○月×日。外は夕立。アスファルトを叩く雨音が静かに響いている。
「うわー、ずぶ濡れだよ もう」
瑠璃が言った。
緊急避難の為立ち寄った飛鳥の家の飛鳥の部屋。
全身ずぶ濡れのセーラー服を着た瑠璃が、女の子座りで床にぺたんと座っている。濡れたセーラー服は、重みでズレ落ち瑠璃の肩の部分をはだけさせていた。
セーラー服はうっすら透け、目を凝らせば肌がほのかに見える。
その脇には、既にTシャツとスパッツに着替えた飛鳥が居る。髪はまだ雨に濡れたままで、光沢を湛えている。
「ほら瑠璃、風邪ひく前にからだ拭いてこれに着替えた方いいよ」
瑠璃に向かって放ったものは、一枚のタオルと
「わ、Yシャツ……」
一枚のYシャツだった。
「そ、父さんのよ」
こともなげに言い放つ。
「これだけ……?」
「うん、ごめんねぇ瑠璃。今私の服は全部クリーニングに出してるのよ」
芝居がかった口調。瑠璃に反論させる暇を与えずまくしたてる。
「ほらほら、とっとと着替える」
飛鳥に追い立てられるように瑠璃は着替え始める。濡れたままよりはマシ。そう判断したらしい。
着る前に立ち上がりタオルでからだを拭く。胸の膨らみに沿ってタオルを動かすが、それに合わせて形のいい胸はぷるんぷるんとゼリーのように揺れていた。
からだを拭き終わり、パンツだけは脱がずにYシャツを羽織る。
飛鳥父のYシャツはブカブカで、瑠璃の手の平はほとんど袖口に隠されてしまっているし、太ももの中ほどまではすそに覆われている。
が、胸だけは覆いきれておらずに谷間を中心に露出していて、瑠璃は恥ずかしそうにそれを見下ろしていた。
ボタンは下のいくつかがとめられている。それなのに、胸は窮屈きわまりないというように張り出している。
身体を拭き終わってからまたペタンと床に座り、瑠璃は上目遣いに視線を向けている。
タオルで拭いたといってもそのからだはしっとりと濡れている。
外では一際強くなった雨足が、ザァァァァァァっという音が響いている。しばしの静寂。
「キャーーー」
辛抱たまらん、といった感じで飛鳥が瑠璃にとびかかった。
スポーティな服装の飛鳥と、Yシャツ一枚の瑠璃がくんずほぐれつする姿はかなりアレだ。
さらに互いの身体がこすれあって、衣服は数カ所がまくれ始める。瑠璃の上半身が倒れ、四つん這いになった反動で、瑠璃の乳房はブルンとYシャツから完全にこぼれ落ちた。
四つん這いになった瑠璃の背中に自信の乳房を押し付けながら、手を回して瑠璃の胸をまさぐる飛鳥。瑠璃が四つん這いになると胸の先端は床にこすれそうな位置をユラユラ揺れるサイズだ。
もてあましつつも飛鳥はその胸を撫で、もみしだき、握り締める。
人類の1ダースくらい滅ぼせそうな光景だ。
「ま〜た断りもなく育っちゃってこのぅ、お・仕・置・き」
「う、ん……飛鳥ちゃ、ん…………やめてったら……」
這いながらもどうにか抱擁を瑠璃は脱け出した。そのまま部屋の隅まで進んでいく。
「ちぇっ、つれないわね瑠璃ったら(そこがいいんだけど……)」
後ろの部分は口に出さず、飛鳥はおもむろに時計を見た。
「あっ、そろそろお風呂沸いてる。じゃ、先入るから……一緒にはいらない?」
「…………ううん、遠慮しとく」
瑠璃は飛鳥に背中を向けて答えた。荒い呼吸に合わせて肩が上下している。その背中はとても小さくて、弱々しく頼りなげで、「守ってあげたい」と思わせるに充分だった。
飛鳥はやや不満げな顔で部屋を出て行った。出口に胸がはまるようなことはなく、スムーズに。
飛鳥のいなくなった部屋で瑠璃は考える。
「翠と藍。大丈夫かなぁ……」
顔はそのまま、他の場所だけ爆発的成長を遂げた双子の妹2人は今日も学校に行った。
乳命が来る日は2日後に迫っている。
たかだか五日の間に本当に色々なことがあった。思い返し、自然と瑠璃は遠い目になる。
ナンパされそうになってた二人を助けようとしたら、逆に瑠璃がナンパされそうになったことがあった。おろおろと瑠璃は取り乱したが、結局、翠が「瑠璃姉に何すんだよ!!」といいながら助けてくれた。……見事な廻し蹴りだった。胸もだぷんと大きく揺れていた。
夜に寝ぼけた2人が瑠璃の布団に入ってきて、瑠璃がはさまれたり(何に?)朝のラジオ体操に行った二人が、会場を血の海にしてしまったりしたこともあった。
跳ねるやら前かがみやら胸を反らして深呼吸やら、そういう動きばっかりのラジオ体操を自分の体重の4割くらいは確実に乳です。っていうかんじの2人がやる姿は強烈すぎたらしい。
服がキツいので、家での二人はトップレス姿のことも多い。下はトランクスじみた丈の長さの短パンだけであり、その状態で家の中を動き回ってくるので始末が悪い。
小学校の授業でも、体育は特に大変だと聞いた。マット運動で前回りも後ろ回りも、自分の胸に頭が埋まってやりにくかったと翠は語った。
クラスの違う藍などは水泳があって、水着が……。それ以上は涙ぐんで何も語らなかったのでご想像に任せよう。
何よりも困るのは、翠が瑠璃を抱いて離さないことだ。背もたれに身体を預けてソファに座ったまま、ヌイグルミを抱えるようなかんじで抱きしめて離さないことが多い。
今の翠の身長は180オーバーであり、小柄な瑠璃が全力でもがいても微塵の影響もなく手を離さないのだった。それどころか『アーン、瑠璃姉ったら可愛い可愛い可愛い〜〜』とか言いながら明らかに瑠璃の抵抗を楽しんでいる口調で腕に力を更に加えるのだった。それによって胸が押し付けられるのは言うまでもない。
瑠璃の抵抗が止むと、そのまま瑠璃の服の中に手を滑り込ませ、瑠璃の上半身を翠は開かれた状態の手のひらで滑るように撫で回してくるのだった。はじめはゆっくりと、徐々に激しく。瑠璃の耳たぶに息を吹きかけ、甘く噛んでくるのも大体このタイミングだ。
手の動きが胸の頂点にさしかかると突起にひっかかり手の動きがやや遅くなる。が、一時をおいて手のひらが突起を過ぎると、その膨らみの頂点はゴムのように震えて元の位置に戻るのだった。
『み、翠ぃ、止めなぃと……お、怒るよ。ほ……とに』
『瑠璃姉が怒ったって怖くないもーん』
キャミソールの藍は頬を赤らめながらも、握った右手を口元にあてながらその光景から目を離さずに見ているのだった。呼吸もわずかに熱く荒くなり、乳首もかすかに勃っているのが見れた。
ちなみに瑠璃を含めて三人に言えることは、家の廊下ではすれ違えない。
「藍と翠、濡れてなきゃいいけど……」
遠い目をやめると、妹の心配をする。さすが兄、いや姉。
そこで飛鳥が帰ってきた。
「ふー、さっぱりしたぁ。瑠璃、お風呂空いたよ」
「あ、ありがとう」
こうして瑠璃は風呂に向かった。
シャワーを浴びる。流れるお湯は瑠璃の身体を伝わり、あるものは脚へと、あるものは身体の各先端からポタポタと滴り落ちる。
普段は胸の下敷きになっている部分、へその上辺りのところにお湯を浴びるには、腕を使って(手のひらでは絶対的に無理だ)膨らみを持ち上げなければならなかった。持ち上げると、乳首が眼前へと近づいてくる。
20分後
風呂から上がって再びYシャツ一枚を着た瑠璃が、飛鳥の部屋へ向かおうと歩いて玄関の前を通りかかった時。
「こんにちわぁ」
ガラガラと玄関を開けたのは霞先生だった。
瑠璃の通っている中学校にはこんな行事があるらしい。『家庭訪問』
霞先生は雨の中黄色のレインコートを着て来た様だったが、それでも今日の豪雨からは逃れられずにレインコートの下のからだは濡れていた。水の重みで衣服が貼り付き、曲線の多いボディラインをくっきりと浮き上がらせている。
雨に濡れて疲れている霞先生は、何故か普段に増して色っぽかった。
瑠璃と霞先生の目が合う。霞先生の濡れて妖しく光る唇が動き、
「瑠璃君、何をやって……」
よそ様の家で、ワイシャツ一枚で廊下を歩いている途中。それが瑠璃の今の状況の全て。時間が静止し、なにを考えたのか一瞬で火でも噴きそうなくらい赤く顔を染め、霞先生がパタンと倒れた。
うつ伏せに倒れたので、自分の重みで乳が床に押し付けられ、変形している。
どこか表情は嬉しそうで、なぜか鼻血を流していた。
10分後 茶の間
「なるほどぉ、雨宿りしてたんですかぁ」
どうにかこうにか説明できた。その巨大な胸をなでおろす瑠璃。それはとにかくと言うように咳払いを一つすると、霞先生は言った。
「それにしてもぉ神宮字さん。家庭訪問があるってお家の人に言ってないなんて駄目じゃないですかぁ」
プンプン怒ってる。飛鳥の両親は今日、どちらも居なかったのだ。飛鳥はきょとんとして、
「いや…………、先生の着たのが一週間早かったんだけど?」
霞先生はプリントを出し、チラっと見たあと、?って顔になって何度も見なおした。
「ほんとうですねぇ、アハハハハハハハハァ」
……この先生、本当にIQ200あるのか怪しすぎる。
「…………とりあえず先生、お風呂入る?」
「ありがとうございますぅ、神宮寺さん」
20分後
一つのちゃぶ台を挟んで、瑠璃、飛鳥、霞が座っている。やたら乳の体積の占める割合の多い空間が形成されていた。霞先生の下着とシャツは乾燥機にかけられており、スーツとタイトスカートの下には下着を着けていない。
唐突に霞先生が言った。
「神宮寺さんはぁ、好きな人とか居るんですかぁ?」
「ななななな、何を突然」
焦る飛鳥。
「そ、そういう先生はどうなの?」
飛鳥の必死の反撃に対し、大人の余裕を見せ付けるように一拍間を置いてから、
「うふふ、そうですねぇ。内緒ですぅ」
そう言いつつも横目で霞は瑠璃の方を見ている。それは世間一般では「流し目」と呼ばれるものだった。
「あらぁ、瑠璃くん、肩にゴミがついてますよぉ」
瑠璃の方へ上半身を傾ける霞先生。重力と、地面に着いている手で、二重に胸が強調される。そして目の前に迫った霞の顔――整った顔立ちに、紅い唇。そこから吐かれる吐息は瑠璃の顔をくすぐった。鼻腔をくすぐるような甘い香りが――女の香りが漂ってくる。
瑠璃の顔は風呂から上がった時以上に紅く、紅く染まる。
霞先生は瑠璃の表情の変化を楽しむようにゆっくりと顔を近づけてくるが、一向にゴミをとろうとはしない。本当はゴミなんかないのかも知れない。
「ちょっと先生、何やってんの!」
飛鳥が強引に2人の間に入り込み2人を引き離した。
女3人がくんずほぐれた。とりあえず適当に腕を動かせば誰かの乳に触るほど密着している状態。
雨は、いつのまにかやんでいて、窓の隙間から覗いた太陽がその光景を見つめていた。
――恋の鞘当ては終わらない。
番外編「きっさてん」
「お客様、ご注文はお決まりやろ……お決まりでしょうか?」
瑠璃が答える。
「あ、コーヒーお願いします。」
「るの字ぃっ!!やっとその気になってくれたんかぁ!!」
ウェイトレスが勢いよく顔の肌をはがすとその下には、
「し、白河先生!?へ、変装してたんですか!??せ、先生の気持ち!???」
「そや。今コーヒー頼んだやろ。コーヒーっていったら茶の仲間。そして茶を英語で言うたらティー。ティーといったらソリティや!!今るの字はソリティを注文したんや」
「無茶苦茶な……」
「やかましわいっ!!」
ソリティ、着ていたウェイトレス服をバッと脱ぐ。下の身体は裸に直接包装用の赤いリボンでデコレートされてるだけだった。
「さぁさ るの字、ソリティにクリープをいっぱいかけてスプーンでグチャグチャにかき回して一気に飲み干してーーキャーー。あ、こら、何で逃げる。待たんかい。るの字、るの字ーー」