科学のチカラ その2

せい 作
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今までいた場所より少しばかり都に近い町・・・
引っ越しを終えた志穂は、特に荷物の整理をすること無く町へとくりだしていた。
どうせまた大きくなるのである。すぐに都の周りを囲むように作られた「90cm以上のバスト」の女性にのみ許可された町へと移ることになるだろう。
それなのにいちいち荷物整理など出来たものではない。

「へぇ・・・やっぱりお店なんかも品ぞろえが良いわね・・・」

値は張るが、今まで見たこと無い商品も見受けられる。

値は張ると言ってもそこは「胸の大きさが全てを支配する世界」。
最悪自分の胸を見せつければ、それ以下のバストの持ち主は従うしかない。
このように、胸の大きい女性・・・特に都に住む「100cm越え」のバストの持ち主の中には、自分より小さい胸の持ち主を無理やり従わせる者もいる。

「・・・こんなものね。装置の改良のための部品があるけど・・・高いわね。どうしよう・・・」

特別破産するわけではないが、確かに痛手ではある金額だ。
悩んだ志穂はある考えを思いつく。

「・・・そうだ!この町の女性は最大でも89cm以下のバスト。だったら先に私が90cm以上にしたら・・・」

少し心は痛むが、値も下げてもらえるだろう。
志穂は走って自分の家に戻った。
いくらなんでも町中で胸を大きくすれば怪しまれる。

自宅に戻った志穂は念のためゆったりとした服に着替える。
そして

―――――――――パチンッ
装置を起動させた。

「・・・はうっ・・・あはぁ・・・き、きたぁ・・・!!」

若干の快感と共に

―――――――――ググッ・・・ググググ・・・
その体積を増していく志穂の胸。

「はぁうっ!!・・・いいわ・・・もっと大きくぅ!!」

なぜだか、胸が大きくなるにつれてその快感も増している気がする。
着ていたゆったりとした服も、胸の部分が隆起するにつれて張ってくる。


しかし

「・・・あ、あれ?」

不思議なことに彼女の胸の成長が止まってしまう。

「な、なんで?!まさか故障?!そんなはず・・・」

ペタペタと自分の胸をまさぐる志穂。
ギリギリ90cm行くか行かないか・・・触った感触ではその位であった。

「・・・あ、そうか!吸収範囲が『周辺5つの町まで』のままだから・・・」

そう言えば引っ越しをする際範囲の修正をしていない。

「ああ、もう!また戻らなくちゃ・・・でも、その前に・・・」

志穂は服を脱ぐと自分の胸にメジャーをあてる。

「・・・きゅうじゅう・・・いや、89。もう、後ちょっとだったのに・・・」

少し落ち込んだ様子の志穂。
だが

「・・・でも、これで部品が買えるわ。ついでに装置の改良も済ませちゃいましょう。」

そう言うと志穂はまた町へと戻っていった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「・・・よし、これでいいわ。」

部品を手に入れ、かつての自分の家に戻って来た志穂。

「えっと・・・『遠隔範囲変更機能』、『人物対象機能』、『吸収・還元力調節機能』、それに『探査不可機能』。これでよし。」

志穂は新たに4つの機能を追加していた。
順に説明していこう。

『遠隔範囲変更機能』・・・志穂がどこに居ても範囲を変更することが出来る機能。ちなみに「装置の起動・停止」は右手の指を、「範囲の変更」は左手の指を鳴らせばいい。左手の指を鳴らした後、希望の範囲を言うと自動的にその範囲へと変更することが出来る。

『人物対象機能』・・・範囲設定の際、ある特定の人物だけを設定することが可能になる。

『吸収・還元力調節機能』・・・胸を大きくしたい欲望を吸収・還元する際の勢いを調節できる。これも範囲選択の際と同様、左手の指を鳴らした後、自由に調節できる。

『探査不可機能』・・・志穂と、志穂が許可をした人物以外にはこの装置の存在すら分からなくなる機能。


「・・・さて、戻りましょうか。」

志穂は探査不可機能を起動すると、もと来た道を戻っていった。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「・・・ふぅ。意外と距離があるわね。」

今まで感じたことの無い重みが自分の胸にかかっているせいか、長く感じた帰り道。
志穂は仮住まいに戻るなり、90cm以上のバストにすることにした。

「そうねぇ・・・(パチンッ) 『人物対象』。対象は『久美』と『さっきのお店の店主』。中ぐらいの勢いで。」

左手の指を鳴らした志穂はいろいろと設定を決めた後

――――――――――パチンッ
右手の指を鳴らす。
すると

「あうっ・・・はぁっ!!や、やっぱりあの二人、胸が大きくなりたかったのね・・・」

自分の胸に流れ込んでくる欲望。
久美にはここに来る前たっぷりと自分の胸を見せつけていたし、店の店主には胸の大きさを理由に部品の値引きをして貰った。
二人ともさぞかし大きな胸への憧れを募らせているだろうと思い、志穂はこの二人に対象を設定したのだ。

「ああああああっ!!・・・ふふふっ、全部吸ってあげる・・・もっともっと羨みなさい・・・」

妖しく微笑む志穂。その目は段々と大きくなる自分の胸へと注がれていた。

そして

「ああっ・・・あ・・・と、止まった・・・吸いつくしたようね。」

彼女の胸の成長が止まると、志穂は右手の指を鳴らして装置を停止させる。

「さ、サイズは・・・」

近くに置いてあったメジャーで測ると

「・・・きゅうじゅう・・・なな。97cm。ふふふっ、よっぽど羨ましかったのね。」

志穂はメジャーのサイズを読み取ると、嬉しくなったのかジャンプしてみる。

――――――――ぽよんっ

「ああ・・・これが夢にまで見た90cm越えのおっぱい・・・素敵。」

やっと自分の体形に釣り合う・・・もしくはそれ以上のバストを手に入れた。
嬉しくなった志穂はしばらく自分の胸で遊んでいたが

「・・・さぁ、こうしちゃいられないわ。引っ越しよ。」

さらに都に近づくべく、彼女は引っ越しの準備を再度始めた。