リレー小説企画「瑠璃色の華」

8回目(分岐2):ザッキー(物語)・ノルス(挿し絵) 作
Copyright 2001 by Zakki (story)
Copyright 2001 by North (picture)

 ゴクゴク・・・
「ふぅ」
 飛鳥が薬を飲み終えると飛鳥の体がポカポカと温かくなってきた。体が温まって気持ち良くなったのか飛鳥はあくびをする。
「ふぁぁぁ・・・これってホントに効くのかしら。あっ」
 飛鳥が下を向くとさっきまで多少のゆとりがあったはずのブラウスがピチピチになっている。プチンプチンッとブラウスのボタンがはじけ,ダップンっと重々しく胸が露わになった。さっきまでぴったりだったブラから徐々にはみ出しつつある。その様子を見て飛鳥は一つのことを思い立った。
「そうだっ!!!」
 未だに成長している胸をダプンダプンと揺らしながらさっきの部屋に向かう。
「システム起動よ。ディカプリオ」
「了解シマシタお嬢サマ」
 飛鳥の声に反応して機械が作動する。そう,このマシ−ンには新宮寺カンパニ−の試作型人工知能が搭載されており,実際に研究やデ−タ管理していたのはA.I「ディカプリオ」だったのだ。飛鳥はマシ−ンの組立てをしただけであったのだ。
「えいっ」 
 飛鳥が軽く力を込めるとムクムクと成長する胸を押さえていたブラがはじけ飛んだ。ダップンとさっきより一回り大きくなった胸に飛鳥は手際よく配線を取り付ける。
「よしっ,拘束具ロック。電圧を3パ−セント上昇。プログラムスタ−ト!!」
「拘束具・・・ロック。電圧3パ−セントアップ・・・膨乳プログラム・・・開始シマス」
 飛鳥の命令をディカプリオは淡々と処理し,機械が作動音を高める。
「は,はぁぁぁぁぁん・・・」
 今までにない快感が飛鳥を駆けめぐる。里美の時よりもたった3パ−セントと言えども,その差は大きい。ゆっくりと膨らんでいた胸がみるみるうちに大きくなっていく。飛鳥のテンションが徐々に上がり,頂点に達する直前で不意に辺りが真っ暗になった。
 マシ−ンがエネルギ−を食い過ぎて安全装置が作動したようだ。飛鳥の屋敷は一つ一つの部屋が独立した電気系統を持っており,部屋全体の電気のバランスが崩れると一時停電しバランスをコンピュ−タが整えるのだ。
「ふぅ,あと少しだったのに」
 非常灯のわずかな明かりの中,飛鳥は残念そうに自分の体を見る。マシ−ンが止まってもまだ大きくなっている。大きさはさっきの里美と同じ位になっている。不意に部屋の明かりが戻り,飛鳥は目をすぼめる。
「ディカプリオ,大丈夫?」
 機械のことを心配して声をかける。ほどよく機械が作動音を立て始めたので飛鳥はホッと胸を撫で下ろした。しかし,次の瞬間飛鳥の顔が凍りつく。
「システム再起動・・・設定内容ガ消去サレテシマイマシタ。・・・オ−ト再設定・・・設定完了。通常モ−ド破棄,50パ−セント増シノ特別モ−ドヲ20秒後開始シマス」
 ただ組立てをしただけの飛鳥はマシ−ンに実験的な隠しモ−ドがあったのを全く知らなかった。飛鳥はその50パ−セントという声を聞きすぐさま中止を命じた。
「ディカプリオ!すぐにプログラムを止めてっ!!」
 飛鳥の叫びもむなしく,ディカプリオは淡々と答える。
「コノモ−ドノ緊急停止ニハキ−ボ−ドヨリパスワ−ドヲ入力シテクダサイ・・・」
 しかし,手足を拘束された飛鳥がキ−ボ−ドを叩けるはずがない。タップンタップンと胸を揺らし拘束を逃れようともがくがビクともしない・・・そして
「入力ノ意志ガナイヨウナノデ,プログラムヲ開始シマス。カウント5・・」
「待って!!!」
 叫ぶ飛鳥。しかしカウントは止まらず。
「2・・1・・0。スタ−ト」
「ひぁう!!!ふんはぁ!!」
 飛鳥の体にもの凄い快感が走る。胸は見えない押さえを失ったようにグングンと大きくなる。そんな中飛鳥は必死に意識をつなぎ止めていた。・・・・
 もう意識が朦朧としてもうダメだと思った。その時飛鳥の鼻に焦げる臭いが漂って来た。
「パワ−オ−バ−!ッパワ−オ−バ−!システムニ負担ガカカリ過ギテイマス。緊急停止!緊急停止!被験者ハ直チニ避難シテクダサイ・・・」
 カシャンと飛鳥の手足の拘束が解ける。飛鳥はフラフラとマシ−ンから離れる。そしてマシ−ンは無数の火花を吹き,煙を立てて停止した・・・。
 飛鳥はその様子をボ−然と眺めた。そして,その視線を下に向ける・・・何も見えない・・・そう,飛鳥の眼前は完全な白い肉で埋まっている。飛鳥の肩幅の倍くらいの幅があり,足下から約70センチは完全に見えない。里美のよりも全然大きい。飛鳥はメジャ−を取り出し,苦労してサイズを測り,その結果に驚愕した。
「2メ−トル42センチ・・・」
 しばし沈黙・・・自分の胸を触ってみる。柔らかくそれでいてしっかりとした弾力が返ってくる。次に下から持ち上げてみる。もの凄く重い。そして・・・
「やった-!!!」
 飛鳥はジャンプして喜ぶ。巨大な乳房は大きく大きくはね回る。

「242センチってことは・・・・トリプルUカップ!?。まずは新しい制服買ってぇ・・・・」
 飛鳥はこれから先のことに胸を膨らまし,またしても三日ほど学校を休むのであった。

 さて,話は大分巻き戻って・・・放課後,夕日の中魅鈴と瑠璃が並んでグラウンドを帰るところだった。瑠璃と魅鈴は同じ保険委員なので,この間の身体測定の集計作業のため遅くなってしまった。
「しっかし,飛鳥もスゴイわよねぇ。身体測定してから三日で別人だもんねぇ」
「飛鳥ちゃんは幼稚園のころからブラしてたから。それに小学校の時には100センチ越えしてたし」
「え〜うっそ〜マジで〜。そういや急成長と言えば,杉山さん凄いことになってたねぇ」
「うん・・・」
 魅鈴と話していると会話は止まることがない。しかし,魅鈴も今ではクラスから見れば普通に見えるようになっていた。1メ−トル超級(一部2メ−トル)の中でも無理はない,辛うじて瑠璃とはなんとか肩を並べて歩けるようだが・・・。不意に魅鈴の足が止まった。
「どうしたの?魅鈴?」
「見て見て!ルリルリ!あそこ」
 魅鈴はやや興奮気味に校門を指さす。学校で人気のサッカ−部の三宅君だ。女子の間ではカリスマ的存在で,魅鈴もそんな一人だ。
「やっぱ,かっこいいなぁ。三宅クゥン。ね,ルリルリ」
「そ,そうだね」
 うっとりとした目で見つめる魅鈴とは裏腹に瑠璃は素っ気ない。瑠璃が男だった時,美少年瑠璃の人気は三宅と張るものがあったのだ。しかし,それを快く思わない三宅は瑠璃に様々なちょっかいを出していたのだ。
 あんな奴のどこがいいんだか!瑠璃は視線を体育館の方へ向けた。部活を終えた部員の中に一人180センチくらいの男子がいる。短めの髪と優しそうな眼をしている。瑠璃が見つめているのに気づいたのか,ニッコリと微笑みかけてきた。
 その時,瑠璃に電気のようなものが走り,顔が紅くなる。胸が締め付けられるようだ。いや,本当に胸が締め付けられているのだ。瑠璃の胸が大きくなり,ブラに締め付けられているのだ。瑠璃は胸を押さえようとするがそれでも大きくなっていく。ふた回りほど大きくなったところで止まった。胸は今にもブラをはじき飛ばしそうだ。荒い息をする瑠璃の後ろから声がかけられた。
「う〜む,ルリルリもなかなか隅におけんのぅ」
「へっ?」
 瑠璃が振り返ると,ニヤニヤしながら腕組みしている,寄せ上げられた胸がセ−ラ−服に谷間ができる。
「藤谷 琢馬君,バスケ部のエ−スセンタ−よ。しかもここだけの話,かなりの巨乳好きらしいよ。彼女もいないから狙い目よぉん」
「そ,そんなんじゃないよ」
 瑠璃は慌てて否定する。そんな様子を見て魅鈴は悪戯っぽく聞く。
「そんなに慌てて,図星かなぁ?」
「だからぁ,そんなんじゃないよ」
 そう言って瑠璃は足早に歩き出した。
「あっ,ごめん。ルリルリ〜待ってよ〜」
 魅鈴は胸を弾ませながら,瑠璃に追いつく。
「いいよ,気にしてないから」
「ほんと,ゴメンねぇ」
 二人は一緒に歩いて帰る。しかし,瑠璃の頭にはさっきのことが残っていた。
「藤谷君,かぁ」
「へっ,何か言った?」
「ううん,なんでもない」
「え〜,気になるぅ」
「何でもないって」
 そんな風にふざけながら二人は帰っていった。

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