プレゼント 中編

帝国城摂政 作
Copyright 2011 by Teikokujosessyo All rights reserved.

12月24日、土曜日。天候は曇り、しかし夜は雪が降るらしく、いまどき珍しいホワイトクリスマスとなりそうだ。


「珍しいな……」


僕はそう天気予報を見て、口にした。
漫画などの創作物では、『クリスマス=ホワイトクリスマス』などと言う通説が出来上がりつつあるが、実際の今の日本は地球温暖化の影響なのかあまりそう言う現象は減少しつつある。
この前、ホワイトクリスマスがいつ来たか。そう言われると、戸惑ってしまうくらい経験がない。


そんな事を思いつつ、僕はジャケットとマフラーを着込んで外へと出た。
何故、外に出たか。それは何故かと言うと、クリスマスパーティーの準備である。
上京と共にクリスマスやクリスマスパーティーとは縁遠い存在になっていたが、今日は雅が来る。準備くらいはしといた方が良いだろう。
外に出た僕は、ケーキ屋さんでクリスマスケーキを注文して、プレゼントとして安いペンダントを購入した。


ーー
「兄さん。今、駅に着きました。今から向かいます」


夜7時。僕の電話が鳴り、雅から電話がかかってきた。
まあ、遅いと思うかも知れないけれども、田舎からの電車だとこの時間でもありえない話ではない。少し遅い気もするが。


「じゃあ、準備を始めるか」


今から準備をすれば、十分な時間になるでしょう。
そう思いながら、僕はナフキンを水につけてテーブルを拭く。
冷蔵庫からケーキを取り出してテーブルに置く。そして皿とフォークを2つずつ置く。


10分後、扉を叩く音がする。


『兄さん、雅です。開けてもらえますか?』


「ああ、悪い」


僕は鍵を開けて、扉を開けて、


ボヨン。


「ひゃぁ!」


柔らかい感触と、おどけた声がした。
……ん?今の声、雅の声……だよな?


柔らかい物(名残惜しい)から顔を離して、顔を向ける。
今まで見たことの無い大きすぎる胸。僕の顔が丁度彼女の胸の辺りに来ている。僕は男性としては少し低いくらいだが、これは女性にしては高すぎる。
そして僕はその胸よりさらに上にある顔を見つめた。


そこには想像したよりも、顔を赤らめる彼女の顔があった。


「久しぶりだな、雅」


「いきなり変態行為しないでよ、兄さん」


それが僕と妹との5年ぶりの挨拶だった。