恋愛悪魔のカメラ Photo.2

帝国城摂政 作
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有栖川姫野はどこにでも居る、姫カットの16歳の高校1年生である。
腕も足も細長く、女の子らしい丸みをおびた身体つき。Kカップの胸を持つ、絶世の美少女。
そして、カメラヲタクの僕、二階堂匠の幼馴染。


それが世間での彼女の評価であった。でも僕はそれが真実では無い事を知っている。
彼女は昨日まで確かに愛らしい小学2年生であった。正確に言えば僕が新しいカメラを買って、それで彼女を取る時までは確かに彼女は普通の、可愛らしく愛らしい小学2年生だったはずだ。
恋愛悪魔のカメラと言う、不思議なカメラ。その悪魔モードと言うモードで撮った結果、彼女は高校1年生になってしまっていた。まぁ、社会的にも問題が無いみたいなのでそれはそれで良いのだが。


只今、僕は高校への道を姫野と共に歩いている。


「匠〜、今日はカメラをあまり使わないのね。どうかしたの?」


「い、いや……。たまにはこう言う日もあるさ」


と、僕は隣で歩いている姫野に言う。どうやらこの世界で僕と彼女は、長年一緒に登校していたらしい。彼女としては当り前であろうこの状況も、僕にとっては今日初めてやった物である。それに相手が昨日までは小学2年生だったので、そう言った物を思えないのである。
しかも、自分のクラスメイトよりも、モデルだとしても遥かに大きい胸を僕の腕に押し付けているし。柔らかく、温かい感触が腕から伝わってくる。


それから数分間は、彼女の心地よい感触と、同じく学校へと向かう周りを歩く人々との痛い視線が僕を包んでいた。前者はとても心地よかったが、後者は痛々しかった。これはもし、姫野が同い年だったらこう言う付き合いだったのか。こんなのを、何年もやらないといけなくなるのか。まぁ、今はその状況なのだけれども。


1年1組のクラスに入った時は、少し嬉しかったものだ。なにせ姫野さんとはかなり席が離れていたから。これで流石に隣の席だったら、もっとやばい結果になっていただろう。


隣の席に居たのは、昨日と同じクールな顔立ちの金山凛香(かねやまりんか)さんだった。
銀色の肩にかかるくらいのセミロングの髪。分厚い眼鏡。一点に本を見つめるその姿は、姫野が来る前と同じ姿であった。どうやら……無理矢理僕の日常に姫野さんをねじ込んだらしく、それ以外は一緒のようだ。
まぁ、それなりに仲が良いし、撮影も許可してくれるからそれなりに仲が良いのだけれども。


「……つーん」


今日の彼女は、いつも以上にクールだった。
いつもだったら「おはよう」くらいは言ってくれるはずなのに。今日は言ってくれないし。


「えっと……凛香さん。お、おはよう」


「……おはよう。今日も仲が良いんですね」


そう言って、また本に目を向ける彼女。……まぁ、いつもクールなのだが、今日はそれ以上にクールって言うか。


「ねぇねぇ、匠。今日も一緒に帰ろうね?」


えっ……? 横を見るといつの間にか居た姫野さんに腕を胸に押し付けられていた。朝と同じく柔らかい感触が、僕の腕に押し付けられていた。
いつの間に……。


「え……。えっと、良いけど……。まぁ、色々とやる事もあるから、帰るのが遅くなるかも知れないな……」


「そう? いつもみたく、写真を撮って帰るんだね? 分かった、今日は先に帰るよ」


じゃあねー、と言う感じで彼女は自分の席に戻って行き、周りに居た女の子達に話をしに行った。……どうやらクラス内ではそれなりに高い地位を築いているようらしく、嬉しい限りである。


「えっと……凛香さん? 今日も放課後、撮影しても良いですか?」


彼女、金山凛香は有栖川姫野と同じく、僕の何回も撮影に協力してもらっている。彼女にもこの恋愛悪魔のカメラの情報は教えておいたので、今日は彼女の撮影を放課後お願いしているのだ。
『悪魔モード』は未だに1回しか試していないので、もしかしたら姫野さんだけ効果があるかも知れない。その事を試したいのである。リスクも高いが、それでも僕は撮影に対する情熱が勝ってしまっているのである。
まぁ、自他ともに認めるカメラヲタクの僕に、自重なんて初めから出来る物では無いけど。


「……ちょっとだけなら、ね」


凛香さんはそう言って、撮影に協力するのを了承してくれた。
さて、放課後が楽しみだ。