由美:「はぁ〜〜〜。」
毎度のごとく由美の朝はため息から始まる。
昨日は佐藤先生に散々身体を弄られ、おまけに帰りは先生の(趣味の悪い)服
で帰らなければならなかったので帰り道では周りの視線が気になってロクに顔
を上げられなかったからだ。
おまけに別れ際に先生の言った一言は
佐藤先:「あ、ついでにその服洗濯しといてね。」
だった。
由美:「このままじゃ成長するたびに佐藤先生の服を洗濯目的で着せられてし
まう。………よし!」
由美は自分で服を買うべく出かけて行った。
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由美:「すいません、姉の服を買いにきたんですけどなにかオススメはありま
すか?」
店員A:「うーん、本人がいないと難しいわね。お姉さんてどんなスタイルか
説明できる?」
由美:「えぇ〜っと身長は私より20センチほど高くて、足は私よりもながく
て、胸は私よりもかなり大きくて………」
店員A:「ん?どうしたの?涙目になってるけど。」
由美:「いえ・・・何でもありません。」
店員に説明していると自分の身体の貧相さが身にしみて感じられ、むなしく
なってしまった。
店員A:「ありがとうございましたー。」
由美:「とりあえず身体の成長に耐えられそうなある程度伸びるTシャツと
ズボンは買ったし、次は…」
店員B:「いらっしゃいませ。」
由美:「すいません、○カップのブラってありますか?」
店員B:「え?○カップ?」
店員は明らかに頭の上に「?」マークを浮かべ私の胸をじっと見ている。
由美:(わ、わかってますよ………)
由美:「あの、姉に頼まれまして………」
そういうと店員は納得してくれたようで由美のいったサイズの下着をとってき
てくれたが由美のむなしさは一層強くなってしまった。
由美:「はぁ〜〜〜ウソがバレなかったのはよかったけどなんか複雑。
こんなことだったら写真でも撮っておくんだった。」
そうつぶやきながら買い物を一通り終えて通りをトボトボ歩く由美。
ふと顔を上げると図書館が見える。
いつの間にかかなりの距離を歩いていたようだ。
由美:「・・・・・・ちょっとよっていくか。」
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由美:「えぇ〜と、呪いのときかたっと・・・・・とりあえずそれっぽいのを
借りよう。」
そういって何冊かの本を手に取る。
由美:「すいません、これを借りたいんですけど・・・」
係:「あっはいわかりました。えぇ〜と、・・・じゅっ、『呪術大全集』、
『呪いのヒミツ』、『黒魔術の儀式』・・・・・・」
由美:「ハッ!!」
係の人の反応でやっと気付く。
由美:(い、いま思ったらこんなの借りたら私メッチャ変な人に思われる
じゃない。)
係の人の顔がはっきりとひきつっているのがわかる。
こういった人を一般に『ドン引きしてる』人というのだろう。
由美:「あっ、えっと、これは、そのっ、がっ、学園祭のお化け屋敷の参考資料なんです、はい・・・」
係:「あっあぁ〜〜〜そうなの。私てっきり・・・あぁ、はい。手続き完了し
ましたよ。」
てっきりの後がひじょ〜に気になるがどうにかごまかせたようだ。
由美:(それにしてもこういうときだけごまかしが上手な私っていった
い・・・)
係:「ありがとうございましたー。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
由美:「はぁ〜〜〜何か今日はいつも以上に疲れた。
はやく帰ろう・・・」
裕也:「あれ?由美ちゃん。」
由美:「え?ゆ、裕也くん!?」
突然の裕也出現に戸惑う由美。
裕也:「偶然だね。何してるの?」
由美:「あ、あのっ、そのっ、か、買い物を少々・・・」
由美:(こ、言葉がでてこない・・・)
裕也:「そうなんだ。買い物はもう終わったの?」
由美:「あっ、いえ、これから近くのスーパーで今晩の食材を買いに・・・」
裕也:「そっか・・・よしっ、おれも手伝うよ。」
由美:「はい。・・・ってええええぇぇ!!」
反応が遅い『ビックリ』である。
裕也:「そ、そんなに驚かなくても・・・」
由美:「あのっ、でもっ、そのっ、い、いいの?」
裕也:「いいよ。今日は部活がないから暇なんだ。」
由美:(・・・・・・こっ、これは夢でしょうか?)
裕也:「とりあえずその荷物持つよ。貸して。」
由美:「あ、ありがと・・・・・・ってああ!!だめですー!!」
またまた反応が遅い『ビックリ』である。
咄嗟に由美は裕也の手から自分のバックをひったくる。
由美:(だ、ダメダメ!この中は私の(?)服と下着と呪いシリーズ・・・もし
裕也君に見られでもしたら・・・)
さっきの図書館の係の人の『ドン引き』が目に浮かぶ。
裕也:「あの、どうしたの急に?」
由美:「な、なんでもありません。あとこれは私が持ちますから。」
裕也:「えっ?でも重そうだよ。」
由美:「いいんです!!大丈夫ですから!!」
ジ〜〜〜
「これ以上は聞かないで」とアイコンタクトを送る。
裕也:「う、わ、わかったよ。・・・じゃあ行こうか。」
由美:「ハイ。(ど、どうにかごまかせた・・・)」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
裕也:「由美ちゃんって料理って自分でやるの?」
由美:「はい。私一人暮らしなので。」
裕也:「えっ!そうなの?いいな〜。おれも独り暮らししたいよ。」
由美:「一人は一人でいろいろと大変ですよ。
家事を全部一人でやらなきゃいけないんですから。」
裕也:「こっちもこっちで大変だよ。いつもいつも勉強の一言しか言ってこな
いから。」
由美:「お互い大変ですね。フフッ」
裕也:「本当だね。はははっ」
由美と裕也はいつの間にか笑いあって話をしていた。
周りからすれば他愛もないただのおしゃべりでも由美にとってはその一言一言がとてもすばらしく聞こえた。
楽しい時間は本当にあっという間にすぎて・・・すぎて・・・すぎ・・・す・・・
由美:「うわぁ!!もう夕方だーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
外に出ると辺りはすっかり橙色に染まっていて空でカラスが鳴いている。
いったいスーパーの中で何時間すごしたのだろうか・・・
裕也:「い、いきなりどうしたの?由美ちゃん。」
裕也が疑問をなげかけるが由美はそれどころではない。
由美:(ど、どうしよう。裕也君にあれを見せるわけには・・・すぐに戦略的
撤退を・・・)
裕也:「あのっ、由美ちゃん?」
由美:「ごめん裕也君!私もう帰らなきゃ!!」
そういうと由美は全速力で走りだす。
戦略的の『せ』の字もあったもんじゃない。
裕也:「え?ゆ、由美ちゃーん。夕飯の食材わすれてるよー。」
突然の由美の謎めいた行動に裕也も思わず走り出す。
由美:(ダメっ!こないで裕也君!!)
こういう場面での由美の逃げ足は陸上部顔負けだった。
幸いスーパーのビニール袋いっぱいの食材をもったままの裕也はうまく走ることができず追いついてこない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
由美:「ハァ、ハァ、ハァ、と、とりあえずここなら・・・」
由美が逃げ込んだのは公園の女子トイレだった。
すぐに個室に入り鍵をガチャリとかける。
由美:「ふぅ〜〜〜。」
由美は安心して一息ついたがすぐにあの衝撃がやってきた。
ドクン
由美:「うっ・・・くぅ・・・」
由美の体が衝撃に合わせてビクッビクッと痙攣しだす。由美は思わずトイレの
便座に座りこむ。
それと同時に由美の掌にあるアザが赤く輝きだした。
由美:「ちょ、ちょっとまって、まだ服が・・・きゃうん!!」
まるで子犬の鳴き声のような声を上げると由美の体の変化がはじまった。
由美:「いやぁぁぁぁぁぁぁおっぱいが熱いよぅ」
胸の周辺がまるで直接ドライヤーをかけられているように急速に熱くなる。
それと同時に由美のちいさい乳首がビクンとたちあがってブルブルと震えだす。
そしてそれは太く大きく形を変えながら膨らんでいき服と層に抑えられながらも
ぷっくりと立って服の上からもはっきりと確認できる。
由美:「い、いやぁ」
由美は思わず手で乳首を抑える。
しかし
グググッ
ポロッ
由美:「ひんっ!」(ガバッ)
ムクムクッ
ピクンッ
由美:「うわぁ」
由美が何度手で強く押さえても堅くたった乳首はその手の隙間からこぼれ出て
しまう。
次に由美の足が先端からブルブルと震えだす。
由美:「あ、あ、こ、今度は何?」
由美が考えるよりも先に由美の足は成長を開始した。
ズボンに太ももまで隠れていたその足はグググッと細さを保ったまま伸びていく。
由美:「う、うわぁ」
由美が足を延ばすと足先が個室の壁に当たりガンと音を立てる。
普通らかなり痛いはずだが全身を駆け巡る熱と衝撃が痛みよりもはるかに強く
働いているためそれどころではなかった。
続いて手が成長を開始する。
丸っこくかわいらしかった指はスルスルと伸びていきすぐに大人っぽい手になる。
さらに腕は一定のバランスを保ったままぐぐっと長くなっていき髪はいつの間
にか腰のあたりまでとどいている。
由美:「はぁ、はぁ、な、なにこれぇ」
由美がそう思うのも無理なかった。
由美の体は手足から胸にいたるまで大きく成長していたが太さは変わっていない。
つまりガリガリの状態だ。
しかし次の瞬間
由美:「ひゃう!!」
由美の叫び声とともに由美の全身に一気に肉がつき始めた。
足先とたいして変わらなかった太ももはむちっむちっと膨らみだし、ズボンの
先のほうからギシギシと嫌な音が鳴り始めたかと思うと一気に引き裂いてしまった。
由美:「はっ、あぁっ」
ふと見るとお尻もすごいことになっている。
小さな袋に詰め込まれたお尻の肉はギュウギュウといっぱいに膨らみながら体積を増している。
そしてそのむちむちに膨れた体積の一部は便座の穴の中へもギュっギュッと押し込まれていく。
そして全身を駆け巡っていた熱と衝撃がここにきて一点に集まりだす。
由美:「いやぁ、おっぱいが、おっぱいがぁぁぁ」
ついに胸が膨らみだした。
先っぽだけ立っていた三角形がぐぐっぐぐっと見る見るうちに形を変えていく。
その二つの物体は由美の小さな服の中でむくむくと体積を増しどんどん服の中
が胸で満たされていく。
由美:「いやぁ、や、やめて・・・」
服の襟もとがキュッっと引っ張られるのと同時に締め付けられるような息苦し
さが由美を襲う。
もともと無乳に等しい由美はブラをしていないのだがそれでもかなりの息苦し
さである。
ビリッ
由美:「ひっ」
不吉な音に気づいて由美は思わず胸を見ると由美の胸は体積が服の限界を超えたようで
服の上下から乳肉がぐぐぐっとはみ出している。
由美のおへそはもはや丸見えだ。
ビリビリ・・・バリッ
由美:「いやああぁぁぁぁぁ!!」
ついに由美の服が限界に達してしまった。
拘束するものがなくなった由美の胸はブルンと大きく揺れひとまわりもふたまわりも大きくなる。
由美:「きゃあ」
前方にズシリとした重さを感じ由美は思わず前に倒れてしまった。
むっつりと大きくなった由美の胸は膝に当たりグニュッと形を変える。
それでも膨乳はとまらずぐぐっぐぐっと少しずつ胸越しに上半身が持ち上げら
れる。
上半身がある程度持ちあがると体の熱がひいて行った。
成長がおさまったようだ。
由美:「はぁ、はぁ、うわぁおっきい。」
由美はスラリと伸びた手で自分の胸をすくい上げる。
由美:「やわらかい・・・」
由美の指は一本一本が胸に食い込んでいて手からもずっしりとした重さが感じ
られる。
しかしそのさわり心地には由美自身も驚いてしまった。
そしてしばらく由美は自分でも気づかないうちに胸を揉んでしまっていた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
由美:「ハァ、ハァ、・・・ハッ!いつまでもこんなことしてる場合じゃないよね。」
そういうと由美は買い物袋から今日買ったばかりの服と下着を取り出す。
由美:「んっ・・・それっ・・・あ、あれ?」
ブラを手にとって必死につけようとするがブラをつけるのは生まれて初めて
なのでうまくホックが止まらない。
というよりサイズが合っていないと言ったほうが正しい。
由美:「う、うそ!○カップでもキツイってどういうこと!?
・・・・・・ッ・・・よし。」
胸の柔らかさのおかげでなんとかつけることができたがかなりギュウギュウだった。
由美:「ズボンもはいたし、後は服ね。よいしょっと。
・・・・・・これでいいかな。」
新しく買った服はこうなることを見越してよく伸びる繊維のものを買っていたがそれでも少しきつかった。
由美:「これでよし。さてと、もう帰ろう。今日は疲れた。」
由美は破れた自分の服を買い物袋の中に入れるとトイレを後にした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
裕也:「あ。」
由美:「え?」
由美の目の前に裕也の姿がある。
体の成長のことですっかり忘れていた記憶が一気に由美の脳裏によみがえった。
由美:「ゆっ、裕也くっ!?」
『くん』と言いかけて由美はあわてて両手で口をふさぐ。
裕也:「あの・・・」
由美:「ハイ!!」
裕也:「それ・・・」
裕也が由美のほうを指さす。
由美:(どうしよう、バレたバレたバレたバレたバレた!!)
頭を抱えて悶える由美。
裕也:「値札付いてますよ。服。」
由美:「へ!?・・・・・・あっ、うわぁ!!」
突然の値札宣言に由美は何が何だか分からなくなる。
あわてて取ろうとするが値札が手で取れるわけもなくぐるぐると回ってしまった。
裕也:「あ、ちょっと動かないで。・・・・・・よし、これでOK」
裕也は持っていた筆箱からハサミを取り出すと値札をさっと切り取った。
由美:「あ、ありがとうございます。(やさしいなぁ)」
ドキドキドキドキ
由美の顔が恥ずかしさと嬉しさで真っ赤になる。
裕也:「ところで、お姉さん、なんでおれの名前しってるの?」
DOKIDOKIDOKIDOKI
裕也の言葉で真っ赤だった由美の顔は見る見るうちに青くなってしまった。
由美:「あのっ、えっと、い、いつも妹がお世話になっています!!」
咄嗟に由美は裕也にお辞儀をした。
裕也:「え?」
由美:「ゆ、由美の姉の『由香』っていいます。」
「また『姉』かよ!!」と心の中で突っ込むがほかに言い訳が思いつかない由美だった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
なりゆきで二人は公園のベンチで話すことになった。
裕也:「ははっ、そういわれればよく似てますね。」
由美:「そうですか?妹は私より背も低いし胸だって・・・いえ、やっぱりなんでもありません。」
これ以上言うとまたむなしくて泣いてしまいそうだった。
裕也:「いえ、見た目じゃなくて、なんていうか、雰囲気が似てるんですよ。」
由美:「雰囲気ですか?」
裕也:「そう雰囲気。一見おとなしそうでも実は明るくて、落ち着いてるよう
で実は結構あわてんぼで、さっきのあたふたしてる感じとかそっくり。」
由美:「・・・・・・」
自分のことを楽しそうに話す裕也に由美はいつの間にか恥ずかしくて目線を下していた。
そうしているさなか、由美にある考えが頭をよぎった。
由美には裕也にどうしても聞いておきたいことがあった。
裕也にとって自分が『由美』じゃないからこそ聞ける質問。
自分の正体がばれていないからこそ聞ける質問。
由美:「あのっ・・・・・・ゆ、裕也君は・・・」
裕也:「ん?」
由美:「由美の・・・・・・妹のことをどう思ってますか?」
由美:(わ、私何言ってるの?)
変な人だと思われるかもしれない。
嫌われるかもしれない。
だけどもう止められなかった。
由美:(ダ、ダメ聞かないで・・・)
由美:「由美のこと・・・・・・好きですか?」
質問を終えると激しい後悔が由美を取り巻く。
「どうでもいい」って言われたら、「嫌い」って言われたら、そんな不安が由美の心を締め付ける。
由美:(なんてこと聞いちゃったの、私のバカバカバカァ)
裕也:「・・・・・・好きです。」
由美:「えっ・・・・・・」
一瞬何を言っているのか分からなかった。
裕也:「・・・おれ、妹さんの、由美さんのことが好きです。」
由美の心からさっきの不安はなくなっていた。
頭が真っ白になってどうしていいのかわからない。
由美:「・・・・・・」
裕也:「・・・・・・」
沈黙がしばらく続く。
裕也:「・・・えっと、な、なに言ってるんだろうおれ。」
最初に沈黙を破ったのは裕也だった。
裕也:「これじゃまるでお姉さんに告白したみたいですね。
あっ・・・もう帰りますね。これ妹さんに渡しといてください。」
由美:「あっ・・・」
そういうと裕也は昼間のビニール袋を置いていってしまった。
由美:「・・・・・・またありがとうって言えなかったなぁ・・・」
夜の公園に立つ由美には嬉しさと罪悪感だけが残っていた。