リレー小説企画「瑠璃色の華」

FINAL 1回目(分岐1):ステンドR 作
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 「彼」の夢は残酷にも否定された。
 皮肉なことに、夢を叶わぬものにしているのは、彼自身の性質だったのである。
 そればかりか、今や彼は生命の危機にあった。このままでは近いうちに消滅という最期を迎えてしまう・・・
 だが、それでも道は残されていた。

 陽の長い夏の夕方、西陽の差し込むキッチンで夕食の支度をする瑠璃。
「・・・あつーっ」
 相変わらず海外出張中の両親に代わって、食事は瑠璃と藍が当番制で作っていた。
 ちなみに翠はいつの間にか当番表からその名を消していた。原因は彼女の独創的すぎる腕前にある。
「よっ、と」
 鮮やかな手付きで鶏肉の皮を剥ぐ瑠璃、男だった頃から料理はかなり得意なのだ。
 それにしても胸が邪魔である。前方に大きく張り出した胸で手元がほとんど隠れてしまう。
 ここまで大きいと鍋にあまり近づくこともできない。
「はぁ・・・Lカップに縮めてもこれだもんね。如意乳罩がなかったら料理なんてできるかなあ?
 飛鳥ちゃんや霞先生って普段どんな生活してるんだろ?」
 この場に二人が居たら、「何事も慣れよ」 と語るのだろう。
 瑠璃とて実際のサイズはこんなものではない。先週の測定によれば135センチのダブルKカップ。
 如意乳罩の限界もすぐそこまで来ている。瑠璃は襟元をパタパタさせてきつく収縮した胸に風を送り込んだ。
 その時、
「あわっ!」
 汗をかいた巨大な乳房が片方ブラから滑り出し、乳肉の氾濫を起こした。
 そして事もあろうに、火にかけている熱い鍋に触れた。
「ぅあっちゃーーー!」
「ど、どうしたの?だいじょうぶお姉ちゃん?」
 悲鳴を聞いて藍が駆けつけてきた。
「うん、ありがと・・・平気だから、なんともないよ」
 せかせかと胸をしまおうとする瑠璃、しかし赤くなってしまった患部を藍に見られてしまった。
「火傷しちゃったの?ひ、冷やさなきゃ!えーとえーと・・・」
 ここはキッチンだ。水はもちろん氷だってある。しかしあわてた藍は瑠璃の胸を舐め始めた。
「あんっ!」
 瑠璃の背筋をゾクゾクッと言い様のない快感が走る。
 藍の小さな手が、柔らかな瑠璃の乳房を歪ませている。
「お姉ちゃんのおっぱい・・・また大きくなったんだね。こんなにおおきく・・・ぺろぺろ・・・」
 藍の舌使いは絶妙だった。強烈な快感を与えつつも癒しに満ちていた。本人も気付かない天賦の才だ。
 もはや火傷の痛みなどまったく残っていない。乳房を舐められただけで意識が飛んでしまいそうだ。
 この舌で乳首を攻められた日にはもう・・・想像するだけで恐ろしいほどだった。
「も、もういいよ。ありがとう・・・だいじょうぶだから、ね?」
「うん・・・」
 物足りなさそうな表情を見せる藍。(なぜだ)
「あっ、もう麺が茹だってる!」
 料理に戻る瑠璃。今晩の献立は瑠璃特製の『棒棒鶏冷やし中華』だ。
 流水で冷やした麺を盛り付け、具と一緒に皿ごと冷凍庫に入れて更に冷やす。
「よし、できたっと。ところで翠はまだトレーニングから帰ってないの?」
「うん、今日は遅いよね。遠回りしてるのかなあ・・・あ、そうだ、あたしお魚さんにご飯あげなきゃ」
 藍は玄関に置いてある水槽のところへ行った。瑠璃もそれに続く。
 天野家では熱帯魚を飼っている。家族の中でも一番愛情を注いでいるのが藍だった。
「はい、ごはんですよ〜」
「可愛いね。色がとってもキレイだし・・・ふぁ、ふゃ・・・へっきしゅっ!」
 水槽をのぞき込んだまま、一回だけ、大きなくしゃみをする瑠璃。感じたのは一時的な寒気だった。
「やだ、ごめん!唾入っちゃったかな?」
「だいじょうぶだよ。お姉ちゃんのだしね」
 やはりこの娘、実の姉(兄だった頃から)に一線を超えた慕情を募らせている。
「ところでほんとに翠はまだかなー、もう夕食は出来上がってるのに」
 ピンポーン
 その時、玄関の呼び鈴が鳴り、耳になじみのある声が聞こえてきた。
「瑠璃ー?飛鳥だけどー。途中で翠ちゃん拾ったよー!」
「ただいまー。遅くなってごめんね、瑠璃姉ー」
 顔を見合わせて安心する瑠璃と藍。しかし扉を全開にして入ってきた二人の姿に驚いた。
「おかえりー、翠ちゃん。心配したよー・・・って!どうしたの?大丈夫?」
 翠が飛鳥に負ぶさっていたのだ。翠は表情こそ元気だが手足はぐったりとした様子だった。
「まさか日射病で倒れたとか!?」
「あはは瑠璃姉、もう夕方だよ?そりゃないって。あたし今回復中なの」
「回復中?」
 飛鳥が説明を始めた。
「翠ちゃん、来週の陸上競技大会に向けて長距離の練習してたんだって?
 でも公園でうずくまってるのを私が見つけたの。胸が痛いって言うから診てみたら、
 胸部が内出血起こしてたわ。胸の揺れに毛細血管が耐えられなかったのね」
「それでね、飛鳥姉ちゃんに『内傷回復』のツボを押してもらったの。一時間位は全身の力が抜けちゃうけど、
 その間に体の内側を全快させちゃうんだって。すごいよね!」
 確かに凄い。もはや医者いらずだ。
「そうだったんだ・・・とにかくありがとう!飛鳥ちゃん!」
「なんのなんの。背中に心地いい感触を堪能させていただきましたよ」
 そう言って飛鳥は翠を背中から下ろす。
「ごめんね飛鳥姉ちゃん。あたし重かった?」
「いやあ、前後の負荷がいい具合にバランス取れたから」
 少女の体重で釣り合いを取る飛鳥の胸って・・・
「もうちょっとおじゃましていきたいけど、私、帰んなきゃ。そんじゃ、本番は応援しに行くからねー」
「飛鳥ちゃん、本当にありがとー」
 飛鳥を見送ったあと、瑠璃は翠を抱え運び、布団の上に寝かせた。
「翠ちゃん、もう無理な練習はやめたら?」
「いや!あたし絶対一位になってやるんだもん!ハンデを背負ってもあたしは戦うの!」
 体は動かなくても人一倍のやる気を見せる翠。
 40分後、
「お姉ちゃん、これ冷やし過ぎなんじゃ・・・箸が立たないよ」
「ごめん、冷凍庫に入れっぱなしだったの忘れてた」
「いや悪いね。あたしが動けるのを待ってくれたばかりに・・・」
 痛みを分かち合う姉妹の姿は美しい、もとい、ほほえましい。

 一方、霞先生の研究室。
 デスクに頬杖をついてお疲れ気味の霞先生に、コーヒーを淹れて労をねぎらう里美の姿があった。
「先生、頑張ってくださいね。きっと世界中の全女性がこの薬の完成を望んでいるはずです!」
「そうですねぇ・・・でも先生行き詰まっちゃったみたいですぅ」
「この学校ひとつ見てみても、私以外に胸のことで悩んでる生徒は大勢いるんですよ!先生は私達の希望なんです」
「あと一歩なんですぅ。この反応式さえ成立させれば・・・」
 黒板には複雑な方程式や化学反応式がびっしりと書かれている。
 その中で赤いチョークで下線の引かれた一行、これが最後の障壁だった。
 IQ200の頭脳をフル稼働させて何をしようというのか?それはもはや個人的な企みではなかった。
 もっと全人類的な、使命感にも似たものが二人(特に里美)を突き動かしていた。

   その夜、
「う〜ん、翠の身体が心配だなぁ。兄、いや姉として」
 ブラをして走れば問題は解決するか?いや今度は肩紐が擦れてしまうだろう。
 それに練習は汗をかく、湿疹ができてしまうかもしれない。
 いずれにせよ重さを何とかしなければ。9才の華奢な身体にIカップ(成長した)の乳房をひっさげているのだ。
「瑠璃ちゃん何やらお困りの様子ですねぇ」
「うわっ、ルーミンさん!いつの間に居たんですか?」
「まあいいじゃない。それより今日は『天羽乳罩』をお届けに上がりましたー、じゃーん!」
 ルーミンが掲げたブラジャーは純白の羽でできていて、いかにも神秘的なデザインだった。
 しかしどうしても、バニーのコスプレを思わせる可愛さを隠し切れていなかった。
「この天羽乳罩は、包んだ胸の重量をな〜んと100分の1まで軽減してくれるの。あたし達仙女の必須アイテムよ!」
「100分の1!?すごい!・・・でも大きさは変わらないんですよね?」
「まあ、それは仕方ないって。それにかなり大きめに作っといたから大丈夫よ。今までの成長記録から分析すると、
 そろそろ如意乳罩の限界、つまりダブルLカップになる頃じゃない?測ってみましょ」
 測定の結果、ルーミンの予想をやや上回り、141センチのダブルMカップだった。
「う〜む。ま、でもセーフね。これダブルNカップだから」
 天羽乳罩を付けてみる瑠璃。羽の素材が優しく胸を包み込み、着心地は最高だ。
 ただ夏には少し暑いかもしれないが。
「すっごおい、軽い!軽いわ。なんかすっごい開放感!」
 喜びのあまりジャンプしてみる瑠璃。かつてはものすごい重量感を以って、波打つような揺れ方であったが、
 今は軽やかに、が、それだけダイナミックに胸は揺れている。
「う〜ん、乳揺れとしてはこのブラはいただけないなぁ。瑠璃ちゃんのおっぱいを見てあたしは思ったよ」
 ルーミンの好みは前者のようだ。そして瑠璃ははっと思い付く。
「ねえルーミンさん!もう一つ天羽乳罩を注文したいんだけど。Iカップぐらいで!」
「Iカップぅ?精密な作業を頼んでくれるわね」
 どんな世界だ。
「そんな小さいの瑠璃ちゃんが使うわけないから・・・たぶん妹さんのどっちかでしょ?」
「うん・・・妹の翠の為に作ってほしいの」
「こまったなー。他ならぬ瑠璃ちゃんの頼みだから聞いてあげたいけど、
 仙人界は人間界にあまり干渉しちゃいけないのよね。しきたりとかにうるさいとこだからさぁ」
「じゃあ私を助けたのは?」
「う〜ん、新薬実験と称した師匠の趣味かなぁ」
「うわ、聞かなきゃよかった・・・それで作ってもらえますか?」
「タダじゃ出来ないな〜。このビデオカメラで・・・」
 ルーミンは深い胸の谷間から小型の機械を取り出した。仙人界の工学はどこまで進んでいるのだろう。
「妹さんの寝顔を撮ってきてくんないかなぁ。あ、寝言も録れればよりグッド!」
「ね、寝顔!?」
「何を隠そうあたし寝顔コレクターでさぁ。今だから言うけど瑠璃ちゃんも度々隠し撮りさせていただきました」
「ええっ!?」
「いいじゃない。愛好家の中でもすっごいウケいいんだよ!」
「・・・・・・」
 恥ずかしさでなにも言えない瑠璃。が、同時に「ここまできたら妹達も道連れだ」というヤケな気も起こってきた。 
「このカメラ、周囲が暗くてもちゃんと後で調整できるからさ、おねがい!特に、眼鏡かけてる方の妹さんいるでしょ?」
「ああ、藍ね・・・ルーミンさんってあーゆう娘が好み?」
「うん、あーゆう娘が好み。えへっ」
 舌を出してテレるルーミン。罪悪感など欠片も無いようだ。
「・・・わかりました、やりましょう。ルーミンさんも天羽乳罩の方、よろしくお願いしますよ。
 それからVカップぐらいの如意乳罩もひとつ頼みます」
「うふふ、引き受けたわ。瑠璃ちゃん、そちもワルよのぉ」
「いえいえ仙女様ほどでは」
「それじゃあ5日後にね」
 かくして夜はふけてゆく・・・

 そしてあれから4日後の夜。夏休みとはいえ、小学校低学年はもう就寝の時間だ。
「それじゃー瑠璃姉、おやすみー」
「うん、おやすみ。翠」
 明日への活力を蓄えるため、翠は1分とかけずに眠ることが出来る。
 一方、藍は心配そうな様子で瑠璃に質問してきた。
「ねえお姉ちゃん、おとといからね、エンゼルフィッシュが一匹いなくなっちゃったの。どこか知らない?」
「う〜ん。水槽の中からいなくなるなんて事はないと思うんだけど・・・」
「前からあんまり動かなくってね、元気の無い子だったの」
「じゃあ今は元気が良くなって、泳ぎ回っているから見分けが付かなかったんじゃない?」
「そうかなぁ」
「きっとそうだよ。今日はもうおやすみなさい。ね」
「うん、おやすみ。お姉ちゃん」
 二段ベッドで眠りに就く翠と藍。ちなみに翠が上段、藍が下段だ。瑠璃も作戦遂行のために早めに寝ることにした。
 妹の寝顔隠し撮り作戦、決行は明日早朝。最初で最後のチャンスだ。
 すべては翠の身体を案じての事だ。痛みを分け合ってこそ姉妹!
 瑠璃は目覚し時計を4時にセットして、眠りに就いた。部屋に潜んでいる気配にも気付かずに・・・

 ピピピピピピピピピピピッ
 目覚ましの音で瑠璃は目を覚ました。そして目覚ましを止めるため手を動かそうとしたその時!
「!!?」
 何かが居る!それも自分の身体の上に!正確にはお腹の上、乳房の一部分を触られている。
 そして乳首をくわえられている感覚があった。(寝るときはもちろんノーブラだ)
 目覚ましの音が鳴り止まない中、瑠璃は恐怖心をこらえて、ひたすら沈黙を守っていた。
 そして快感が始まった。はっきりとわかる。何者かに乳を吸われているのだ。
 そして自分の乳首から乳液が流出している感覚も、初めての事だったが、瑠璃にははっきりとわかった。
 瑠璃はゾッとした。「得体の知れない何か小さな生き物が私の母乳を吸っている」
 そう考えると恐ろしくて「これは悪夢だ」と思いたくなる。しかし鳴り続ける目覚ましがそれを許さなかった。
「・・・・・・!っん」
 しまった、と思った。乳首を吸われる快感から、わずかだが声を漏らしてしまったのだ。
 吸引が止んだ。「気付かれた!もうダメだ!」瑠璃はそう思った。完全にホラーのノリだ。
 そして「何か」が動き出した。ゆっくりと、這うようにして瑠璃の布団を抜け出した。
 そしておそらく立ち上がったのだろう。畳を踏む二足歩行の足音が聞こえてきたからだ。
 それはゆっくりと瑠璃の枕元に近づいてくる。
「・・・!!!!」
 もう助からないと思った。次の瞬間、カチッという音と共に目覚ましの音が止んだ。「何か」が止めたのだ。
 それも故意に。瑠璃はますます驚愕した。「知能を持ってる!」
 しかしそんな瑠璃の恐怖もよそに、足音はゆっくりと窓の方に近付き、そして窓の開く音がした。
 瑠璃はそのまま数分ほど、じっと動かなかった。おそらく「何か」は窓から出ていったのだろう。二階の窓から・・・
 もうあの生き物はこの部屋にはいない、そう判断した瑠璃は次に自分の身体を心配することにした。
「私・・・おっぱい出てた?」
 確かめるには自分で吸ってみるのが最も手っ取り早い。瑠璃は上半身を起こし、片乳を持ち上げて吸ってみた。
 が、いくら吸っても一滴も母乳は出てこない。クセになりそうな快感はあったけれども。
「夢、だったのよね。そうよ!きっとそう。あはは、何寝ぼけてんだろ私」
 瑠璃は気を取り直して、妹たちの寝室へ忍び足で向かった。

 同時刻、天野家の屋根の上では2才位の男児の姿があった。しかしその姿は見る見るうちに変貌していく。
 成長しているのだ。しかも常識では考えられない速さで。そして翠や藍と同じ年頃、9〜10才位で成長は止んだ。
 端整な顔立ちの美少年。まさに男だった頃の瑠璃そっくりだ。
「さすが・・・元宿主の母乳だね・・・この3日間でここまで成長できるとは・・・」
 早朝の薄明るい空の下、全裸の彼は自分の身体をしげしげと見つめる。
「やった!・・・ついに念願の『男の身体』を手に入れた!・・・はははっ・・・あはははは!」
 彼は笑いと共に嬉し涙を流す。
「でもとうとう気付かれてしまったか。もうここには居られないな・・・裸はマズいか。とりあえず服を」
 そう呟くと、彼は猫のような俊敏な動きで屋根から降り、同じく二階にある翠と藍の部屋の網戸を開けた。
「くかー・・・」
「すやすや・・・む〜・・・お姉ちゃん・・・大好き・・・」
 二段ベッドで二人はまだ熟睡中だ。彼は素早く翠の衣装ケースから適当に服を物色する。
 翠の持っている服はボーイッシュなものが多いので、少年が着ても違和感はそんなにないだろう。
 ブラジャーこそ特注だが、他は市販の服である。数着を持ち出して、彼は窓から出て行った。
 もちろん網戸は元通り閉めて。
 その数秒後、、
 カチャ  扉が開き、ビデオカメラを構えた瑠璃が忍び込んできた。
「翠、藍、ごめんね・・・」
 実の妹の寝顔をカメラに収めていく瑠璃。
「くか〜・・・じぇったい・・・ゆうしょー、だぁ・・・」
「すー・・・すー・・・」
「かっ、可愛いっ!」
 どうやら瑠璃はルーミンに新たな趣味を開拓されてしまったようだ。
 もっと観察していたいが、感付かれないうちに早々に引き上げる事にした。
「これで翠に天羽乳罩をプレゼントできるわ。ふふっ、姉として成すべき事を成したって感じかな」
 自室に戻って、満足げな瑠璃。
「・・・ダビングしとこ。これ」
 嗚呼、愛満ちる天野三姉妹に幸あれ。

「さて、まずは寝泊りできる住処を探さなくちゃ」
 早朝の街を歩く少年が新聞配達とすれ違う。そして天野家を振り返ると、こう言った。
「瑠璃さん、お世話になりました。藍さん、いつもおいしい餌をありがとう。翠さん、勝手に服をもらってごめんなさい。
ほんとうに、皆さんありがとうございました。それじゃ・・・」

続く