃は自分の胸と手を使って説明した。すると飛鳥も
「私も見た、見たもわ〜って感じでしょ、たぶん美樹姉直に突っつかれて感じちゃったんじゃないの、それでミルクが出ちゃったのよ」
すると里美が
「なるほど、魚が大きくなったのはそのせいね」
魅鈴が続く
「でももったいないね、お魚にあげちゃうなんて」
なにも知らない美樹が近付いてくる。まだ乳首も露なままで、心なしか体が火照っているように見えた。
「みなさん海の中はどうでした?こうして上から覗いても十分綺麗だけど、中に入ると百倍は綺麗でしょ」
「すごく綺麗ですね!それに幻想的だし、私虜になりそうです」
と魅鈴。今度は飛鳥が手を上げて質問する。
「ハーイ美樹姉、どうしてここのお魚は大きいの?」
「このポイントには以前からよく来るんだけど、ある日エサをあげてたお客さんの胸に偶然魚が突っついたの、そうしたらその人感じちゃったらしくて母乳が出ちゃったのよ、それ以来ここの魚たちは見る見るうちに成長して母乳を求めて胸を突っつくようになったって訳」
「だから美樹姉も感じて母乳が出ちゃったってこと」
「うんそうなの・・・ツンツンってされちゃうと・・・私弱いの・・・」
少し間をおいて
「こらっ飛鳥!大人をからかわないの!」
美樹は顔を真っ赤にして巨大な胸を揺らしながら飛鳥を追いかけた。一方飛鳥は
「瑠璃っ!やっぱり私たちが見たのは気のせいじゃなかったのね!」
これまた巨大な胸を揺らして逃げながら、瑠璃に声を掛けた。
「もーっ飛鳥ったら」
瑠璃は俯きながら小声で呟いた。その時、やり取りを見ていた霞が二人に声を掛ける。
「美樹、飛鳥さん二人ともいい加減にしなさい!次のポイントに行くんでしょ!」
美樹は足を止めて操舵室に入っていった。
「二人とも相変わらず仲がいいわね、さあ次へ行きましょう」
レイは相変わらず冷静だった。・・・
船のスピードが落ちてしばらくしてから、エンジン音が止んで、美樹が説明する。
「さあ、ここが今日のメインよ!ここにはね200年前の海賊船が沈んでるの、でも今は魚たちのお家になってるのよ」
「海賊船!てっ言うことはもしかしてガイコツが居たりするんですか?」
いつもは強気な里美が問いかける。
「里美ちゃん、もう200年も前の話よ、そんなの居ないわよ」
「良かった安心しました」
「この船にはガイコツよりもずっとロマンチックな宝箱があるのよ、もしかしたら宝物があるかもね!」
ドボン!ブクブクブク・・・
潜っていくと直ぐに大きな沈没船が見えてきた。まるで絵本の世界に迷い込んだような気持ちへと誘う。沈没船の船底に穴が開いている。そこへ美樹が入っていく、その後に続いてみんなも入った。最初の部屋は厨房のようだ。瑠璃は面白がってその部屋にある壺を覗き込む、すると急に水が黒く濁り瑠璃を覆った。ライトの灯りに驚いた住人のタコが墨を吐いて出てきたらしい。瑠璃はまだ正体に気付いていない。
『きゃーっ、どうしたんだろう』
ペタペタッ
胸に何かが吸い付く
『きゃーっ、何これ?吸盤?』
視界が次第に晴れてくると目を点にした瑠璃にみんなが近づく、我に返った瑠璃にはみんなの顔がニコニコしているように見えた。みんなは瑠璃の胸を指差している。自分の胸に目をやると、今まで着けていた小さな布切れが無く大きな乳房が露になっている。振り返ると小さな布切れと一緒にタコが船から出て行くのが見えた。
『どうしよう水着が無くなっちゃった』
とりあえず手で隠すがあまりにも大きな胸をうまく隠すことは出来ない。美樹は合図を出して先へと進む。
『もーっみんな薄情なんだから!』
瑠璃は腕から溢れている乳房を見て
『しょうがないか』
心の中で呟いて腕を下ろし美樹の後に続いた。いくつかの部屋を通り抜けると立派な造りの部屋に辿り着いた。ここは船長室らしく、200年経った今でも凝った調度品がまだ形を残している。奥へ進むとポカンと口を開け、まるでおとぎ話に出てきそうな宝箱が見えてきた。美樹はその横をゆっくりと通過しながら合図を送る。
『これがさっき言ってた宝箱ね』
瑠璃はまたしても覗いてみる。今度は慎重に、すると中にキラリと光る物を見付けた。手招きする瑠璃を見て後から来た飛鳥、里美、魅鈴も一緒になって恐る恐る覗いてみる。そこには金貨がちょうど4枚入っていた。瑠璃はそれを拾うとみんなに1枚ずつ渡し、自分の分はその手にぎゅっと握りしめた。
『うわーすごい!これはきっと海賊の宝物の一部ね!』
飛鳥は後ろにいるレイに金貨を見せると箱を指差した。レイは驚いた様子でうなずき箱に目を向けた。
その光景を見ていた美樹は空気の量を考えて、更に先に進み光が大きく漏れる方へと向かった。甲板に穴が開いていて、そこから船外に出た。・・・
船に上がると飛鳥は興奮した様子でレイに見せびらかす。
「ママッー!見て見て!瑠璃が見付けたのっ!これはきっと海賊の宝物よ」
「へーどれ見せてちょうだい、ホントこれは海賊の宝物よ!飛鳥大切にするのよ」
「うん!」
瑠璃は露になった胸のことなどすっかり忘れ里美と美鈴に話している。
「びっくりしたわよ!ちょっと覗いてみたらキラッて光ったの、そしたらこれだもんね!これって海賊の宝物よね!ぜったいそうよ!」
「でも良かったね!ちょうど4枚あって、すごい値打ち物だよね!私の宝物にするんだ!」
と魅鈴
「みんなどうしたの嬉しそうにして、先生達も仲間に入れてよ」
霞と美樹が加わる。
「先生、美樹さん見てくださいよ!これ瑠璃が見つけたんですよ!ちょうど4枚あったんです」
「すごいじゃない!私なんか全然気が付かなかったわよ!きっと海賊ビリーの宝物よ!」
美樹がニコニコしながら言った。
「ちょっと見せて、へー綺麗なもんね、みんな大切にするのよ!」
「さぁそろそろ島に戻らなくちゃね」
そう言って美樹と霞は操舵室へ向かった。
「それにしても綺麗よね200年前の物とは思えないわね」
里美はそう言いながら金貨を見ていると
「あれ?この金貨の刻印1998って書いてある」
「ホント?私のはどうかな、うんと1996これ最近の物ね魅鈴のはどう?」
「えーっと、2000って去年のだわ!」
「きっと観光のお客さんが落していったのね」
瑠璃が寂しそうに言うと里美が
「でも最近の物でもいいじゃない!海賊船の宝箱から瑠璃が見つけてくれたんだもん、この金貨は私たちの宝物よ!」
「そうよ、宝箱の中から金貨なんてロマンチックじゃない、こんな経験滅多に出来ないしね!」
レイのところから飛鳥が戻ってくると
「みんなどうしたの浮かない顔して?」
「飛鳥この金貨ね、実は最近の物なのよ」
瑠璃が話した。
「えっホント、でも瑠璃が見付けてくれたんだから私には大事な宝物よ」
「みんな、ありがとう私も大事にする」
「瑠璃ィ瑠璃ィそれよりもさっきからオッパイ丸出しのままよ!なんか着れば?」
魅鈴に言われて赤くなりながら小走りでTシャツをとりに行く、押さえるものを失った巨大な胸を惜しげもなく揺らしながら・・・
一方、操舵室の大人三人は
「作戦成功ね!美樹ちゃんうまいじゃない金貨をさりげなく落とすの」
「ありがとうございます、こう見えても器用なんですよ」
そう言って胸をポンと叩いた。
「でも急遽とはいえ金貨が最近のしかなかったのが残念でしたね」
「まーいいのよ、彼女たちの思い出になってくれればね、本物か偽物かっていうのはあまり関係ないのよ」
船は島へと近づいていく・・・
その晩、瑠璃はベッドの中で今日一日を振り返る。綺麗な海、大きな魚、美樹の母乳、タコとの出会い、そして一番印象に残った宝箱。金貨は偽物だったけど、みんなの優しい言葉と笑顔、そして金貨が作ってくれた思い出を胸に抱きながら
『大切な宝物にしよう』
三日目の夜も更けていった・・・

続く