恋愛悪魔の双六 5ターン目

帝国城摂政 作
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ーあれ?


僕は少し戸惑っていた。何故ならば、『恋愛悪魔の双六』の3つのコマが少し前進していたからである。
僕の青いコマも。彩部長の黒いコマも。エリスの金色のコマも。
ほんの少しずつ、ゴールへと近付いていた。


彩「何、これ……」


『黒魔法同好会』の彩部長でさえも、さすがのこの状況には動揺が……


彩「凄い!どんな魔法!?」


……でもなかったようですね。


エリス「異変?」


ー……かもな。


僕達3人の誰かがしていると言う訳でもないのでしょう。
恐らく……『恋愛悪魔の双六』の効果。影響の1つだろうね。


ハート「とりあえず、彩さんがサイコロを振れば良いと思いますよ。昨日はマスター・隼人が最後にサイコロを振ったと思いますし」


ああ、そう言えばそうだったよな。
臣キャラ、ハート・フォーカスの登場。それによって、昨日はお開きになってしまいましたし。


彩「行きますよー」


そう言って、彩部長はサイコロを振った。サイコロを振ると、『5』の目を出した。
彩部長は自身の黒いコマを、5つ前進させる。そして、鏡を見る。


鏡には何の文字も現れてこない。


彩「……あれ?」


エリス「……。振ります」


エリスもそう言って、サイコロを振った。サイコロは転がっていき、『3』の目を出した。
エリスは金色のコマを3つ動かしたが、やはり鏡には何も映らない。


ー……ほい。


僕はサイコロを振る。『2』の目が出た。
僕は青いコマを2つ動かして鏡を見るが、やはり何も書いていない。


彩「どうしたんでしょう?」


エリス「……故障?」


ーどうなんだろうな……。


さて、これは一体どんな状況なんだろうか?
必死に頭をフル回転して考えていると、


ハート「……マスター」


むぎゅ。
そんな擬音と共に、ハートが後ろから抱き付いてきた。


ーあ……。ちょ……!おい……!


ハート「誘惑魔法、フェロモンチャーム」


その声と共に、僕は意識がぼんやりとして来る。そして、僕は彼女の胸に顔をうずめて、彼女の胸を揉む。
……とっても柔らかい。それに良い匂いがする。


彩・エリス「「ちょ……!」」


ハート「人が恋する理由、恋愛する理由。それは生殖本能からでも、好きだからでもありません。ただ愛して欲しいからです」


……ああ、本当に柔らかい。まるで母親の胸の中に居るみたいである。


ハート「ただ愛して欲しいから、綺麗になり。
ただ愛して欲しいから、健気に尽くし。
ただ愛して欲しいから、行動で示す。
それが愛なのです」


ああ……。夢心地とは、この事なのでしょうね。


ハート「『花は短し、恋せよ乙女』。花は見て欲しいから美しく咲き誇る。女性は恋したいから、愛して欲しいから、綺麗になろうとする。
花の命と同じくらい、人の恋も短い。だからこそ、好きと言う気持ちを伝えずに、今の状態に満足して停滞しようとする人は……酷く滑稽です」


彩・エリス「「……!」」


ハートがそう言った後、僕を自分の胸から離した。


ーはっ……!僕はいったい……。


なんか凄い気持ち良かった気がする。


ハート「すいません、マスター・隼人。誘惑の魔法、フェロモンチャームでマスターを夢心地へとご案内しておりました」


ーはぁ……、そうなのか……。


ハート「それより、マスター。後ろ」


ー……後ろ?


ハートがそう言っていたので、僕は後ろを見る。そこには、彩部長とエリスさんの姿があった。


ーあー……。


ハートの誘惑魔法のせいで、周りを見ていなかった。
2人をほったらかしにしてしまった。
……謝んないとな。


彩・エリス「「隼人(さん)!」」


ーは、はい!


いきなり言われたから、驚く僕。
まあ、それでも一応、謝罪の気持ちを持つ僕は、おとなしく言葉を待つ。


彩・エリス「「好きです!付き合ってください!」」


ーはい?


そう2人は揃って、頭を下げる。頭を下げた瞬間、2人の『恋愛悪魔の双六』で成長させられた大きな胸が、ぷるん、と揺れた。


ーえっと……。


僕はただ、返答に困るしかなかった。


ハート「続く!」