科学のチカラ その13

せい 作
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「・・・そろそろかしら?」

昼になり、陽射しも窓からサンサンと注ぎこまれる。
薄暗かった研究室も、昼になればかなり明るいものだった。

「さて・・・どうなってるかしら?」

移動用の車いすのような物に乗り、部屋の中を移動する。
大きすぎる乳房がところどころ物にぶつかるが、気にしない。
そんなことより、今はあの『石』の方が気になった。

「・・・っしょ。」

精錬用の窯のような物についた扉を開ける。
中には3つ、二つの小さめの石と、一つの大きな大きな石があるはずだった。
あれだけ大量に採掘された石だが、精錬するとどんどん小さくなる。
だが、かなりの純度は保てた。二つの小さめの石を作った後、残った石を全て一つにまとめ、何度も何度も繰り返し純度を高める作業を繰り返した。

その結果


「・・・すごい・・・・・」

見事に精錬された石は、キラキラと紅く輝き、吸いこまれそうなほど美しかった。
そして、注目は大きな大きな石。こぶし大の石は宝石と呼ぶにはあまりにも大きく、キラキラと輝きを放つ。
だが、重さは驚くほど軽い。これなら『新しいティアラ』に使っても良さそうだ。
むしろ、これだけの大きさの物を使ったらどうなってしまうのだろうか・・・

(楽しみね・・・ふふふふっ・・・)

期待を込めながら、石を3つ取り出す。
2つは机の上に置き、もう一つの大きな宝石は

「・・・ちょっと。」

「・・・・・お呼びでしょうか?」

「これと、これを使って新しいティアラを作りたいの。」

これも自らが作った、真ん中に宝石を入れ込むくぼみの空いたティアラの台座。
もちろんこれにも手は尽くしてあり・・・

「・・・この大きさを、そのまま・・・ですか?」

「ええ。いいこと?決して削りすぎないようにね?」

「・・・かしこまりました。」

部屋に入って来た女性は、ティアラの台座と紅い宝石を手に持つと、そのまま部屋を後にしようとする。

「あー、そうそう。明日、明後日には完成させておいて?早く使いたいから。」

「はい。仰せのとおりに。」

女王は指示だけ出すと、机の上の二つの宝石、そして二つの金属の塊に目を向ける。

「・・・ん?」

と、よく見ると、この間手に入れた方の物が起動しているのが分かる。

(なによ・・・これじゃあ作業出来ないじゃない・・・)

仕方無く、もう片方から作業を進めることにした。
思いつくままに改良を加え、核心部分には

「・・・これを・・・・・」

先程の宝石を埋め込む。
すると『機械』は音を立てて動き出し・・・


「・・・おはよう。今度は・・・この子と一緒によろしくね?」

女王はもう片方の起動したままの『機械』を触り、ニヤリと口元を歪めた。








(あぁっ・・・志穂様が私の作った料理を召し上がっている・・・・・)

昼になり、昼食を作ることとなった。
買い物は久美、料理は杏奈。二人とも片方が仕事をしている間、志穂にたっぷり可愛がってもらい、今では揃って食事をしている。

「・・・うん、美味しい。」

(あはぁ〜・・・美味しい・・・美味しいって言って下さったぁ♪)

自分が食べることなどとっくに忘れ、ジッと志穂が料理を食べる姿を見つめる杏奈。
彼女が食べ物を口に運び、噛み、飲み込むまで観察し、その度に「ほぅ・・・」と溜め息が出る。

「・・・ん?杏奈、どうしたの?食べてないじゃない。」

「えっ・・・あ、ああ。」

と、志穂に声をかけられハッと我にかえる。
既に志穂は食事を半分終わらせ、久美も「・・・この味ね。」と何かを覚えるかのように食事をしている。

一方、自分の料理はまだ全然減っていない。
慌てて箸を持ち、食べようとすると

「・・・ほら?」

「へっ?あ・・・えぇっ!?」

なんということか。目の前に料理が挟まれた箸が掲げられている。
しかもそれは

(志穂様の箸志穂様が口に運ばれた箸志穂様が召し上がっていた料理志穂様が私のために志穂様が志穂様が志穂様が・・・・・)

知ってか知らずか、目の前の主人は含みのある笑顔でこちらをジッと見つめる。

「杏奈ちゃん、この料理の作り方おしえ・・・なっ!! う、うぅぅ〜〜〜!!」

と、横を見ると久美が猛烈な嫉妬に駆られたのか、こちらをジッと睨んでくる。

「いらないの?美味しいわよ?」

なおも口元に寄せられる料理。
主人からの好意を無碍にすることも出来ない。そしてなにより

「・・・あ〜・・・ん。」

とてつもなく嬉しかった。
噛むほどに嬉しい。美味しい。
横から「ああっ!!」という声が聞こえてきたが、気にならない。

(・・・幸せぇ・・・・・)

杏奈はその一口を、なんとか飲み込むまいと何度も何度も噛み続けた。








「ごめんってば、久美ちゃん。」

食事が終わり、後片付けをする。
行うのは久美と杏奈。志穂は「眠たくなった」と言って先に眠っている。
流石に志穂と同じベッドで眠るのは気が引けるのか、彼女らは普段久美が寝ているベッドで寝ることになった。

だが、その前に

「・・・・・ずるいよ、杏奈ちゃんだけ・・・」

このむくれた友達を何とか説得しなければならなかった。

「あの箸、志穂様のだよ?料理だって・・・あー、もう!ずるいずるい!」

「だからごめんって。大体あの状況で断れるわけないじゃない。だって相手は志穂様よ?」

食器を杏奈が水で洗い、久美が拭く。
文句を言いながらも二人はなかなかの協力を見せていた。

「だからって・・・っとと!!」

と、突然久美が拭いていた食器を落としかける。

「大丈夫?久美ちゃん。」

心配した杏奈が声をかけるが、特に問題はなさそうだ。

「あ、うん。大丈夫・・・・・それにしても・・・」

布巾と食器を置いた久美が、ゆっくりと自分の胸へと手を当てる。
そして、サワサワとその表面を撫でていきながら

「だいぶ大きくなったわよね・・・」

感嘆の声をあげると、杏奈もそれに同調してきた。

「そうね・・・お昼すぎでしょ?半日でこれだけ・・・」

今朝までは見えていた景色も、今ではまだ成長を続ける胸によって見える範囲が狭まってくる。
互いに同じぐらいの乳房を持つ者同士。お互いの乳房が今の自分の大きさだと思うと想像しやすかった。

パッと見た感じでも、200cmは超えているだろう。230やら240やら・・・前回測った時より100cm近く大きくなっているかもしれない。

「今日一日ってことは・・・まだ大きくなるってことよね?」

「そうねぇ・・・志穂様がいつお止めになるのかだけど、深夜にお止めになるとしたら・・・あと10時間?11時間?朝から今より長いじゃない。」

と、言うことは・・・

「・・・300cm超えちゃう?」

「かもしれないわね・・・300cmって言ったら、昨日の志穂様ぐらいよね。」

自分があれだけの乳房を持つのかと思うと、嬉しくなってくる。
また、その一方で

「でもでも、私達のおっぱいが大きくなるってことは、志穂様のお胸もそれだけ大きくなられるってことでしょ?」

「そうなるわね。」

自分達の愛する主人の胸がさらに大きくなった姿を想像すると・・・

「あぁ・・・素敵・・・・・」

「志穂様ぁ・・・」

なんだか誇れる気分になってくる。
そのまましばらく悦に浸る二人。

と、その時


「・・・久美ー。お水くれるかしらー?」

その愛する主人から声がかかる。

「あっ、はーい!」

慌てて我にかえると、水差しとコップを用意する。

「・・・よかったじゃない。ご指名よ?」

と、杏奈からのちゃかしも受け、笑顔でその場を後にした。








「ン、ジュッ・・・ンクッ・・・杏奈ちゃぁん・・・」

「ゴクッ・・・久美ちゃん・・・」

二人は同じベッドで向き合い、互いの母乳を吸い合っていた。
白いシーツの上、お互いの乳房の片方は口に入らず、トロトロと溢れだした母乳が白いシーツをさらに白く汚す。

主人以外で唯一気を許した人間と母乳を交換し合う。

「ンフゥ・・・杏奈ちゃんのおっぱい、サラサラで飲みやすいよ・・・」

「久美ちゃんのは・・・チュゥ・・・ン・・・トロトロで甘い・・・」

それぞれがまるで自分の性格を表したかのような母乳を噴き出させる。
勿論どちらも美味しく、癖になりそうで、滅多なことではこの行為を止めそうになかった。

「んはあぁぁ・・・く、久美ちゃん?」

と、突然杏奈に訪れた快感。
それは今まで沸々と感じていた膨乳による快感では無く

「えへへっ・・・杏奈ちゃんのおっぱい、フワフワで柔らかい・・・」

久美が杏奈のもう片方の乳房を揉みしだく事によって得られる快感。
大きすぎる乳房は久美の手では収まるはずも無く、また、そのおかげで大きくグニグニと手を動かしても柔らかい感触はどこまでもついてくる。
巨大な乳房には不釣り合いなほど可憐な乳首に手が触れると

――――プシャッ、プシャァァァァ・・・

それだけで触れている手の平がビシャビシャになるくらい母乳が堰を切ったように溢れ出る。
それがなんとも可愛らしく、揉んでいて気持ちも良い。

「あんっ!もうっ・・・久美ちゃんったら・・・えいっ!」

「ひひゃうっ!あ、杏奈ちゃんっ!ダメだよぉ・・・それ、気持ちいい・・・ああんっ!!」

今度は久美にも快感が訪れる。
杏奈の手捌きはなんとも繊細で、的確に気持ちが良い所を揉みこんでくる。
そのせいで久美の母乳も溢れ出て来る。

――――トプッ・・・トプトプッ

いかにもトロトロとして粘度の高そうな母乳が乳首から溢れ出る度に久美の嬌声が響く。
二人のいる久美の部屋の隣は志穂の部屋である。あまり大きい声を出すと志穂に怒られかねないが

「久美ちゃん、久美ちゃぁ〜ん!」

「ああ、もっと・・・もっと揉んで!飲んで!杏奈ちゃん!!」

一度火のついた二人は止まることは無かった。
互いの乳房に激しく吸い付き、飲み、ムニュムニュと揉み、快感を与え、与えられる。

「もっとムニュムニュしてぇ!!先っぽ、先っぽをいじめてぇ!」

久美の叫びに杏奈が答える。
それと同時に

「吸ってぇ!!チュウチュウ、もっと・・・もっとぉ!!」

杏奈が叫び、久美が答える。

二人の快感が最高潮に達した時

「ひいいいいぃぃぃぃぃ!!おっぱい噴く・・・噴いちゃううううううううううぅぅぅぅ!!!」

「気持ちいっ・・・ふぎぃ!?あはああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

――――ブッシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァ!!!!

爆発、決壊、激流・・・
頭の中は真っ白。互いのミルクのように真っ白い世界。

お互いの口の中に溢れ出る母乳の濁流を必死に飲み干す。
体は既にミルクでベチャベチャ。だが、彼女達は嫌悪感一つ表すこと無く

(あぁぁ・・・・・幸せぇ・・・・・・)

むしろその圧倒的な幸福感に打ちのめされていた。


と、その時


「・・・どう?気持ち良かったかしら?」

部屋の中の二人を訪れる女性。
二人は朦朧とした意識の中、その女性の方を向く。

「・・・あはぁぁ・・・♪」

「しほ・・・しゃまぁ・・・・・♪」

そこには彼女達の最愛の主人が立っていた。
彼女は部屋の中をグルリと見回した後

「・・・随分派手にやったのね。ほら、こんなところまでおっぱいが飛び散ってる。」

部屋の壁に付いた母乳をスッと指で拭う。
そして

「で、どうだった?『私からの気持ちいいプレゼント』は?」

また例のニヤリとした含みのある笑みと共に、二人を見つめる。
快感に押しつぶされ、意識はハッキリとしてないが、先程の志穂の発言には理解できない点があった。

「・・・志穂様・・・からの?」

「プレゼント・・・?」

二人は揃ってあのトロリとした目をしながら首を傾げる。
すると、志穂はさも当然と言いたげな雰囲気で説明を始めた。

「ええ。あなた達は私のおっぱいを吸って、母乳が出るようになったんでしょ?それで気持ちよくなったってことは、私があなた達を気持ちよくしたってことと同じじゃない?」

全くの詭弁である。
事実を都合よく繋げただけの曲解で、正常な思考の持ち主なら誰だっておかしいと思える理論。

だが

「・・・志穂様が気持ちよく・・・・・」

「あぁ・・・プレゼント、嬉しい・・・♪」

二人は理解してしまった。
朦朧とした意識の中、志穂に言われたことがスゥッと心の中に浸透するようで、今頭の中には志穂に対する感謝の念でいっぱいだった。
なんともちょろい二人ではあるが、一度志穂に狂わされた手前、彼女に何を言われてもその通りだと思えてくる。
勿論意識がはっきりしない、あるいは志穂が直接話かけてきた、など原因は色々あるだろう。
どちらにしても全ては志穂の計算の元、生みだされた結果であった。


「ふふふっ・・・ほら、おいで?」

志穂が優しく微笑みながら二人を呼ぶと、二人は嬉々として志穂の足元へと縋りついてきた。

「安心しなさい・・・あなた達は、私がずっと可愛がってあげるから・・・他の人に浮気なんかしちゃダメよ?」

二人は「浮気なんかしません」とでも言いたいのか、彼女の足に頬を擦りよせる。
この場には3人しかおらず、もし仮に他の人が入って来たとしても久美と杏奈によって全力で排除されかねない。
もちろんその辺のさじ加減も全て志穂の手にあるのだが・・・

「それでね?提案があるんだけど・・・」

志穂はまた例のリモコンを取り出した。

「・・・あなた達のおっぱいを私にくれないかしら?ほら、大きくなるばっかりで中身が無いのはよくないじゃない?」

そう言うと二人は顔を見合わせ

「・・・志穂様の御命令であれば構いませんが・・・」

「私も・・・それなら。」

残念そうな目で志穂を見つめる。
本当は嫌だが、志穂の命令なら仕方ないと言ったところだろう。

「ああ、安心して。吸収する量より大きくする量の方が多くなるようにするから。それに、あなた達には私のおっぱいを吸収させてあげるわ。大きくなるし、中身もたっぷり・・・一石二鳥でしょ?」

志穂の説明に納得した二人は「それなら構わない」と笑顔になってまた足に擦り寄ってくる。

「・・・それじゃあ私は部屋に戻るわ。」

志穂がそう言って部屋を出ようとすると、二人は揃って彼女の乳首へと口づけをして離れる。
愛する主人は笑顔で部屋を出ていった。


「・・・私達も少し寝ましょうか。」

「そうね。そうしましょう。」

二人は向かいあって眠りにつく。
傍から見ても仲がよさそうな二人は揃って幸せそうな顔で目を閉じた。








「・・・んん・・・・・」

陽もそろそろ落ちてきた夕方。
志穂は一人ベッドの上でゆっくりと目を覚ました。

「・・・んしょ。っとと!」

うつ伏せや仰向けでは寝れなかったので、横向きで寝ていた。
寝返りもうてなかったのか、寝る時と同じ姿勢である。
だが、起き上がろうとした途端、バランスを崩してしまう。

「ふぅ・・・こんなに大きくなってる・・・・・ふふふっ♪」

何とか起き上がったものの、眼下に広がるのは肌色の山。
中身もギッシリ詰まったモチモチプニプニのバインバイン。確実に今までより二回りも三回りも大きくなっている。

「・・・どのくらいかしら?でも・・・もう少しね。せめて夕ご飯食べた後に測りましょうか。」

そう言うと志穂はゆっくりとベッドから足をおろして・・・

「うわっ、重たぁい・・・これは誰かに支えて欲しいわね。」

立ち上がろうとするも、一段と大きくなった自分の胸の重さでなかなか立ち上がれない。
何度足に力を入れようとも浮かばない腰に悪戦苦闘していると

「・・・っしょ!こうか!」

足では無く腰から。身体全体を使うことで、何とか立ち上がることに成功する。
一度立ち上がると確かに重みは感じるものの、歩くことに支障はなさそうだった。

「・・・扉、狭いわね。今はギリギリ通れそうだけど・・・次はもうこの部屋には入れそうにないわね。」

部屋を出る時になって扉の狭さを痛感する。
決して狭いと言うほどではないが、彼女の巨大な胸が既につっかえ始めている。このまま大きくしていけば、出たら最後入ることは壁を壊したりしない限り不可能だろう。

(・・・まあいいわ。私はこの部屋じゃなくて・・・お城に住むんですもの。)

名残惜しさをやる気に変えて、志穂は半ば無理やり部屋を出ていった。







「・・・それじゃあ測りましょうか。」

夕食を終え、3人はいつものように集まる。
夕食の調理は久美が担当した。彼女もなかなか料理に自信があるらしく、その味は確かに美味しいものだった。
味を褒めてやると久美が微笑む反面、隣では杏奈が「むぅ・・・」と珍しく唸っていた。


「それじゃあ・・・久美。杏奈のおっぱいを測ってあげなさい。」

「はい、志穂様。」

久美は「5m」と書かれた巻き尺を持って、両腕をあげる杏奈の胸に目盛りを巻きつける。
そして、彼女の前で目盛りを合わせると・・・

「・・・さんびゃく、はちじゅう・・・ろく。386cm!すごいよ、杏奈ちゃん!!」

「そんなに!?やったよ、久美ちゃん!!」

キャアキャアと二人で盛り上がる。
ゆっくりではあるが、一日中ずっと膨乳し続けた3人の胸。
杏奈は昨日からなんと200cm以上の成長を遂げていた。

「・・・じゃあ、次は杏奈が久美のおっぱいを測る番ね。」

「あ、はい。久美ちゃん、腕あげてこっち向いて?」

盛り上がる二人に志穂が声をかけると、すぐに切り替えて今度は久美のバストサイズを測る。
杏奈は元々下着屋だったせいか、その手際は良く、志穂は自分のサイズを測るのは杏奈に任せようかとも思う。

「えっと・・・さんびゃく、きゅうじゅう・・・に。392cm!あぁ〜、負けちゃった。」

「やったぁ!!えへへっ、ごめんね杏奈ちゃん。」

久美も久美で杏奈と同じく200cm以上の成長。
喜びを分かち合おうと二人は抱き合おうとするが

――――ムニュゥゥゥゥゥゥ・・・

その巨大な乳房が邪魔をして、背中はおろか肩までしか手が届かず、上手く抱きしめ会うことが出来ない。
さらに

――――・・・ボムウゥン!

「きゃっ!!」

「わわっ!!」

一度二人の間でへしゃげた乳房が、まるで反発しあうかのように弾け、二人は揃って尻もちをつくはめになる。
だが、それすらも嬉しそうで、クスクスと笑い合う。

そして、二人は自分の胸を揉みながら、その成長を慈しみ始めた。

「・・・でもさ、これでもうあの恵美花とかいう女にも文句は言わせないで済むね。」

「そうよね。いくら重鎮だからって、志穂様を馬鹿にするなんて絶対に許せないわ。」

中身のみっちり詰まったバランスボールのような胸を撫で擦りながら、二人の主人を馬鹿にした女に対する怒りを再燃させる。
と、そこで自らが主人の名を言ったことで思い出したのか、二人は椅子に座ってこちらを見下ろす志穂の方へと目をやった。


「・・・杏奈。私の胸を測ってくれる?」

ついにその時がきた。

「・・・はい。」

杏奈は緊張した面持ちで「5m」の巻き尺を持って、主人の元へと近づく。
志穂も先程覚えた立ち方でゆっくりと椅子から立ち上がり、両腕をあげてその時を待つ。

「失礼いたします・・・」

志穂の背面からぐるっと巻き尺が通され、立ちあがってもまるで垂れようとしない綺麗な球状の乳房に目盛りがかかっていく。
こんなに間近に見ることはあまり無いせいか、測っている杏奈も若干興奮気味だ。


「・・・なっ、あ・・・えっ!?」

と、その時。杏奈の驚きの声が胸の前であがる。

「ん?どうしたの?」

杏奈の頭の上から志穂の声が降り注ぐ。
その声は何が起こったのか、半ば予想がついたような声で

「・・・足りません。」

「っぷ、あははははははっ!!そう、やっぱり足りないか!あはははははっ!!」

杏奈の声をきっかけにして、志穂がさぞ愉快そうに声をあげて笑い始めた。
彼女の笑い声を聞きながら、久美と杏奈は主人の胸の大きさに驚くと共に、若干の恐怖を感じていた。

それはあの強烈な圧迫感の一片であり、今でこそ笑っているが、怒らせたらどうなることか分かったものではない。

「あー・・・はははっ。大丈夫、ちょっと大きいけど、あそこに「10m」の巻き尺があるから。それで測ってくれる?」

「は、はいっ!!」

杏奈はその恐怖に背中を押されて、慌ててその巻き尺を取りに行く。
そして、戻ってくるなり

「し、失礼しますっ!!」

今度は「10m」の巻き尺で測り直し始めた。

「・・・正確に測ってね?確かな数字が知りたいから。」

「はい・・・」

丁寧にバストトップの位置に目盛りを巻きつけ、数字を読む。
勿論今度はきちんと届き、計測することが出来た。

その数値は


「・・・ご、ごひゃく・・・ろくじゅう・・・はち。568cm・・・」

「ふっ・・・ふふふっ・・・あははははははっ!そう!568cm!女王と同じくらいじゃない!あははははははっ!!」

完全に大台を突破していた。
彼女の乳房はこの世界で一番大きい女王のそれに近く、もしかしたら超えているのかも知れない。
そう思うと、やはり心の中で芽生えるのは羨みや喜びではなく


恐怖


何が彼女の怒りに触れるか分からない。だが、触れた瞬間自分の全てが無くなってしまうかも知れないという恐怖が久美と杏奈の間で渦巻いていく。
しかも、彼女は自分達の胸を吸収しているため、彼女の全身には力が漲っていることだろう。
結局、何をどうしようと手遅れであり、二人に残された道は女王並の胸になった志穂についていき、嫌われないよう、可愛がられるという道だった。

「んふふふっ・・・どうしたのかしら?あなた達、主人の胸が大きくなって嬉しくないの?」

それを知ってか知らずか・・・いや、全て分かっているのだろう。
志穂は試すような目で二人を見つめてくる。
その瞬間、危惧していた圧迫感が全身に振りかかるのを感じる。
それは今までとは比べ物にならないもので、そのまま自分の体が押しつぶされそうな感覚すらあった。

「あ、あああ・・・・・」

「っく・・・・・あ、くぁ・・・・・」

声にならない声が絞り出される。
この世界では胸の大きな者こそ絶対的な強者。ましてやそれが世界最大級ともなれば・・・その迫力も世界最大級である。


「・・・はぁ。全く・・・祝いの言葉も無いの?せっかくこんなに大きくなったのに・・・あなた達、そんな態度を取るようじゃあ・・・」

わざとらしく残念そうな顔から一転、スゥッと目を細めると



「・・・捨てちゃうわよ?」

「「っっ!!!!!」」

志穂の一言で二人は一気にこの世の終わりがきたかのような絶望した表情に変わる。
その途端、堰を切ったかのように涙が溢れだし、二人は主人の腰に縋りついてきた。

「も、もうじわげございまぜんっ!!もうじわげございまぜんっ!!!!」

「ごめんなざいっ!!おねがいですっ、おねがいですからぁっ!!」

「「捨てないでくださいっ!!」」


何が彼女達をこうさせたのかは分からない。
だが、彼女達にとって今出来る最善の事はこれだとしか思えなかった。

志穂は彼女達の反応に満足したのか、よしよしと頭を撫でてやると

「大丈夫・・・捨てないわ。あなた達こそ、よく今の怖さに耐えたわね・・・」

二人が恐怖に打ち勝って自分の元にやって来たのを存分に褒めてやる。


女王の元に行くにあたって、今のような圧迫感は何度も感じることだろう。
特に女王と対峙した時、心が折れてしまっては意味が無い。
志穂は今の状況を使って少し訓練をさせてやろうと思っただけだった。


「うぅっ・・・っぐす、志穂様ぁ・・・・・」

「怖かった・・・怖かったですぅ・・・・・」

泣きながら「やりすぎだ」と非難してくる二人に、志穂は思わず苦笑い。

「あははっ、ごめんね?でも・・・分かったでしょ?私が女王になるためにはあなた達の協力が必要。そして、そのためにはあなた達の心の強さも必要なの。」

二人は頭を撫でられながらコクコクと何度も頷き返す。
その反応を見ながら、志穂は主人として優しい顔で何度も何度も彼女らの頭を撫でてやるが


(・・・そろそろ、頃合いね。)


その目は家の外・・・女王の住まう城に向けられていた。