科学のチカラ その4

せい 作
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「お城に入るにしても150cmね・・・」

あれから5日ほど経ち、志穂はこれからのことについて思案していた。
確かにやろうと思えばすぐに胸を大きくすることは出来る。人の欲望は無限大だ。それを吸収するのだから不可能ではない。

だが

「・・・でも、急に大きくしたら・・・怪しまれないかしら・・・」

志穂が悩んでいるのはこの事だった。
この歳にして120cm超えの胸を持つ女性ですらそうそう居ない。
ましてや150cm以上など急に現れるわけが無い。
下手をしたら怪しまれて装置のことを問い詰められるかもしれない。

「それはまずいわ・・・だって私は・・・女王になるんですもの。」

彼女の野望とはこの事であった。と言っても、あの装置さえあれば不可能でも無い。
しかし、あまりに焦るあまり失敗してしまっては・・・

「・・・そうだわ!!」

と、そこで志穂は良い作戦を思いついた。

「・・・まずは周りを固めないと・・・ふふふっ」

志穂は家を飛び出すと何軒かの店を見て回った。





「・・・さて、これで良いわ。」

あの後志穂は、装置の改良に使えそうな部品を手に入れ、馬車を雇って元々自分の住んでいたあの家に戻って来ていた。
そして今改良を加えたところであった。

「えっと・・・『胸部吸い取り機能』。それから『吸収先変更機能』。いいわね。」

新たに加えられた二つの機能。
その内容は

『胸部吸い取り機能』・・・自分以外の誰かのバストを直接吸い取り、エネルギーとして自分に還元することが出来る機能。直接吸収するだけでなく、吸い取ったエネルギーを小さな球状に固めることが出来るので、自分以外の人に与えることも可能である。

『吸収先変更機能』・・・今まで志穂にだけ欲望が流れてくる仕様であったが、この機能によって他人に流し込み、胸を大きくさせることが出来るようになった。



「これでいいわ・・・さ、行きましょうか。」

志穂はまた装置を見つからないようにすると家を出て行った。
その時

「あれ?志穂、帰ってたの?」

「え、ああ。久美。」

志穂の家の近くで久美と出会った。

「なんだ、帰ってたなら挨拶ぐらい・・・って、ええっ?!」

久美は志穂の姿を見て信じられないというばかりに目を見開いた。
もちろんその視線は志穂のまん丸と膨らんだ胸部に注がれている。

「し、しし・・・志穂。そ、それどうしたの?」

「ん?ああ、これ?大きくなったの。どう?もう120cmを超えたのよ?おっきいでしょ。」

そう言うと志穂は自分の胸を両手で持ち上げ、ユサユサと揺らして見せる。

「ひゃ、120cm?!そ、そんな・・・」

久美はフラフラと近寄ると

―――――――ムニュリ

「ひゃうっ! も、もう・・・久美ったら・・・」

志穂の了解を得ずに胸を触っていた。

「うわっ・・・柔らかぁい・・・それに、プニプニしてて・・・」

――――――モニュ・・・グニュグニュ・・・

「ちょっとちょっと・・・久美、くすぐったいわ。」

志穂は久美を止めるべく話しかけたが

(・・・あれ?久美・・・・ふふふふっ♪)

久美の様子を見て何かに気づいた。

「・・・ねぇ、久美?大きなおっぱいが、そんなに羨ましい?」

「ふぇっ?!え、ええ・・・」

久美は突然の質問に戸惑いながらも頷く。
すると志穂は妖しげな瞳のまま

「じゃあ・・・これから私の言うことをなんでも聞くって約束したら・・・胸を大きくしてあげるわ。どう?」

「えっ?!」

久美を仲間に入れるべく囁いた。

「どうかしら・・・私ならあなたの胸・・・一気に100cm以上にしてあげるわ。ただし、これから私の言うことに逆らうこと無くなんでも言うことを聞くのよ?どっちがいい?」

志穂はそう言うと一歩離れ、自分の胸を強調するかのごとく腕を組んで久美の答えを待った。

「え・・・あぅ・・・」

悩んだ様子を見せる久美。
あながち志穂の言っている事は嘘ではなさそうである。
しかし、それが意味するのは、志穂が自分を言いなりにさせようとしているのもまた同じことということである。

「・・・まだかしら?もう私行っちゃうわよ?」

志穂はそんな久美の背中を押すべく、わざとその場から離れようとする。
そして志穂が久美の横を通り過ぎようとした瞬間

「待って!!!」

久美は志穂の腕を掴んでいた。

「・・・ホントに・・・ホントに胸を大きくしてくれるの?」

久美は最後の確認とばかりに志穂に尋ねる。

「ええ、もちろん。それに、今私が都で借りている家でよければ、一緒に住むことにしましょう?」

志穂はさらに住む場所まで提供する旨をつたえる。

すると

「・・・お・・・が・・・ます・・・」

「えっ?聞こえないわ。」

「・・・お願いします。大きくしてください。」

久美は欲望に屈していた。
志穂はその言葉を聞くと妖しい微笑みを見せ

「・・・じゃあ行くわよ。」

左手の指を鳴らして何かブツブツと言った後に

―――――――パチンッ

右手の指を鳴らした。

すると

「・・・はうぅっ!!っぐ・・・む、胸が、熱いぃ・・・」

久美が急に胸を押さえて呻きだす。

「大丈夫。そろそろ来るわ・・・ほら。」

―――――――・・・ムクッ

「?! わ、私の胸が・・・今、ムクって・・・」

「ええ。どんどん大きくなるわ・・・」

―――――――ググッ・・・ムクムクムクッ

あれほどまっ平だった久美の胸が段々と大きくなる。
今では軽い膨らみが見えるほどだ。

「はあうぅぅ!!おお、きくぅ・・・ふぁっ!!」

大きくなる久美の胸。そのスピードは増すばかりである。

「今丁度80cmぐらいね。さぁ・・・一気に行くわよ!」

志穂はそう言うと左手の指を鳴らして「もっと強く!」と叫ぶ。
すると

「ひぃっ?!ふ、ああああああああああああああああぁぁぁぁぁ!!!」

――――――――ムクッ!!ムクッ!!!

彼女の脈動に呼応するように激しく膨らみだす彼女の胸。
さらに

――――――――・・・グググッ・・・・ブチィッ!!

彼女の服が音をなして破け、彼女の胸が露わになる。

「あらあら・・・可愛い乳首ね・・・さぁ、そろそろ仕上げよ!!」

志穂はさらに左手の指を鳴らし「吸収を最強に!」と叫ぶ。

「ダメっ!!お、おっぱいが・・・おおきくううううううううううううううううううう!!」

―――――――――ドクンッ!!ドクンッ!!

そう音が聞こえるほどの勢いで膨らむ久美の胸。

そして

「・・・もういいわね。」

志穂はそう言うと「パチンッ」と右手の指を鳴らした。

それと同時に久美はその場に崩れ落ちた。

「・・・どうかしら?あなたの胸、随分と大きくなったけど・・・」

志穂はそう言いながらメジャーで久美の胸を測りだす。

「えっと・・・ひゃく・・・じゅう・・・なな。117cm。どうかしら?」

志穂がサイズを伝えると久美は肩で息をしながら大きくなった自分の胸を持ちあげ

「・・・はぁ・・・はぁ・・・・さ、最高です・・・」

熱のこもった目で志穂を見上げる。

「でしょ?さ、久美。約束通り私の言うことをなんでも聞くのよ。大丈夫。悪いようにはしないわ。」

「ええ・・・分かったわ、志穂・・・」

そう答えた久美だが、志穂は納得のいかない顔で久美を見つめる。
久美は志穂の言いたいことが分かったのか、少し迷ったがすぐに

「・・・分かりました、志穂様ぁ・・・」

志穂に忠誠を誓っていた。





「それで志穂様。これからどちらに?」

久美はとりあえず胸部に布を巻いて久美と共に馬車に乗っていた。

「とりあえず都に戻るわ。それから、あなたの服と下着を買って・・・後はちょっと調べたいことがあるから。」

「そう・・・ですか。ああっ・・・私、都なんて初めてです・・・」

久美はウキウキしながら都までの景色を楽しんでいた。



途中、都への門にいる例の兵士に久美の通行証を作ってもらった後、志穂は前来た下着屋に再度訪れていた。

「あら、志穂さん。どうしました?」

すっかり仲良くなった志穂と店員。
しかし今日の用事は志穂には無かった。

「ええ。今日は・・・この子の下着が欲しいの。」

「・・・? こちらの方は?」

初めて見る顔に戸惑う店員。

「この子は久美。私の幼馴染みなの。なんだか急に胸が大きくなったらしくて・・・頼めるかしら?」

久美は初めて来る下着屋に目を光らせキョロキョロと辺りを見回していた。

「ええ・・・分かりました。さぁ、久美さん。こちらへ。」

「へっ?あ、はい。」

久美を店の奥に連れていく店員。


一人になった志穂はこれからのことを考えていた。

(・・・まずは重臣達を集めないと・・・いえ、一人で良いわ。とにかく、会わないことには始まらないわね・・・)

志穂の計画ではなんとしても重臣のうちの一人に会う必要があった。
そのためにどうすべきか。志穂が悩むのはそこであった。

(やっぱり胸を大きくして・・・いや、それだと怪しまれるわ。じゃあ都に居る150cm以上の胸の人に・・・それも難しそうね・・・)

一人でウンウンと唸っていると

「あっ!志穂様ぁ!見てください!」

店の奥から久美がやって来た。

「えっ?ああ・・・久美。あら、素敵ね。可愛いじゃない。」

志穂は久美のつけているピンク色で真ん中に小さなリボンのついたブラジャーを褒めた。

「ええ。久美さんの胸はかなり弾力があって、このぐらい厚い生地のものでないとすぐあっちこっちに・・・」

「ちょ、ちょっと!!それは・・・」

店員の思わぬ暴露に久美は慌て、顔を赤く染めてしまう。

「あははははっ。そうなの?」

志穂は笑いながら店員に話しかける。

「ええ。ふふっ。それに、今度開かれる祭りにピッタリです。やっぱり、新しいブラジャーをつけて良い気持ちで行かれた方が。」

「・・・祭り?」

志穂は店員の言葉に首を傾げる。

「知らないんですか?毎年開かれているお祭りで、お城からも担当の重臣の方が来られるのですよ?女王様も、お城から様子を見られているとか。」

「そ、それホント?!」

志穂は一歩近づいて確認を取る。

「え、ええ・・・それが?」

「えっ?あ、いや・・・なんでもないわ。」

「そうですか・・・あ、祭りは来週開かれます。志穂さんもぜひ参加してみては?」

店員の呼び掛けに

「・・・ええ。ぜひそうするわ・・・」

志穂は妖しく目を細めながら同意した。