化学のチカラ その4

せい 作
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「そっちは?」

「ダメ。閉まってる。」

朱音が居なくなった家に、二人の女性の声がする。

「玄関も閉まってたし、声も聞こえないから留守なんだろうけど・・・」

「ねぇ、沙紀ちゃん。朱音ちゃんの研究室って、あそこよね。」

二人の名前は由利と沙紀。ある目的のために朱音の家へと訪れていた。

「えっと・・・そうだね。あ、窓がある!」

「本当だ。開くかしらね。」

「どうだろう、やってみるしか・・・」

時刻は午後7時半ごろ。
朱音の家にやって来た時、家主の姿は無かった。
これは好機とばかりに、二人は家の中への侵入を図る。

「・・・あ、開いた!!」

「おお〜!じゃあ、ここから直接・・・」

「待って!えっと・・・」

沙紀の行動を止め、周りを見回す由利。
すると、何かを見つけたのか

「沙紀ちゃん!これ、台にならないかな?」

「おおっ!いいアイディアだよ!」

二人は揃って手ごろな大きさの石を運ぶ。
こうして侵入経路を確保すると、開いたままの研究室の窓から侵入を始めた。




「もぉ〜、由利のおっぱいが大きすぎるからでしょ?」

「そんなこと言ったって・・・これお気に入りだったのになぁ・・・」

窓のサッシに豊かな胸が擦れてしまい、服が汚れたことを気にする由利。
一方沙紀は小柄な体格を活かしてすんなり家の中へと侵入した。

「ほらほら、急いで。私がこの容器の底にある薬を・・・って増えてる!?」

「本当だ・・・2つ増えてるのかな。」

「ど、どうするの?由利。」

「どうするもこうするも、全部採取するしかないでしょ?」

そう言って由利は胸の谷間に突っ込んでいた袋と脱脂綿を取り出す。

「・・・由利のそれ、前より入る量増えてない?」

「えっ・・・だって、この前測ったら・・・」

「測ったって・・・ああ。おっぱいね。で、測ったら?」

「・・・じぇ、Jカップって・・・」

顔を赤くしてモジモジする由利に対して、沙紀は一つ溜め息をつく。

「はぁ・・・ついにJカップ突入か。まあ、私もほぼHカップって言ってもいいぐらいになったけどね。」

少し自慢気に胸を張る沙紀。
しかし、由利の顔はまだ赤く、時折目が合うと俯いてしまう。


「・・・由利。まだ何か隠してるでしょ。」

長い付き合いだ。彼女が隠し事をする時ぐらいすぐ分かる。
だが、由利自身はそう言われて驚いた様子で

「えっ!?そそ、そんなこと・・・」

「いいから。で、なにを隠してるの?その様子からして・・・おっぱいのこと?」

沙紀の言葉にビクッと肩を震わせる。
どうやら図星のようだ。

「うぅ・・・沙紀ちゃんには隠し事が出来ないね・・・」

「当たり前よ。何年の仲だと思ってるの。さぁ、何を隠してるの?」

沙紀に詰められ、さらに顔を赤くする由利。
そして、小さくか細い声で秘密が打ち明けられた。


「その・・・私も、ギリギリJカップ・・・なの。」

「なんだ、そんなこと?じゃあ、今はIカップのブラを・・・」

「違うの。えっと・・・正確には、ギリギリJカップって言うか『Jカップがギリギリ』って言うか・・・」



「・・・・・・・・は?え、待って。ってことは」

「うん・・・数字的には、Kカップで・・・」

「う、嘘ぉ・・・」

思わず由利の胸元に目線が降りる。
確かに大きい。小さなスイカが入っているのではというほどの膨らみが、少しの動作で重たげに揺れる。
だが、彼女はつい先日までIカップだったはずだ。2カップ大きくなったということは、アンダーはそのままだとしても5cmほど大きくなっているわけで・・・


「・・・成長期、かな?」

「いや、あなた何回成長期訪れてるのよ。」

沙紀のツッコミに、えへへと笑う由利。
だが、沙紀の驚きはこれで終わらない。


「そ、それでね?実は、まだ成長は続いて・・・いて・・・」

「嘘っ!あなたまだ大きくなるの!?」

「来月ぐらいにはLカップになってる・・・かも・・・」

「マジデスカ・・・」

一体どこまで成長するというのか。
自分のギリギリHカップもなかなかの巨乳だと自負している。
だが、Lカップの前では霞むことだろう。何?Lカップって。


「でもでもっ!Lカップのブラジャーって高くてね?この前聞いたら安くても母乳10リットルは下らないって・・・」

「はいはい。わかったわよ。どうせ私はHカップになりきれないGカップですよ。」

「あうぅ・・・そういう意味じゃないんだってば・・・」

しょんぼりする由利と、ムスッとする沙紀。
だが、二人にはあまり時間が残されていない。



「・・・っとと。こんなことしてる場合じゃなかった。ほら、由利。私がこれ採取しておくから、あなたは『あの部屋』を見てきて。」

「えっ?ああ、そうね。」

暗い部屋の中、二人は分かれて別行動をする。
沙紀は近くに置いてあったピンセットを拝借して、フラスコの底を脱脂綿で拭き取り、袋に入れる。
一方由利は、研究室の奥の部屋へと続く扉に近づいて・・・


「・・・開いてる。」

内側から鍵をかける形のその扉に、鍵はかかっていなかった。

「沙紀ちゃん、鍵かかってないよ。」

「ちょっと待って・・・よし!これでおしまい!」

沙紀が全ての薬品を採取し終えると、例の扉へと近づいていった。

「開けるね?」

「う、うん。」

由利がドアノブを回し、扉をゆっくりと開ける。

そこには



「・・・寝室?」

「みたいね・・・」

こじんまりとしたベッドと、姿見。その他机や洋服タンスなど、必要最低限の物が揃った寝室があった。
部屋の様子を窺っても、特に変わった様子は無い。

「・・・なんでこの部屋を隠そうとしたのかしら。」

素朴な疑問として、沙紀が呟く。
特に変な所も無い、ただの寝室なら見せてくれたって構わないはずだ。
なのに朱音はあれだけ厳しい口調で拒否した。それの意味が分からない。

「むぅぅ〜・・・なんだかムシャクシャするわね!意味が分からない!」

「落ち着いて、沙紀ちゃん。」

ワシャワシャと頭を掻きむしる沙紀の肩に手を乗せる由利。
確かに謎は増えた。なぜこの部屋を見せようとしなかったのか。
だが、由利は部屋にある机の上にあった時計の針を見つめ


「・・・時間ね。行きましょう。」

そろそろ8時になることを理解し、脱出を図る。

「はぁ・・・そうね。とりあえず、これを誰か詳しい人に見てもらわなきゃ。」

ガサッと6つの袋を取りだした沙紀も真剣な眼差しになり、脱出に頷いた。



「忘れ物は無い?」

「ええ。全部元通りにしておいた。」

家を出た後、窓を閉める。
二人は一つ頷くと、朱音の家を後にしていった。










「優くん、悪いけど・・・ちょっと離れてくれる?」

時刻は少し戻り、午後7時半頃。
夜の散歩の後、町の中心にある大きな下着屋へと辿りついた朱音。

閉店は思った通り8時。もう既に客は朱音以外おらず、突然入って来た彼女に対しても店員はにこやかな笑顔で対応してくれた。


「では、お客様のお胸を測らせて頂けますか?」

先程そう言われたのだが、胸には優太が抱きついている。
仕方が無いとばかりに白衣の下を見せると、裸の胸に幼子が張りついた状況があり、店員も流石に驚いた顔を見せていた。



「ごめんね?優くん。」

ある程度母乳を飲んだせいか、今度は割とすんなり体を離してくれた優太。
だが、自分の近くに朱音以外の女性が居るのに気がつくと

「・・・ひぅっ!!」

急に顔を恐怖で歪ませ、朱音の足元にしがみついてきた。
どうやら例の薬の効果で、店員の事も『怖い』と思ったのだろう。

「あ、あの〜・・・」

「ああ、ごめんなさいね。この子、とっても怖がりで・・・よしよし、大丈夫だからね?」

優太が他の人間になびかないための予防策とは言え、怖がる優太を慰めることにまた母性を感じる。

「優くん。悪いけど、そこの椅子で良い子にしといてくれる?ママ、ちょっとこのお姉さんとお話があるの。」

・・・しかし、優太は離れない。
薬が効きすぎたのか、足にしっかりとしがみついたまま離れなくなってしまった。
このままでは移動もままならない。

そこで


「・・・ねぇ、悪いけどここで採寸出来ないかしら?」

「えっ?ここで・・・ですか?」

朱音が代案を出す。

「ええ。この子が離れたくないって言ってるし・・・他に人も居ないから。お願い出来る?」

「は、はぁ・・・わかり、ました。」

こんな客は初めてなのだろう。店員は首を傾げながら、巻き尺を取り出した。

「・・・では、両手を上にあげてください。」

黙って言われるがまま腕を上げる。
優太はその間も朱音にしがみついたままだった。


「アンダーが・・・66。トップは・・・87。65のEカップのブラジャーがピッタリかと。」

「Eカップ!?え、そんなにあるの!?」

「え、ええ・・・」

朱音の勢いに押されてたじろぐ店員。
採寸が終わった朱音はすぐさま優太を抱き上げ「怖かったね」などと言いながら頭を撫でてやった。


「そ、それでは・・・こちらからこちらまでがお客様にあったブラジャーですので、ご自由にお選びください。」

「ええ。ありがとう・・・そうだ。フロントホックのはどれ?」

「はい。フロントホックの物はこちらからこちらまでとなっております。」

言われるがまま、いくつかのブラジャーのデザインを見て選んでいく。
値札を見ると、どれも大体2リットルから3リットル。沙紀がそれくらい出していたから、まあ妥当な線なのだろう。


「・・・そうだ。この店には大体何カップぐらいまでのブラジャーがあるの?」

かなり大きい店だ。種類やデザインも豊富で、かなりのサイズまであるのだろう。
『宮殿』の近くの町では、KカップやLカップの女性でも「貧乳」と揶揄されると聞いた。
この店はその町でも見られるほどの大手だし、大きさの限界には期待できる。


「そうですね・・・今のところSカップぐらいまでなら当店でご用意出来ます。それ以上となると本店に取り寄せとなりますが・・・ですが、お客様のお胸では・・・」

「ああ、いいのいいの。『今がEカップなだけ』だから。」

「はぁ・・・左様でございますか?」

Sカップと言えばアンダーが66のままだとして・・・トップが122〜3cmぐらい。
で、1日に大体2カップほど大きくなると見て・・・

(今がEでしょ?んで・・・G,I,K,M,O,Q,S。一週間か。)

毎日通うのも面倒だ。一週間分まとめて買うとしよう。


「じゃあ、このデザインに近いフロントホックのブラ。2カップずつあげてSカップまで、これをいれて合計8着。頼めるかしら?」

「え、えぇぇっ!?Sカップまでですか!?」

驚愕に目を見開く店員。
と、彼女が大きな声を出したせいか

「うぅぅ〜・・・」

胸の中で優太がむずがりだした。


「ちょっと、声が大きい。ほら、早くして。ちゃんと母乳も払うから。」

「ほ、本当によろしいのですか?Sカップブラと言えば、一着で25リットルは下らない・・・」

「いいから!早く持って来て。」

「・・・か、かしこまりました。」

店員の後ろ姿を見ながら、優太の頭を撫でてやる。
Sカップブラが一着で25リットル。ということは8着で・・・70リットルぐらいはいくのだろうか。

(・・・優くん。かわいい所見せてね?)

ある意味これは朱音の挑戦でもあった。





「ぜ、全部で68,5リットルになります。」

「そう。じゃあ、搾乳機出して。」

「は、はい・・・」

戸惑いながらも店員が搾乳機を取りつける。
その為、優太を背中に抱き、いわゆる『おんぶ』の状態にしてからその時を待った。


「あ、あのぉ・・・」

「なに?まだ何かあるの?」

「いえ・・・もし宜しければ、分割払いというのもありまして・・・」

躊躇いがちに話す店員。
おそらくEカップほどの胸では到底68,5リットルも母乳を出せないと思っているのだろう。

いや、むしろその考えは正しい。
Eカップと言えば沙紀よりも小さい。そんな女性に一晩で68,5リットルも本来ならば出せるわけがないのだ。


だが、朱音は違う。
母性を感じれば感じるほど母乳が溢れてくる体。
しかも今近くには愛する我が子がいる。
彼に協力さえして貰えば、いけないことはないと自信があった。


「あら、だったら・・・賭けをしましょう?」

「賭け、ですか?」

朱音の言葉に、店員が反応する。

「ええ。もし私が一括で68,5リットル払えなかったら、その時はまた後日やって来て、倍の137リットル払うわ。」

「なっ!!!」

それはとてつもない賭けだった。
137リットル。3桁の大台は店にとってもかなりの利益となる。

「ほ、本当でございますか!?」

「本当よ。でも、もし私が一括で払えたら・・・」


朱音は少し溜めて、言い放つ。


「まず本店に連絡して、Sカップ以上のブラ、2カップずつ・・・U,W,Yカップのブラを無料提供の後、それ以降のブラジャーをあなたが作る。ってのはどう?」

「な、なにをっ!!」

「あら、この店って下着の手直しもやってるんでしょ?」

「そ、それはそうですが・・・」

「担当は誰?」

「・・・私です。」

「じゃあ丁度いいじゃない!いいものを作ったら、御褒美もあげるわ。どうかしら?」

朱音の言い分に口を閉じて眉を寄せる。
なかなかに難しい賭けだと感じているのか、答えが出てこない。


「・・・あなた、ブラを作ったことは?」

「あります。本店の取り寄せが滞った時に、一度Vカップを・・・」

「あら、いいじゃない。大きいサイズも作れるなんて。」

含みを持った笑顔を見せる朱音。
その顔からは自信が溢れ、賭けに負けそうな雰囲気は微塵も感じられない。


「で、どうするの?賭けに乗るの?乗らないの?」

「・・・それは・・・・・」

「へぇ・・・じゃあ私が68,5リットル出せると思ってるわけね。」

「そ、そんなことっ!・・・失礼いたしました。」

反論したはいいものの、客に失礼だと思ったのか慌てて口を閉じる。
朱音はその様子をニヤニヤ見つめていた。

そして



「・・・わかりました。乗りましょう。」

「そうこなくちゃ。じゃあ、行くわよ。」

二人の賭けが始まった。





――――ブシャッ、ジュワァァァァァァ・・・

「・・・8,5リットル。残り60リットルです。」

店員の女性は、Eカップだというのに8,5リットルも母乳を出した朱音に驚きを隠せないでいた。
朱音の方はニヤニヤと笑みをこぼし、確かにこの調子だと賭けに負ける気もしてきた。

(でも、あと60リットルもあるわ。流石にそこまでは・・・)

心の中ではそう思う。だが、母乳は少しずつではあるが、止まることなく溢れ続ける。

「・・・10リットル。」

「あら、もう10リットル?あと58,5リットルか・・・すぐね。」

「っく・・・!!」

なぜEカップ風情がここまで母乳を出せるのかと悔しくなってくる。


店員の女性は、朱音よりもかなり豊かな胸をしていた。
普段はココより『宮殿』のある首都に近い町で暮らしている。
物価がこの町より高いところに住んではいるが、それに対応できるぐらいの乳房。

彼女の胸はMカップ。母乳も1日に7リットルほど出る。
服屋・・・というより、下着屋の娘として生まれた彼女は、小さい頃から店を継ぐのを夢にしていた。
だが、不幸なことに近所に今勤めている大手下着屋が出店。彼女の家は店を閉じることとなった。
その後、彼女の腕を見込まれ、ヘッドハンティング。今の店の店長すら務めることに。

しかし、彼女の生家を潰したあの店舗の配属にはならなかった。なんでも「下着を売るなら、それに見合った体つきでなければ」という本社のお達しらしい。
Mカップの胸を誇っていた彼女が味わう初めての挫折。首都に住む爆乳、超乳女達に下着を売る本社ならではの凝り固まった考えを恨んだこともかなりあった。


そのせいか、今目の前で自分より遥かに小さい胸をした女が自分より母乳を出す姿がなんとも憎たらしい。

「・・・11リットル。」

淡々と今の母乳量を伝える女性。



と、その時

――――プシャッ・・・ッシャ・・・・・

「・・・あら。」

急に母乳の出が悪くなった。
見るからに限界。これ以上は出てこない。
出された母乳は11,2リットル。到底68,5リットルには遠く及ばない。


「・・・ックフ。どうやら、賭けは私の勝ちみたいですね。」

客に失礼とは思いながらも、笑いが隠せない。
チョロチョロとしか出てこない母乳を見つめ、自らの矜持が保たれた感覚に女性はホッとする。

「では、また後日137リットルを・・・」





「あら?誰が賭けに負けたって?」

と、朱音がまだニヤニヤした顔を残したまま、女性に言い放つ。

「で、ですがっ!もう母乳は・・・」

「ねぇ、優くん。お願いがあるんだけど・・・」

女性の言葉を無視して、朱音はおぶったままの優太に耳打ちする。
すると、優太がゆっくりと彼女の耳元に口を寄せ





「・・・ママ、大好き♪」





「はうぅっ!!ふあああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!」

――――プッシャアアアアアアアアアアァァァァァァァァ!!!!!!

「な、なにっ!?なんなの!?」

突然彼女の乳首がおびただしい量の母乳を噴き出した。
ドバドバと管を通って母乳が溜まっていく様子に、店員の女性が慌て始める。

だが、それを尻目に



「大好き・・・だーいすき♪」

「ふひゃああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!優くん!優くぅぅぅぅぅぅぅん!!」

――――ムクッ・・・グググググググッ・・・!!

彼女の胸が成長を始める。
それは今までより明らかに早い成長であり、それに伴って


――――ドッバアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!

「ちょ、ちょっと!!いくらなんでも多すぎ・・・って、ええっ!?」

店員の女性が目盛りを読むと、既に母乳は30リットルへと突入しようとしていた。
さらには、目の前でグングン成長していく乳房。先程のEカップなどまるで見られず、そこには十分な巨乳、いや爆乳といってもいいかもしれない膨らみがあった。



が、残りの38,5リットルを埋めるためか、なおも背中にいる少年は囁き続ける。




「大好きだよ・・・ママ。」


「ふうううううううううううううぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」

・・・40リットル。

なおも続く胸の成長。既に店員の女性が持つMカップに近い。




「世界一大好き・・・好き、好きぃぃ♪」

「あはあああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

・・・50リットル。

K・・・L・・・M・・・N・・・







「・・・愛してる、ママ」

「はぁぁ・・・ふぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

年の割にはませたセリフを優太が囁いた途端


「な、なんてこと・・・・・」


店員の驚愕の声を残して、朱音の頭は真っ白に染まった。











「・・・50、60、70、80・・・84リットル・・・」

100リットル入る容器に、並々と注がれた母乳。
その量84リットル。信じられない量だった。


「あ、あはぁぁぁぁ・・・気持ち、良かったぁぁ・・・」

やっと真っ白な世界から戻って来た朱音が、艶のある声を漏らす。
それに合わせて

――――・・・ップシャァァァ

「・・・85。」

残りを吐き出すように、1リットルほど母乳が溢れ出た。

朱音の背中には今になって恥ずかしくなったのか、優太がモゾモゾと顔を隠そうとしている。
その刺激で段々と現実に引き戻された朱音が、現状を把握するのに多少の時間がかかった。


「・・・ふぅぅ。で、何リットル出したの?」

結構出たでしょ?とばかりに例のニヤニヤした顔を見せる朱音。
その顔を恐ろしい物でも見るかのように店員が見つめ、答えた。

「は、85リットル・・・です。」

「あらら、お釣りが出ちゃった?」

そう言いながら朱音が目線を降ろすと


「・・・うっわ、大きくなったわねぇ・・・」

そこには大きな大きな膨らみが鎮座していた。
未だに先端には搾乳機が取り付けられたままだが、確実にその大きさは合っていない。

一体何カップあるのだろうか。



「ねぇ、ねぇってば!」

「・・・へっ?あ、はい・・・」

呆然としていた店員が、朱音の声にハッとする。

「このおっぱい、確実にEカップじゃ入らないでしょ?採寸し直してくれる?」

賭けに負けたこと。そして、信じられない量の母乳が出たこと。
何より、自分の持っていた矜持を粉々に砕かれたことが、店員を呆然とさせ

「・・・かしこまりました。」

素直にさせていた。





「アンダーは、66。そして、トップが・・・・・117cm。」

「カップは?」

「き、Qカップ・・・です。」

「そう。すぐ用意して。」

「は、はいっ!!」

慌てた様子で店員が店の奥へと走っていった。
その姿に賭けをしている最中に見せた微かな傲慢さは微塵も無く、ただただ自分より遥かに大きな胸を持つ客に対する敬意が見られる。

そして


「お、お待たせいたしましたっ!!」

彼女が持ってきたのは、深い深いカップを持ったQカップの『シルク』のブラジャー。

「あら、随分と高そうな物を・・・」

「はいっ!こちらが、当店に置いてありますQカップのブラジャーのフロントホックタイプでは一番高価な物でしてっ!」

「ふぅん・・・これ1つでいくらなの?」

「えっと・・・32リットル、ですね!」

チラと値札を見て元気よく答える。
なぜか女性は朱音の目をジッと見つめ、目をそらそうとしなかった。

「へぇ、やっぱり高いのね・・・」

「ええ。ですが、品質はとても良い物で・・・」

「確かに触り心地が違うわね。作りもしっかりしてるし。」

「はいっ、はいっ!!自慢の一品でしてっ!!」

下着を褒めると嬉しそうに何度も頷き返す女性。
その様子に、なにか違和感を感じる。

「・・・じゃあ、これの」

「2カップ上、Sカップと、本社に連絡してUカップ、Wカップ、Yカップでございますねっ!?お任せ下さい!!」

先回りして、返事をされる。
キラキラとした瞳には、客と店員を超えた別の感情が見て取れた。


「・・・いくら払えば?」

「いえ、結構です!!あれだけ母乳を頂ければ・・・」

彼女の反応に、思惑は徐々に確信へと変わる。

(ふぅん・・・便利そうね。)

朱音の頭の中に、新たな薬品の構造式が浮かんでいく。
凄まじい速度で化学式を最適化していく。まさに天才のなせる技であり、誰も彼女に追いつくことは出来ないだろう。


「あ、あの・・・お客様?」

「朱音よ。」

「えっ?」

突然の事に意味が分からず声を上げる。

「朱音。小山 朱音。この子は私の息子の小山 優太。」

「朱音・・・さん。と・・・」

優太の方を向いて名前を呼ぼうとした瞬間

「ダメよ。あなたがこの子の名前を呼ぶのはまだ早いわ。」

朱音によって遮られてしまう。

「は、はぁ・・・」

「・・・とにかく、これと、あとSカップのブラを頂戴?」

「あ、はいっ!!かしこまりました!」

話が変わり、慌てて再度店の奥に向かう彼女。
その背中を見て

「・・・あ、ちょっと!」

「はい、なんでしょう?」

「このあと・・・お茶でもしない?」

朱音が声をかけた。