リレー小説企画「瑠璃色の華」

6回目(分岐2):ザッキー 作
Copyright 2001 by Zakki All rights reserved.

 キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン
 みんなが居なくなった教室はし〜んと静まり返っている。そんな中飛鳥はポケ〜っと外を眺めている。
「あの〜新宮寺さん?」
「ほひぇ?」
 飛鳥は視線を声のした方に目を向ける。飛鳥の目の前にはセ−ラ−服から半分以上はみ出した巨大な胸が目の前いっぱいに広がっている。
「日誌書き終わった?」
「いけない,すっかり忘れてた」
「そう」
 そう言って里美は飛鳥の前の席に腰掛けた。座る動きに合わせてたぷんと胸が揺れた。
 カリカリカリ・・・
 しばらくの間飛鳥が日誌を書く音だけが教室の中に響く。書きながらもチラッチラッと飛鳥は里美の胸を見る,大きい。大きさは飛鳥の物と同じくらいでセ−ラ−服の下半分はブラに包まれた乳が露わになっている。よく問題にならなかったもんだ。飛鳥の時は先生達から注意を受けたのに・・・そんなことを考えていると,
「気になるでしょ」
「えっ」
「私がなんで急に胸が大きくなったこと」
 飛鳥はこくんとうなずいた。
「じゃ〜,聞いてみて。私がどうやってこんなに大きくなったのか」
 里美が悪戯っぽい笑みを浮かべながら,飛鳥の反応を待っている。飛鳥は少し躊躇したが質問した。
「杉山さんはどうやってそんな大きな胸になったの?」
 どこかで聞いたような言葉を飛鳥が発すると里美は少し間を取ってから答えた。
「成長したの。ただそれだけ」
 里美はただ嬉しそうにそう答えた。そこには見下しやバカにしているという様子は全くなかった。
「アッハハ」
 飛鳥は思わず笑ってしまった。さっきまであんなにも里美のことを敵視していたのに。
 里美の答えは嘘かもしれないが,飛鳥は里美の嬉しそうな様子を見ているとガチガチに考えていた自分がバカバカしく思えたのだ。里美は飛鳥の様子を不思議そうに見ていたが,一緒に笑った。
「ふふふふふ」
 不意に飛鳥と里美の目が合った。
「ねぇ,新宮寺さん。私たちっていい友達になれると思わない?私たちお互い大きな胸が好きなだけなのよ」
「そう・・ね」
 飛鳥は里美の言葉を聞いて,自分を恥ずかしく思った「自分はなんて勝手なんだろう」と。
「きっと新宮寺さんは,負けたくないって気持ちが強いからこの間みたいなこと言っちゃったんだと思うけど,私,気にしてないよ。ねっ」
 思わず飛鳥は泣きそうになる。自分は何て小さい人間何だろう?しかし里美は満面の笑みだ。しばらく沈黙する・・・
「ねぇ」
「何,新宮寺さん?」
「新宮寺さんなんて堅苦しいよ。飛鳥って呼んでよ」
「じゃあ,私も里美って呼んで」
「飛鳥」
「里美」
 また,二人は笑う。笑いに合わせて二人の大きな胸も一緒に揺れた。
「ねぇ」
 不意に里美がきりだした。
「何?里美」
「飛鳥の研究って何なの?」
 飛鳥は少し驚いた様子だったが,意味ありげな笑みをしながら答えた。
「うふっ・・・知りたい?」
「うんうん,是非是非」
 里美は身を乗り出す。机と体に挟まれた胸が柔らかく変形し奥深い谷間を作る。焦る里美に飛鳥は人差し指を里美の唇にあてて言う。
「あせらない,あせらない,まずは里美から」
「え〜しょうがないなぁ」
 そう言って里美は空の小瓶を取り出した。
「実は,この間私宛に小包が送られてきてね。こんな手紙と一緒にこの小瓶が入ってたの」
 そう言って里美は手紙を渡す。
「え〜何々,「親愛なる里美さん,あなたの努力に深い感銘を受けました。私も何かお手伝いしたのでこの薬をお送りいたします」何これ〜里美こんなの信じたのぉ」
 飛鳥は信じられないといった表情で里美を見る。
「だけど,ほら」
 里美は胸を突き出す。重量感たっぷりの胸が息苦しいぐらいの圧迫感を出す。
「う,う〜んそんなものかなぁ」
 飛鳥はその大きさに圧倒され何となく納得してしまった。しかし,全て里美が作った嘘だった。すでにその時には里美の頭の中ではさらなる膨乳のための計画が練られていた。
「さっ,今度は飛鳥の番」
「う〜ん,きっと直接見た方が速いから今日家来る?」
「うんうん,行く行く!」
 里美は思い通りの展開に心の中でガッツポ−ズをとった。
「あっゴメン,私ちょっと用事があるから先に行ってて。あっ日誌私が出しとくね」
 そう言って里美は日誌をとり,教室を出て行こうとした時飛鳥が呼び止めた。里美が振り向くと大きく揺れた胸のせいでバランスをくずしそうになる。
「里美,あたしんち知ってるの?」
「ダイジョブジョブ」
 そう言って里美はまた走りだした。
 ユッサ,ユッサ・・・
 里美はその巨大な胸が大きく交互に揺れるのも気にせず走る。その姿を見た男子はみな前屈みになった。
 〜理科室〜
 ガララララ・・
 里美は扉を開けてすぐに目的の人物を見つける。
「先生,はいっ!日誌」
「あら,杉山さん何かいいことあった?」
 霞は書いていた書類から目を上げ里美を見る。霞は今朝の格好のままだが,朝は半分くらいまでボタンがとまっていたシャツは今ではほとんど丸見えだ。「そういえば授業中にも一回ボタンが飛んだっけ」と里美は思い出す。
「先生,あのね」
 里美はさっきとはうって変わって深刻そうな顔になる。霞は心配そうに訪ねる。
「また,悩み事?」
「うん,あのね里美の友達がね。里美みたいに大きな胸になりたくていっつも頑張ってるの。その友達を助けて上げたいの。私,その友達が頑張ってるの胸が大きくならない時の気持ちよく分かるから・・・」
 最後の頃はうつむいてしまって,よく聞き取れない。その様子を見て霞は涙目になりながら優しく話す。
「杉山さんは友達思いなのね。分かったわ。ついてきて」
 霞は立ち上がって,この間と同じように里美を秘密の研究室に導いた。そして例の如く,フラスコを待ってきた。しかし,今回のはこの間のものよりも色が濃い。薄ピンクというより紅色に近い。
「今回は,この間のことを考慮して改良されてるわ。前のタイプは急激な変化で体に大きな負荷がかかってしまうから,ゆっくりと効果が出るようにしたの。大体一時間くらいかな。効能は前のより約1.5倍くらいかな」
 霞が一通りの説明を終えると放送がかかった。
「扇先生,扇先生,お電話がかかってきていますので至急職員室にお越し下さい」
「いっけな〜い」
 霞はバタバタと部屋を出ていったが,すぐにユッサンユッサンと胸を揺らしながら戻って来た。また一つボタンが飛んでいる。胸が今にもシャツからこぼれそうだ。
「先生,すぐに戻ってくるからちょっと待ってて」
 そう言ってまたバタバタと出て行った。里美は霞が出ていくのを確認すると,そっとさっきの小瓶を取り出しフラスコの中身をそれに注ぐ。里美の手のひらに収まるくらいの小瓶いっぱいに薬が詰まっている。里美は満足気な表情でそれを鞄にしまった。
 しばらくして・・・
 霞がむっとした表情で戻ってきた。
「ゴメンね遅くなってぇ。電話とった先生の聞き間違いで,別の先生だったんだって。端走って損しちゃった・・・って」
 霞はその時になって部屋に誰もいないことに気づいた。
「杉山さん?」
 霞は机の上のメモに気がつく。
「すいません。用事があるので帰ります」
「そっかぁ」
 霞は少し悪いことしたな。と思いながら椅子に座る。すると・・・
「扇先生,扇先生,お電話がかかってきていますので至急職員室にお越し下さい」
「またぁ〜」
 霞はまた席を立ち,急いで出ていくのだった。
 結局,霞はこのあとも何度か呼ばれた上に仕事にも追われこのことを忘れてしまった。
 里美が薬を持ち出したことも気がつかないで・・・
 その頃,里美は飛鳥の家の前で小瓶を握りしめ,意気揚々とチャイムを押した・・・

続く