ギィ・・・
水春:「うわぁ中は真っ暗だぁ」
哲史:「当たり前だろ、こんなボロ屋敷なんだから。」
屋敷の中は真っ暗な闇に包まれていて明かりといえば窓から差し込むわずかな月明かりぐらいしかない。
目の前に続いている廊下は外からはいりこんできた風がヒューヒューと不気味な音を立てている。
???:「・・・こわい」
哲史:(ん?)
誰かが俺の服を掴んでいる。
哲史:(・・・多分美琴だな。)
俺はそう思って自分のカバンからLEDライトを取り出し、スイッチを入れた。
あずさ:(・・・ブルブル)
哲史:「・・・なにしてんの?・・・お前。」
あずさ:「はうぁ!?どうして哲史がそこに・・・」
哲史:「・・・まてよ・・・ってことはさっきの『こわい』もお前か?」
あずさ:「ばっばばばばか言ってんじゃないわよ私がお化けなんか恐がるわけないでしょ!」
あずさは顔を真っ赤にして否定する。
哲史:「ぷっ、あははははは」
あずさ:「わ、笑うなぁ〜!!」
ドカッバキッ
哲史:「アワビュ」
あずさは「ばくれつけん」をはなった!
秋山哲史に85×4のダメージ。
水春:「・・・ちょっとそこぉ、まだ始まったばかりなんだからイチャイチャタイムはあとあとぉ!」
哲史:「あのなぁ、イチャイチャどころかメチャメチャにされてるんだけど、俺。」
拓郎:「うまい!」
哲史:「うまいじゃねぇー!」
肝試し始まって早々あずさの鉄拳をくらうハメになるとは先が思いやられる。
とりあえず俺はあずさの鉄拳をくらった際に落としたLEDライトを拾った。
拓郎:「しっかし明るいなぁ。哲史、お前いいもの持ってんじゃん。」
哲史:「でも俺のだけじゃまだ明るさが足りないな。誰か、他に懐中電灯をつけてくれ。」
全員:「・・・・・・」
あれ?おかしいぞ?みんなが目を合わせない。
水春:「いやぁさすがはサッちゃんだぁ。懐中電灯なんて思いつきもしなかったよぉ。」
拓郎:「うん。」
あずさ:「そうね。」
美琴:「すごいです。」
麗:「・・・・・・」
全員が水春に口を合わせている。
哲史:「・・・まさか、誰も持ってきてないのか?」
またみんながの目線が俺からはなれる。
哲史:「・・・お前らぁ!持ってきたもん全部だせぇ!」
水春:「チョコとポテチ」
拓郎:「漫画とゲームとみるくちゃん」
あずさ:「筆記用具とメモ帳」
美琴:「花火とライターとロウソク」
麗:「・・・・・・」
哲史:「お前ら肝試しとキャンプを間違えてるぅぅぅ!」
全員がロクな物を持ってきてない。
麗にいたっては水春に無理やり連れてこられた時点で持ち物ゼロは確定している。
こんなんで大丈夫なんだろうか?
ますます先が思いやられてくる。
哲史:「いいか!俺のライトだけじゃいつまでもつかわからない。
だからもし俺のライトが切れたり単独行動したりする事になったら各自自分の携帯をライト代わりにすること!
いいな!」
全員:「異議なぁーし!」
哲史:「・・・ったく。」
こいつらは今肝試しに来てるって事分かってるんだろうか。
水春:「それじゃあ、改めて探検開始ぃ〜!」
水春がお気楽な掛け声をあげると同時に俺たちの肝試しがやっと始まった。
先頭は水春が、そしてタク、俺、あずさ、美琴、麗と一列になって続く。
あずさ&美琴:(・・・ブルブル)
いつの間にかあずさが俺の服をつかみ、あずさの服を美琴がつかむというムカデ競争状態ができている。
ここでからかってやるのもいいがまた「ばくれつけん」をくらったら洒落にならないので黙っておくことにした。
拓郎:「しかし思ってたよりかなり広いなぁこの屋敷。ずっとまっすぐ進んでいるのにまだ壁に出会わないなんて・・・」
拓郎の言うとおり歩き出してからもう5分くらい経つがいまだに行き止まりには出くわしていない。
哲史:「確かにな。途中何個かの分かれ道みたいのがあったが・・・」
水春:「そうだねぇ・・・あっ!前に部屋みたいなのがあるよぉ。」
水春の指さす方向にはたしかにドアは壊れているものの部屋のような空間がある。
俺たちはもちろんその中に踏み込んだ。
哲史:「おぉ、中は結構広いなぁ。大広間か?」
部屋の中は左右に大きな大黒柱があり、かなりの広さがありそうだ。
俺たちが部屋の様子を観察していると・・・
ピタッ
拓郎:「ぶっ!!」
哲史:「おうっ!!」
あずさ:「きゃあ!!」
美琴:「んっ!!」
麗:「・・・・・・」
突然全員の体と体がぶつかる。
うおっ!?背中に柔らかいモノが・・・ってそれどころじゃない。
あずさ:「いたた・・・急に止まらないでよ。」
哲史:「俺じゃねぇよ。タクが・・・」
拓郎:「俺じゃねぇって。水春が・・・」
水春:「あ・・・あ・・・」
ん?
水春の様子がおかしい。
さっきまでウキウキしていた水春の顔は真っ青になっていて全身がブルブル震えている。
哲史:「・・・み、水春、どうした?」
水春:「あ・・・あ・・・あれ!」
みんなが水春の指さす方向を見る。
!?
全員の思考回路が一瞬停止する。
その先には肝試しと言いながらも「幽霊なんているわけがない。」と内心思っていた俺たちの考えを一気に覆すものがいた。
目の前には白濁色の着物に血のような真っ赤な斑点をつけた髪の長い女が全身をボウッと不気味に光らせながら立っている。
なんだあれは?
幽霊なのか?
馬鹿、そんなのいるわけがない!
困惑している俺達に気づくとソイツは口をニヤッとさせて
???:「ミィ・ツケ・タァ」
ズズズズズズ
!!
そう口走るやいなやソイツはこっちにゆっくりと近づいてきた。
俺の脳内にすぐさま危険信号が伝えられる。
哲史:「みんな!逃げろ!」
キャァァァァァァァァ!!
俺が思わず叫ぶとみんなが悲鳴をあげながらもときた道を走り出した。
拓郎:「・・・なぁ、哲史。」
哲史:「なんだよ。」
拓郎:「あの幽霊むっちゃ乳でかかったなぁ。」
哲史:「こんな時に何を言っとるかお前はぁー!」
ゴンッ
タクの危機感のなさに腹が立ちグーパンを一発くらわせる。
拓郎:「いっつー、いや、でもあれはすごかったぜ!あずさ以上の巨乳、いや、爆乳レベルだった!」
・・・こいつは何でこんな時に乳の話なんかできるのだろうか。
小学生の頃のいざという時に頼りになるあのタクはどこにいってしまったんだ。
あずさ:「あっ!みんな、出口よ!!」
あずさの言うとおり視線の先に入り口のドアが見える。
やった。助かった。
誰もがそう思った。
・・・・・・がその希望はすぐに断ち切られてしまった。
!?
なんだコレは・・・
入ってきた時はこんなものはなかったはずだ。
俺達の目の前の扉は堅く閉ざされており、その扉には血の色でこう書かれていた。
『オマエタチハモウニゲラレナイ』
「お前達はもう逃げられない」と。
水春:「いやぁぁぁぁ!!」
水春が頭を抱えてしゃがみ込む。
あずさ:「開けて、開けてよぉぉぉ!」
美琴:「出して、出してよぉぉぉ!」
あずさと美琴が必死になってドアを叩くがドアはピクリとも動かない。
哲史:「・・・なんなんだよ・・・これ。」
頭が変になりそうになる。
今の自分の状況が理解できない。
まるで自分がホラーゲームの登場人物にされてしまったようなこの状況が。
多分、みんなも同じ感じだろう。
???:「ニガサナイ・・・ニガサナイ・・・」
ズズズズズズ
哲史:「!!」
後ろからヤツの声が迫ってくる。
まずい・・・
このままでは・・・
ダメだ・・・
落ち着け・・・
こんなときゲームの主人公はなんて言う。
落ち着いて考えるんだ。
まずはヤツからみんなを逃がさなくては・・・
哲史:「みんな!ヤツが来る、急いで右側の通路に逃げるんだ!!」
俺は咄嗟にみんなに語りかける。
水春:「あ・・・あ・・・」
あずさ:(・・・ガタガタガタ)
美琴:(・・・ブルブルブル)
くそっ、みんな聞こえてないのか。
哲史:「はやくしろ!」
俺は腹の底から全力で叫んだ。
あずさ:「!!・・・わ、分かったわ、行くよ美琴、ほら水春も。」
俺の言葉に反応してくれたあずさが二人を連れて先に行ってくれた。
哲史:「よしっ!・・・ほらタク、俺達もいくぞ!」
3人を見送ると俺はタクに呼び掛ける。
しかしタクはその場から動こうとしない。
哲史:「何してるタク!はやくしろ!」
拓郎:「哲史・・・俺はここに残る。」
哲史:「は?」
一瞬タクが何言ってるか分からなかった。
まさかタクのやつみんなの囮になるつもりなんじゃ・・・
哲史:「何馬鹿なこと言ってんだ!タク!はやくこい!」
拓郎:「哲史・・・俺はあの爆乳に巡り会うために生まれてきたんだと思うんだ。」
哲史:「・・・へ?」
どこまでいってもタクはタクだった。
拓郎:「哲史!俺はあのたゆんたゆん揺れる彼女の爆乳にダイビングしてみせるぜ!」
そういうとタクは親指を突き立てる。
???:「ミィ・ツケ・タァ」
哲史:「!!」
ついにヤツが現れた。
拓郎:「拓郎いっきま〜す!」
哲史:「おい、バカ、やめろ!」
俺が止めようとした時にはもう遅く、タクはヤツの胸めがけて飛び上がっていた。
ムニュン
タクの頭がヤツの胸の中に埋もれる。
拓郎:「うっは〜やわらけぇ〜たっぷり堪能〜」
タクはヤツの胸の谷間に顔をうずめながら両手でムニュムニュとそれを揉みしだく。
ん?
まてよ?タクが触れているっていう事はヤツは幽霊じゃないのか?
・・・ってんなこと考えてる場合じゃない!はやくタクを引き離さねぇと!!
俺はすぐにタクのもとへかけだそうとするが・・・
哲史:「!?」
信じられない光景に思わず足が立ち止まる。
哲史:「なんだと・・・」
ヤツがまるでタクに合わせるように両手で自ら胸を揉みだしたのだ。
モニュン、モニュン
二人の両手の動きに合わせてヤツの大きな胸がムニムニと形を変える。
拓郎:「うっほほ〜、うっほほ〜〜〜」
ヤツが乳を動かすたびに拓郎が興奮しているのがはっきりとわかる。
拓郎のズボンは完全に膨れあがってしまっていた。
???:「・・・モウミチテイルナ」
哲史:「え?」
今、確かにヤツがそう言った。
ミチテイル?なんのことだ?
俺がそう疑問に思った瞬間
ぐぐっ、ぐぐぐっ
哲史:「なにっ!?」
ヤツの胸が突然ムクムクと膨らみだした。
拓郎の言うとおりもともと爆乳サイズだった2つの乳房は着物の下からぐぐぐっと体積を増していく。
そしてもともとキツキツだったヤツの着物はそのムクムクと膨らむ胸に耐えきれず内側からポロリとはだけてしまった。
拓郎:「うっほ〜うっほほ〜〜うっほ、うっほ、うっほほ〜〜〜」
ヤツのあふれんばかりの乳肉はその柔らかさを保ったまま、左右から揉んでいる拓郎の手をズズズッと押し返す。
拓郎は完全にゴリラ化してしまっていた。
俺は目の前のこのありえない現実にただただ見ていることしかできなかった。
ぐぐぐっ、ぐぐぐっ、
タクの頭スッポリと包んでいた2つの乳房はついにタクの体を侵食し始めた。
ヤツの胸はまだ膨らむことを止めない。
拓郎の体はどんどんヤツの豊満な胸に包まれていき、拓郎は今、谷間の中から胸を揉んでいるようだ。
ぐぐぐぐぐぐっ、ぐぐぐぐぐぐっ
ムクムクと膨らむヤツの胸はもはや大きいなんていうレベルをはるかに超えていた。
その先端はタクの上半身をスッポリと包み込み、下乳はもう床にズシリとのっかり、もうアドバルーン並みの大きさに達しようとしていた。
哲史:「なんなんだよ、なんなんだよこれ。」
俺の思考は困惑と不安が入り乱れてしまっている。
しかし次の瞬間俺の思考は全て恐怖に書き換えられてしまった。
哲史:「なっ!?」
ヤツがタクを見てニヤッとしたかと思うとヤツの右の乳房の乳首がズズズッと音をたてながら巨大化していく。
そしてその乳首が人一人入りそうな大きさになったと思うとヤツの乳房がまるで生き物のようにグネリと動いた。
拓郎:「うほっ!?」
谷間の中で完全にヤツの乳房に身を任せていたタクは当然バランスを崩す。
そこを見逃さないようにヤツの乳首は先端の穴を大きく開けるとバランスを崩した拓郎に頭から食らいついた!
拓郎:「フゴー、フゴー」
苦しそうにもがきながらタクはみるみるヤツの乳房に吸い込まれていく。
哲史:「タクーーー!!」
チュポン
俺が叫んだときにはもう遅く、タクの体は完全に乳に飲み込まれてしまった。
哲史:「タ・・・ク・・・」
タクを飲み込んだヤツの胸はシュルシュルと縮んでいき、もとの大きさよりひとまわり大きい状態で止まると着物に再びしまわれた。
そしてヤツは恐怖で震える俺に目を移すとキヒヒヒと不気味に笑い出した。
哲史:「う、うわあぁぁぁ!」
俺は怖くなってあずさ達とは反対の通路に向かって全力で逃げてしまった。
逃げるんだ。
一刻もはやくここから。
ヤツは幽霊なんて生易しいもんじゃねぇ。
化け物だ!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
どれくらい走っただろうか。
心臓がバクバクして呼吸もおかしい。
ヤツは・・・どうやら追ってこないようだ。
でもタクが・・・
哲史:「ウッ!」
突然体がものすごい吐き気に襲われる。
哲史:「ゲホッ・・・ガハッ・・・ハァ・・・ハァ」
限界速度で走りつづけた俺の体はそのまま壁にもたれてズルズルと崩れ落ちた。
全身の疲労で視界もぼやけてくる。
トットットッ・・・
?
誰かがこっちに近づいて来る。
???:「見てしまったのね。」
誰だ?聞いたことのない声だ。
???:「男がアイツに食われる姿を・・・」
哲史:「!!」
ぼやける視界の中、顔を上げるとそこに立っていたのはあの無口なはずの本宮麗だった。