吊革

帝国城摂政 作
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「……あの、ちょっと掴ませて貰って良いですか?」


 月曜日。電車に乗っていると、いきなりそんな可愛らしい声が聞こえて来た。けれどもその姿が見えない。


「……下です。下」


 ちょいちょいと服の裾を掴む感触を感じ、下を見るとそこには可愛らしい少女の姿。後三駅先の駅の近くにあるとあるお嬢様学校の制服を着た130pくらいの可愛らしい美少女、美しい流れるような髪や可愛らしい顔なども印象的だが、何より印象的なのはその胸。
 100p……いや、120pはあろうかと言うその小柄な体躯とはかけはなれて凶暴そうに成長したその胸は凶器と言うか、彼女の武器だろう。


 そこ以外は大変可愛らしいのだが、そこだけは美しく、そしてエロい方向へと成長を遂げた彼女は、無表情な瞳をこちらに向けていた。


「……手が届かないので、もし良かったら裾を掴ませてください」


 そう言って、服の裾を掴む彼女。確かにその身長だと吊革に手が届かなそうだし、それに大きな胸が邪魔で手を上に上げづらくなっているようだ。
 幸いなことに僕の降りる駅は彼女の降りようとしている駅の次だ。なので、了承した。


「あぁ、構わないよ」


「……じゃあ、遠慮なく」


 彼女はそう言って、ムギュ―とその豊満な胸を僕の背に押し付ける。


「ちょ……!?」


「……こうじゃないと混雑で揉まれて、倒れてしまいそうですので」


 そうこうしている間に電車は次の駅に着いて、沢山の人が入って来て電車は大混雑へと変わる。そうしてあまりの大混雑で彼女はさっきよりも積極的に抱きつく。抱きついた彼女のその身長に似合わない大きな胸が僕の身体を誘惑していた。
 柔らかく、それでいてハリがあり、なおかつ素晴らしく良い匂いがする。


(こ、これはヤバい!)


 ここで押し倒したら、彼女の無垢な信頼と僕の社会的な地位を失ってしまう。故に僕は頑張って耐える。


 一駅、二駅。
 電車はその間を20分、30分ほどで通行する。けれども僕はその時間がいつも以上に長い物に思えてしまっていた。


 そして扉が開き、彼女は僕から離れて扉から外へと出て行った。
 彼女はこちらへと振り返り、


「……また明日もお願いします。私、明日もこの時間ですので」


 彼女は無表情な顔でそう言って出て行ったが、僕には何故かその顔がとても大人びた女性の顔に見えた。
 彼女、多分将来悪女になるかも。
 そう考える僕であった。