恋愛悪魔のカメラ Photo.6

帝国城摂政 作
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その日の放課後。僕は1人、体育館裏へと向かった。
ちなみに姫野や凛香は先に帰らせた。2人とも納得はしていなかったけれども、僕は大切な用事があると言って帰らせた。流石の彼女達もそこまでは了承してくれたので、僕は1人そこに来たのであった。


僕がそこに辿り着く頃には既に1人の人物が待ち兼ねていた。


「先輩……。来てくれたんですね……」


そこに居たのは黒髪を長く伸ばした中性的な黒い女子制服を着た小柄な少女である。と言うか、この少女の事はようやく思い出した。名前は覚えていなかったが、彼女の姿は覚えていた。何せ彼女は新入生、しかもかなり有名な人間である。


曰く、『今年の新入生の中に1人、女子制服を着た男子生徒が居る』と。


「先輩……、僕、先輩の事が……先輩のそのカメラを取る姿に……ボクは恋しちゃったんです。先輩、良かったら僕と、この京都よりと……付き合ってください!」


そう、思い出していた。
彼の名前は京都、より。京都が苗字で、よりが名前と言う”男子高校生”。こんな、女子制服を着ていたとしても、彼は”男性”である。


名前を憶えていたらこんな事にならなかったのに……不覚である。やっぱり顔と名前は同時に覚えておくべきである。


「……ごめん。君の気持ちには答えられそうにない」


僕はそう言って京都にそう言う。
とりあえず僕にそんな男色を好む風習なんて言う物は無い。僕も健全な男子高校生。出来るならば、女性と付き合いたい。
確かに姫野も凜香も女性として非常に魅力的である。けれども僕は彼女達とまともに向き合えないだけである。だから別に彼女達とは付き合いたくても付き合えないのだ。


「そうですか……。じゃあ、せめて! せめて最後にそのカメラで撮ってください!」


と、京都さんはそう言う。


「そうか……」


ならせめて撮ってやるのが最後の手向けとして撮ってあげよう。そう思って、僕は1枚、彼の写真を撮ってやった。
そうすると、彼の身体に異変が生じた。彼が胸を押さえて苦しみだしたのだ。


「ううっ……。先輩。僕、どうしちゃったんでしょうか?」


この症状は知っている。と言うか、このカメラは恋愛悪魔のカメラだ。だからこの症状も知っている。これは悪魔モード。悪魔モードの物である。けれども……


(可笑しい! こいつは男子なんだぞ!)


今までこの悪魔モードのターゲットは女性のみに反応していた。だから結局、僕はこれは女性のみだけだと思っていた。なのに……


「はぅ……! あぁ……うっ……!」


京都の身体はどんどん色っぽい身体へとなっていく。
胸はどんどん大きくなっていき、身長も少しずつ大きくなっていく。そしてただ伸ばしていた黒髪も、ふわっとした女っぽい髪になっていた。


「あぅ……!」


そして京都は地面に膝を付ける。


京都は座る。そしてえんえんと泣き始めていた。


「お、おい。京都……」


「ど、どうしてなんですか……。どうして”私”じゃ……駄目なんですか?」


……? え? 私? 可笑しい、彼の一人称は僕じゃなかったか?


「……良いです。こうなったら、”女”の誘惑で先輩を誘惑しきって見せるんですから!」


べー、だ! と、京都はそう言って帰って行った。


「……”女”?」


僕はそう言って、頭を抱える。


恋愛悪魔のカメラ、一体これはなんなんだ?



それはその日、自宅に帰って分かったのであった。
そう、家に居たあいつの話で。