金山凛香の居る教室から出た僕は、家へと帰って行った。
自室に入ると僕はベッドに倒れこむ。倒れこむと、僕は息を切らして、その後ゆっくりと深呼吸をして今日の事を考える。
「なんだったんだ、今日のは……」
今日の事とは、金山凛香さんの事。
胸に焦点を合わせる意見は、僕は考えていなかった。
全身に焦点も合わせようとは思っていなかった。そして、全身にシャッターを合わせた後、押すなんて考えていなかった。
「これもこの、『恋愛悪魔のカメラ』の効果、なのか?」
何せ、『恋愛悪魔のカメラ』については情報が少なすぎる。
ネットで調べたら、『恋愛悪魔』と名の付く物は幾つか発見出来た。
『恋愛悪魔の双六』。
『恋愛悪魔の育成籠』。
『恋愛悪魔の愛玩人形』。
そして『恋愛悪魔のカメラ』。
どれも変な名前の奴で、どれもが『恋愛悪魔』に関係する物である。そして、不思議な能力を持っているらしい。
まぁ、この不思議なカメラもまだ全貌は理解出来てないし、変な事もあるのだろう。
「まぁ、これからどうするかは考えて行かないと――――」
「あっ、やっぱり帰って来てたんだね、匠」
と、どうしようかと考えていると自室の扉が開き、僕の幼馴染(と言う設定になって居る)有栖川姫野が中に入って来た。
どうやらうちの両親(旅行に行っている)から僕を任せられているらしく、こうやって世話を焼いて来るのだ。確かに両親は旅行に出ているが、僕の記憶だと有栖川姫野は世話なんて頼まれていない。何せ当時は小学2年生だったから。
まぁ、同い年ならば頼んでも可笑しくないし……。
そんな彼女は僕の横、ベッドに腰掛ける。相も変わらず、僕はベッドでくたくたに横になっているんだけれども。
「……あぁ、姫野ちゃんか。良く来たねー」
「もう……。だから姫野ちゃんじゃないって。もう高校生になったんだからさ。その呼び方は無いよ」
そう言って、僕はベッドから離れて彼女の顔を見つめる。
腕も足も細長く、女の子らしい丸みをおびた身体つき。Kカップの胸を持つ、絶世の美少女。
とても愛らしく、僕なんかの幼馴染にしたらとてもじゃないけど釣り合っていない。
「まぁ、姫野。今日は大丈夫だよ。ちょっと……学校でびっくりする事があってさ。全く、凛香にはびっくりだよ」
それは嘘では無い。
今日は色々とあって、びっくりだ。
まさかあんなツンケンしてた凜香ちゃんが素直クールな女性になり、さらにあんなナイスバディになるなんて思いもしなかったよ。
「……」
そう言うと、姫野は途端に険しい顔になって僕を睨む。頬を膨らませる姿がなんとも可愛らしい……。
「ねぇ、匠。もしかして今日、凜香ちゃんから告白されていたとか無いよね?」
「へ……? い、いや、違うけれども?」
具体的に言えば、凜香の変貌に僕は驚いていたんだけど。
と言うか、姫野はどうしてそんな事を思ったんだろう?
「違うの? 凜香ちゃん、あんなに懐いているし……。もう告白しても可笑しくないと思うんですけど……」
あっ、そうか。姫野の記憶では、凜香は昔からあんな感じだった事になって居るのか。確かに急に遊んでと迫って来る凜香の表情からは、とても好意的に見えた。あの様子だと、確かにそれもあり得るのだろう。
姫野がぎゅっと胸の所で手を合わせると、彼女の豊満な胸に手がめり込んでいく。その胸の感触がなんとも柔らかそうで、
【いつの間にか僕は彼女の胸に触っていた】
「あぅ……!? ちょ、ちょっと匠……!」
【豊満な胸は僕が揉むと共に、形を変えていき、手から触れる柔らかさはまるでスポンジ、いやとても柔らかいタオルのようだった。そして、甘いミルクのような香りが鼻から香ってくる】
「ちょっと……! 匠、そんなにやると、私……!」
【その苦痛に顔をにじませる彼女の顔が、僕の心の中で――――】
(って、僕は何を考えているんだ!)
慌てて僕は彼女の胸から手を離す。彼女は僕が胸を触った時から、顔を赤らめていた。それだけ羞恥心に顔をにじませていたんだろう。可哀想な事をしたと思っている。
僕は「今日はごめん。帰ってくれ」と言って、姫野は「う、うん……。分かったよ。じゃあね、匠」と言って帰って行った。
本当に……僕はどうしたのだろうか?