「おはようございます。朱音様。」
「ええ、おはよう。」
次の日の朝、まだ寝ている優太をベッドに残したまま先に朝の準備をしようと部屋を出ると、研究室を出た先の廊下で果歩が礼をしていた。
まるで隙の無い姿勢で朱音が来るのを待ち、声がかかると頭をあげる。
長身の朱音とほぼ同等の身長を持つ果歩。彼女は昨日と同じスーツを着て、朱音の後ろをついていった。
「・・・こちらです。」
「あら、気が利くわね。」
顔を洗った朱音に、タオルを差し出す。
その顔はお世話が出来て嬉しそうで、仕事ではなくやりたい事としてやっているのが良く分かる。
「・・・えらくついてくるのね。」
「はい。朱音様のお傍にいるだけで、私は様々なものを与えて頂けますので。」
その言葉に、昨日の出来事を思い出す。
「・・・・・朱音様。」
彼女はもう一度、私の名を呼んだ。
「・・・その『様』ってのはなんなの?」
だが、私はは簡単には受け入れず、彼女は説明を余儀なくされた。
「・・・朱音様は私に全てを与えてくださります。望んで得る物、望まずして得る物。様々です。」
「あら、そんなこと無いと思うんだけど・・・」
「いいえ。『全て』です。迷っていた小さな小さな私に、朱音様は全てをお与えになりました。」
やはり、彼女も薬によって狂ってしまった。
だが、彼女が出した結論がこれなのだとしたら
「・・・そう。あなたが出した結論は・・・『私への依存』ってことね?」
彼女自身に認めさせる必要がある。
「そう・・・なりますね。嫌、ですか?」
初めて見せる彼女の縋るような目。
普段はセクシーな彼女が、今はなんだか可愛く見えた。
「いいえ、嫌では無いわ。でも・・・いいの?私が言うのもなんだけど、あなた・・・狂っちゃったのよ?」
厳しい発言に、流石の彼女も戸惑いを見せる。
だが、これもまた必要な事。中途半端な気持ちで私に近づいて、優太にもしもの事があればたまったものではない。
「狂った・・・そうですね。私、狂ってますね。さっきまで普通の話相手と思っていたあなた様が、今はこんなに尊い存在に見えるんですもの。」
「ええ。それは完全に狂ってるわね。」
「ですね。狂ってますね。」
そう言って、互いに笑い合う。
「狂ったついでに、あなたがどれほど狂っちゃったか聞かせてもらっていいかしら?」
「はい。あなた様がお望みでしたら、なんだってお答えいたします。」
そう言うと、果歩が真剣な眼差しでこちらを見つめてきた。
「そうねぇ・・・じゃあ、私の事は『尊い』って言ったわよね?」
「はい。まるで雲の上の存在、神様みたいなものです。」
「神様って・・・まあ、いいとして。他の人は?」
果歩があからさまに眉根を寄せる。
「・・・朱音様の御子息様は、朱音様同様尊い御方です。ですが・・・」
「ですが?」
「・・・私のやりたい事を否定していったあの人達のことなんて、考えたくもありません。」
(おっと・・・これは・・・)
上手く運べば良い結果をもたらしそうだ。
果歩の考えを基に、誘導を始める。
「・・・私の事を非難する人が居たら?」
「その時は・・・あなた様と同じ意見です。」
つまり、消すということか。
「でしょ?そう考えると、言い寄って来る奴らが皆悪い虫みたいに思えるでしょ?」
「悪い虫・・・そうですね。イラッとしますね。」
「そうよね?あぁ、分かってくれて嬉しいわ。」
そう呟いた途端、果歩の顔が一気に華やいだ。
「ほ、本当ですか!?私今、朱音様と気持ちが通じ合ったのですか!?」
「ええ。バッチリ。」
「あはああぁぁぁ・・・う、嬉しいです・・・嬉しいですっ!!」
少し大袈裟なまでに喜ぶ彼女を見つめる。
それは私にとって大きな娘のように思え、優太のための母性と思っていたが、どうやらそれだけでは無いと思わせられた。
「・・・あの、朱音様。」
「ん?何かしら?」
と、突然彼女の方から声がかかる。
「私・・・今の仕事辞めたいです。やりたい事があって・・・」
心配そうな彼女に、迷わず声をかける。
「ええ。辞めなさい。」
「えっ・・・いいんですか?」
「やりたい事があるんでしょ?辞めたらいいわ。」
嬉しそうでいて、かつ困った顔を見せる果歩。
気持ちを理解してもらって嬉しいのだろうが、現実問題としてそんなに簡単に辞めて良いのか悩んでいるのだろう。
「で、でも・・・辞めちゃったら・・・」
「生活を気にしてるの?」
「・・・はい。」
なるほど。そういうことか。
彼女は私よりも2つ年上なのだ。立派な成人。生活を気にしてなんの不思議もない。
「そ、それでですね・・・」
「私に暫く養って欲しいってわけ?」
「あ、ううぅ・・・」
その次の言葉もなんとなく分かる。
やりたい事を行う変わりに、生活の安定を保証してくれる人間が欲しいというわけだ。
だが
「・・・ダメよ。」
「えっ・・・」
途端に果歩が絶望の表情を浮かべる。
まるで親に見捨てられた子のような顔に、少し母性が惹かれるものの、ここは厳しく言うことにした。
「あなた24でしょ?やりたい事やるのは構わないけど、一人でやってもおかしくないんじゃない?」
「そ、それは・・・」
「私のところへ遊びに来るのは構わないわ。この子に悪ささえしなければね。」
「う、うぅぅぅ・・・・・」
思惑が外れ、落ち込んでしまう果歩。
新しい彼女になったとはいっても、いきなりの問題にまた悩むはめになった。
「・・・悔しい?」
「はい・・・とても。」
私の問いに素直に答える。
若干の涙さえ浮かべている。よほど私に依存しているのだろう。
「悔しかったら納得する答えを持って来なさい。そしたらまた、あなたが望むように『与えてあげる』。」
「・・・・・・・」
それだけ言うと、もう話は無いとばかりに席を立つ。
彼女は生まれ変わった。優太に危害が加わらないということも分かった。
ならば後は彼女自身でどうにかして・・・
「待って下さい。」
突然背中に声がかかる。
「・・・なに?まだ何か話があるの?」
眠った優太を胸に抱きながら、ゆっくりと振り向く。
そこには涙を浮かべながらも、気丈にこちらへと視線を向ける果歩が居た。
そして
「・・・私を、この飯島 果歩を・・・小山 果歩として、あなたの娘にして下さい。」
彼女は大きな決断を下した。
「・・・今日はどうするの?」
「はい。今日はお店に行って辞表を出してきます。その後、武道の練習を再開しようかと。」
「武道?」
突然の事に、聞き返す。
「はい。実は私、昔から古武術を習ってて・・・少し間は空きましたけど、腕には自信があるんです。」
「そ、そう・・・でも、一体なんのために?」
「それは・・・」
と、そこに一匹の虫が飛んでくる。
それを拳一つで華麗に打ち落としてみせる果歩。
そして
「・・・朱音様に言い寄る悪い虫を追い払うためです。私の神様に指一本触れさせる気はありませんから。」
すっかり依存しきった瞳で、こちらを見つめてきた。
「それでは、行って参ります。」
玄関から声が聞こえる。
私より年上の『娘』が、辞表を出しに出発するようだ。
「ええ、行ってらっしゃい。」
優太と共に玄関に行くと、笑顔で果歩が待ちかまえていた。
「あら、良い笑顔ね。」
「えっ・・・ああ、いえ。この顔は朱音様と、その御方にしかお見せいたしません。」
笑顔を褒めてやると、恥ずかしそうにデレデレし始める。
「へぇ・・・じゃあ、他の人にはどんな顔を見せるの?」
「あっ、それはですね・・・」
少し気になったので問い詰めると
「・・・この顔です。」
「あっ・・・うわぁ・・・」
そこには見るもの全てを見下すような、冷酷な瞳があった。
何物にも興味を示さない。目に映る物全てに価値が無い。
そう言いたげな瞳を他人に向けるとなれば、つまりそういうことなのだろう。
「・・・それ、やめる気は」
「無いです。だって、朱音様とその御方以外の人間になんて興味ありませんから。」
「そ、そう・・・」
・・・もしかしたら、彼女は思っている以上に自分に依存しているのかも知れない。
そう思って、試しに
「・・・果歩、お店に行くまでに、5人を殴るっていうのは・・・」
「殴ればいいんですね!?分かりました!!」
「い、いや!!やっぱりやめといて。手を出してはダメよ。」
「・・・? そうですか?わかりました。」
やはり完全に狂っている。
彼女にとって私の発言、存在が全てであり、私と優太以外が敵なのだろう。
「・・・そうだ。果歩、今日は辞表を出したら何時ぐらいに帰れる?」
「えっ?んー・・・そうですね。遅くても夕方までには帰れると思います。」
「じゃあ・・・少し早くて2時ぐらいには帰れそう?」
「2時ですか?分かりました。」
果歩は特に何をするのかを聞かずに、了承してしまう。
私からされることは全て善だとでも思っているのだろうか。
「・・・じゃあ、行ってらっしゃい。」
「はい!2時に戻って参ります!」
そういうと彼女は玄関を後にした。
「・・・さぁ、優くん。朝ごはんにしましょうか。」
その姿を見送ると、優太への授乳を始めた。
「・・・急に辞めると言われてもねぇ。」
店から連絡を入れ、支社へと赴く。
店長である私を、会社はすぐには手放そうとしなかった。
「あなたは店長でしょ?そう簡単に辞められたら困るのよねぇ。」
(またその話・・・)
つまらない。全てがつまらない。
会社の利益のためだけにこんな鳥籠みたいな所にいるなんてありえない。
何も叶わないし、何も得られない。
だが、朱音様だけは違う。
あの方は私に全てを与えてくれる。
時計を見ると、もうすぐ12時半を過ぎる。
ここから家まで小一時間。そろそろ出ないと2時には間にあわない。
「はぁ・・・もう一度だけ言います。辞めますので、辞表を受け取って下さい。」
「だから、それは困るのよ。私の言う事が分からない?」
女だらけの会社。男は一人も居ない。
母乳が全てのこの世界で、男は蔑まれていた。
でも、世の中にはとっても可愛らしい男だって存在する。
ゆう・・・あの御方は、朱音様の御子息だけあってなんとも可愛らしい。
それに、偉そうにしているこの上司だって、胸のバッジを見ればOカップ風情。せいぜい10リットル母乳を出して得意気にしているのだろうが、朱音様には到底及ばない。
ああ、時間が無い。朱音様との約束を反故にしてしまう。
そんなことあってはならない。絶対に、絶対に。
「ええ、分かりませんね。興味も無いですし。」
「興味無いって・・・あなたねぇ!」
急に怒りだした。興味無いことに興味無いと言って何が悪いのか。
「申し訳ないですが、この後絶対に、ぜぇ〜ったいに外せない用事がありまして。」
「・・・バカにしてるの?」
「いえ。その価値も無いです。」
「なんですってぇ!?」
今度は立ち上がってこちらを睨みつけてくる。
・・・まだ話は終わらないのだろうか。
「わ、私はOカップあるのよ!?Mカップの一店長風情が何を」
「Oカップ程度ですか?ハンッ・・・その程度で・・・」
――――パァン!
頬が痛い。
どうやら平手をもらったようだ。
「フゥ・・・フゥ・・・」
上司の女は怒りで肩を震わせている。
こっちもお返しに手が出そうだったが、家を出る前に朱音様に止められたのを思い出してやめることにする。
時計を見れば12時45分。いよいよ時間が無くなってきた。
「・・・話はそれだけでしょうか。」
「こんのっ!・・・もういいっ!!あなたとこうして話す価値も無いわ。」
「奇遇ですね。私もそう思います。では。」
一応礼をして、背中を向ける。
背後からはまだ怒声が聞こえるが、気にしない。いや、気にならない。
あの言葉からは何も得られない。
私に全てを与えるのは、朱音様ただ一人だ。
「ただいま戻りました!」
「二時丁度・・・流石ね。」
まさかとは思い、それまでに『準備』は済ませておいたが、やはりというか果歩は2時に、それもピッタリ秒針まで揃えて帰って来た。
優太は朝から散々私の母乳を飲んで、お腹いっぱいになったのか胸の谷間でまどろんでいた。
「・・・おや、朱音様。お胸がまた大きくなりましたか?」
「あら、分かる?そうなのよ。」
谷間に優太が収まっているのもあるが、ブラジャーで押さえられたカップの部分からは乳肉が盛り上がっていた。
「Qカップがギリギリってことは・・・Rカップですかね。」
「かもしれないわね。今日の夜にでもSカップをつけてみるわ。」
「あ、私もお手伝いさせて頂きますね。」
そういうと、果歩は鞄を置いて私の後ろをついてきた。
その姿は後追いする幼子のようで、まるで大きな娘が出来たかのように・・・もう娘か。
「・・・じゃあ、果歩には今日からこの部屋に入る事を許可するわね。」
「・・・? ここって、研究室・・・でしたよね?」
研究室の前で立ち止まり、大仰に説明すると、果歩はズバリ言い当てて見せた。
「そうよ。よく知ってたわね。」
「はい。昨日の晩、寝る前に朱音様が『研究室に行くわね』と言ってこの部屋に・・・」
それだけで覚えてしまったのか。少し恐ろしい。
だが、それほどまでに私の事を想ってくれているということなのだろう。
が、今日からはそれだけではなくなる。
「・・・じゃあ、行きましょうか。」
そういって扉を開き、私と果歩、そして優太の三人は研究室へと入っていった。
「・・・これを飲んでもらえる?」
フラスコに入った二つの薬。
以前にも作ったこの薬だが、今回はそれを薄く希釈しておいた。
「この二つ、ですか?」
「ええ。両方とも全部飲んでくれたらいい・・・早いわね。」
私の言葉を何一つ疑うことなく、一気に二つを飲み干してしまう。
それを確認すると
「・・・優くん、これ飲んでくれる?」
谷間に収まった我が子に声をかける。
「・・・んぇ?なに?」
顔だけスポッと出して、こちらへと目を向ける。
その姿がなんとも可愛らしくて、また母乳が作られていくのが分かる。
「あはぁぁぁ・・・ これ、飲んで?飲んだらしっかり目を閉じてね?」
「ん〜? うん。」
素直に優太が頷くと、胸の谷間に収まったまま私から与えられるフラスコに口をつけた。
そして、飲みきった後、言いつけどおりに目を閉じると
「いい?優くん。ママが『目を開けて』って言ったら、ゆっくり目を開けてくれる?」
そう言いながら彼の体をムニュムニュと胸の中で反転させる。
そして、正面に果歩の姿が来るようにセットすると
「・・・目を開けて。」
ゆっくりと優太の目が開かれた。
「はぁぁっ・・・あ、あああぁぁぁぁぁ」
途端に、果歩の頬が赤く染まっていく。
彼女に飲ませた薬は『母性が湧く薬』と『ホルモンが胸にだけ作用する薬』。
そして、優太に飲ませたのが例の『惚れ薬』。
どれも薄めた物ではあるが、それでも十分な威力を発揮させる。
「んふふふっ・・・どうかしら?果歩。」
「あああぁぁぁぁ・・・は、はいぃぃ」
すっかり蕩けた表情になった果歩を見て、効果が出たのを確認する。
「ま、ママっ!?」
一方、優太は自分を熱い視線で見つめてくる女性に恐怖を覚えたのか、慌ててこちらにしがみついてきた。
そんな彼をギュッと抱きしめながら、ゆっくり諭してやる。
「大丈夫・・・『あの人は安心よ』。抱っこされても怖くないわ。」
「だ、大丈夫・・・あ、あれ?ホントだ・・・」
すると途端に彼の震えは消え、果歩と向き合えるようになった。
これも彼に施した催眠の薬の効果。やはり『薬』というのはかなり便利である。
「はぁ・・・はぁ・・・あ、朱音様ぁ・・・」
と、果歩の方を見るとウズウズするのが止まらない様子で許しを請うように見つめて来ていた。
「・・・あら、そんなにこの子に触りたい?」
「はいぃ・・・」
「抱っこして、なでなでしたい?」
「はいぃぃぃ・・・したいですぅ・・・」
もう既に妄想でしているのか、誰も居ないところで頭を撫でる仕草をしていた。
かなり切羽詰まっているのだろう。
今が丁度良かった。
「・・・ンクッ、ック・・・ップァ。ふぅ・・・」
あらかじめ用意していたもう一個の薬を飲み干し、言い放つ。
「・・・ふふふふっ。だーめ。まだあなたには早いわ。」
「そ、そん・・・な・・・・・・」
彼女の目が合った途端、静かになっていく。
そして、ほんのり赤かった彼女の頬が、真っ赤に染め上がっていった。
「あーあ。見ちゃったわね。どう?『大好きで大好きで堪らない人間が目の前に二人も居る』状態は?」
「あ・・・う、あ・・・あぁぁ・・・」
私が飲んだのは優太に与えたものと同じ惚れ薬。
だが、私は優太とは違い原液を飲んだ。
理由は当然。優太を可愛がる程度なら良いが、恋焦がれるようならばそれは行き過ぎだからだ。
そのため、彼女には恋心よりも母性の方をたっぷり味わってもらうことにした。
そして、私には・・・
「あ、かね・・・様ぁ」
「そうそう。その感情は私にだけ向けてればいいの。」
「あ、う・・・あはぁぁぁ」
「どう?どんな気持ち?」
意地悪く聞いてやる。
答えは当然決まっていた。
「大好きですぅ・・・あ、愛しておりますぅ 朱音様ぁぁぁ」
「あら、良い子ね。それでこそ私の娘だわ。」
「ふぁっ、はふうううぅぅぅぅぅぅ・・・」
娘と言ってやると、感極まったようにトロットロの表情を見せる。
もはやこうなってしまえばこちらのものだった。
「・・・果歩、よく聞きなさい。」
「ふぁぁい」
「前言ってたあなたへの『御褒美』は・・・この子よ。」
そういって優太の頭を撫でてやる。
優太自身はなんのことか分からない様子で、こちらを見上げていた。
「あなたの頑張り次第によって、この子をお世話することを許可するわ。内容によってお世話期間が伸びるってわけ。どう?簡単でしょ?」
「ほ、ほんとぅれすかぁ?」
「ええ、本当よ。それに、あなたがさっき飲んだ薬の効果で、あなたも母性が湧いて来て、それと一緒におっぱいが出て、胸まで大きくなるわ。そう・・・『私と同じように』ね。」
「はうぅっ!!くひゃあああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!」
最後の言葉を聞いた途端、果歩が嬌声をあげる。
その後、クタッと頭を下げたかと思うと
「朱音様と同じ・・・朱音様と同じぃぃ」
呻くように呟いていた。
「・・・それに伴って、あなたにはこの子を名前で呼ばせてあげる。特別よ?」
そういうとまた
「特別ぅ・・・朱音様の、特別が・・・私?あ、あはああぁぁぁぁ・・・」
ブツブツと呟きながら、幸せそうに蕩けた表情を見せる。
この機会に一気にたたみかけることにした。
「ええ、そう。あなたは特別なの。私に初めて認められた特別な娘・・・それがあなたなのよ。」
「はぁぁっ!!・・・っく、ひゃぁぁ・・・・・・・」
それ以降、あまりに幸せすぎたのか、気を失った果歩はしばらくの間何も喋らなかった。