ーはあ……。
僕、遠藤隼人は黒魔法同好会の部室にて、溜め息を吐いていた。
彩「……何があったの?」
ハート「さあ、私にもさっぱりです」
彩部長とハートはそう言う。
ー……まあ、知らなくて当然ですね。
彩部長は学年が別だし、ハートさんは授業中は部室待機にしていましたから知らないのも当然か。
彩「いったい、何があったの?隼人?」
ハート「教えてください、マスター・隼人」
ーああ、良いですよ。僕が悩んでいる原因は、そこに居るエリスのせいだ。
彩・ハート「「エリスさん?」」
2人はエリスの方を見る。
椅子には、呆然とした表情で俯いているエリスさんが居ました。
エリス「……美しい……背が高い……羨ましい……」
彩「エリスさんに何かあったんですか?」
ーええ。教室に入った途端に、他の女生徒に質問攻めされたんですよ。
あれは本当に端から見ていて、壮絶であった。
『本当に美しいね!エリスさん!』
『どうやったらそんなに背が高くなれるんですか?エリスさん?』
『羨ましいです、エリス様!』
羨望の眼差しで見つめてくる級友たちの眼は、いつも可愛がられているエリスにとっては可笑しい気がするのだろう。
ハート「なるほど、それでエリスさんは慣れない扱いに困惑したんですね」
ーまあ、そんな感じだ。
問題はその後である。
クラスの男子生徒、それと一部の女子生徒に羨望の目で見つめられる視線に耐えるのは、とてもつらかった。
彩「ああ……。私もそんな眼で見られてた気がしますねー」
ー『……しますねー』って……。
まあ、普段から世間の評価に拘らない人ですからね。それで奇人扱いされてるような物ですから。
ーまあ、急成長したのを感づかれなかったのは良い事ですけどね……。
ハート「……。ちょっと、失礼」
ハートさんはそう言って、彩部長に近付く。
彩「え……!ちょっと!」
ムニュ。
ハートさんは何故か分からないが、いきなり彩部長の胸を掴んだ。
彩「やっ……!ちょ……!止め……!」
彩部長は喘ぎ声を上げる。
ひとしきり揉み終わった後、ハートさんは今度はエリスに向っていく。
エリス「私も……!?」
そして、エリスもその後、ひとしきりハートさんに揉みしだかれたのであった。
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ハート「分かりました。彼女達は悪魔の力によって、精神操作されています」
ー精神操作?
ハート「要するに、彼女達が急成長した事を気付かれないように、人々に記憶を改竄されている。そう言う事です」
彩「なるほど。GTT。ご都合展開だね」
エリス「略す価値、無し」
ーはあ……。
とりあえず、こんな馬鹿な事は早く終わらせよう。
そのために、俺は双六へと手を伸ばした。