なめくじ長屋に三尺玉2ツ

鈴木やまは(物語)・鈴木やまは(挿し絵)・黍野 井戸(挿し絵) 作
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この日本がまだ日本とは誰も呼ばなかった文政(1820年あたり)の頃江戸は深川、下町のなめくじ長屋という所に瓦ふき職人の市の助という男あり、齢数えで38、見た目以上に老けて見えたのはこの男の苦労と病のためだろう。市の助はもう半年以上も患っており今日も床で伏せっていた。
「もう…蓄えも尽きた…早くおみくのやつこねえか…患いも治らねぇじゃねぇか…」
おみく、この男市の助の娘で歳は数えで15、この頃は滅法美しくなりこの長屋では一番の器量よしとされ二ツ名(あだ名)は”三尺玉2ツのおみく”と呼ばれていた。
「おみくちゃん今お帰りかい!!」
「うん箕の吉のおじさん!!」
「おみくちゃん後でウチにおいで!今日は良い里芋が安く買えたから分けてあげるよ」
「ああ俺も商売で余った鰺があるから後で来なよ!」
「ありがとう!おたえおばさん!!箕の吉のおじさん!!あとで取りにくるね!!」
「おみくちゃんは本当にいい子だねぇ。いつも明るくてさ!!こう長屋にぱぁっと日が差し込むみたいでさあ!!」
「ホント今日も三尺玉が二つお天道様みたいにゆらゆらと…」
「こらっ!!箕の吉っぁん!!」
長屋の住人の言うその”三尺玉2ツ”とは…?
「おとっつあん!今帰ったよ!!」
と上気した輝く笑顔の下で大きく揺れる2つの乳房…一つあたりの乳房は直径三尺(約90p)を越えていた…。そう”三尺玉2ツ”とは彼女の美貌以上に特徴的すぎるその乳房の事であった。
「おお…今日は馬鹿に遅かったじゃねぇか…。」
「すまないねぇおとっつあん。今日は神田の飯場まで出向いて辻売り(屋台)の鰻を食べに行ってて…今日はどういうわけか近所に辻売りの鰻やがなくてねぇ…。」
「おめぇ、わざわざ神田まで…いつもすまねぇ…。」
「それは言いっこなしだよおとっつあん!!さあ起きて!!」
これは一体どういう事であろう?この時代鰻はまだ高級魚では無かった。脂がきつく労働者向けの精のつく食べ物であった。今のように蒲焼きとなり、また割烹として料理と認められるようになるまでにはまだ3,40年はかかる、この時代決して高いモノではない、だが今の困窮した彼ら二人の生活には非常に贅沢な食品と言えた、ましてや鰻を食べたのは父親の市の助ではなく娘のおみくである、が市の助は咎めるでもなく逆に遠出の苦労をねぎらっている…。ともかくも市の助はおみくの助けを借り体を起こした、この頃はだいぶん痛みも退き、おみくの助けなどは必要無いのだがおみくはまこと甲斐甲斐しい。
「さあおとっあん…。」
おみくは既に両肩の肌をあらわにしその巨大すぎる”三尺玉”二つを市の助の顔前にさらしていた…。顔は多少恥ずかしげではあるが慈愛に満ちている…。

鈴木やまはさん作

「いつもすまねぇ…。」
「ちゅう、ちゅっ、じゅっ…。」
尋常な親娘関係である市の助とおみくの間ならありえぬ吸入音が狭い長屋の一室で鳴りやまぬ…。
市の助はおみくの乳房にむしゃぶりついていた。
「ああああっ…。おとっつあん…。とても気持ちい…!ひゃうぅぅん!!」
市の助はおみくの乳房をもみ乳首を時折舌でころがした。そうする事で娘が感じやすくなる事を知っている、おみくが上気すれば体にある変化が訪れる事も…。
「んあ、はあ、はあ、ひゃうん!!あああああああっ!!」
市の助がおみくに吸い付いて時を置かず両乳房の突起から母乳が勢いよく吹き出始めた。片方の乳房を市の助が、もう片方をおみくが吸って…いや飲んでいる。
「くううううん!!おとっつあん!!もっともっと吸ってぇえええええっ!!」
「美味ぇ!!さすがは精のつく鰻を食べた後のお乳だ!!いくら飲んでも飲み過ぎるってこたぁねぇくらいに美味ぇ!!」
「うんっ!!おとっつあん!!もっと吸ってぇっ!!もっとおみくのお乳を飲んで早く元気になってぇぇぇっ!!」
もうお解りだろう。この親娘は娘が滋養に満ちた食物を食べる事で母乳に精を付け、父親にその母乳を飲ませる事で病を治していたのであった。

大量にほとばしるやや桃色掛かったミルク

「くふううううんんっ!!身がもう焼けそうだよ!!んあああああああっ!!」
おみくは最初父親を優しく包むようにして乳房を吸わせていたのだがその体に着火した炎を制御出来ず父親に抱きつき悶えていた。この体の狂いをどうしたら良いか解らず市の助に完全に身をゆだねている。おみくが吸っていた乳房はもはや口から離れ母乳は流れ放題となっていた。
『これ以上はもうまずい!!』
市の助はそう判断すると乳首を強く噛んだ。
「きゃうううううううううんっ!!もっとぉ!!市のすけ…おとっつあん!!もっと強く噛んでぇ!!おみくをいじめてぇっ!!」
『!!ばかな!!本当にマズイ!!こうなったら!!』
市の助はそっとおみくの秘所に指を持っていく
「はあああああん!!あんあんあんっ!!うくっ!!……きゅううううううううううん!!」
乳首を強く噛むと同時に指を動かした。おみくは激しく痙攣し大量の母乳を放った。


長屋の寝床では素肌を顕わにしその巨大な乳房を市の助の胸元に押しつけている。甘ったれておみくは父親の寝床ですうすうと寝息をたてていた。その表情はまことにあどけなく可愛らしい。が、市の助は幸福感に浸りつつも背徳感というものもない交ぜにしていた。
『…あと少しだ、あと少しで体はもと通り元気に動くようになる!!そうなったらこんな事はヤメにしなくちゃあいけねぇ!!』
市の助が長患いをして半年、その間クワイ頭(医者)にも診察してもらい思い切って高価な薬も試しみたが見事に効果がなかった。自殺も考えたがまだ子供の娘のおみくはどうする?蓄えも尽きた、既にいくつか借金も出始めている。俺が死んだらうまうま騙されて間違いなく苦界(要するに体を売る世界)に身を堕とすだろう!!死ねぬ!!だがどうしたら良い!?いつものようにそんな自問自答を頭で繰り返していたある日痛みに襲われ気を失った。朦朧とした気分で目覚めるとこの世のものとは思えぬ甘美な液体を飲んでいる自分がいた…。おみくがその乳房を顕わにし市の助に母乳を飲ませていたのだ…。
「おっおみく!おめぇ!!まさか!?」
「違うよ!!おとっつあんの考えてる事は多分違うよ!!あたいにもよく解らないんだよぉ!!まだ男を…とにかく知らないのにおっぱいが出るなんて…。でも食べ物にも事欠きはじめてて役に立たない薬よりかはおとっつあんに良いと思って…。それで…」
市の助はおみくを叱ろうと思った、背徳的な気持ちに怒りがこみあげた…。が、それ以上にその母乳は甘美でその美味さはたとえようもない!!誘惑に負けた市の助はひたすら夢中でおみくの乳首を吸った。
その翌日から体調は爽やかに感じられ始めた。
「これも毎日天神様にお祈りしてたからだねぇ。あたいのおっぱいはそのために天神様がくださったのだよう。」
市の助の体調を見て翌日おみくはそう明るく言った。
「だから今は何の気兼ねもなくあたいのおっぱいを吸ってよおとっつあん!!」
以来一ヶ月の間、市の助は背徳感に悩まされつつ毎日おみくの乳を吸い続けた。”薬効”はすこぶる良く以前は床から離れる事も出来なかったが、今は立って歩くのもなんとも無いほどに体調は回復した。しかも、おみくが滋養に満ちた良い物を食べたらその分治りも早い事が解った。が、以前は無反応であった市の助の”男”の部分も当然に…。そしておみく自身も吸われ続け肉体がどんどん”女”になっていった。
『このままじゃあ本当に一線を越えかねない!!おみくだってそうだ!!以前なら乳首をちょっと強く噛むだけで果てたのに今日じゃあ更に刺激を要求しやがった!!俺と血がつながって無いだけに危険だ!!親娘が一線を越えちゃあなんねぇ!!天国の辰蔵にもおぶんちゃんにも申し訳がたたねぇ!!』
この親子実は本当の親子では無かった。おみくは本当は大工の辰蔵の娘である。幼なじみで市の助になにかと良くしまた良くされてくれた辰蔵はおみくが生まれて間もなく大工の現場で柱が倒れた事故で死んだ。おみくの母おぶんは産後の肥立ちが悪いところでその事故の事を聞き後を追うようにおみくを残して死んでしまった。以来市の助がおみくを懸命に育てた。市の助が未だに結婚もせずにいたのは一つはおみくのためだが辰蔵とおぶんを争い辰蔵に奪われた事で幕を閉じ、二人の祝言を心から喜びその二人をほぼ同時に失った市の助の気持ちはどれほどのものだろう。その想いもあっておみくを育てている間にも自分の縁談を断っていた。新しい母親などというものにおみくに気を使わせたくはなかったからである。幸い長屋の住人たちは良いヤツばかりで、なにくれとなく市の助親娘に良くしてくれたのでこれまで大過なくおみくは成長していったがまさか自分に病が襲ってこようとは…。しかも親娘の一線を越えかねない事態が訪れるとは!!
『親子だってお互い解っちゃあいるが、体が赤の他人だって事をお互い教え合ってやがる!!』
想いを巡らして視線をおみくに向けると無垢で端正な顔立ちのすぐ下で巨大な胸の谷間が市の助に迫っていた。尋常な男ならこの誘惑、まこと耐え難い。市の助は”親子”というか細い柱で巨大で重すぎる誘惑を必死に支えていた。

『おぶんちゃんと同様に顔は綺麗だがおぶんちゃんとはとても似つかないくらいのおっぱいだよ…!!いけねぇ!!おみくを女として見るたぁ!!』
市の助は寝息をたてているおみくからそっと離れわざわざ土間の板べりに布団を敷いて寝た。


足取りも随分軽くすいすいと前に出てくる。ただ歩き続ければ4半刻(三十分)もたたない内にぜいぜいと息が上がるが、それでも市の助は一月前と比べると見違えるように元気になった。市の助、今日はおみくのお乳を飲んでいない。
『もう大丈夫だ!!もう昨夜が最後だ!!』
と、市の助は自分に言い聞かせている。それほどまでに元気になったという事は同時におみくの肉体の誘惑に耐える自信もなくなってきているからである。それにおみく自身も…。
「はあああああああっ!!いっ市の助さん!!おみくをっ!!おみくを奪って!!」
「!!」
「いいよ…。市の助さんになら初めてを…。」
その言葉に我を忘れた市の助はおみくの唇を奪った。が、初めての接吻に感激したおみくは心まで満たされてしまいそのまま果ててしまった。
昨夜の出来事を回想しあと少しで一線を越えてしまいかねなかった事に、そして我を忘れおみくの唇を奪った事に恐怖した市の助は心に誓った、

もうおみくのお乳は吸わない。と

『それにあいつ俺の事を市の助さんと呼びやがった!!意識が朦朧としてそう呼んだのだろうが…おみくの体が俺を無意識に求めてやがる!!』
そう思うと男として求められた事に、にやけた顔になっていた自分に舌打ちし、ますます暗鬱とした気持ちとなった
『元気になったら…いやもう十分元気だ!!そうなるともう一つ屋根の下で暮らしてあのおっぱいを前に父親である自身がねぇ!!こうなると早いとこおみくを嫁に出したいところなのだが…』
辰蔵夫婦のためにもそうした方が良いと思った。が、どうしても踏ん切りがつかないと思っている自分がいる。やはり父親としての感情があるのか?それとも…??!!。そう考えながら散歩を止め自分の長屋に帰ると土間の板縁に座っている人物が目に入った。
「邪魔するねぇ。市の助さん。」
イヤなヤツが来たと思った。亀戸の金貸し与左衛門の息子で名を金治といい歳は22。ここ最近伏せっていて蓄えも尽きはじめた市の助が魚屋の箕の吉に頼み金を借りた相手が与左衛門であった。以来借金取りに十日に一度来るのがこの金治であった。この金治どうみたっておみくに懸想していて色目を使っている。おみくのその巨大な乳房を見る目が尋常ではない。おみくもそれはよく解っているのだが、おみくいわく
「いくらお金をたくさん持ってるからって、あんなヤツの嫁になるくらいなら河童の嫁になった方がましだよっ!!」
と、おみくもこの男を忌み嫌っている。
「金治さんどうしたんです?今日は金を取り立てに来る日じゃあないですよね?」
市の助、今はそれまで手を付けずにいたおみくの祝言の費用を取り崩しながら借金を返済していた。市の助が働き始めれば二年もしないうちに借金も消え祝言の費用も元に戻るであろう…。
「いやいやいや市の助さん。今日はアンタの借用の事で来たのではないのだよ。死んだ辰蔵さんの事でね、」
「辰蔵の?」
「そう」と言いつつ声をひそめて「おみくちゃんはアンタの子じゃなく辰蔵さんの娘だそうだね?その辰蔵さんに借金があった事はご存じで?」
と、勝ち誇ったように市の助に言い放った。
「!!!!…そんな馬鹿な!!証拠は!?」
「ほらこれがその証文。ああ、あんたがたは字が読めないんだったねぇ?ほら十六年前の今頃に金二十両お借りしたと確かに…。今なら利子も含めると相当な額ですねぇ。」
「くっ…デタラメだ!!」
「証文は証文ですよ。家の中を整理したときにコレが出てきた時はびっくりしましてねぇ…アタシども金貸しである以上は金を利子も含めて返してもらわないと…。いやいや他人の市の助さんのことじゃあないんだ私は娘のおみくちゃんに言っているんだ。まあアンタが返してくれるならアンタでも構わないんだけどねぇ。」
「出ていきやがれ!!この野郎!!」
と、そこへおみくが帰ってきた。
「ああちょうど良い。今おみくちゃんの”おとっつあん”の借金の事で話があってねぇ。今日にも返してもらおうと…」
「…金治さん、あたいはどうすればいい…?」
端正なおみくの顔が金治を睨みつける。やや怯みながら金治は答えた。
「そっその…おみくちゃんさえよければこの借金を無かった事にしても良いのだよ…。幸いまだおとっつあんにも知られて無いしアタシの胸三寸で…」
「いいわ!あたいがこの体でおとっつあんの借金を返してあげる!!」
「おみく!!」
市の助は叫んだ。
「そんな借金ぐれぇ俺が一生懸命働いて返済してやる!!女一人守れねぇくれぇなら死んだ方がマシだ!!」
市の助の言葉におみくは鼓動を動悸させつつ彼を諭した。
「大丈夫よ市の助さん。金治は初めからあたい目当てみたいだし市の助さんが出てきても話は混乱するばかり。」
「けどっおみく!?」
「本当に大丈夫。」
と巨大な乳房を叩いて答えた。
「だが…」
「まあ”策”があるからここはあたいに任せて」
その凛とした市の助をも寄せ付けぬ表情にとうとう有無も言えなくなりおみくの言葉に従った。


市の助を外に出させるとおみくは布団を敷いてその上に座った
「さあ、イヤな事はさっさとすませないとね。どうしたの金治さん!?」
金治、情けない事におみくの堂々とした態度におじけづいている。
「そっそのぉ…。今回だけじゃあなくてこれからもずっとアタシの物でいる事が証文を見なかった事にする条件なんだが…」
「ふうん?で?」
「で?と言われても…そのお…。」
実のところ金治はこの”企み”を思いついた時、おみくが雛鳥のように震える事を想像しつつ興奮し自慰を繰り返していた。が、彼の眼前にある女性は愛する者を守ろうとする気高い存在であった。そのおみくの凛とした態度に躊躇しつつも木綿の布に包まれた巨大な乳房を見続けていれば次第に興奮が高まるのが解った。
「ああ!!おみくちゃん!!アタシが悪いようにしないからねぇ!!」
と、おみくに抱きつきその超巨大な乳房にむしゃぶりつく。生理的に受け付けぬ男の指、手、脚、体。
『これは市の助さんの指や体なんだ!!興奮しなくちゃいけないんだ!!』
そう言い聞かせているのだが怖いものは怖い。まだ精神に子供の部分は抜けきれぬ。震えがとまらなくなってきた。その不安な表情に金治はようやく精神的な優位を保ちつつある。
「ああこの乳房、江戸中の男どもの憧れをアタシがこれからずっと自由にできるなんて…たまらない。」
着物を両肩から剥くようにして両の乳房を顕わにして金治の興奮がさらに高まる。
「んちゅっ!!むちゅっ!!ふうふう!!」
おみくを膝の上に座らせ背後からおみくの乳首を吸い上げる。こんな行為はおみくの三尺玉と呼ばれた乳房でしかできないであろう。金治はもう片方の乳首をおみくの口もとへ持っていく。
「いやっ!!」
そう拒絶するおみくに金治はますます興奮した。どうも金治は現在で言うところの”S”らしい。ふだんのおみくの感じやすい体ならとっくにお乳が出ている所だがやはり嫌いな男の愛撫には体はなかなか反応してくれないらしい。
「はぁあああっ!!以前から一度でいいからあの胸の中に顔を埋めてみたいと思っていたんだよ!!それがもう自由になんでもできるだなんて!!」
興奮した金治の胸を揉む早さが徐々に上げがっていく。おみくは
『やらしいこと、全て市の助さんが言っているんだ、これは全て市の助さんがしてる行為なんだ』
そう言い聞かせたのが効を奏したのかおみくは自分でも興奮してくるのが解っていた。乳首からじわじわと染み出てくるお乳。
「はあああああ!!噂に聞いてたけど本当にお乳が出るだなんて!!もっとアタシに飲ませておくれ」
と金治は興奮して乳首にむしゃぶりつく
「じゅっ!!ちゅっうっ!!ちゅるんっ!!」
淫靡な摩擦音を聞いて朦朧としはじめたおみくは今乳房を吸っているのが市の助だと錯覚しはじめた。そう思うと乳首が弾力を帯びつつ堅くなり意志をもった生き物のようにびゅくびゅくと動き始めた。おみくの全身も熱を帯び、まるで竈の火を飲み込んだかのように熱い。
「ダメじゃないかおみくちゃん!!ホントに悪い子だ」
と金治が子供のような扱いをワザとした時、市の助との日常に”リンク”してととたんに臨界点を突破した。

「ひゃう!!んひゃああああああ!!気持ちいい!!いちのすけさぁああああん!!」

大量にほとばしるやや紫掛かったミルク

「はああああああああああっ!!素敵すぎだっ!!のっ飲みきれない!!でも全部飲んじゃう!!」
とそれを大量に飲み続ける金治。興奮して情けない事に自分が市の助と間違えられてる事に気づいていない。

市の助は長屋の外で押さえきれぬ感情の中にいた。おみくに任せてと言われたものの金治の態度に腹の虫が収まらぬし、それ以上に愛するおみくの身の上が心配だ。

『後先なんて考えねぇ!!金治をぶちのめし、おみくとともに何処へなりとも行ってそこで新しい生活を始めてやる!!』

そう思うと結局四半刻も待てずに箕の吉の所から心張り棒(玄関戸が開かないように押さえておく”つっかい棒”)を引っ借りてそのまま自分の部屋になだれ込んだ。
が、そこにいたのはやや上気しつつもすました表情のおみくとそのそばで痙攣し引きつって倒れていた金治であった。おみくは何事も無かったかのように居住まいを整えている。
「あらおとっつあんお帰り。」
「いったいコレは…?」
そこへびっくりした箕の吉が市の助を追い中へ入って来た。
「おいおいどういうこった?おみくちゃんはフグの肝をくれと言うし市の助は血相変えて心張り棒持って出ていくし、んん!?そこでぶっ倒れてるのは金貸し与左衛門の息子じゃねぇか?借金取りか!?」
「…ああこの証文を見せつけやがってな…。箕のさんは字が確か読めたよな?確か?」
と、おみくには聞こえないように言って市の助は証文を箕の吉に見せた。
「難しい所は俺もわからねぇよ…ええと、金二十両確かに借り候。明和二年五月辰蔵…。なあコレってあの辰蔵が借りた証文なのか?明和って頃にゃ辰蔵もまだ生まれてないぜ?」
「何っ!?じゃあ金治が間違えたのか!?」
箕の吉はだんだんと事態が飲み込めてきたらしい
「まさか。俺も金治にうっかりお前らの家庭の事を話しちまってなぁ…それで大方この証文を見つけておみくちゃんをモノにする悪巧みを思いついたんだろう?」
「ちっ!!箕のさんは余計な事を!!おみくが知ったらどうするんだよ!?」
「え?ああそりゃぁ…。まあそれより金治のヤツ、フグの毒をおみくちゃんに盛られたみたいだね。症状は軽いみたいだから砂浜にでも体を埋めておけば毒も抜けるだろうさ」
そういうと箕の吉は金治をおぶさってさらに
「金貸し与左衛門は血も涙もない高利貸しだが約束を破ったりするのは身内であれ決して許さぬ男だ、知れば金治は酷い折檻を受けるだろうね。まあ与左衛門さんに事情は俺っちが話すから後は”親子”二人で話しあいな。あははははは。」
と高らかに言って出ていった。本当にフグ毒は砂浜に埋まったら抜けるのだろうか??
「…おみく、お前ぇさてはフグの肝を食べやがったな。」
「うんそうだよ、おとつっあん。実はこの部屋に入る前に金治さんのおとっつあんを脅す会話が聞こえてきてね。それで箕の吉おじさんに分けてもらったのよ。以前から思ってたんだけどあたいのお乳は精のつくモノを食べたら体に元気がみなぎってその逆に悪いモノを食べたらどうなるか?って。あたいの思った通り!お乳はいつもと違う色で金治のやつは沢山飲んで体が痺れてあのていたらく!!あははははははは!!いい気味だあ!!」
と、瞬間おみくの左頬が激しく鳴った。
「!?」
「馬鹿野郎!!無茶しやがって!!一つ間違えばお前ぇが死んでたんだぞ!!心配かけやがって!!」
市の助の憤怒の表情と怒声におみくは大きな瞳をたちま潤ませた。その怒声に我に返り、確かに一つ間違えたらと思うと、さらに自分が今日起きた事にも改めて考え始め急に戦慄した。
「ごめんなさぁい!!おとつっああああああああん!!」
と叫んで市の助の胸の中に飛び込こみ激しく泣いた。例え娘であっても美女の涙に男は弱い。
「おうおうおう…。おみく、俺が強く言いすぎた…泣くな、泣くな。」
このあたりはいつもの親娘関係であった。だが市の助の胸の中で四半刻も泣きつづけると女としてのある部分が…おみくは市の助の胸元を吸い付き始め指を絡ませて来た。
「…おい…おみく。何をしてやがる…。」
「…うふ”市の助さん”。今日はまだあたいのお乳を飲んでないよ…。」
「あ〜なあ、その”市の助さん”ってのいってえどういうつもりなんでぇ?…あうううっ!もう離れないかぁ…ふざけてると俺もどうなるかわかんねぇぞ…。」
「イヤよ市の助さん。ちゅっ、ちゅっ。」
「おみくぅ。もう自分がナニをしてるか知ってるよな?もう俺の治療をするつもりじゃ無い事も解ってるぞ…俺たちゃあ親子なのにお前ぇ明らかに危ねぇぞ?なあ、あううううっ。」
「うふ。あたい市の助さんが本当の親じゃないことぐらいとっくの昔に知ってるよ。ちゅうううっ」
「!!?何っ!!」
「あはっ!!あたいが三つくらいにこのなめくじ長屋の人達がみんな教えてくれたよ。直接教えてくれたワケじゃないけど井戸端で、おたえおばさん達が話してるの聞いて育ったワケだし。」
「…あのおしゃべりババァども!!」
「くすくすっ!!その事に気づいて無い人って長屋じゃあ市の助さんだけじゃあないの?うふふ。でも良かった子供の頃から絶対におとっつあんと夫婦(めおと)になる気でいたから…。」
「…いつから俺を”男”として見始めた?」
「さあ?覚えてないよそんな事。でも市の助さんだって”女一人守れねぇくれぇなら”って言った時、あたいを女として見てくれた事がうれしくて、うれしくて…わあああああんっ!!」
おみくが今ながしている涙は女としての喜びの涙であった。そう思うと市の助の幸福感も最高に昂ぶった。そして…
『辰蔵!!おぶんちゃん!!すまねぇ!!』
と”親子”というか細い柱がもろくも崩れ去り巨大で重すぎる誘惑を市の助は受け入れた。
「おみく!!お前ぇは俺の女だ!!誰にも渡さねぇ!!この巨大な乳房はもうずっと俺だけのもんだっ!!」
おみくがずっと待っていた言葉である。その美貌をくしゃくしゃにしてさらに強く巨大な乳房を市の助の胸に押しつけぐにぐにと変形している。
「うんっ!!ず〜っとあたいを可愛がってねっ!!うわあああああああん!!」
市の助はおみくを抱き上げると布団の上に下ろした。

黍野 井戸さん作

なめくじ長屋に歳の離れた夫婦が誕生し、更に子供が誕生したのは翌年文政三年の事である。

「なめくじ長屋に三尺玉2ツ」

おしまい。