百城水穂(ひゃくじょうみずほ)。算盤高等学校1年、16歳。身長は180cmくらいと女性にしてはかなり高め、バストカップはH。梳いてもいないのにさらさらの金色の髪と、何もかもを見通すようなサファイアを思わせるようなきらめく青い瞳。常に大きめの黒いシャツとその上に白衣を羽織った彼女だが、そのHカップの胸はたゆんたゆんと存在感を発揮しており、何もしていないのにも関わらず上を向いている。いつも感情をあまり出さない彼女は、確かな存在感の元、学校に存在して居た。
何もしていないはずなのに、美人。無表情な鉄面皮女。それが百城水穂を言い表すのに、最も適した言葉であった。
僕は百城水穂を恨んではいたが、前の連中ほど恨んでいると言う事ではなかった。恨みのレベルで言えば、一宮海月レベルの全くと言って良いほど恨みを持っていないレベルだった。妹である日和のために病院を呼んで搬送を手配したのも彼女だし、入院しているのも彼女の家、百城家の病院だ。同じ高校なので時々会う機会はあったが、美しい、と言うよりかは何をしているのか分からないある意味良く分からない人物だった。
とは言え、妹の事故に関わっている以上恨んではいるし、ゲーム・H・ラブリーさんに言われた以上、彼女もまた乳を揉んでその乳を回収しなければいけなかった。
さぁ、どうやって百城水穂を会おうかと思っていた、あのライブ会場での事件から3日後。
―――――――何故か僕は、椅子に縛り上げられていた。
「……どういう事だ、これは?」
「やっと目が覚めましたか、赤城日和の兄である赤城凌君」
と、目の前にいた女性がコーヒーを机の上に置いて、親しげに話しかけて来た。そう、今話していた人物、百城水穂がそこには居た。どうやら僕は百城水穂によって、拉致、そして監禁状態にあるようである。
「ここは……どこなんでちゅか?」
と、僕は尋ねる。僕は元来、消極的な性格であり、そして拉致と監禁されている状況。ましてや百城水穂と全く喋った事が無い極限状態だったため、僕は噛んでしまった。……いや、わざとじゃないよ? 本当だよ?
「ここは私の家の所有する研究施設―――――跡と言って良いですかね。もう誰も来ないような、監視カメラも生きていないような現代から取り残された、電気が通じない場所です。私はここに君を拉致し、そして縛り上げました」
研究施設……跡……。そう言えば、彼女が椅子代わりにと座っているテーブルは何かの職員の机みたいだし、辺りには踏みまくられて文字が読めなくなった書類やらフラスコで作られたような床の凹みが見える。
「な、何故……ここに……?」
「簡単な事です。あなたが犯人だからに決まっているじゃないですか」
「は、犯人……?」
「そう」
と、彼女は何事もないかのようなゆったりとした口調でこう述べた。
「一宮海月、十条火花、千街莉木、そして万門美金。以上の4名を襲った謎の長身女性、それはあなた、なんですよね? 赤城凌君?」
確定事項を言うかのように、彼女は冷静に答えた。
僕は慌てていた。……何故、ばれてる!?
「十条火花さんがね、泣きついていて、どうやら乳が出るようになって、しかも愛する婚約者のために取って置いた処女膜を破られたとかなんとか。変な話だと思っていましたら、千街さんと万門さんも、その、謎の長身女性の餌食になったとかの話を聞きまして。
私は、必死に彼女が何者なのか調べました」
そして僕に辿り着いた? 可笑しい、僕と綾の姿は全くの別人だし、声や仕草だって同じじゃないのに……。
「千街さんと万門さんの話によると、その長身女性はスタッフの衣装を着ていたそうです。そしてスタッフの衣装はそう簡単に手に入るものではなく、最近そのスタッフの衣装を貰った少女が居ました。そう、一宮海月ちゃん」
……! そうだ、あのスタッフ衣装を貰ったのは、一宮海月! そこから犯人への糸口が掴めてしまう!
「……最近、海月ちゃんはあなたの家に良く出入りしているから、もしやと思って聞いてみたら、白状してくれました。彼女が乳が出る体質になっている事、そして妙な薬を使ってあなたがあの長身女性になっている事を」
全部、ばれてる……。おしまいだ、妹は助からずに僕の復讐劇も終わりを迎えてしまった。さらば、日和。お兄ちゃんは犯罪者として牢獄に囚われよう。
「あぁ、そう、です。僕が、あの長身女性です。犯人は、この僕です」
自白した。隠しきれないと思い、自白した。言い逃れは出来ない。なにせ、もう逃げられないからだ。復讐劇は終わり、ここで終わりを迎えて……。
「―――――――ですが、私はあなたを警察に引き渡す事は出来ません」
「へっ……?」
何を言い出すかと思ったら、彼女はいきなりそう言って汚れた地面へと膝を付けて、深々と頭を下げる。
「……あなたの復讐している理由は、海月ちゃんから聞きました。あれは私達のせいです。私達にはあなたに復讐されても文句を言えない。私達は―――――取り返しのつかない事をしてしまったのですから」
ポロポロ、と涙を流す彼女。その姿はとても弱弱しく見えた。
「医療に携わる人物として……命の重みと言う物は両親からきちんと教育を受けてきました。私達、医者や看護師は人の命を救うのが仕事。そんな誇り高い職に、憧れを持っている私が……この私が、よりにもよって、人の命を危険に晒すなんて!
本当はあなたと顔を合わせたくなんてなかった! 日和さんを助けてない私が、あなたとどうやって謝罪の言葉を言えばいいか分からなかった! だから思ったの……彼の復讐は私達の業であり、私は受けなければならない」
彼女はそう言って、僕のポケットからある物を取り出した。
「そ、それって……」
「海月ちゃんから聞いてる……。これが、『恋愛悪魔のホルスタイン』、なんでしょ?」
それは彼女にどうやって飲ませようかと悩んで悩んで入れておいた、『恋愛悪魔のホルスタイン』であった。
「私は……自分に責任を取らなきゃ、いけないの」
彼女はそう言って、その『恋愛悪魔のホルスタイン』を―――――自分から飲んだ。千街や万門達とは違って、自らの意思で飲んだ。
「はぁ……はぁ……」
途端に彼女の息が荒くなる。『恋愛悪魔のホルスタイン』を飲んだため、催淫効果が彼女の身体にかかってしまったのだ。そして彼女はおもむろに白衣を脱いで、黒いやぼったいシャツも脱いだ。
露わになったのは、透き通るような肌の豊満なHカップの乳房、つまりおっぱいである。大きな胸にはブラジャーも何も付けておらず、可愛らしい乳首が良く見えている。
「これを……揉めば……」
彼女はそう言って、胸を激しく揉む。胸は激しく揺れ、彼女の顔は羞恥かそれとも快感のためか赤くなっていく。そして手は激しさを増すが、彼女の顔からは涙があふれていた。いつもと違って、彼女の胸からは一滴も母乳なんてものは出なかった。
「な、なんで!? なんで私からは母乳が出ないの!? ど、どうして……」
それは体質的な問題かもしれないけれども、僕はすぐに分かった。
(彼女が……泣いているからだ)
あの母乳は興奮している時に溢れ出るもの。しかし、今の彼女は泣いていて興奮と逆の状態にある。
誰だ!? 無表情な鉄面皮女!? 違う、彼女はきっと弱いのだ。
必死に弱みを見せないように、感情をあまり出さずに頑張って来たのだ。僕は彼女が虐めを受けているような話を聞いた事があるが、それが原因で泣いたと言う話は聞いた事が無かった。
彼女の家はお金持ちだし、明るかったり社交的な性格とも言えない。きっと彼女はそれゆえに虐めを受けて、感情を出す事を避けていた。多分、そうなんだろう。
……そんな彼女が泣いて、許しを請いている。
僕はどうすれば良いんだろう?
彼女は敵だ。しかし、あんな彼女を僕は恨みを持って襲えるのだろうか?
(い、いやダメだ! 彼女は可哀そうだと思う! けれども、日和の方が大事なんだ!)
今もなお目を覚まさない日和。そっちの方が、僕は大事にしなくてはいけないんだ。
「おい……。鎖を解け」
「えっ……?」
「早く!」
僕はイラついている感じで、百城水穂にそう言う。百城水穂は何をされても良いと言う感じで、大人しく僕の言う事を聞いてくれて僕の言うとおり、ほどいてくれた。
「ごめんな……」
僕はそう言って、彼女の胸に手を突っ込む。
「きゃっ……!? あ、赤城……君!?」
彼女の胸はまるでスポンジのようだ。何の抵抗も無く、僕の腕は彼女の胸の中にするりと入って行く。一宮が弾力感で弾くのに対して、彼女の場合はそう、抱擁力でするりと入ってく。
(こうなりゃ、やけだ!)
僕はそう言って、彼女の胸を彼女の胸の中で強引に揉む。彼女はそれだけで身をよろめかせる。
「い、いや! や、止めて! わ、私、気持ちよくなっちゃう! まだ……お詫びしなくちゃいけない事がいっぱい、いっぱいあるのに……」
「良いんだよ、今は! 水穂さん! もうそんな事は気にしなくていいから! ただただ快感に身を任せて!」
「だ、ダメ! だ、ダメ―!」
彼女の胸から、まるでクジラが潮吹きをするかのように母乳が噴出した。
それから1時間後。僕はようやく彼女の母乳の掃除を終えた。Hカップもあった胸のせいか、彼女の母乳は床に染み込むほど多く出てしまい、片付けるのに時間がかかった。とりあえず、彼女の母乳は、アンプに入れたし、万々歳だ。
「ふぅ……」
「ね、ねぇ……」
と、休憩していると白衣を羽織っただけの彼女、百城水穂が声をかけてくる。
「さっき、許してくれるって……」
「あぁ……」
そう言えば、勢いに任せて口走っていたかもしれない。ダメだな、僕は。復讐する相手に、『許す』なんて言うだなんて……。
「別に……良いさ。妹の事をちゃんと反省しているのなら、僕が言う資格はない。あとは妹に怒られてくれ……」
「う、うん……。そうだね……」
と、そう言う彼女に「あ、あぁ……そうそう」と僕は付け足す。
「お前って、無表情系じゃなくて感情を出すのが苦手なタイプなだけなんだな。学校と違って、涙に身を任せているお前は可愛かったわ……」
「……ッ!」
そう言うと、彼女は顔を赤らめて俯いてしまう。言い過ぎたか、まぁ、嫌われても良い。どうせこれが終わったらさよなら、なんだから。
「……私、お詫びしないといけない事があるの」
と、彼女はそう口に出す。
「だ、か、ら! もう、日和の事は……」
「ううん、日和ちゃんの事じゃない。あなたにですよ、赤城君」
と、彼女は僕の顔を見て、ニコリと笑う。
「私はあなたを拉致して、監禁してしまいました。悪い子です。ちゃんとあなたにお詫びをしないといけません。
……で、ですから……また、今日のようなお仕置きをされに伺います。今度はあなたの家に」
その顔は、羞恥で赤くなったような顔で、本当に可愛らしい顔だった。僕はもう恨みなんか彼女に持っておらず、彼女をじっと見つめていた。
彼女の胸ポケットは、白い乳液で濡れていた。